もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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現時点の生き残り選手

第2宇宙
リブリアン

第3宇宙
パパロニ、コイツカイ、パンチア、ボラレータ

第4宇宙
ガノス、ニンク

第6宇宙
ヒット、カリフラ、ケール、キャベ

第7宇宙
サザンカ、ハーツ、ブロリー、メルス、クウラ

第10宇宙
ザマス、オブニ

第11宇宙
トッポ、ジレン、ココット、クンシー


第557話 「アイオライト」

フロストは凍てつく殺気を纏いながらメルスに迫る。残像が残るほどの初速を前に、メルスは咄嗟に両腕を交差させて一撃に備える。

しかし、攻撃が飛んできたのは背後から──

 

ドゴッ

 

背中を打たれたメルスは前のめりに倒れながらも受け身を取って着地し、そのまま鋭い蹴りで反撃する。だがフロストはその足首を掴み腿へ拳をめり込ませる。

 

チク…

 

「ッ!」

 

筋肉を押し、骨にまで達する痛みに顔をしかめつつも、体を高速で捻って脱する。

 

「ハァア──!」

 

そして、フロストへ向けた両手から無数の気弾を連射し、爆風の渦に包み込んだ。

が、メルスが床へ着地しようという瞬間、黒煙の中から鋭い何かの切っ先が飛び出し、彼の顔の真横を穿った。

 

ヒュ ヒュヒュヒュヒュ…

 

フロストの尻尾の先端が幾度も襲い掛かる。メルスはそれを躱し続けつつ距離を取るが、いつの間にか背後に移動していたフロストの蹴りを受けて吹っ飛んだ。

 

「くっ…!」

 

「どうしたのですか?動きの質が落ちてきていますよ」

 

メルスは違和感を覚えていた。体が重く、呼吸がしづらい。いや、原因はわかりきっている。

フロストに腿を殴られた時、チクリとした小さな痛みがあった。普通ならば鈍痛に隠され感じ取れないほどだろうが、メルスはそれに気付いていた。

 

「まさか…毒ですか…?」

 

「えぇ?まさかそんな…この大会は武器や道具の持ち込みは禁止されているんですよ」

 

メルスの問いに、フロストは嘲笑うかのような口調でそう返した。

 

「父う───大神官様!この者は毒を…」

 

メルスがそう言いながら大神官を見上げるが、当の大神官はメルスを一瞥しただけでそれ以上の反応を見せなかった。だが、その一瞬の視線の中に含まれた意図をメルスは理解した。

 

 

(そのくらい何とかしなさい)

 

 

天使から人間へと生まれ変わった自分へ、かつての父からの試練だと受け取った。

 

(私は…確かに天使から人間となり、戦闘能力は大幅に落ちた。だがその分天使の制約は取り外された…持ち味を活かせ…!)

 

メルスは自分を奮い立たせ、毒によって重くなった体に渇を入れた。

 

「目には目を…」

 

そして、自身の気を集中させて練り上げ、分離させるとそれを長い棒状に伸ばし、淡く光り輝く六尺棒を作り出した。それを手でくるくる回しながら後ろへ構える。

 

「ほう」

 

道具や武器の持ち込みは反則となるが、能力によってその場で生成したものであればルール上問題は無い。メルスは巧みな気の操作技術により銀河パトロールの武装を再現していた。

 

フロストは素早い動きでジグザグの軌道を描きつつメルスへ接近し、殴りかかる。メルスは棒でそれを受け止めると同時に棒をまるで生き物かのように操って腕の関節を固定し、そのまま膝を蹴る。

だがフロストは尻尾でそれを防ぎ、棒を強引に押し倒しメルスの体勢を崩しながら腹を蹴り上げた。

が、メルスは片手を隙間へ差し込んでそれを防いでおり、もう片手でフロストの拳を掴むと身を捻ってその腕関節を極めながら投げ飛ばした。

 

ゴキッ

 

「うぐぅ!」

 

