もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第552話 「残機」

第10宇宙の巨大選手、マガオー。その圧倒的すぎる気迫を前に、カカロットは臨戦態勢に入った。

 

「いいぜ、相手になってやるよ。俺はカカロット、お前は?」

 

「マガオー。第10宇宙のルルイエ星出身だ」

 

「そうかい。でもお前、俺になら勝てると思って挑んでるんじゃねぇだろうな?」

 

「そう思うか?我は一番熱く、激しく、血沸き肉躍るような試合ができる戦士と戦いに来たのだ。お主こそナメるでないぞ、我がそのような面白みのない戦士に見えるか?」

 

「…悪かったな」

 

カカロットがそう言うと、マガオーは拳を振り上げ、一気に叩き下ろす。カカロットが咄嗟に横へ飛んで回避し、そのまま回り込むようにサイドへ移動、くるぶしへ強烈なローキックを繰り出す。

だがマガオーも片足をヒョイと挙げて躱し、一瞬にして10発以上の踏みつけを仕掛けた。

 

ガガガガガ…

 

だがカカロットもそれを躱し続け、最後の一発を頭の上で受け止める。そのままマガオーは体重をかけて強く足を押し付けるが、カカロットは…

 

「はあああああッ!!」

 

気合の叫びと共に、身に纏う黄金のオーラを一層高める。溢れていたオーラはさらに鋭く噴き出し、バチバチとスパークが散る。髪もまた細かく逆立つようになり、より洗練された印象を纏う。

 

「面白い…まだ変身するのか」

 

マガオーは口元が見えないがゆえに笑みを浮かべているのかは分からないが、口調は楽し気だった。

 

「まだこんなもんじゃねぇぞ」

 

そして、カカロットは足の筋肉が隆起するほどに力を込め、マガオーの足を掴んだまま一気に跳躍。バランスを崩したマガオーは後ろへよろめいた。

そのまま全身にオーラを纏い急落下し、マガオーの鳩尾へストンピングを叩きこみ押し倒すカカロット。

 

「うご…!」

 

さらに、胸部、腹部へ拳の連打を何発も浴びせる。そのたびに凄まじい衝撃がマガオーの身体に突き刺さった。

苦しそうに喘ぐマガオーだが、その真紅の目がギロリとカカロットを睨む。次の瞬間、カカロットは衝撃波によって吹き飛ばされていた。

 

(なんだ!?)

 

空中でマガオーを見ると、彼は口元で折り畳んでいた蛸足の触手を展開し、その下に隠されていた牙を剥きだした小さな口を露わにしていた。口元からは僅かに煙が上がっており、おそらくはそこから衝撃波を放ったのだろう。

マガオーは立ち上がりながらさらに衝撃波を連発し、カカロットを追い立てる。

 

「そのデカい身体じゃ、接近戦じゃ不利だと思っただろ?」

 

だが、カカロットは衝撃波をかいくぐり、跳躍するとマガオーの触手を掴み、引っ張りながら顔面を殴りつけた。

 

(『接近戦』という言葉を使って意識させて我の衝撃波をやめさせ、その隙に顔を狙ってきたな…)

「いいぞ」

 

「武術で言う『虚実』ってやつだ」

 

直接の攻防以外、つまり試合前や試合中の言葉のやり取りや行動によって相手の動きを誘導する戦術。カカロットは多様こそしないものの、その虚実のやり方を得意としていた。

カカロットはさらに回し蹴りを繰り出すが…

 

「…!」

 

身体を捻るために目を離したほんの一瞬の間に、マガオーは消えていた。気配を感じ振り返ると、少し離れた場所で佇む巨体があった。

 

「速ぇな」

 

「…やはり強いな、カカロット殿、流石だ。そこで知りたい。お主は最初から強かったのか?それとも強く成ったのか?」

 

「…あぁ?」

 

「弱さを知らずにどうやって他人と関わる。どうやって慈しむ。この現代において我にはできなかった…何もかもが、我の生きていた時代とは違いすぎた」

 

「するってぇと、お前は…」

 

「我は200万年前に死んだ豪傑の英雄マガオー、そのクローンである」

 

 

 


 

 

我が目を覚ました時、そこは見知らぬ土地だった。

過去に実在した英雄、マガオーの復活を目論む科学者とやらがマガオーの遺体を掘り起こし、細胞からクローンを作り上げた。それが我だった。本物のマガオーは未だにあの世にいるだろう。

 

「居場所が欲しい」

 

我はいの一番にそう申し出た。科学者にクローン製造を依頼した実業家は、すぐに我に仕事を与えた。

 

それは「金を取り、かの有名な過去の偉人マガオーと戦える」という催しだった。我の名は死後に銀河の至るところまで響き渡っていたようで、別の星からも何十人もの腕自慢が集った。

 

(この時代の人間はなんとも小さくなったのだな)

 

我と同じ種族と思われる人間でさえ、そのサイズはかなり縮小し、他の星の人間も大体同じ大きさだった。時代には時代に見合った体となることは生き物の常識であり、その価値は大きさに縛られないことは我もよく知っていた。

