もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

563 / 567
現時点の生き残り選手

第2宇宙
リブリアン

第3宇宙

第4宇宙

第6宇宙
カリフラ、ケール、キャベ

第7宇宙
サザンカ、ハーツ、ブロリー、クウラ

第9宇宙

第10宇宙

第11宇宙
トッポ、ジレン


第563話 「ロマンティックあげるよ」

伝説の超サイヤ人となり、暴走するケール。その力はどんどん膨れ上がり、一撃一撃が破壊力を増してゆく。

対するブロリーは、超サイヤ人ブルーとなったままケールの攻撃を捌き続けるが、ふとした瞬間に一発喰らってしまうとその威力に驚きを隠せなかった。

 

(強い…!だが…そうか、俺と戦った相手もこう思っていたんだな)

 

暴力的な生命力をフルに込めて放たれる打撃は、その見た目の筋肉量からは想像できないほど素早く、重い。きっと今までブロリーと戦ってきた敵たちも、同じことを思っていたに違いない、とブロリーは気付いた。それほどに、ケールはブロリーの生き写しとも言えるまでに気の性質や力の込め方に至るまでがそっくりだった。

 

「があああああッ!!」

 

獣の雄叫びのような唸り声を響かせながら突進してくるケールを受け止めるブロリー。ケールはつま先が武舞台の床を削るほどに力を込めているが、ブロリーは一歩も退いていない。流石に、いくらケールが爆発的なエネルギーを持ち攻撃に乗せているとしても、やはりブロリーの方が何もかも上回っている。

 

「目を覚ませ。お前の大切なものを思い出せ」

 

そう言いながら、ブロリーはケールの腹へ膝蹴りを叩きこむ。

 

「お…が…!」

 

ケールは苦しむ素振りを見せるが、力は一切緩まない。今のケールにただの言葉は通らない。なのでブロリーは痛みと共に語り掛け、その言葉を届きやすくする。

 

「ウオオオオオ!!」

 

しかし、それでもケールは暴走を辞めない。

 

「未来の事を考えろ。ここですべてを破壊し得ても、後に何が残る?」

 

さらに肩へ拳をめり込ませる。

 

「お前はまだ取り返しがつく!お前はまだ誰も手にかけていないからだ。今ならまだ間に合う、その荒れ狂う力をコントロールするんだ」

 

とは言うものの、ブロリーには暴走する者を力づくで止める以外で鎮めた経験がない。なので言葉をかけるだけで、ケールには何もしてやれない歯がゆい状況が続いていた。

 

(どうする?俺にはかつての俺のような者にどう対応してやればいいかわからない…)

 

ケールをここで脱落させることははっきり言って簡単だ。しかし、それでは大会終了後、もしも第6宇宙が消滅しなかった場合、ケールは一生全てを吹き飛ばす時限爆弾のような力を抱えて生きなければならない。それでは、それが齎す被害が増え続けるだけだろう。さらに、ケール自身の精神すら蝕まれ、いずれは孤独になってしまう。

自分と同じ力に苛まれるこの少女を、ブロリーは放っておくことが出来なかった。

 

(いや、待てよ…?俺はどうやってこの力をコントロールできるようになった…?きっかけは何だったか…)

 

ブロリー自身、記憶そのものが曖昧だ。だが、父親であるパラガスの話も思い浮かべながら記憶をパズルのように繋ぎ合わせてゆく。

 

ブロリーは確かに幼子から少年期にかけては、理性を失い暴走を繰り返しパラガスを悩ませる日々を送っていた。そして、たまたま地球へ接近し、たまたま月の爆発に巻き込まれ(この時、幻想郷でカカロットと月夜見王が戦っていた)、頭を強打し生死の境をさ迷った結果、凶暴性が失われたのだ。

 

同じことをケールにも再現してやれば、ブロリーと同様に大人しくなるかもしれない。つまり、ここでケールの頭に相当の衝撃を与えるという荒治療を敢行する必要がある。

しかしそれに成功したとしても、完全に凶暴性が鳴りを潜めるわけでは無い。その後、ブロリーは自ら制御装置を身に着けることで完全に押さえ込み、カカロットとの出会いというきっかけがなければ完全にはコントロールすることは出来なかった。

