もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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現時点の生き残り選手

第2宇宙
リブリアン

第3宇宙
パパロニ、コイツカイ、パンチア、ボラレータ

第4宇宙
ガノス、ニンク

第6宇宙
ヒット、カリフラ、ケール、キャベ、フロスト、サオネル、ピリナ

第7宇宙
サザンカ、ハーツ、ブロリー、メルス、カカロット、ベジータ、クウラ

第10宇宙
ザマス、オブニ

第11宇宙
トッポ、ジレン、ココット、クンシー


第556話 「ギリギリchop」

今のカカロットは3人分の力を身に纏う。超サイヤ人4となったカカロット自身のサイヤパワーは健在で、霊夢の霊力、ウスターの魔力を併せ持つ。戦闘力すらも3人分となり、その力でサオネルとピリナに抗戦を仕掛ける。

 

ドンッ

 

ふたりの眼前へ躍り出るカカロット。急激に増したスピードにより完全に不意を突いていたが、カカロットは一瞬で姿を消した。

サオネルは咄嗟に背後へ向けて拳を放つと、そこにいたカカロットがそれを受け止める。そして、そのままサオネルを背負い投げで床へ叩きつけた。

さらに追撃を繰り出そうとするが、ピリナがこちらへ狙いを定めてエネルギー弾を放とうとしていることに気付いて咄嗟に宙へ飛びあがる。そこを狙っていたかのようにサオネルもジャンプし、カカロットに殴りかかる。ふたりは捲れた武舞台の瓦礫を蹴りながら激しい攻防戦を繰り広げ、至る所で物体同士がぶつかり合う音が響く。

 

「はああっ!」

 

そこへピリナも加わるが、尚もカカロットはふたり相手に互角に立ち回り続ける。その戦いぶりと順応ぶりには、ふたりがかりで戦っているはずのサオネルらがさらに多人数と戦っているのかと思うほどだった。

 

(なんだこの者の動きは…!)

 

(背中に目でもついてるのかと思えばまるで3人分の手数を出してくる…!ひとりのはずなのに、3人と戦っているような気分だ)

 

カカロットは霊夢とウスターの力を駆使し、急激な攻撃方向の転換や、攻撃する際の気の出力を上下させサオネルらを惑わせる。そして顔面へウスターのように蹴り技を叩きこんだり、霊夢のように霊力を駆使した遠距離攻撃も織り交ぜている。

それを脅威と感じ取ったサオネルが、捨て身でカカロットにしがみついた。当然カカロットはサオネルを引き剥がし投げ飛ばすが、自身に巻き付いたその腕が伸縮し、サオネルはさらに腕を伸ばし巻き付けて拘束して見せた。

 

「くっ…!」

 

「ピリナ!私ごとやれ!!」

 

「おう!」

 

カカロットはサオネルの腕によって空中で動けなくなった状態で、ピリナが両手をこちらへ向けながらエネルギー波の一撃を放とうとエネルギーを込め始める。

 

「ベジータ!構うことはねぇ、俺ごとやっちまえ!!」

 

 

「オレに指図…するな…!!」

 

その戦いを見ながら、ベジータは複雑な心境を巡らせていた。

 

(何故あんな下級戦士如きがここまでやれる?このオレと対等に並び立てる?)

 

ベジータは元々サイヤ人の王子として生まれ、そして幼少の時点ですでに父の戦闘力を上回り、最強のサイヤ人の座に君臨していた。しかし、実際には当時のベジータよりも強い宇宙人がゴロゴロいて、サイヤ人が宇宙最強とは言えない状態であった。それでもサイヤ人が宇宙最強だと信じていたのは、父の教えによるものだったのだろう。

 

そして、ナッパと共に地球へ襲来しピッコロ大魔王と激突した。ベジータはナッパはともかくまず自分が負けることは無いだろう、どんな虎の子がいようが自分がいれば容易く安全に蹂躙できると高を括っていた。だが結果はピッコロとほとんど互角、パワーボールと大猿という切り札まで出したにもかかわらず敗走を余儀なくされるという屈辱を味わった。サイヤ人以外の種族と実際に戦って勝てなかったのはこれが初めてであり、サイヤ人が宇宙最強であるという教えを証明できなかった。そもそもフリーザやその部下の強大な宇宙人とは戦うことすらしていなかったからだ。

 

ナメック星ではフリーザを出し抜くために暗躍したのだが、死亡した下級戦士だと思っていたターレスが自分よりも強くなって現れ、さらにあろうことかカカロットという別の下級戦士を気にかけ、当てにしている姿を見せ、あまつさえ自分が呆気なく死に、あの世でカカロットがフリーザを倒す様子を目撃してしまうという、ベジータの精神的支柱が大きく揺らぐ事となった。

