第2宇宙
リブリアン
第3宇宙
第4宇宙
第6宇宙
カリフラ、ケール
第7宇宙
サザンカ、ハーツ、ブロリー、クウラ
第9宇宙
第10宇宙
第11宇宙
トッポ、ジレン
モロとの戦い以来となる、ブロリーゴッドへの変身。その時はメルスとの修行という協力を得て、いつでも自由に変身できるように気と精神を研ぎ澄ましコンディションを整えていた。
しかし、メルスはもう天使ではなくなったためブロリーの修行相手としては力不足となり、以降ブロリーゴッドへの変身はしたことがなかった。ブロリー自身も、何らかのきっかけにより感覚を取り戻すのを待ち続ける他なかった。だが確信があった。必ず、自分はこの力の大会でもっとこの姿を自在に引き出せるような更なる可能性の糸を掴める、と。
ブロリーゴッドは超サイヤ人ゴッドの本来の姿そのものともいえる究極の変身。過去において存在した超サイヤ人ゴッドは、厳密には神に祈るために神と同じ気を纏うことを許されただけであり、神そのものではない。超サイヤ人ゴッド超サイヤ人(ブルー)も、神の気を纏うサイヤ人が超サイヤ人になった姿である。
そしてこのゴッドも超サイヤ人ではない。神の気を纏ったまま超サイヤ人になったブルーとは異なり、神の気が、ブロリーが持つ無限ともいえる出力を発揮する超サイヤパワーを利用して増幅することで変身させたのだ。
対するケフラもまた、見事に超サイヤ人3をものにしていた。本来であれば消耗の激しい超サイヤ人3を、ブロリー同様にケールがもつ無限の超サイヤパワーにより強制的に維持・運用できている。
お互いが、ダメージを受けぬ限り永久に底をつかないエネルギーを剥き出しにし、今にも
渾身の拳を振るうケフラは、それを避けるブロリーの腹へ至近距離からの気弾を命中させる。爆発に晒されたブロリーだが腕で爆炎を切り払い、同時に突風の如き衝撃波で前方を薙ぎ払った。
「うお!」
転がっていた石材ごと巻き上がり、礫となってケフラに襲い掛かる。だが、それらはケフラに近付く前に粉々に砕けて塵となって消えてゆく。
ケフラは後ろへ飛び、せり上がった岩盤を片手で掴み背中を向けてしがみ付くと、さらに飛んでくる気弾を目視で確認する。そして、背にした岩盤をビキリと折り割って持ち上げると、それを振り回し気弾を打ち消す。
さらに、この間に背後へ迫っていたブロリーが蹴りかかってくるが、ケフラは岩盤を盾代わりに防いだ。
案の定岩盤は粉々になるが、ケフラはその破片の影に隠れ、ブロリーへ向けて一発の気功波をお見舞いした。
「!?」
ブロリーはそれに押され、どんどん武舞台際へと追いやられるが片手でそれを受け止めており、そのまま握り潰すことで消滅させ、ケフラへ向かって高速で接近する。
そして、ケフラの顔面へ拳の一発。貫通した気の衝撃波が武舞台の床を深く抉り取った。
「ッッ…!なにくそオッ!!」
ケフラは揺れる視界にも構わずに肉体を強引に起こし、反撃の拳をお見舞いする。
ブロリーは腕でそれをガードするも、それを貫通した衝撃が背後にあった岩盤を破壊した。
「くっ…!」
さしものブロリーも鈍い痛みに顔をしかめるほどのパワーが、ブロリーの半分ほどの背丈しかないケフラから発揮される。
続けて、両者は幾度も肉弾、気弾も交えてぶつかり合う。片方が殴れば片方が殴り、気の爆発が襲えばより強い爆発で対抗する。加えて、投げ、極め、地形を利用した叩きつけなど、ありとあらゆる暴力が飛び交い続ける。それは実に数分間の間に千を越え万に至る攻防戦として展開された。
「おっとごめーん」
その最中、トッポと睨み合っていたクウラの背中にケフラがぶつかったり…
「前を失礼する」
「…邪魔だ」
サザンカと戦っていたジレンの眼前をブロリーが横切ったりもした。
だがふたりは決して戦いを辞めず、直径1キロメートルの武舞台を端から端までフルに使いながら駆け回り続けた。観覧席のシャンパやビルスさえ絶えず首と目を動かして追いかけなければならないほどの動きぶりだったが…
いつの間にか、ふたりが通過した跡には飛び散った血痕が残されていた。
それに気付いたブロリーは、向かってきていたケフラを衝撃波で跳ね返す。
「このままではどちらかが死ぬな」
