もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第531話 「凍え知れ、安寧の睡郷!」

さらに場所は変わり、城塞跡地からかなり離れた森林地帯。そこで、2頭の巨竜が戦っていた。

木々は四肢に踏み倒され、降り注ぐ落雷によって燃え上がったかと思えば、周囲を凪ぐ極低温の風によって凍り付く。

地に落ちる霹靂と、全てを凍てつかせる冷気がせめぎ合っていた。

 

(我が愚妹ながら、その執念深さ…いや、往生際の悪さは認めてやる。だがそろそろ鬱陶しくなってきたのう、死ぬがいい)

 

ガルフートは角で発生させた電撃を背中へと送り、それは後頭部から尻尾の先まで連なっているレールのような背びれに沿って流れていく。尻尾の先へ到達し、戻ってきた電流は倍増された高圧電流となって角へと集約される。

 

ガシャン

 

そして、4本の角は閉じるように稼働し、その先端から閃耀が炸裂した。

 

カッ ビシャアアアン

 

目が眩むような真っ白な閃光と共に極太の電撃が伸びる。

しかし、バルフートもまた、同時に大口を開けて吹雪の如き冷気を吐き出して放っていた。それはガルフートの雷撃と衝突し、さらに冷気を浴びた地面から伸びた氷柱も加わる。

 

パキパキ…
 

 

(やはり、雷撃では貴様の氷を貫くのは難しいな!)

 

確かに、氷は電気を通しにくい性質を持つ。が…電気を長時間浴び続ければ、発生する電熱により氷は解ける。そうなれば流れ出た水分に電気が流れ…

 

バヂイィッ!

 

(ぐううううッ!!)

 

特大の雷撃は氷と冷気を押し破り、バルフートへ直撃した。凄まじく大きな爆発と共に吹き飛ばされ、長い巨体が地面を盛大に転がる。

バルフートの首から煙が上がり、雷撃を受けた個所は焼け爛れている。

 

(これでわかっただろう!貴様の能力ではこの身共に勝てない!)

 

いつの間にか、ガルフートがバルフートを真上から覗き込んでいた。前足で頭部を押さえこみ、重さで圧をかける。

 

(まだだ姉上…!まだ…!)

 

パキ…

 

その時、バルフートの周囲が冷却される。そこでガルフートは頭に置いている手が氷でくっついて離れないことに気付く。

 

(小賢しい!)

 

ガルフートは電流を前足へ送り、その熱で氷を溶かし脱出し、距離を取る。その間にも周囲はとてつもなく冷え続けていた。

見ると、バルフートは蜷局を巻くように体を丸め、全力級の冷気を放出していた。絶え間なく全方位へ凍てつく波動が吹き荒び、凍り付いた木の葉や石が礫となってピシピシと体に当たる。

 

(…ハハハハ!能力の爆発比べか!面白い!今一度、どちらが上か…思い知らせてやるぞ愚妹よ!!)

 

対するガルフートは、バルフートとは対照的に長い体を直線状に伸ばして構える。生み出した電気を背中に通し、それを何度も往復させて際限なく高め続ける。溢れ出した電流が周囲に降り注ぎ、暗い空が光に照らされ青空へと変わり、正に青天の霹靂を映し出す。

そしてバルフートも際限なく冷気を放出し続け、その体の周囲には地面が凍結して盛り上がりそれがさらに氷を纏った巨大な壁が形成されていた。壁はバルフートを取り囲い、冷気を出せば出すほどさらに巨大になっていく。そして、バルフートの体内に熱も蓄積されていき、体が真っ赤に赤熱してゆく。

 

永遠とも取れる時間、電流が大きくなる轟音と、氷山が形成される金切り音が響き続けた。そして、一切合切が感じ取れない程高まった瞬間…ふたつの超エネルギーが爆裂した。

 

カッ

 

ガルフートの真っすぐに伸ばした全身から今までとは比べ物にならないほど極太の電撃砲が放たれる。バルフートは冷気を出すことで溜まっていた熱気を一気に放出し、その衝撃で周辺の氷の山を砕き、弾き飛ばす。

恐らく、両者の間に地球が存在したなら数十回は消し飛んでいるほどの衝撃と奔流が生まれる。ここが大魔界という広大かつ魔力に満ちている土地であったからこそ耐えられた。

 

しかし

 

一直線に放たれる電撃砲は、亜光速で飛んでくる氷塊とぶつかり合い、一度は止まりかけるものの、それらを粉砕し尚も進む。凍てつく冷気の波動さえ突き抜け…

 

ドギュウウウッ

 

熱気を放出している途中のバルフートの胴体へ電撃砲が直撃する。

 

(グギャアアアアアア!!)

