ブロリーを筆頭とした第7宇宙の選抜メンバーは、無の界というどの宇宙にも属さない、時間も空間さえも本当に何も存在しない異次元空間へと召喚された。
「なんじゃここは…」
驚くのも無理はない。力の大会の武舞台とは、今彼らが立っているこの立体物に他ならないからだ。
一本の超巨大かつ長大な石柱を軸に、独楽のような形状をした武舞台がゆっくりと回転している。広さは目見当で直径1キロ平方メートル、狭いとも広いとも感じられる。
よほど硬質な鋼材で造られているようで、踏んだだけでもよほどのことがない限り壊れないだろうとわかる。さらに周りを見てみれば、その独楽状の武舞台を囲うように観覧席が設けられており、かつさらにその向こうには全王が鎮座する玉座も見える。
「ここが大会ステージか…」
「こっから落ちたら負けってこと?ひや~」
カカロットとシロナは武舞台の下を覗き込んでそう言った。そこは何もない虚空が広がっており、落ちればどうなるのかすら分からない。
「アタシらは飛べるだろ。意識さえしてりゃ落ちねーよ」
とサザンカが言うが、そこへウイスが忠告する。
「いいえ…そうはいかないと思いますよ。恐らくここでは舞空術などによる飛行はできません。翼があったり飛行機能のある種族は別ですが…」
「ほんとだ…」
カカロットは空へ飛びあがろうとしてみるが、ウイスの言う通り飛べなかった。と思えば、他の宇宙の選手と思われる翼をもった人間が飛んでいるのが遠くに見えた。
「そして、公平さのために感じる重力も各々の惑星のものになるよう調整されているでしょうね」
「すごい技術だ。惑星M2でもそれは難しい…」
リルドが感心したように頷いた。
そうこうしている間に、続々と他宇宙の選手や神々が集まってくる。
「おお、アイツらは…」
第9宇宙のベルガモたち、第2宇宙のリブリアン、第3宇宙のパパロニたち、第4宇宙のガノス、ニンク。さらに第6宇宙のカリフラ、ケール、ヒット。
「お、オマエらも来てたのか!」
カリフラがサザンカに気付き、遠くから手を振ってきた。
「おう!今度も負けねえぞ!」
そう大声で返してやると、ヒットもサザンカに気付き、小さく不敵な笑みを浮かべた。
「…あれを見てくれ」
今度はハーツがシロナに耳打ちした。彼が指差す先には、恐らく第10宇宙と思しき神々と選手の一団が居た。破壊神らしき像頭と天使に界王神、そのほか選手が10名いるはずだが…
「あの人って…!」
その選手の団体から少し外れた位置に、しかめっ面のザマスが立っていた。
「どういうこと?もしかして選手なの?でも神様は出れないんじゃ…」
「ふむ…まあ、大会が始まってみればわかるさ」
そして、ハーツ、シロナ、サザンカが最も気になっている宇宙は…
「第11宇宙…」
彼らの視線の先に、ひときわ大きな存在感を放つ一団がいた。ピエロのような姿をした破壊神ベルモッドを筆頭に、赤と黒のボディスーツに身を包んだ集団。その中でもさらに並ならぬパワーを秘めているのは…
「ジレン…」
以前、究極ドラゴンボールを探す旅の中で第11宇宙へ行った際、遭遇したが逃走を余儀なくされた相手。遠目でもわかる、一切の無駄なく洗練された肉体と闘気。そんなジレンが、明確にこちらを睨んでいた。
「ジレン、どうした?」
そうジレンに声をかけたのは、同じく第11宇宙のプライドトルーパーズに属するトッポだった。
「…いや、何でもない」
「お前に敵対心を抱かせるとは。確かに、あの宇宙の人間は私を優に超えていたが…」
「黙れ、トッポ。第7宇宙の人間に後れを取った貴様と、オレは違う」
ジレンはピリピリした様子で、トッポに冷淡な発言をぶつけた。
