もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第55話 「聖輦船特攻!ガロミの陣を破れ!」

後戸の国で、隠岐奈による潜在能力開放の儀式を受けているカカロット。

 

「おいそろそろか?」

 

「まだだ、後30分は我慢しろ」

 

(なんか尻がムズムズしてきたな…)

 

(ふふふ、良い調子だ)

 

隠岐奈はカカロットが座りながら尻をかこうとしてるのを見て、にやりと笑った。

 

 

 

 

 

「今からたぶんこの船がドカンと加速する!月夜見王ってヤツのところへ行きたいんだろ、だったらソイツがいる場所へ真っすぐに進路を合わせてくれ!」

 

魔理沙にそう言われた永琳は、遠くにあるであろう月夜見王の乗る旗艦の位置を探り、船の進路をそこへ合わせた。まだまだはるか向こうにあるが…。

 

「一体何をするつもりなの?」

 

「説明は後だ、加速したら装填してある大砲を滅茶苦茶に撃ちまくってくれ」

 

魔理沙はそう伝えると、今度は甲板上から聖輦船の船尾の部分にまで移動した。そしてポケットから、魔理沙自慢の武器であるミニ八卦炉を取り出し、上手い具合に船尾の先端部分に取り付けた。

ミニ八卦炉を起動させ、魔力を送り込む。わずかに発光すると、中央に空いている穴からか細い光の筋が見えた。

 

「よっしゃ、放て!『マスタースパーク』だ!!」

 

そう叫ぶと、それに反応したミニ八卦炉から伸びていた光が一気に巨大になった。極太の光線、マスタースパークはまるでジェットの炎のように船の後ろから噴き出す。

 

「おお?」

 

船に乗っていた者は、ガクンと船が勝手に前に進み出したのを感じた。そのままだんだんと速度が上がっていく。

 

「いけ、最大火力だ!!」

 

さらにマスタースパークは太く大きくなり、その威力を高めていく。

それに合わせて進んでいた聖輦船はグンと加速し、とんでもないスピードで真っすぐ前進していく。そう、最大火力で放ったマスタースパークで得た爆発的な推進力により、圧倒的な運動エネルギーでの飛行を促しているのだ!

 

「なるほど、これはすごいわね」

 

永琳から絶賛の声が漏れた。

魔理沙は転がるようにして甲板上から何とかして内部に入り込み、振り落とされるのを防ぐ。

 

「よし、ここから私の本領見せちゃうよ!聖輦船、回転しながら無茶苦茶に大砲を撃て!!」

 

「ちょ、アナタいきなりそれは…!」

 

村紗の操縦に従い、聖輦船はドリルのように回転しながら四方八方へ砲弾を放ちながら、そのままの勢いを保ったまま前進を続ける。

放たれた砲弾は前方や両側から迫っていた戦艦に命中し、大破させていく。一輪と雲山が猛スピードで詰めた砲弾は、敵の包囲網を突破するのにかなり役立った。進行方向に居る戦艦は真っすぐに向かってくる聖輦船をおそれ、それを避ける。しかし、その避けた先は砲弾の射程範囲内…。

 

「オラオラ、聖輦船のお通りよ!!」

 

 

 

 

そのころ、霊夢は月夜見王の乗る旗艦のすぐ近くへとたどり着いていた。しかし、襲い来る兵士や艦隊をかいくぐりここまで来たはいいものの、旗艦を取り囲う「ガロミの陣」のスキのなさに頭を悩ませている。

 

「うーん、困ったわ…戦艦がまるでジグゾーパズルみたいにかみ合いながら壁を形成してる…これを砕くのは難しそうね。まだ無事な武器の中に、何か破壊力のあるものがあればいいけど…」

 

霊夢はかなり軽くなってしまった袋を開いた。月の客と闘いながらここまでたどり着くのに、武器のほとんどを消耗してしまった。妖怪たちが命を懸けて、さんざん使った後の武器だ…どれもそう長くはもたなかった。

 

「あった!いいものがあるわ!『幽香の日傘』!!」

 

霊夢が取り出したのは、風見幽香が使用していたピンク色の日傘だった。その切っ先をガロミの陣の壁へと向け、霊力を込める。

 

「波ッ!!」

 

直後、日傘の先端から大気を揺るがすかのような極太の光線が放たれた。

光線は一直線にガロミの陣へ向かい、やがて衝突した。

 

ドパァン…

 

陣の内部にまでその衝撃は届き、月夜見王の乗る戦艦の壁を揺らした。

 

「何事だ?」

 

「新たな賊がガロミの陣に攻撃を加えたようです」

 

「ふん、やらせておけ。どうせ我が陣を破壊することなど不可能。陣から兵士共を透過させ排除させよ」

 

月夜見王はそう指令を出した。

さらに霊夢は何発も光線を放ち、ガロミの陣に攻撃を加える。4発目を直撃させると、陣を形成している戦艦と戦艦のつなぎ目が広がり、欠け始めているのに気が付いた。

 

「よし、こうなったら次は『非想の剣』で!」

 