 

(だが…やるしかない)

 

自分で言う所のカカロットにあたる者は、ケールにも居る。

 

ケールは吠えながらブロリーに殴りかかるが、その腕を掴んで止められる。だがすぐさまブロリーの腕に噛みつき、血が流れ彼女の口元を染める。その姿は正に悪魔と形容するにふさわしく、それを目撃したブロリーは目を細め覚悟を決める。

そして床を蹴り、両足を真上へ上げて逆立ちすると腕の肉を嚙み千切られるのも構わずに跳躍する。そして腕を振り上げ、ケールの脳天目がけて鉄拳を振り下ろした。

 

ズ…ム

 

メキョ…

 

まさに隕石の如き拳の一撃がケールの脳天を、釘を打つ槌のように狂いなく真っすぐに打ち付けた。

 

「ぐ…あ」

 

ケールの両足が床を砕いてめり込み、凄まじい衝撃によって目を見開いたまま気絶に至る。裂けた頭皮から血が噴き出し、目、鼻、口からもドッと血が溢れる。

ブロリーは身を翻しながら彼女の正面へ降り立ち、様子を窺う。

明らかに致命傷。しかし、それでもケールの変身が解けていないことから、彼女は死んではいないしまだ余力が残っていると判断する。

 

(あとは…このまま立ち直ってくれればいいのだが…)

 

パゴッ

 

だがその瞬間、弾丸のように突っ込んできた何者かがブロリーの頬を殴りつけた。咄嗟に目線を向けると、そこには金髪緑目の少女がいた。

 

「テメェ、あたしの妹に何してくれんだ!」

 

復帰したカリフラが真っ先にブロリーへ襲い掛かってきた。

 

「お前は…」

 

「ぶっ殺してやるゥらァ!!」

 

先ほどまでクウラに痛めつけられていたとは思えないほどパワフルかつ素早い身ごなしでブロリーに拳と蹴りを織り交ぜた連続攻撃を仕掛けるカリフラ。

だがブロリーも体を傾けるだけで全てを躱し、カリフラの足を払う。

 

「うおっ!?」

 

ただの足払いだがカリフラにとってはとんでもない威力で、払われた足が頭より上まですっ飛んでいき、勢いよく転倒してしまう。

 

「いてて…!はっ…!?」

 

カリフラは追撃が来ると思って慌てて起き上がるが、ブロリーは静かにこちらを見ているだけで手を出しては来なかった。

 

「おっさん…おめぇどういうつもりだ?」

 

「…第6宇宙には伝説のサイヤ人の言い伝えはあるのか?」

 

ブロリーはカリフラにそう尋ねた。

 

「伝説って…1000年に一度現れる悪魔のサイヤ人の事か?よくは知らねぇが…」

 

「どうやらそっちの宇宙のサイヤ人にも同じ話があるみたいだな。いいか、このまま放っておけばあの少女は増幅する自らの力に飲み込まれ自滅してしまう」

 

「自滅!?ケールが死んじまうってことか!?」

 

「そうだ。だから荒っぽいやり方だが、俺が止めた。上手くいっていれば後は目を覚ますだけだ…その最後のきっかけは、たぶん君だ」

 

「あたし…が?」

 

「ケールを目覚めさせろ。大事な妹…なんだろ?」

 

そうブロリーに言われたカリフラは、訝しみながらケールの方を横目で見た。

 

「…分かった。だがその間アンタはどうすんだ?アンタがそれを黙って見ててくれるって保証はねぇよな?」

 

ブロリーは、少し心外だという表情を浮かべながらもそれは違うと釈明しようとするが、その時、また別の人影が視界の端に躍り出る。

 

「カリフラさん!それなら僕が戦います…!今のうちに、ケールさんを復活させてください」

 

「お前は…キャベ!」

 

キャベはクウラの攻撃を受け戦闘不能になっていたが、何とか目覚めここへやってきた。とはいえかなりダメージは残っている様子で、息を切らしフラつきながらのブロリーへ対し戦意を向けている。

 

「…分かった!」

 

カリフラはケールの元へ急いで行き、ブロリーはゆっくりとキャベに歩み寄る。キャベは構えを取りながらもブロリーの気迫に圧倒され、ジリジリと後ろへ下がってゆく。

 