嫌な音が鳴り、起き上がったフロストだったが、右腕の関節にダメージを受けプランと垂れ下がったまま動かせなくなっていた。

 

「くっ…!もう許さないぞ貴様だけはァ!!」

 

怒りの表情と共に怒号を響かせ、フロストが明確な殺意を以ってメルスへ襲い掛かる。しかし、メルスは棒を地面に突いてそれを軸とし回転するように動き、フロストの攻撃を躱し続ける。

 

ガッ ドゴッ

 

そして棒で頭部を連続で殴り、さらに低い位置で横薙ぎに振るい足へダメージを与える。

フロストはさらにヒートアップするが、メルスは足元に転がっていた拳大の大きさの武舞台の破片だった石を蹴り上げ、それを棒で小突いて粉砕する。

 

パキッ サァァァァ

 

粉塵の煙幕となり、フロストの視界を奪う。怒りによって感覚が鈍ったフロストでは気の探知によるメルスの動きの把握が遅れ、鳩尾と顎を棒で打たれた。

 

「ぎゃあ…!」

 

しかし、攻撃が当たったことでこちらの位置を察され、尻尾による刺突がメルスの肩に突き刺さり、そのまま肉を引き裂いた。床の上に鮮血が飛び散った。

 

「…!」

 

「くっくっく…どうした?命乞いをしろ。私のご機嫌を取ってみろ。私に跪いて詫びろ…!そうすれば楽に殺してやる」

 

「殺せば失格ですよ」

 

「構うものか、それで私の気は晴れるのだからな」

 

「フロストさん、貴方はクズだ」

 

メルスは右腕を血に染めながらも、屹然としてそう言い放った。

 

「クズで結構。私も気に入らんのだよ…貴様のその正義を信じて疑わない態度が」

 

「貴方はクズの中でも…そうですね、結構大きめのクズです。道のど真ん中にボテっと落ちてて、邪魔だなぁと思いますが汚いので端へどけることもされない、厄介なものです。だから貴方も今まで放っておかれたんじゃないですか?」

 

メルスは不思議な高揚感を味わっていた。自身の身体から血が流れると同時に、その感触と痛みが「今の自分は人間だ」と強く意識させる。天使見習いだったころは、銀河パトロールとして活動していても血を流すことも傷を負うことすらあり得なかった。だが、今までに共に戦ってきた正義を掲げる者たちは皆傷つきながらも戦い続けていた。やっと自分も彼らと同じ土俵に立てたのだと思うと、嬉しかった。

 

これまでなら絶対に口にしないであろう乱暴で下品な言葉を使ってでも、メルスはフロストを挑発する。

フロストは薄青色の肌に血管の筋をピクピクと浮かばせ、片目だけを歪に見開いて激怒した。

 

「殺してでも屈服させる!!」

 

斬り付けるような殺気を身に纏い、フロストはメルスへ踊りかかった。

 

ポタ…

 

だが、メルスは…

肩を斬られた右腕を力なく垂らしているように見せていたが、手の平だけは器のようにして上へ向けており、そこに自身の流れた血を溜めていた。

 

メルスは棒を操ると見せかけ、その血を勢いよくフロストの顔面目掛けて飛ばした。

 

バシャアッ

 

「!?」

 

一瞬にして視界を奪われたフロスト。その直後、メルスの振るった棒が顔面を打った。

 

「が…ッ!」

 

そのままメルスは続けて棒を胸に押し当て、猛ダッシュしてフロストをぐんぐん引き摺っていく。

 

「調子に乗るなよ!!」

 

だがフロストも目を瞑りながら気配だけでメルス目がけて気功波を打ち込んだ。

 

ドウッ

 

しかしメルスは止まらない。フロストがいくら気弾をぶつけてもその猛進が緩むことは無かった。

 

ドギュ

 

尻尾の先端が腹に突き刺さろうとも、一切速度が落ちない。そのまま、フロストは視界を封じられたまま武舞台外へ押し出され、落下していった。

 

 

「フロスト選手、脱落です」

 