ブロリーもケフラも、そこで初めて気付いたのだ。激闘により全身に傷を受け、大量の血を流していることに。
ケフラは意識しないうちに首筋を流れていた血を触り、それを見るとピッと飛ばして捨てる。
「…だな。あたしもこの体はひとりのモンじゃないからな…それに死んで判定勝ちになっても面白くねぇだろよ」
ケフラの言葉に、ブロリーも小さく笑って返す。
「んじゃあ決まりだな。これで決めるか」
そう言うと、ケフラは全身の気を高めながら右手をスッと顔の高さまで上げ、ゴルフボールくらいのサイズの赤い気弾をいくつも生成した。それに呼応するかのように武舞台が揺れ、亀裂が走る。ケフラが立っていた場所だけが高く隆起し、塔のようにそびえる岩の上からブロリーを見下ろす。
「一世一代の火力勝負だ!お互いに全力ンなるまで精魂尽き果てるんじゃねぇーぞ!!」
しかし、ブロリーも同様に全身の気を解き放つと、床がくり抜いたように柱状になって一気にせり上がり、その上に立つ。その高さは、ケフラをさらに見下ろせるほどだった。
ケフラは苛立ちを額に浮かぶ青筋として表面に出しながらも、笑顔は変わらない。それどころか、さらに込める気は高まり続けていた。
ケフラの手に浮かぶ赤い球は高速で回転しながら融合しひとつの気弾となり、一気にエネルギーが膨れ上がる。
「うおりゃああああああッ!!」
そして、その気弾を振りかぶり思い切り前方へ押し出すと、臨界寸前に沸いていたエネルギーが超高火力の気功波となってブロリーに差し迫った。
対するブロリーは、ただ掌の上に一滴の雫のような、辛うじて微かに光って見えるほどの小さな気弾を作り出したのみ。しかし、それが内包する莫大な気は周囲の空間を歪ませ、ブラックホールのように強大な重力を発生させている。それを、指先でピンッと弾いて飛ばすと、舞うように落下してゆく。
ケフラの気功波とぶつかろうかという寸前、ブロリーの気の雫は急激に膨張し、気功波を受け止めた。超巨大な球体に、まるでホースで水をかけるが如くケフラの気功波がぶつかり続ける。が、文字通りのブロリーの巨大気弾を押し破ることはできなかった。
「こなくそッ…!あたしを舐めるんじゃねーぜ…!!」
ケフラもまだまだ余力を残している。今度は左手に電気のように弾け続けている黄緑色のエネルギーを充填し、それをもう一本の気功波として放射した。
それは元々伸びていた赤い気功波と捻じれながら一体化し、単純に2倍…ではなく、それ以上の出力を発揮しながら、ブロリーの巨大気弾と拮抗し、やがて押し返し始める。
ブロリーはその光景に目を見張り、こめかみに一筋の汗を垂らした。だが、今まで直立したままだったブロリーが自身の気弾に向けて手を翳すと、それはさらに巨大化し、またしてもケフラの気功波の出力を上回った。
「のおわッ…!やってくれたな…!」
対するケフラは赤と緑色が鮮やかに混ざり合った特大の気功波を放ち続けながら、全身から同様の色合いの気を噴出させた。緑色の気はケフラから分離し無数の気弾となってブロリーの巨体気弾に次々ぶつかりに行き、赤い気は全方位へ拡散するレーザー光線となって放射されるも、その後にすぐ向きを変え、全てがブロリーの気弾目がけて一方向へ集約される。
しかし、出力が一気に何倍にもなってブロリーに襲い掛かると同時にケフラ自身の限界を超え、明らかに制御できていない暴走気味な挙動となっている。
「ぐ…がが…!」
「…」
ブロリーは己の力が押し返されるのを感じながら、ケフラも相当無理をして現在の出力を維持していることを見抜く。消耗の激しい超サイヤ人3の力をケールの伝説の超サイヤ人の無限サイヤパワーでカバーしていると言っても、限界は来るだろう。エネルギーは尽きなくともそれを留めておく器は壊れてしまうはずだ。
(さて…どうしたものか)
ブロリーはそう思いながら、もっと力を送り込む。するとまたしてもブロリーの気弾が勢いを増し、ケフラの気功波を押しやる。
ケフラも迫りくる巨大気弾に対抗してさらに出力を高めようとし、腕や顔の血管がピシピシと切れ始める。
ここでブロリーが全力を出せば、ケフラはまだそれに追い縋ってくるだろうが、それを見越しても勝利できるだろう。だが…
(それでいいのか…?)
