第2宇宙
第3宇宙
第4宇宙
第6宇宙
カリフラ、ケール
第7宇宙
サザンカ、ハーツ、クウラ
第9宇宙
第10宇宙
第11宇宙
ジレン
「なんだ…貴様らは…オレの邪魔を…するな!!」
ジレンは眼力で拳圧を飛ばし、ケフラとクウラを狙う。無数に襲い掛かってくるそれを、ケフラは同じく拳をぶつけて捌き、クウラは斬撃を飛ばして切り払う。
「うるせぇ!よくもあたしのダチに手ェ出しやがったな?何度でもぶん殴って、その罪を償わせてやるぜ!」
ケフラがそう豪語すると、ジレンは怪訝な表情でこちらを睨む。
だが次の瞬間、クウラの飛び蹴りが迫ると、ジレンはそれを手の甲で受け止め、カウンターの気弾をぶつける。
それを受けるクウラだが受け身を取り、すぐさま回し蹴りを繰り出す。ジレンは少しかがんでそれを躱し、下から顎目がけてアッパーを放つ。
クウラも手首から先が無い腕を巧みに使い、ジレンの腕を下へ逸らすと胸へ肘打ちを当てる。だがジレンも、クウラが手先が使えないことを好機とし上半身へ集中してラッシュを叩きこむ。
クウラは腕でガードするも後方へ吹っ飛んでゆく。
その攻防の様子を見ていたサザンカは、強引に吹き飛ばされ体勢が崩れたことでようやく硬直が解け、うつ伏せに倒れた姿でケフラを見上げた、
「…カリフラ…すまねぇ…」
「今は『ケフラ』って呼びな。いいってことよ…前にも言っただろ?あたしにとって、お前はもう妹みたいなもんだ!だが…任せろ、たぶん大丈夫だ!」
(たぶん大丈夫なんだな!?)
「だから少しここで休んでろ。絶対に勝たせてやる」
ケフラはそう言い残すと、サザンカを置いてジレンとの戦いに加わる。
後退してゆくクウラを果敢に攻め立てるジレン。クウラはまともに機能しない両腕の代わりに尻尾を使うが、その尻尾も半分より先が千切れてなくなっているため、ダメージを与えるには至らない。
「そのような五体不満足な肉体で…オレをどうにかできるとでも思ったか…?」
ジレンは気弾を込め、それをクウラへ押し付けようと腕を伸ばす。
しかし、クウラは足元の岩を蹴り上げ、気弾を暴発させると生じた爆炎に紛れて鋭い蹴りを放つ。
ジレンも即座にそれを見抜き、カウンターで回し蹴りを繰り出す。
だが、炎の向こうから突っ込んできたのは千切れたクウラの尻尾の先端だった。剣のように平たく鋭いそれはジレンの足を斬りつけ、顔面に迫る。
背中を逸らして顔を背け、それを避けるジレンだが…その背中の下へクウラが入り込む。
「キサマ…!」
そして肩でジレンを持ち上げるような格好となり、そのまま跳躍しジレンを武舞台外へ向けて投げ飛ばす。クウラはそこへ向けて目から光線を放ち、ダメ押しの追撃を当てようとするが…
「ハアアア…!」
ジレンも眼力だけでそれをかき消し、地面に着地すると一瞬にしてクウラの背後へ回り、背中へ向けて拳を放つ。
「ぬ!?」
クウラは振り向くことなく、後ろへ潰れた腕を向けるとその傷口から自分の血液を飛ばし、ジレンの顔へ浴びせた。
血の目つぶしを喰らったジレンは拳を空ぶるが、クウラの位置を気で判断し素早く下段蹴りを仕掛けクウラの両足を払い、転倒させる。
そして真上から拳を叩きつけようと腕を振り下ろすが…
顔面へ強烈な一撃を受け、横へよろめいた。
そこにはケフラがおり、さらにジレンの腹へ蹴りをぶち込み、吹っ飛ばすことに成功する。
「第6宇宙のサイヤ人か…余計なことを」
「うるせーよ、このスットコ。
「まあいい。合体して得た強さなど脆いものだ…今だけは肩を並べてやる」
クウラは立ち上がりながらそう言うと、ずんずんと肩を揺らしながらこちらへ歩み寄ってくるジレンをケフラと共に迎え撃つ。
ふたりは同時に姿を消し、目にもとまらぬ速度でジレンの周囲を旋回し…
両サイドから脇腹と首目がけて蹴りを命中させた。
「あ…!」
しかし、ジレンはその足を両手で掴んで攻撃を受け止めており、そのままふたりを軽く持ち上げ地面へ思い切り振り下ろし、叩きつける。
「消えろ…」
そして腕を振りかぶり、薙ぎ払うと強力な衝撃波が発生しふたりを呑み込まんとする。
だが…
クウラとケフラの体が本人らの意図無しに突然後ろへ引っ張られ、攻撃を回避する。まるで背後に重力が発生し、否応なく引き寄せられたかのようだ。
「今のは…!」
「そうか、まだアイツも残っていたか!」
