第2宇宙
リブリアン
第3宇宙
第4宇宙
第6宇宙
カリフラ、ケール
第7宇宙
サザンカ、ハーツ、クウラ
第9宇宙
第10宇宙
第11宇宙
ジレン
「うおおぉぉおおお!!!」
ドグッッッ!!
ジレンの胸へ突き刺さるサザンカの拳、咳込むと同時に飛び散る血の雫。迸る紫色のスパーク、クレーター状に陥没する武舞台。
ジレンは後方へ押し出されるもすぐに静止し、冷静に口元の血を拭う。
だがその時、トッポが脱落したことに気付き、ついそちらへ目を向けてしまう。他の第11宇宙のメンバーもこちらを見ており、それに対しジレンは…
「全員、所詮その程度か。負け犬極まれり、だな」
冷たくそう言い放った。
(今はそれよりも…)
ジレンの興味は既に脱落した仲間には微塵も無い。
今、己の前に脅威として立ちはだかるのはサザンカ。
(何か、雰囲気が変わったな…?)
サザンカは変わらず超サイヤ人4を維持しており、戦闘力は変わらない。だというのに、目の前で格闘の構えを取りこちらを鋭く睨みつけるサザンカの姿は、これまでとは一線を画する気迫を秘めていた。
「出た!サザンカの超集中モード!」
「なんだそれ」
シロナがそう言うと、カカロットが疑問を返す。
「サザンカは集中するとめっちゃ肉弾戦が強くなるんだ。ビルスさんにだって、あのモロにだって通用したんだよ」
ビルスはサザンカの戦闘スタイルを思い出してみる。自分の分析では、確かにサザンカの体術は自分に匹敵するほどといえる。一方で気功波の類ややその応用など、気を放出する系の技巧に関してはからっきし苦手とするが、単純な体捌きや格闘術の駆け引きに関しては我流ながらも天性の才を持ち、それだけで敵の総合戦闘力を上回ることさえある。
サザンカが殺気を拡散させると、思わずジレンの動きが止まる。まるで金縛りにでもかかったように足が動かない。
これが能力や術による行動封じであれば簡単に突破できるものの、ジレン自身が自分で暗示にかかっているが故の行動であるため対応が遅れる。
そして、サザンカの拳がジレンの頬へヒットした。
ジレンもサザンカの腕を掴んで反撃しようとするが、それよりも素早く腕を引っ込ませ、反対の腕によるフックで脇腹を打った。
その時、ジレンはサザンカに現れていた変化に気付く。超サイヤ人4は黄金の気を持つが、今のサザンカは薄らと体表面に赤いオーラを纏っていた。そして、その戦闘力がわずかに上昇を見せている。
ジレンはサザンカを睨みながら、カウンターの回し蹴りで彼女を吹っ飛ばす。
後方にあった瓦礫を貫通していき、ジレンはそれを追って飛び出すが、目の前のサザンカが不自然な挙動で自分に接近してきた。
そして、顎へ膝蹴りを叩きこまれ、ジレンの上体が反れる。
(なんだ…?今の軌道は…)
サザンカは、自身の背中で自分の気を爆発させ、その爆風を利用して移動していた。さらに拳を振りかぶるが、ジレンはそれを受け止めカウンターする構えを見せている。
しかし…
同様の爆発を、拳を構えていた腕の肘で起こし、爆風によりパンチの速度と威力を高めて放った。
「ぐ…!」
それはジレンの胸に当たり、拳大に凹む。
肘の後ろでの爆発を利用した拳が、続けて何発もジレンに浴びせられる。
最後に強烈な一発が入ると、ジレンは大きく吹っ飛ばされていく。何とか腕を差し込んでガードには成功したが、鈍い痛みを感じていた。そして心なしか、攻防を繰り広げるたびにサザンカの力はどんどん上昇している…!
「今のは…見覚えがある。ライの技だ…!」
今のサザンカの動きを見たシロナはそう呟いた。
ライは、暗黒ドラゴンボールを探して時空の旅をしていた時に敵として立ちはだかった人造人間だ。彼は動く際に鮮やかな彩色の気を爆弾のように起爆させ、その爆風を一定方向へ操作することにより、自身の動きを加速して戦っていた。
「サザンカも出来るんだッ…ああいうこと…!」
地面へ踵を擦りながら着地したジレンは、同じく爆破によって接近してくるサザンカへ向けて気弾をいくつも撃ち込んで迎撃する。
だが、サザンカはそれでも止まらず、猛スピードでこちらへ突っ込みながら腕を振り下ろす。ジレンは退いてそれを躱すものの、今まで立っていた地面が深く抉られたのを見て舌打ちをする。
「チッ…」
そして、ジレンは右手を何かに捕まれ、グイっと引き寄せられる。サザンカが彼の左腕を掴み、逃げられないように万力のような握力を込めて離さない。
距離を離せられないジレンの腹へ、サザンカの拳がめり込んだ。
さらに、片腕だけで繰り出される凄まじいラッシュがジレンへ容赦なく浴びせられる。ジレンも明らかに表情に苛立ちを出しながら腕を振り上げるが…
(もう片腕までも…!)
サザンカはその腕も掴み、結果自身の両腕と同時にジレンの両腕を封じる。。
(なんというパワー…!このオレが振り解けん…!)