 

我は数多の戦士を手ずから相手にした。マガオーという最高級ブランドに食い付かぬ戦士はおらず、名誉のため、賞金のため、自分の腕試しと挑んでくる理由は様々だった。

生前の戦争では血みどろになりながら何千人という戦士を葬ってきたが、この時代ではそうもいかん。もはや戦いは娯楽となっていたからだ。しかし我も戦いは好きだが不殺を貫くことも可能、あくまで試合を行い続けた。

 

だが月日が経てばブランドの価値も落ちる。物珍しさも次第に薄れ、挑む客も減ってきた。雇用主の要望によって適度に負けることも覚えた…だが争いや戦いに関心を持たない現代の人間には、合わない刺激だったのだろう。

 

続いて雇用主が考え付いたのは、我を使ったガス抜き計画だった。

現代では戦争が当たり前ではないとはいえ、日常で刺激やストレス発散を求める人間は少なくない。我はそういう人間のために、その捌け口となるよう命ぜられた。

 

やり返すことは認められず、ただ決められた場所に立ち続け、あらゆる暴力と仕打ちに耐えるだけ。気の済むまで殴られ蹴られ、食物や飲料を投げつけられ、体に落書きされ、汚水をぶちまけられる。心無い言葉と共に嘲笑まで向けられたが、我は気にしなかった。この程度の汚れや仕打ち、生前で幾らでも経験していたからだ。

我にとってはそれよりも、居場所を失うことの方が恐ろしかった。

 

過去の英雄。それも、誰が何をしてもやり返さず、文句も言わず、決して倒れない。暇と悪意を持て余す現代の人間にとって、絶好の玩具であった。

英雄マガオーは1年と経たないうちに、哀れで愚かなピエロとなった。

 

 

『なんであのマガオーがこんなことしてるの?』

 

『こんなことをしてまで金が欲しいのかね』

 

『失望した。こんな英雄見たくない』

 

 

「ご先祖様、大丈夫ですか」

 

「おお、主は確か…」

 

「メチオープです」

 

「そう、メチオープだ。大丈夫とは何か?我は傷ついたわけでもなければ疲れたわけでもない。何を心配しておる」

 

「…今は耐えてください。いつか、本当の居場所が見つかる時が来ます」

 

「…そうかな」

 

このルルイエ星では、我の死後環境が激変した影響で生物は全体的に小型化(普通の人間並み)する進化を遂げたようだ。我は今では巨人と称されるが生前は小柄な方であった。このメチオープという戦士は同じ雇い主の元で働くファイターであり、同族として距離が近かった。

 

だがそれでも、久しぶりに我に試合を挑みたいという者がいた。名のある武道家のようだが、民衆の玩具と化した我を見て落魄れたと散々暴言を吐いてから挑んできた。

しかし、我には勝てなかった。1年近くもただ弄ばれ続けた我が、その間鍛錬を重ねた武道家を容易く打ちのめしてしまった。

 

「ハァ…ハァ…!ぐっ…殺せ…!」

 

武道家は民衆の哀れな玩具となった我に歯が立たず負けたことがよほど屈辱であったのか、殺しを懇願してきた。

当然、我は殺さない。このまま試合を終わりにしようとしたが…

 

「殺せ!」

 

「終わりにしちまえよ!」

 

「殺すところを見せてくれ!」

 

もはや我に対して増長しきっていた観客が、殺せと野次を投げ始めた。その声は止まず、我の頭に響き続けた。

視界の隅でメチオープが首を振っているのが見えた。だが、我はこれまでの扱いに対する怒りがこの時になって初めて込み上げ、衝動のままにその武道家を殺害した。

 

 


 

 

 

「弱い人間は辛抱が足りない。すぐに自暴自棄になる。我は追ってくる警察や軍を蹂躙し壊滅させ、逃亡の身となった」

 

マガオーは拳を振り下ろし、カカロットを狙う。飛んで避けるカカロットだが、放たれた衝撃波に直撃し、吹っ飛ばされる。

 

「だがそんな折、我は界王ザマス様に助けられた。だからザマス様のために力の大会参加に応じたのだ!」

 

先ほどまでよりも急激にスピードとパワーを増したマガオーはカカロットの身体をアッパーで打ち上げる。高く打ち上げられたカカロットは口から血を吐きながら力なく宙を舞う。

 

「教えてくれ、強き者よ。強さとは孤独なのか?強さは罪なのか、だとしたらこの現代で居場所がないことは我への罰なのか?」

 

「…贅沢者だな」

 

カカロットは落下しながらそう呟く。その言葉を聞いたマガオーは困惑し、首をかしげる。

 

「教えてやる。来い、亡霊」

 

カカロットがまだ闘る気満々であると悟るや否や、マガオーは口元の触手を展開し、笑みを浮かべながら巨体に見合わぬ超スピードでカカロットに迫り、腕を振り下ろす。

 

ドッ

 

カカロットは両手でそれを受け止めながら地面へ着地し、降り注ぐ衝撃波を避け続ける。

 