次に霊夢が振りかざしたのは、比那名居天子が使っていた非想の剣であった。炎でできたようにも見えるこの剣は突けば必ず弱点に当てることができるという代物だ。

 

「つまり今この剣を突き立てれば、自然と脆くなった部分を集中して攻撃できるって訳!」

 

霊夢は剣を陣の破損した箇所に突き刺した。するとうまい具合に戦艦同士のつなぎ目を抉り、その破損個所をさらに広げていく。

 

「もう一度…。…!?」

 

その時、背後から感じた気配に振り返る。咄嗟に周囲に防御壁を貼り、向かって来た大きな弾丸を防いだ。小さな爆発が起こり、霊夢の視界を黒い煙が覆った。

 

「やっぱりそう簡単に壊させちゃくれないようね…」

 

霊夢の両サイドから月の客軍が迫る。

 

「覚悟しろ!この最新戦闘機に乗る我々が、今までの武装兵と同じと思うな!」

 

しかしよく見るとそれは普通の兵士ではなく、銀色の魚のようにも見える形状の何かであった。それが無数で、恐らく中に兵士が何人かで搭乗しており、肩から伸びる突起物を射出している。

 

「めんどくさいわね!だったら、『毘沙門天の宝塔』!」

 

霊夢が頭上にかかげた、寅丸星が持っていた毘沙門天の宝塔から、無数のレーザーが周囲の全方向へ放たれた。それは飛んでくるミサイルを的確に狙って撃墜し、かつ敵の戦闘機を撃ち抜いていく。

 

「うわあ~~~!!」

 

「あれ…?」

 

しかし、宝塔は一度レーザーを放つとそれ以降はうんともすんとも言わなくなってしまう。この宝塔も、元から限界が近づいていたのだ。

 

「敵はまだ残ってる…万事休すかも」

 

ゴゴゴ…

 

その時だった。どこからか風を切るような音が聞こえてくる。戦闘機に乗った兵士も辺りを見渡して確認し、遠くを目視する。

 

「な、なんだあれは!?」

 

何か大きなものが流星のような尾を引きながらこちらへ猛スピードで迫ってきている。それは霊夢らが見ている前で瞬時に接近し、いかに猛烈な勢いで飛んでいるのかがわかる。

避けようとする兵士だったが、あまりの速度に反応できず、激突されて弾き飛ばされてしまう。強引に兵士の波を突破しながら、その物体は霊夢の真横を通り過ぎた。

 

「あれは…宝船?そして後ろから出てたのは…マスタースパークかしら?ってことは…!」

 

 

 

 

「見えたわ、あれが月夜見王の戦艦を守っている陣よ!」

 

永琳がそう叫んだ。

目の前には銀色の球状の陣が現れた。

 

「そのまま突っ込め!!」

 

永琳は立ち上がって甲板上へ移動し、作り出した光の弓矢を構える。それを思いきり引いて放つと、弓矢は陣に突き刺さり、その箇所にひびが入る。

 

「ぶつかるぞ、伏せてろ!」

 

輝夜や魔理沙たちはその場で隠れるように伏せる。聖輦船はガロミの陣のひびが入った部分に激突し…厚い鉄壁の陣を打ち砕いた!!

その時の衝撃で今度は聖輦船はブーメランのように横にグルグルと回転し、それでもなお勢いは失われずに月夜見王の戦艦まで向かって行き、その船体に衝突しめり込んだ。

 

ドゴォオオ…ン

 

パラパラと崩れた破片が下に落ち、ガロミの陣は崩壊する。月夜見の戦艦には聖輦船の前半分が突き刺さっており、何とか月夜見の元までたどり着けたようだ。

 

「いてて…」

 

よろよろと起き上がる魔理沙。頭でもぶつけたのか、血が顔を染めてはいるが命に別状は無さそうだ。他の輝夜や一輪も起き上がり、前に映る戦艦の内部を見た。

 

「全員無事なようだな…」

 

永琳は船の帆先でじっと立ち尽くしている。

 

「この奥に月夜見王が…」

 

そして拳を握りしめ、一歩踏み出す。

 

 

 

 

 

 

その頃、後戸の国。

 

「さぁ残る時間は既に1分を切った。まだだぞ、あせるな…動くなよ…」

 

潜在能力開放の儀式も終わりの終わりに近づいていた。隠岐奈は最後に片腕を上にあげ、それをゆっくりと下へ降ろしていく。隣の二童子も踊りもゆるやかになる。

 

「9、8、7、6、5、4…」

 

隠岐奈のカウントがカカロットの耳に入る。

 

「3!2!…1!終わりだ!」

 

カカロットへ向けた腕から、不思議なパワーを一気に送り込む。

 

「…うおおおおおおお!!?」

 

カカロットの周囲から柱状に燃えるような気の渦が発生する。紫色の巨大なオーラが彼を包み、やがて少しずつそれが落ち着いていく。

 

「…これが俺なのか?」

 

カカロットは自身の体にみなぎるオーラを感じて、信じられないとばかりに手を見つめた。

果たして、そのカカロットの実力は…!?

 

 

 

 

 




60話までに月編は終わる予定だったのですがまだかかりそうですね…
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