もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第521話 「大魔界で蠢く陰謀!?」

「ふぅむ…全く、このわしにこんなモノを造らせるとは…」

 

ここは第1魔界の辺境の森。昼夜を問わず赤黒い雲が空を覆い、木々は何も実らぬまま成長だけを続ける。

その中にある古びた家、その庭にて4つの人影が在った。

 

「“魔人クウ”に…“魔人ドゥー”…。こんな魔人をわしに造らせて、お前さんは一体何をしでかすつもりなんだい?のう、ドクター・アリンスや」

 

宙に浮かぶ、黒い魔導服に身を包んだ老婆…大魔女マーバ。彼女は目の前にいる女の魔人へ呆れたような声色で話しかけた。

この女性はドクター・アリンス。そしてその背後に控えるように佇んでいるのは魔人クウと魔人ドゥー。

 

「そんなの決まってるでしょう?タマガミを倒してドラゴンボールを手に入れるのよ、そのために力と知能の違う魔人をわざわざ二人造らせたのよ」

 

かつてマーバは偶然の産物として魔人ブウを誕生させたのだが、狂暴すぎて制御が効かないことに難儀していた。その後魔人ブウは魔導士ビビディに盗まれ地球へ運び込まれ封印されていたところをピッコロ大魔王に破壊され、その破片はバビディが回収しサラガドラの手により新生魔人ブウとして蘇った。

だが、その新生魔人ブウもトキトキ都での一件にて魔王ダーブラに弱点を突かれ消滅したものの、実はサラガドラが魔人ブウを復活させる手伝いをしていたマーバとアリンスはこっそりブウのエキスをくすねており、それを使い他の魔人種族や自分自身と掛け合わせる事により新しい魔人を二人も生み出したのだ。

 

「まあわしゃ何でもいいが…もう魔人ブウに関わるのはこれで最後だ。二度とわしに関わってくるんじゃないよ」

 

マーバはそう言い残すと、ゆっくりと自分の家の中に戻り、戸をピシャリと締めた。アリンスはその様子を見た後ににやりと笑った。

 

「ふふふ…いいわよ、もうじき大魔王にまで上り詰めれば、何もかもが必要なくなるもの。ドラゴンボールさえ揃えれば…ね」

 

 

 

 

 

 

「では最後の試練だ!!」

 

ウスターとの戦闘に敗北したタマガミナンバーツーは、タマガミナンバースリーの時と同様に二つ目の試練を課した。それはやはり戦闘や強さとは関係のないものだったが…

 

「それでは問題を出すぞ、10秒で答えろ」

 

タマガミはどこからか紙芝居のような絵を取り出して広げ、ウスターによく見せながら問題を出した。

 

「魔人の子供ジョニーはお母さんにビスケットを15枚貰ってお散歩に出掛けました。ジョニーは歩きながら3分の1食べた所でヤギのジローに会いました。ジローは残ったビスケットの半分を欲しいと言うので半分あげたら、やっぱりそれは図々しいかと思い直し2枚返してくれました。次に出合った犬のサブローにも1枚あげたところ、突然現れた猿のシローに3枚パクられてしまいました。ちょっとムカついた心を抑えながら歩いていると、今度は蛇のイチローに出会いました。優しいジョニーはイチローにも残りを全部あげようと思いました。さて、イチローは何枚食べる事が出来たでしょうか?」

 

やたら固有名詞が多いが要するに算数問題だ。

後ろで見ていたカカロットたちも口には出さず考えてみるものの手間取っている。そんな中、ウスターは目をとぃて少し考えた後に口を開いた。

 

「3枚」

 

「…!残念だが…」

 

「だが、結局蛇はビスケットを食べないのではないか?よって0枚だ」

 

その場が静まり、固唾を飲む音が響く。

 

「…正解だ。ドラゴンボールは持って行け」

 

「やったぁ!!」

 

ウスターは見事正解し、霊夢が歓声を上げた。タマガミは胸にはまったドラゴンボールを外し、ウスターに手渡した。

 

「ウスター、やったな!」

 

「…フン」

 

皆が喜んでいる中、タマガミはすぐに造物主たるネバの元へ歩いていき、深々と頭を下げた。

 

「申し訳ありません。ドラゴンボールを守れませんでした」

 

「いや、これでよかったんだ。本当によく戦ってくれた。それに…わしも久々に面白いものが見れたからなァ、ありがとうよ…ひひひ」

 

そして、ネバはそう言った後に小さな声で何かをタマガミに耳打ちし、ネバのその言葉を聞いたタマガミはもう一度頭を深く下げ、最初に佇んでいた定位置に戻り、修復したトライデントを手に再び動かなくなるのだった。

とりあえず、これで第3魔界と第2魔界のドラゴンボールをゲットし、残るは第1魔界のドラゴンボールのみ。

 

「おいバルフート、ウスターの戦いも勉強になっただろ?」

 

カカロットが少し離れた場所で座っていたバルフートにそう尋ねた。

 

(ああ…なんという動き…素晴らしい強さ!まるで魔法のようだ!バルフートもあのような“体を使う魔法”が出来れば姉上にも勝てるぞ!)