ブロリーには絶対にこの大会で勝ち残り叶えたい願いがある。だがもしも、それと同じほど強い願いを相手が持っていたらどうする?
「対話が要るな」
以前のモロとの戦いの中で、ブロリーは知っている。今まで他人だと割り切り、容赦なく叩き伏せ命を奪ってきた敵にも、そうならざるを得ない理由があるはずだと。育った環境、生まれた場所、あるいは外的要因は関係なくその者の素質や意思によるものだとしても。
ケフラが己の身を顧みず、器が壊れるほどの出力を発揮したその瞬間、ブロリーがそれを防ぐべくさらに気を込める。その瞬間、両者の精神が繋がった。
「ここは…」
ケフラが立っているのは、赤い砂に覆われた砂漠。空には渦巻く銀河や巨大な惑星がいくつも浮かんでいる。
「あたしはさっきもここに来た!それに…前にも来た覚えがある」
ケールはつい先ほど、カリフラは以前サザンカやヒットと戦った時にここを訪れた時がある。現世に帰ってからはその時の記憶は一切無くなってしまっていたが…ここへ来ると、全てを思い出した。恐らくは、きっとまた意識が元に戻った時にはここでのことを忘れてしまうのだろう。
「よく来たな」
と、同様にいつの間にかここにいたブロリーが胡坐をかいて座っていた。
「おっさん…ここっていったい何なんだ?」
「さぁな。俺も何度かここへ来たことがあるが…よくわからないんだ。ただ今回に限れば…俺はお前との対話を強く望んだ。だからお互いの気と気がぶつかり合った時、何らかの要因によって精神が繋がったんだ。気は精神に強く影響を受けることもあるからな…」
「…そうか。で、アンタは何であたしと対話してぇんだ?あのまま勝負続けてりゃ…おっさんが勝てたろうに。まさか、ナンパか!?まああたしっていい女だしな~」
「いや、違う。俺が勝っていたことは否定しないが…だがな…もしも、お前が勝った場合にどうなるかを一度考えておきたかったんだ。お前は…もしも優勝したら、どんな願いを叶えるつもりなんだ?」
それを聞いたケフラは、ブロリーの目の前にどかっと座り込み、しばらく考えた。
「…おっさんが先に言えよ」
「俺の願いは…『この大会で消えてしまった全ての宇宙を元に戻す』ことだ」
それが予てよりブロリーが叶えようとしていた願いだった。
「たぶん、サザンカやシロナ、それにハーツも…同じ願いを叶えようとしているはずだ」
そこでケフラは合点がいった。ブロリーがしきりに言っていた、「きっとこの大会が終わってからもその力は役に立つ」。最初は「お前が勝って大会が終わるならあたしらの宇宙は消えるだろ、役に立つもあるか」と思っていたが…ブロリーがその願いを叶えるのなら、まあ言い分も理解できる。
しかし…
「あたしだって同じ願いを叶えようとしてたんだよォ!!」
ケフラは子供のように声を荒げながらブロリーにそう言った。
「そんでもって…あたしがアンタに勝ったら、即行でサザンカに味方してやろうと思ってたんだよ!そんで…邪魔な奴ら全員落としたら、サザンカとタイマンやって終わろうと思ってたんだ…」
「…奇遇だな。俺とお前は、考えることが同じだったんだな」
「え…?」
「お前がそうやってくれるのなら有難い。話が出来てよかった…俺と同じ意志だったのなら心配ない。この勝負はお前の勝ちだ」
「何を…言ってやがる!あたしとアンタの決闘はどうなる!?まさかアンタが自分から負けて決着ってんじゃねぇだろうな!?」