「そうか、君は…超サイヤ人にはまだ成れないんだな。ならば、成り方を教えてやる」

 

「え…?超サイヤ人って…なれるのですか?僕もカリフラさんやケールさんのように…」

 

「ああ、たぶんな。大体のきっかけは…強い感情だ。思いっきり怒りながら俺と戦ってみろ」

 

「は、はい…!」

 

キャベは素早く飛び掛かるとブロリーの胸へ拳の連打を浴びせ、さらに背後へ回り向う脛を蹴り、背中へ肘打ちを当てる。そして空高く跳躍し、武舞台を照らしている光源を背にしながら急降下しブロリーの顔面を殴り飛ばした。

 

ユラ…

 

しかし、ブロリーはそれらを全て受けたにも関わらず、全くダメージを受けていない。それを見たキャベは動揺し、もう一度後ろへ下がった。

 

(技術は申し分ない…だがやはりノーマルの姿では何もかもが低水準…。優しいんだろうな)

 

そこでブロリーはあえてブルーを解除し、そのまま伝説の超サイヤ人になった。戦闘力は大幅に落ちるが、体格はブルーよりも大きくなり、さらに髪の逆立ち具合や顔つきはより凶悪になった。

 

「ふははははは!!血祭りにあげてやる!」

 

「ええっ!?」

 

いきなり変貌したブロリーに驚きを隠せないキャベは間抜けな声を上げてしまう。

そんな小柄なキャベがますます小人のように見えるほどのサイズ感の筋肉の塊が目にもとまらぬ速さで迫り、拳を振るった。

 

バキッ

 

すさまじい衝撃によってキャベは床を跳ねながら吹っ飛ばされる。

 

「なんて力だ…」

 

何とか受け身を取るキャベだが、その顔の右側は大きく腫れて膨れ上がってしまっている。

ブロリーはわざと白目を剥き人相をさらに悪く見せ、重厚な足音を鳴らしながら歩み寄る。

 

「どうした?もう終わりかぁ?所詮、クズはクズなのだ」

 

再び襲い掛かってくるブロリーの攻撃を、キャベはギリギリで避け続ける。

 

(ケールさんにそっくりだ…!まさかこの人も…)

 

キャベはブロリーの力の正体に感づきながらも後ろへ飛び、背後に隠した右腕に気を込める。

 

「ハァ──ッ!!」

 

そして、特大の気功波を放った。

それはブロリーを飲み込み、通過してゆくが…

 

「何なんだァ?今のは」

 

全く気にも留めずに悠々と歩きながら気功波を割ってきたブロリーがキャベの頭を掴み、持ち上げてぶら下げた。そのまま掴む力を強め、握力でギリギリと締め付ける。

 

「が…うが…!」

 

(すまんな…こんな感じなら悪っぽくできてるか?)

 

ブロリーはヒールを演じながらキャベを追い詰める。

 

「宇宙を…いや、故郷を救いたいだろ?だが残念だったな、貴様の宇宙は間もなく滅ぶ!俺に破壊し尽くされ、無様に敗北を喫するからだ。揃いも揃って雑魚とデクノボーばかりのチームで、少しでも俺に適うと思っていたのか?」

 

だがその時、キャベの中で何かが切れた。

 

ガシッ

 

そして丸太のようなブロリーの腕を両手で掴み、逆に強く握り締め返す。

 

「ぬ…!?」

 

「僕が弱いのは事実だから構わない…だが、みんな必死で戦ったんだ…僕らの宇宙を侮辱するな!!」

 

次の瞬間、黄金の闘気が弾けた。即席だが強い怒りによって超サイヤ人へと覚醒したキャベ。もともと基本値の水準は優に覚醒可能段階を超えており、本当に少しのきっかけを与えるだけでよかったのだろう。

キャベは増幅したパワーをフルに発揮し、気の推進力によりブロリーの腕ごと床へ降り立つとそのまま彼の巨体を持ち上げ、投げ飛ばして叩きつけた。

 

ブロリーは思惑が成功した喜びからか、にやりと笑って見せた。

 




いったんここでブロリーサイドの話に移ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。