サイヤ人こそ最強ということは証明できたが、それは自分が齎した結果ではないことに、ベジータは苛立ちを募らせずにはいられなかった。

 

そう、自分は勝たなければならない。サイヤ人が最強の戦闘種族であることは当然として、その頂点にいるのは自分でなければならない。そうあろうとするが故の焦りが、ベジータに異常な凶暴性や残虐性を与えてもいた。

 

だが、ここへ来てカカロットの戦う姿を見て思ったことがある。

 

(ヤツは自分が勝とうなどとは考えていない。全体を見て、オレに勝ちを取らせようとしている。頭にくるぜ…ヤツは決してオレを立てようとしているんじゃない、ただそれが一番効率的で有利となるからそうしてやがるんだ)

 

ベジータは両腕を広げ、それぞれの手の平に全力のエネルギーを充填する。周囲にスパークが迸り、ふたつの光球が空気を揺らすほどの力を秘めてゆく。

 

既にサイヤ人は紛うことなき最強。自分やカカロット以外にも、ブロリー、シロナ、サザンカを見ても間違いなくそう言える。これはベジータ自身が最強であったためではない。自分が与り知らぬところで、サイヤ人は最強と成っていた。

 

(面白い…!オレを差し置いて最強と成ったサイヤ人だと?ふん!ふざけやがって!成りたきゃ勝手に成りやがれ!ならばオレはオレのために、オレが納得できる最強になってやる!)

 

「『ファイナル…フラ───ッシュッッ』!!!」

 

ベジータの最大出力を込めた光の柱が伸びる。両手に作った光球が融合させ、爆発的に増加するエネルギーに指向性を持たせ一直線に放射する。

サオネルの腕もろともカカロットを吹き飛ばそうと、同じくエネルギー波を放とうと構えていたピリナは、向かってくるベジータのファイナルフラッシュを見ると、そのエネルギーを放つのを止めて防御に回して構える。

ファイナルフラッシュはカカロットすら飲み込まんとしていたが、カカロットは霊夢の力を最大開放し、赤い結界壁を生成しそれで一撃を防ぐ。

 

「な…!」

 

その壁はサオネルとピリナすら庇ってしまうが、それもカカロットの考えの内。ベジータの圧倒的出力に結界壁は一気に押されていき、それに閉じ込められているサオネルとピリナ、そしてカカロットの3名がまとめて武舞台の外へ向かって締め出されていく。

 

「おのれ!」

 

結界壁の外へ出て逃れようとするピリナだが、ここでカカロットはウスターの力を開放し、オーラで出来た巨大な手でピリナを鷲掴みにし拘束。武舞台端を掴もうと、さらに腕を伸ばすサオネルの手をもう片方のオーラの手で掴み、防ぐ。

 

「一緒に落ちようぜ」

 

「ぬああああああ!!」

 

サオネル、ピリナは完全に武舞台外へ放り出され、観覧席へワープする。そしてカカロットも続けて脱落範囲へと落ちていく。

 

「ちゃああああああ!!」

 

しかし、そこで同様に武舞台から飛び降りたのがベジータだった。

 

 

「アイツ、何やってる!お前まで落ちちまうぞ!」

 

その明らかな自殺行為を目にしたビルスも思わず声を荒げた。

 

 

ベジータは右腕を武舞台へ、左腕をカカロットへ向けると、同時に両腕から気を放った。それは剣のように鋭く長く練られており、左腕の剣は武舞台の端へ突き刺さり、右腕の剣はカカロットの脇腹を掠め、その胴着に突き刺さった。意図を察したカカロットはその剣を掴んだ。

 

「ふっ!」

 

そして右腕の剣を縮め、ベジータは武舞台上へ戻った。もちろんカカロットも同様だ。が、カカロットの超サイヤ人4への変身は既に解かれていた。

 

「はぁ…はぁ…!」

 

「た、助かったぜベジータ…」

 

「勘違いするな…オレはただ貴様をこの手で落としてやりたいだけだ」

 

そう言いながらよろよろと立ち上がるベジータ。しかしその時、どこからかまたしても近付いてくる気配が。

 

ブン…

 

明らかな敵意を持った攻撃の気配。カカロットはもちろんベジータも気を読んで攻撃を察知することができるのですぐに気づくことができた。

 

「…バレてるぜ!」

 

カカロットは振り返りながら、気配目がけて裏拳を繰り出す。しかし、その攻撃は空ぶった。

 

「え?」

 

ガガッ

 

と思った直後、カカロットの脇腹に強烈な攻撃の連打が命中した。既に変身するだけの力が切れたカカロットは成す術なく武舞台際へ追い立てられる。

 

「ぐおおおお…!」

 

それはベジータも同様だった。見えない攻撃に押され、どんどん追い詰められている。

その時、カカロットは気付いた。近くにいたのは第10宇宙のオブニという選手。彼は拳を構え、こちらへ襲い掛かってきた。

 

ガッ

 

しかし、ベジータへ向かって飛び掛かったにも関わらず、その攻撃は何故かカカロットへ命中した。

 

(まさかコイツ…体の動きと気の動きを別々に操ってやがるのか?)