「もう勝負の決着はついている。俺の勝ちだ、お前はあれ以上の出力を求めれば壊れるぞ。だからこれから起こることはそんな次元の問題じゃない…未来のために必要なことだ」
そう言われたケフラは図星を突かれ何も言い返せなくなり、ぐぬぬと歯を噛みしめた。
「それに、消えた宇宙を元に戻すのなら…いつか、もう一度俺と戦えるだろ?もっと強くなって、力を極めたらまた戦おう」
ブロリーはそう言いながらケフラに向かって手を差し出した。対するケフラも、もう反発することも迷うこともなく、その手を握り返した。
「ああ!」
ブロリーの巨大気弾が押し返される。それどころか、ケフラのエネルギーの激流によって完全に軌道制御を奪われてしまい、自らの放った気弾の衝突を真正面から受けてしまうブロリー。
巨大気弾とエネルギーの激流はひとつの奔流となり、彼を飲み込み…そのまま止まることなく、武舞台外へと勢いのままに消え去っていった。
「第7宇宙、ブロリー選手…脱落です」
大神官による絶対の判定。それは如何な選手であろうと、覆ることはない。告げられたブロリー脱落の判定は、第7宇宙の面々へ衝撃を与えた。
「ふう」
観覧席へ送られたブロリーは小さく息を吐いて座った。
「お前ッ…今どう頑張っても勝てていただろ…!」
ビルスがそう詰め寄るのも無理はない。さっきの火力勝負において、ケフラがどんなに出力を上げようともブロリーの方が終始優勢だった。しかも、第7宇宙の主力とさえ思っていたブロリーの脱落…これからの戦況においての影響は計り知れない。
「どちらにせよケフラの負けん気は異常だった。あのままいけば、ヤツは肉体が自壊するまで気を高め続けただろう。そうなっては…こっちの反則負けになってしまう。だからあそこで切り上げる必要があった」
それを聞いたビルスは苛立ちながらも息を吐いて落ち着き、足を組み直して座った。
「まあ、いい…ご苦労だった」
「ああ」
そして労いの言葉をかけ、ブロリーは小さく返事をする。
そこへ、隣にいたカカロットが小さな声でブロリーに声をかけた。
「おい、お前本当はそうじゃないんだろ。俺らみたいな世代が生き残っちまうよりも、ああいう若い連中に頑張ってもらいたかったんだろ?」
それに対し、ブロリーは微笑みで返した。
「あ…危なかった~…」
一方、ケフラの脱落による第6宇宙敗退を逃れたシャンパは胸を撫で下ろしながらへなへなと椅子へ座り直すのだった。
「ハァッ…ハァッ…し、しんど…死ぬかと思った…」
辛くも勝利したケフラは流石に消耗し、超サイヤ人すら解け黒髪のノーマルの姿へ戻っていた。しばらく膝をつきながら息を整え、現在の戦況を把握しようと第6宇宙の観覧席を見渡す。
「…そうか、もうヒットの野郎も落ちてたのか…」
そこにはヒットの姿もあり、どうやら残る選手はもうケフラ…ケールとカリフラのみのようだ。遠くでは連鎖する爆発音と、石が刃とぶつかるような甲高い音が響いており、別の場所では絶え間ない打撃の音が響いている。
「んじゃ…約束通り、あたしもまだまだ暴れてやるとするか!」
まだまだ戦況は絶えず移り変わり続ける、力の大会。ついにブロリーまで脱落し、果たして優勝するのはどの宇宙なのか…
当初はブロリーを勝たせようと思っていたのですが、直前でどちらが勝っても役割は同じだなと思ってケフラの勝利にしました。