「はあああああ…!」

 

そして次の瞬間、カカロットの更なるサイヤパワーが引き出される。オーラと共に散っていたスパークはさらに大きく球となって弾け、巨大化したオーラに連動するように逆立った金髪がボリュームを増す。その荒らしい闘気を体現するかのように、カカロットの顔が恐ろしく変化した。

 

「いくぜ!」

 

よりパワーアップしたカカロットは衝撃波を殴って打ち返し、その影に隠れてマガオーへ急接近し顔面を蹴りつけた。

 

「ぶぐ…!」

 

さらに頬へ何発も拳を叩きこみ、最後に気弾をぶつけて吹っ飛ばす。後ろへよろめいたマガオーは反撃に出ようとするが、胸へ気弾を喰らって押し留められる。

 

「ぬうううう!!」

 

しかし、マガオーもさらに力を込めると、一気に水平方向へ跳躍し、カカロットの身体を手で掴んだ。

その瞬間、カカロットは違和感に気付いた。

 

(そうか…今気づいた。なんでコイツの動きがたびたび変わるのか…)

 

今まで気にもしなかったが、よくよく周囲に耳をすませば、“音”が聞こえてくる。それは、聞く者を鼓舞するような激しい曲調の音楽だった。

 

 

第10宇宙の選手のひとり、アルコイル。彼が持つ特殊能力、魔力で仮想の楽器を生成し、演奏できる。その演奏はあらかじめマーキングした人物に対してのみ、身体能力を向上させる効果を与える。さらに、奏でる音楽の種類によって、スピードを高めたりパワーを高めたり、その両方、あるいは体力回復など様々な恩恵を与えることが出来る。

マガオーは武舞台のどこかで演奏を重ねているアルコイルの能力によって、その動きのパターンを変えていた。しかもその強化された動きは永続で積み重なっていき、時間がたつほど第10宇宙の選手は強くなり続ける。

 

 

「強き者よ、カカロット殿よ!もうお主の力は終わりかね!?」

 

マガオーは両手でカカロットを閉じ込め、ギリギリと握りしめて圧をかける。超サイヤ人3となったカカロットでさえ、マガオーの馬鹿力と巨体から脱することはできなかった。

 

「終わら…ねぇだろ…!何のために、俺が蘇ったと思ってんだ?」

 

その言葉に、マガオーは反応を示し一瞬力が緩んだ。その隙を逃さず、カカロットは更なる変身を魅せる。

 

「お、おお…!!」

 

自分の両手の隙間からあふれ出る黄金の闘気と、荒々しい獣のような迫力。マガオーは驚きや賛美、そして若干の恐れの混ざった感嘆の声を漏らした。

次の瞬間、マガオーの手は強引に開かれ、その時の衝撃によって後方へ弾き飛ばされる。

 

「素晴らしい…これ以上ない程に、楽しめそうだ!」

 

マガオーの目に映るのは、極上の一品。勝利の美酒と共にかっ食らうべき、肉の盛り合わせを目の前にしたかのように胸が躍る。過去に戦ったあらゆる敵が天秤の重りとして軽すぎるほどの重厚な迫力。

 

超サイヤ人4となったカカロットがそこにいたのだ。

 

 

 

「父ちゃん…!」

 

思わずシロナは声を漏らす。あれは超サイヤ人4…でもサザンカのものとは異なっている。体は赤く、髪は黒いサザンカに対し、カカロットは体も髪も赤い。それに、前腕が力強く肥大している。

 

 

 

「大魔界じゃ霊夢やウスターほど活躍できなかったからな…サザンカのようにゃいかねえが、ちっとは寄ってるだろ?」

 

───共に、人生の口直しを。




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キヨヒロ

人間の里に住んでいた少年。父親が、人造人間ハーレクインの殺しの現場を目撃してしまい、その犯人と疑われ逮捕される。父親も拘留中にハーレクインに殺され、母親は精神を病み自殺し、キヨヒロも寺子屋でいじめを受け、転落人生を歩むこととなる。

幻想郷でのフリーザ軍との決戦の後、道路工事に携わっていたキヨヒロは地中から謎の生命体を発見し、寄生される。それはフリーザ軍が保有していた宇宙生物の一匹であったが、キヨヒロの壮大な野心と精神力に敗北し、彼に従属することになる。
キヨヒロはこの寄生生物「ケミカル・ロマンス」と名付け、麻薬物質の結晶を生成する能力を使って自分を苦しめた全ての存在への復讐を決意する。

キヨヒロは能力を使い、自分をいじめたかつての同級生全員を殺害し、今度は教師でありながら何も気づかず何もしなかった上白沢慧音をターゲットに動き出す。が、シロナに見つかり倒された。

それから父を殺した真犯人ハーレクインの存在を知り、妥当するため長く厳しい修行に耐え、人間としては桁外れの戦闘力を手にする。そしてレイムの手下となったハーレクインを撃破し、幻想郷を救うとともにようやく家族の元へと帰るのだった。





カカロットの超サイヤ人4はDAIMA版のやつです。
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