 

「第1魔界のタマガミと戦うのは私だからね、その時にはもっとタメになる戦いを拝めるはずよ」

 

霊夢はそう軽い調子で言いながらバルフートの背中に飛び乗った。続けてカカロット、ウスター、グロリオ、パンジ、そしてネバは次なるドラゴンボールを守るタマガミが待つ第1魔界へと向かって出発するのだった。

 

 

 

 

またまた場所は変わり、ここは第3魔界。その荒野にポツンと佇む一軒の売店に、ひとりの旅人が足を踏み入れた。

チリン、とドアのベルが鳴り、新聞を読んでいたおばさんが振り返る。

 

「あらいらっしゃいねぇ、ゆっくり見ていってねぇ」

 

旅人はボロボロな外套を羽織り、頭まで覆っていた。その上から判別できるシルエットでは右腕が無いように見え、左手で商品を手に取り物色し始める。

そして、ある棚に置かれた瓶がその目に留まった。

 

「…これは?」

 

旅人は尋ねる。

 

「それは魔のサードアイって代物だねぇ。気味が悪いから昔からずーっと売れなくてねぇ」

 

「これをくれ」

 

「あら、お客さん物好きだねぇ。でもいいよ、特別に安く売ってあげるねぇ」

 

「そう」

 

旅人はカウンターにいくつもの黄金のドクロをわざとばら撒くように投げ渡した。

 

「ごめんなさいね、腕が片っぽしかないから落としちゃったわ」

 

おばさんが慌ててそれを拾うのに構わず店を出る。

そして購入したビンの中に入ったふたつの魔のサードアイを見つめて不敵に笑うと、ちょうど吹いてきた強風により外套のフードが脱げる。

 

「やはりアリンスから聞いたグロリオの言っていたことは本当だったようね。魔のサードアイがこんなところにあるなんて盲点だったわ」

 

青い肌に尖った耳は正しく魔人であることを示しており、そして我々はこの旅人を知っている。かつては暗黒ドラゴンボールを捜し、シロナやサザンカと激突したサラガドラの配下であった…

 

「アリンスは本物かどうか不確実なものに興味は無いようだったけど、間違いなくこれは本物…!ふふふ…ドラゴンボールなどよりも確実なのはこの魔のサードアイがもたらす圧倒的な魔力と他を隔絶する超パワー!!大魔王になるのはこのパスト様だよ」

 

パストはアリンスに取り入り協力関係を持ちつつも虎視眈々と彼女が得た情報を利用し、出し抜こうと画策していた。アリンスはグロリオから魔のサードアイの発見を知らされるも、先に魔人の創造を優先しておりひとまず放置していた。

パストは自身と対象とを見えない糸で結ぶ能力によりその報告を傍受し、アリンスよりも先に魔のサードアイを探していたというわけだ。

 

 

 

 

───そして…

 

「さて、第1魔界のタマガミがいるって場所へやってきたわけだけど…」

 

既に霊夢たち一行は第2魔界から洞穴を通って第1魔界へ到達し、ネバの案内の元でタマガミのいる場所へ訪れていた。

第1魔界のタマガミは威風堂々とした佇まいで鎮座しており、峰が鋸状になった片手剣を持っている。今までのように戦いを挑めば動き出すのだろうが…

 

「こりゃ、一体どういうことでぇ?」

 

カカロットはその光景に疑問を取り、霊夢も訝しげな顔でタマガミを見つめている。

なんと、既にタマガミの体からドラゴンボールが失われているのである。本来それがあったであろう腹部には、何もない穴がぽっかりと空いている。

 

「まさか最強のタマガミを下した者が彼ら以外におるとは…」

 

ネバも信じられないといった表情で顎を触る。

 

「…!?」

 

その時、カカロット、霊夢、ウスターは付近に大きな気を感じ、思わず振り返った。

 

「誰だ?」

 

そこには緑色をした魔人と思われるふたりと、彼らを従えるかのように後ろに立っている女の魔人の姿があった。しかも、女の手の上には一つ星のドラゴンボールがあった。

 

「ドラゴンボール!」

 

「先を越されたのか?」

 

女の魔人…アリンスは不敵に微笑みながら口を開く。

 

「ついさっき、私のかわいい魔人たちがタマガミからドラゴンボールを勝ち取ったところよ。それで…どうする?」

 

確かにドラゴンボールを欲しがるような者が他にいないとは限らない。だが、自分たちと全く同じこのタイミングでドラゴンボール集めに乗り出したことが頭に引っかかる。

しかし、カカロットたちが受けたのは間違いなく宣戦布告。アリンスの造った魔人であるクウとドゥーは明らかにこちらに対して戦闘態勢に入っている。

 

「後悔させてやる」

 

ウスターも目を細めながら全身に気を漲らせる。

 

「カカロット、もちろんやるわよね?」

 

霊夢も戦闘態勢に入りつつ、横目でカカロットを見て問いかける。対するカカロットは、聞かれるまでもなく返事は決まっていた。

 

「ああ、気が向いたらな!」

 

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