そして、顎を蹴り上げられ、脛、腿、鳩尾へ次々と強烈な蹴りが食らわせられる。さらに、頭突きがジレンの口元にめり込み、鈍い音と共に血が噴き出す。
「キサマァッ!!このままオレを嬲るつもりかッ!!」
怒りを隠すことなく曝け出し、血まみれの口を大きく開けて怒号を響かせるジレン。だが、サザンカはそんなものはお構いなしに足をグッと踏み込み胴体をひねると、ジレンの隆々な巨体が布切れのように軽々と浮かび上がる。
サザンカはそのまま跳躍し、付近にあった岩盤にジレンを叩きつける。その衝撃で岩盤は粉々に破壊されるが、ひとつでは止まらずにいくつもの岩盤に連続してぶつけていく。
極めつけにはそのままジレンを投げ飛ばし、すぐに追いつくと顔面へ膝蹴りをぶち込み、胸に掌底突きを命中させた。
「ぐうッ…アア!」
(バカなッ…戦闘力で…オレを超えられるはずはない!…いや、まさか!!あり得ん!
コイツは既に、このオレに並んでいるというのか…!?)
真上から襲い掛かるサザンカを、ジレンは見上げる。影を落とし、強く噛み締めた歯を見せながらこちらを睨めつける彼女の姿は、ジレンのトラウマを刺激する悪鬼のような威圧を放っていた。
オレの両親を殺したあの男…
オレの師と仲間を奪ったあの男…
「う…ウオオオオオオオ!!」
気付けば、ジレンは叫んでいた。無様に…愚かしく…。
空中で一回転しながら、高く振り上げた両足を強く踏み下ろし渾身の蹴りを放つ。それを真正面から喰らったジレンは地面へ背中を叩きつけ、武舞台を割りながらバウンドしさらに高く打ち上げられる。
サザンカはそれに追撃し、ジレンを武舞台外までぶっ飛ばそうと最後の一撃を構える。
(ここまで来た!ジレンに勝てる!アンタのおかげだぜ…ありがとよリブリアン…!)
この逆転のきっかけを作ってくれたリブリアンに心の中で感謝を述べ、先ほどまで彼女がぶら下がっていた武舞台端を横目で見やる。
しかし、既にそこには誰もおらず、観覧席においても第2宇宙の面々は天使を除いて誰一人いない。
(そうかよ…もう…)
サザンカがジレンとの攻防に向き合っており気付かない間に、第2宇宙は消滅していた。
(だがそれなら尚の事…!このまま勝ち切ってやる!!)
バウンドし打ち上がったジレンが目の前に落ちてくるタイミングに合わせて、真紅のオーラが灯るほどに全開の力を込めた拳を打ち出す。
「いっけぇサザンカ!」
観覧席からシロナの応援の声が飛ぶ。ビルスやブロリー、カカロットも固唾を飲んで決着を見守る。
しかし…
「ふ…ぐっ…!?」
その時、サザンカの動きが止まった。全身から分厚い何かが千切れるような音が鳴り、関節や筋肉同士の隙間から血が滲みだした。さらに、超サイヤ人4が解除されると同時に、それまで纏っていたオーラがまるで焦げ付いているような黒煙へと変わった。
「ぐ…ぎゃあああああああ…!!」
サザンカは全身を引き裂かれるような激痛に悲鳴を上げた。体は引き攣って強張ってしまっており倒れることも悶える事もできない。
「え…!?サザンカ!!
サザンカの名前を呼ぶシロナの声が木霊する。
「何が起きた…?」
グラノラも状況が呑み込めず、そう呟いた。
「無理もない…サザンカはとうに限界など超えている。そこへ更なるパワーの上乗せ…今までは過集中により誤魔化せていたダメージが、何かで集中が途切れたことで一気にぶり返してきたんだろう。
ブロリーは同じサイヤ人かつ、かつての時代では対を成した伝説と悪のサイヤ人同士であるからこそ、サザンカの変調を読み取れていた。
いくら超サイヤ人4への変身をものにしたとしても、その身に出力できるパワーは限られる。それを超えてしまえば、器は割れる。しかも大会開始時からずっとジレンと戦い続けていたサザンカがこれまで受けたダメージも加味すれば、それはもはや…
立ったまま痙攣し、体を動かせないサザンカの目の前に、ジレンが迫っていた。頭部には太い血管が浮き出し、その表情は今までのポーカーフェイスとは打って変わった鬼気迫るものになっている。
「貴様は…貴様に生きる場所など無いわ…!忌々しい…悪の権化が…根絶やしてやる!!」
ジレンは、かつて己の全てを奪っていった悪党とサザンカを重ねていた。いつも己が希望を見出した瞬間に目の前に現れ、全てを奪い去ってゆく嵐。
「今度こそ…オレの手で…必ず…!!」
様子のおかしいジレンは、その手に熱の塊のようなエネルギー弾を生成し、巨大化させる。それをサザンカの顔面へ押し付けてさく裂させようと振りかざす。
確実に、ジレンはサザンカの死を狙っていた。
それに気付いたシロナも、我を忘れて観覧席から武舞台へ乱入しようと体を乗り出す。
しかし、ビルスがそれを押さえていた。
「ウリャア────ァ!!」
その瞬間、遠くから飛んできた緑色の気弾がジレンの気弾へぶつかり、相殺する。軽い爆発が起こり、サザンカの体は後ろへ吹っ飛ばされた。
さらに、ジレンの顔面へ一筋の光線が命中し、彼の頭部が後ろへ反れる。
「…!!」
「当たるのなら、トッポよりやりやすいな」
指先から光線を放ち、余韻の煙を上げるクウラと…
「テメェ、あたしのダチになんてことしようとしてんだ、ああ?」
倒れたサザンカを守るように立ち塞がるケフラの姿があった。