「…そうか、すまなかった」
「お待たせいたしました。皆さん、お揃いですね」
その時、大神官が現れて声をかけた。
「では、選手以外の皆さんは観覧席へお願いいたします」
大神官に促され、破壊神、界王神、天使は観覧席へと移動していく。
「お前たち、絶対に負けるんじゃないぞ…負けたら破壊するからな!」
「ビルス様、負けたら消滅ですので破壊できませんよ」
「…とにかく頑張れってことだ!事前の打ち合わせ通りにやれよ!」
ビルスらもブロリーたちにそう声をかけ、観覧席へと向かっていった。その場に選手だけが残されると、大神官は再び口を開く。
「ここで出場選手の登録をいたします。各宇宙ごと、名前を呼んでいきます。
第2宇宙。リブリアン、カクンサ、ロージィ、ザーブト、ラバンラ、ジーミズ、ビカル、ザーロイン、プラン、ハーミラ選手」
シロナたちは、リブリアンとハチスが絡んだ激闘を繰り広げたことがある。
「第3宇宙。パパロニ、コイツカイ、パンチア、ボラレータ、マジ=カーヨ、カトペスラ、ニグリッシ、ザ・プリーチョ、ナリラーマ、ビアラ選手」
パパロニ達とは暴走究極六星球を倒すため共に戦った。
「第4宇宙。ガノス、ニンク、シャンツァ、キャウェイ、ダーコリ、ショウサ、モンナ、マジョラ、ダモン、ガミサラス選手」
ガノス、ニンクとは暴走するアニス姫の騒動で知り合った。
「第6宇宙。ヒット、カリフラ、ケール、キャベ、マゲッタ、ボタモ、サオネル、ピリナ、フロスト、Dr.ロタ選手」
カリフラとは戦いを通じて友情を深め、ヒットとも死闘を演じた。他にも、ナメック星人と思しき選手や、フリーザやクウラとそっくりな選手の姿も見える。
「第7宇宙。ブロリー、ハーツ、シロナ、サザンカ、カカロット、ベジータ、リルド、クウラ、グラノラ、メルス選手」
今度はブロリーたちが他宇宙からの注目を集めた。シロナたちが彼らを知っているのと同じように、彼らもまたこちらを知っているのだ。
「第9宇宙。ベルガモ、ラベンダ、バジル、ヒソップ、オレガノ、チャッピル、ホップ、ソレル、ローゼル、コンフリー選手」
ベルガモを筆頭とするトリオ・デ・デンジャーズとはひょんなことから出会い、共にヒソップらと戦った。
「第10宇宙。ムリチム、リリベウ、ジラセン、ナパパ、ルバルト、オブニ、ジウム、アルコイル、マガオー、ザマス選手」
この宇宙の選手は大柄な肉体と筋肉を持つパワータイプが多い。その中でも、マガオーと呼ばれた選手はひと際大きく、他の選手の3倍近くもデカい。何より、選手にザマスが混じっていることが気になる。
「第11宇宙。カーセラル、トッポ、ジレン、ディスポ、クンシー、タッパー、ゾイレー、ココット、ケットル、ブーオン選手」
そして…第11宇宙はこの宇宙における銀河パトロールのような治安維持部隊であるプライドトルーパーズから選りすぐりの隊員を10人選抜してきた。その中でもずば抜けた潜在能力を見せつけているジレンは、正に今大会最強の選手と言っても過言ではないだろう。
「以上の選手が力の大会で鎬を削って頂くこととなります。では、ここで全王様よりお言葉を頂戴いたします。全王様、どうぞ」
そして、全王が玉座ごと降臨し、集っている選手たちをひとりひとり見渡した。
「みんな、すごく強そうで面白そう!持てる力を出し切って、全身全霊で戦ってほしいのね。その先には何でも願いを叶えられる超ドラゴンボールがあるのね、これは勝者にしか与えられない美酒。それをどう味わうかは君たち次第」
すると、頭上に何か巨大な物体が現れ、影を落とす。
「なんだあれは…!」
「デケェ!!」
「…ドラゴンボール?あれが…?」