 

バルフートは悲鳴を上げながら、身を焼き焦がす大爆発に巻き込まれた。

 

 

 

(…我が愚妹ながら、何というザマじゃ)

 

全てが静まり返った後、ガルフートは燃えるクレーターの中心で横たわるバルフートへ近付いて言った。

 

(貴様の冷気を作る力は、我らの持つ放熱機能と相性が悪い。熱と冷気は相容れぬものだからな…それに比べ、このガルフートの電撃は良い。放熱と食い潰し合わないのだからな)

 

バルフートは首を上げようとするが、ガルフートに押さえ込まれ動けなくなる。

 

(だから、貴様はもういいんだ。もう頑張って身共について来なくていい)

 

(…!姉上…)

 

(貴様は一生、あの奈落の中で暮らしていろ。古代竜の末裔探しは、身共ひとりでやるから)

 

バルフートはそこで気付いた。ここまでの全ての姉からの仕打ちは、愛が故の行いだったのだと。姉は絶滅の道を辿る古代竜を、何とか繁栄させようと末裔を捜しに出ていった。だが弱い妹を連れていくことはせず、置き去りにし、パストと手を組んだのだろう。

だが…

 

グググ…

 

バルフートは尚も起き上がろうと藻掻く。いくら愛が有ろうと、姉の所業を看過することはできない。自分は目を奪われ、何度も殺されかけた。だからこそ…

 

(姉上…バルフートは…!)

 

立ち上がったバルフートに押し倒されたガルフートは転がって距離を取り、まだ力の残っていた妹を見上げる。

 

(…貴様!)

 

(バルフートは強くなった。それを、見てほしい)

 

そう、バルフートは文字通り立ち上がっていた。本来、ワニのように四足で体を支え移動するバルフートが2足で立ち上がり続けるのは骨格状無理がある。

ではどうやって?

 

パキ… ミシ…

 

バルフートは姿勢を維持するための骨格や筋肉を、体表に氷の鎧を身に纏うことで補強していた。さらに、手足は義手や義足のように氷で延長し、シルエットはより人型に近くなった。

 

ぐっ

 

そして、両手の拳を握って胸の前に置き、足を肩幅に開き、姿勢をやや低くする。その姿は、まるで武道を心得ているかのような構えを取っていた。

 

(なんのつもりじゃ愚妹が…!まさかまだ身共と戦うつもりか?そのふざけた姿はなんじゃあ!?まだこの姉である身共の…いう事が聞けんというのかァ!?)

 

バルフートも全身に電流を迸らせ、身体能力を高めるとその場から一気に飛び上がり、一直線にバルフートへ襲い掛かった。

 

『一歩前へ出てみろ。自然と腕が振り回せるはずだぜ』

 

頭の中にカカロットが言っていた言葉を思い起こし、バルフートは足を踏み出し前へ出る。そうすると前へ進んだ体に連動するように自然と腕も上がった。

こういうことか、と一瞬で体を使う戦いを理解したバルフートは、渾身の力で拳を突き出し、向かってきたガルフートの顔面を殴り飛ばした。

 

(ぶがあああッ!!)

 

ただのパンチ。しかしそれは、人間が何百万年かけての進化の末に到達した肉体の形状を、数千年かけてより強く、より早く繰り出すために試行錯誤と研鑽を重ねた技。

バルフートは、冷気を生み出す能力、放熱能力に次ぐ新しい武器となった己の拳を、今最も想いをぶつけたい相手へ向けて放った。

それを受けたガルフートは、今まで感じたことのない衝撃と共に吹っ飛ばされる。巨体が宙を舞い、地面を転がる。牙が折れ、口内が裂け血が溢れる。頭部の角が一本根元から折れて無くなっている。

 

がしっ

 

(姉上、まだやるか?)

 

ガルフートはバルフートに顎を掴まれ、無理やり持ち上げられた。息も絶え絶えながらも負けを認めたくないガルフートは、バチバチと電気を角に集める。

 

バギイィッ

 

その瞬間、バルフートはさらに一発、ガルフートを殴り飛ばした。

 

(まだやるか?)

 

バルフートの問いに、ガルフートは…不敵な笑みで返した。

すると、またしてもバルフートの拳がその顔面へめり込む。

 

(まだやるか?)

 

もう一発。

 

(まだやるか?)

 

もう一発。

 

(まだやるか?)

 

もう…

 

(ぶげほっ)

 

もう既にガルフートの角は全てがへし折れ、必死に電気を集めようとしているようだが折れている角では十分にそれが出来ず、電気は散っていってしまう。そして、最後に血を吐き出すとガクリと項垂れて動かなくなった。

 

(これでわかったか、姉上…もうバルフートは弱くない。どこへだって、姉上と一緒に行けるのだ。だから、目を返してもらう)

 

バルフートは、ガルフートの元あった両目の上にはめ込まれていた眼球を取り、自分の眼球があった穴の中に戻した。すると、眼球はバルフートの額に取り付けられているサードアイの力によってすぐさま再生し、瞼から何まで綺麗に元通りになった。

 

(これで…終わった…)

 

 

バルフートvsガルフートの戦い

 

バルフートの勝利

 

 




ドラゴンボールの新作アニメがいくつか発表されましたね。新しい設定を追加される前に、こっちのお話を書き切ってしまいたいところですが…
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