 

それはカカロットも行う技の一種だが、このオブニの操る「気のフェイント」はカカロットの物とは精度も威力も全く違う。カカロットは相手に強く意識させてこそ不意を突けるのだが、オブニのそれは通常攻撃に織り交ぜて繰り出せるほど極められている。

 

(見切れ…ねぇ…!)

 

「悪く思わないでくれ。我々にも守るべき大切なものがあるのだ」

 

次の瞬間、オブニの猛攻に耐え切れなくなったカカロットとベジータは同時に武舞台外へ落とされた。

 

 

「第6宇宙、サオネル、ピリナ選手。第7宇宙、ベジータ、カカロット選手、脱落となりました」

 

モニターから4人のアイコンが消えた。

 

 

「クソ…!あんなところで!」

 

「見切れなかった…ここまでだったか…」

 

ベジータとカカロットが観覧席へと送られてきた。

 

「父ちゃん…」

 

「悪かったな…やっぱ俺じゃ最後まで活躍するのは難しかったな」

 

「ううん…まだ負けてないよ」

 

シロナはカカロットに声をかけ、大会の行く末を共に見守る。

 

 

 

一方、第7宇宙のメルスと立ち会うのは、第6宇宙の英雄フロスト。既に2度の変身を終え、最高戦闘力に達したフロストとメルスは互いに平行に歩きながら攻撃する隙を伺っていた。

 

「はっ!」

 

その膠着を破ったのはメルス。彼の放つ気弾が着弾し、爆発が起こる。だがフロストは爆炎から素早く飛び出すとメルスの背後へ回り、鋭い蹴りを放つ。

が、メルスもまたそれを腕で受け止め、両者は反発し反対方向へ飛び退いた。

 

「やりますね」

 

「貴方こそ」

 

短い言葉を交わした後、ふたりは再びぶつかり合う。小柄な体格を活かしトリッキーな動きと素早い身ごなしで立ち回るメルスだが、フロストもメルスと同様の戦法を取る。よって、この戦いは両者の実力がほとんど互角なのも相まってなかなか決定打が放たれずにいた。

 

「おかしいと思いませんか」

 

そんな中、フロストがメルスにそう言葉を投げた。

 

「何がですか」

 

「この大会の趣旨ですよ。他の宇宙を脱落させ、最後まで勝ち残った宇宙には消滅を免れるという権利が褒美として与えられる…。他者を蹴落としてまで得た生存の権利に価値などあるのでしょうか」

 

「…さあ、どうでしょうね」

 

「あるはずが無いですよ。勝った宇宙の何も知らない民は変わらず生活ができるでしょうが、大会に出場していた者たちは一生罪悪感に苛まれるはずです。ならばいっそ、この大会そのものを壊してしまえばどうでしょう。ここでの戦いで分かりました…貴方はこの私と同じ正義の名のもとに生きる人間だ。共に無辜の人間たちを救うために手を組みませんか?」

 

フロストはそう言いながらメルスに手を差し出した。

しかし、メルスはそれを一瞥した後、きっぱりと言った。

 

「お断りします。我々第7宇宙は、絶対に誰も悲しまない道を見出せると確信していますので」

 

「…そうですか。ではどんな敗け方をしても…恨まないでくださいね」

 

その時、フロストの気質が一変した。文字通り背筋を凍らせるような凍てつく殺気を前に、メルスは緊張を高めるのだった。

 

 




【現在公開可能な情報】

ベビー

ツフル王の細胞から作られた寄生生命体。誕生から惑星M2完成までの流れは概ね同じだが、本作ではGTの時系列よりもだいぶ早めに完成した。
ムッチーへ寄生し乗っ取りながらブロリーを狙い、そのサイヤ人の身体を奪おうとする。だが失敗に終わり、撃退されるともっと力を蓄えてから地球を襲撃しようと画策する。

十分に力をつけ完全体へと成長して地球へ降り立つが、そこでハーツと出会い、地獄で生まれるであろうジャネンバに寄生することを勧められる。その通りにジャネンバへ寄生しジャネンバベビーとなり、2度の形態変化を繰り返しながらサザンカと戦い追い詰めるもシロナの参入により形勢逆転され、最終的にはシロナの身体を支配しようと体内へ侵入するも、大小にかかわらず一切の精神攻撃が効かないシロナへの寄生に失敗し、体内に閉じ込められた挙句そのまま消滅させられた。
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