そこには惑星と同程度に巨大なドラゴンボールが7つ、浮かんでいた。地球よりも大きなサイズ感で、星をそのまま加工したかのようだ。
カカロットも、自分が知るどのドラゴンボールにも当てはまらない規格外さに圧倒されるほかなかった。
「これが最優秀選手に与えられる超ドラゴンボールです。嘘偽りは一切なしに、どんな願いでもかなえることが出来ます。
そして、私から大会のルールを改めてご説明いたします。制限時間は100タック、武舞台中央の石柱が時間経過と共に下がっていき、床と同じ高さになったら終了。その時に一番選手が多く残っている選手の宇宙が優勝です。術や魔法以外の武器や道具の使用を禁止、また死亡させてもいけません。とにかくステージから対戦相手を落としてください。落ちてしまった選手は自動で観覧席へと移動されますのでご心配なく」
大神官がルールを説明した後、全王がさらに言葉をかける。
「そして今日、『人間』という言葉は新しい意味を持つ。何故なら、今まで宇宙という名の泡によって隔てられていた君たちが一堂に会し、生存の権利を懸けて戦うからだ。そして、この試練を乗り越えた宇宙は史上最も偉大な宇宙として記憶されるだろう。
さぁ、存分に暴れるのね」
それを聞いていたシロナは、隣にいたハーツの顔がどんどん険しくなっていくのに気付いた。
「はぁ?」
そして、怒りを滲ませた小さな低い声でそう呟いた。シロナは恐る恐るハーツの顔を横目で覗くと、その表情は今までのハーツの飄々とした様子からは考えられないほどの形相だった。
目を離すことも出来ず、シロナはそのまま冷や汗を垂らす。すると見られていたことに気付いたハーツがシロナに振り向き、今までの怒りはどこへやらといった様子の笑みを浮かべた。
「では、力の大会…スタートです」
そしてこの瞬間、力の大会が始まった。
各宇宙の選手は一斉に飛び出し、他の宇宙の戦士へ襲い掛かり、また応戦する。武舞台の至る場所で爆発や衝撃波が巻き起こり、目まぐるしく入れ代わり立ち代わりの乱闘が勃発する。
「よし、いくぜ!」
サザンカの気合の掛け声とともに第7宇宙の精鋭も動き出す。シロナ、サザンカ、ハーツは一気に駆け出し、途中に立ちはだかる選手を弾き飛ばしてある人物の元へ即行で向かう。
「…来たか」
3人の行き先にいた者は、あのジレン。既に散っていた第11宇宙の他選手たちの間を縫って、シロナが跳躍し、頭上からジレンへと迫る。
以前は逃走を余儀なくされたジレンであるが、モロとの戦いを経たシロナたちはその時の応用でリベンジに臨む。ジレンもまた、己の深層を看破し掘り返したうえで逃げ果せたハーツたちを今度こそ完膚なきまでに打ち倒そうとしている。
両者の利害が、一致した。
しかし、ジレンに関しては、その出鼻を挫かれる事となる。シロナは既にファントムへ変身しており、さらに変幻自在性を縛ることで戦闘力を向上させる「侘」も使用している。
シロナは親指を内側に仕舞ったまま合掌する「伯掌印」を作り、結界を展開し領域を形作る。それはジレンを閉じ込め、取り囲う。
「…!!」
ジレンが困惑するのも無理はない。いつの間にか周囲は異様な光景を見せる空間へと変貌しており、外界の様子が全五感で一切感じ取れず、かつアウェーに放り込まれたような疎外感を与えられた。
中心に陣取るシロナの背後には博麗神社が聳え、頭上に建つ鳥居は動物の脊椎が組み合わさって出来ているよう。
(なんだこれは)
突如展開された結界。その中で、美しく残酷な幻想の脅威がジレンに襲い掛かろうとしていた…!
もろに領域展開もどきですね。
第10宇宙の選手は3名ほど原作とは違う人物になっています。