大神官がそう判定すると、フロストのアイコンが消え、フロストは第6宇宙の観覧席へと送られた。

 

 

「バカな…」

 

フロストは自身の敗北を信じることが出来ず、放心したようにそう呟いた。

 

 

 

「ぐふ…ハァ…!」

 

しかし、死んではいないもののメルスの受けたダメージも甚大だった。毒によって筋肉が麻痺し、出血が酷く腹にも刺し傷があり内臓に達していた。もしもメルスがまだ天使であったなら、簡単に無効化できる作用だ。

 

「まだやれる…」

 

だが今のメルスはただ強いだけの人間、生命体に過ぎない。

 

「本当に?」

 

と、満身創痍のメルスの前へ現れたのは、第2宇宙の生き残り選手であるリブリアンだった。リブリアン自身もかなり疲弊している様子だが、それでも弱ったメルスを仕留めることは恐らくできるだろう。

 

「…!」

 

メルスは玉のような汗を流しながら、光の棒を支えにしながら構えを取る。

 

 

 

「そうかリブリアン!弱った者から片付けていくのか!それならばそれでいい…目ざとく勝機を見出すのだ!」

 

観覧席から、破壊神ヘレスはそう叫んだ。残る一人となり、弱っているリブリアンが出ていった時はどうしたのかと思ったが、漁夫の利を狙う戦法を取るということであればそうさせる。

 

 

 

リブリアンはゆっくりメルスへ近寄り、その顔を見下ろす。

そして…

 

ガシッ

 

「しっかり立ちなさい」

 

メルスの腕を取り、そのまま肩を貸す形で支えとなるのだった。

 

「…貴女は、なぜ」

 

その行動にメルスも困惑し、思わずそう呟いた。

 

「もう第2宇宙は私一人…はっきり言って敗退確定よ。だから個人的に優勝してほしいと思ってる第7宇宙の手助けをすることにしたの」

 

「そう…でしたか」

 

思わぬ申し出に、メルスは驚きながらも甘んじて身を委ねた。メルスだからこそ分かることだが、リブリアンからはこちらを騙したり陥れようという気がなく、正義の心根を持っているからだ。

 

「ですが…大丈夫です。私ももう長く持ちません…味方の足手纏いになるでしょう。最後に…サザンカさんの所へ行って何かしてから脱落しようと思っていました」

 

「奇遇ね…私もよ」

 

奇しくもメルスとリブリアンの目的が、宇宙という垣根を越えて一致していた。

 

 




【現在公開可能な情報】

Dr.ライチー

かつてツフル星の科学者だった男。サイヤ人の反乱を受けた際、ツフル人はいくつかの兵器を作り上げた。そのうちのひとつがライチーが手掛けた「怨念増幅装置ハッチヒャック」である。
ライチーはハッチヒャックを宇宙へ打ち上げる直前に息絶えてしまうが、ハッチヒャックはライチーの怨念を吸収しゴースト戦士として蘇らせ、自己のメンテナンスと強化を担わせていた。

やがてライチーはハッチヒャックを使い無数のゴースト戦士とデストロンガス装置を作り、ナメック星へ設置しサイヤ人をおびき寄せた。

銀河パトロールから協力の依頼を受けたブロリーによって次々とデストロンガス装置が破壊されるが、フリーザとクウラを模ったゴースト戦士を差し向け一度は勝利するも、正体を看破されることが弱点であるゴースト戦士は蹴散らされた。

その後、本体のハッチヒャックが鎮座する暗黒惑星での戦闘となるも、ライチーはブロリーに敗れる。が、最後にハッチヒャックに溜め込んでいた怨念を舐め取って吸収すると、その体を惑星サイズにまで巨大化させ復活する。そして、自我のないその巨体で現在多くのサイヤ人が集まっている地球へ向かっていくが、まだ子供だったサザンカを連れて移動することで軌道を操作され、グモリー彗星とブロリー渾身の気弾に挟み込まれ完全に消滅した。






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