「ハーツさん!」
観覧席のシロナやビルスが見ている前で、まだ脱落することなく生き残っていたハーツが復帰した。
「待たせたか?まだまだこれからだ」
ハーツの腹部の衣服が破れ、素肌は赤く爛れ拳による痛々しい打撃痕が残っている。ジレンに手痛い一撃を喰らった後、気絶し戦闘不能に陥っていたが少し休んだことで傷と体力を癒し再び挑戦にやってきたのだ。
「キサマァ…キサマこそ許さんぞ…!」
ジレンはハーツを見た途端、熱波のような気を放出しながらこちらへ襲い掛かる。しかし、ハーツが両手をかざし重力を操作すると、クウラとケフラは今までとは全く違う軽やかな動きでジレンの突撃を躱した。
ジレンも即座に追撃のハイキックを繰り出すが、カリフラはその足を脇に抱えるように受け止め、腿に肘鉄を叩き下ろした。
「ぐうッ!」
鈍い痛みに呻くジレン。
さらに、クウラがジレンのサイドへ迫ったかと思えば床を蹴り、粉塵を巻き上げて視界を封じ、尻尾による殴打を背中に浴びせた。
ハーツの能力により、ふたりの動きは軽く、攻撃は重くなっている。
「なるほど、こりゃいいぜ」
ケフラは手を開いたり握ったりしながらそう呟いた。クウラもハーツのサポートにより、満身創痍の肉体の負担が軽減されているのを実感していた。
「俺も力の出し惜しみはしていられないからな。全力でサポートするぜ」
「ぬああああッ!!」
怒るジレンは叫び、クウラとケフラを同時に殴りつける。
しかし、ジレンの体は文字通り羽のように軽く、重さの抜けた体ではふたりに対して全くダメージを与えられていなかった。
さらに、ケフラとクウラの打撃を胸へ食らい後退し、さらにふたりの猛烈なラッシュが襲い掛かる。
「ジレン…ひたすらに孤高を貫き、強さだけを求める君が、何故他の宇宙を蹴落としてまで勝ちを競うこの大会へ乗り込んだ?」
そんな中で、ハーツはジレンに言葉をかける。
ジレンはケフラたちの攻撃を捌きながら、額に青筋を浮かばせる。
「いや、言わなくても分かる。君は…亡き師匠をドラゴンボールで蘇らせたいんだろう?」
「え?今、アイツ何って言った…?」
第11宇宙の観覧席にいたディスポがそう呟いた。
「ギッチン様が殺されたこと…まだ気にしてやがったのか…」
ギッチンとはプライドトルーパーズのメンバー全員が尊敬した存在。ジレンは特にギッチンを慕い、直接師事し彼のもとで現在の強さの元となる基礎を鍛え上げていた。
そんな中でトッポは腕を組みながら静かに言った。
「…ジレンが唯一達成していないことなんだ。師匠からの卒業、をな」
「卒業?」
「ジレンは最後までギッチン様に認めてもらえなかったんだ。だから師匠を生き返らせて今の姿を見せたいんだろう」
「そうだったのか…しかし何故今更そんなことを…今のジレンならもはやギッチン様を優に超えているはずだろう」
「だとしても、大事な者が最期に残した言葉は呪いと成り得る。ジレンは…長い間それに囚われ続けているのだ」
トッポは、トッポだからこそジレンの抱える想いがわかる。自分もそうだったからだ。
父親が死ぬ前に残した試練の言葉が胸の奥に痞え、絶対に自分はその試練を超えられる実力を持っているのに認めてくれる人はもういない。その苦しみを…。そして、それを拭い去るにはやはりトッポのように…
「自分なりの折り合いをつけて克服するしかない」
「両親の仇を討ちたかった。そのために強くなり、仲間も出来た。だがそれらは何の役にも立たず…仇は信頼する師匠までも殺した。その仇もやがて破壊神によって調伏されてしまった。
先を越されてさぞかし悔しかっただろうな。己の無力を恨み、倒したかった仇よりも、破壊神よりも強くなることでその時の弱い自分や仲間のような甘ったるい存在を否定したんだろ。しなければ正気を保てなかったんだろ」
「黙れ」
ジレンは下を向き表情を見せないままわなわなと震える。
「クハハハハ!なるほど、それは傑作だ!貴様は自分が嫌いなのだな」
ハーツによる暴露を聞いたクウラも笑いたてながらジレンに聞こえるように言った。
「どうしようもない自己嫌悪。それに加え修行が足りず仲間や師をむざむざ殺された己が恥ずかしくてしょうがない。だからひとりでいることを選んだ…仲間との信頼を拒み続けた。やっと貴様の事がわかったよ…初めて見たときから貴様の強さには注目していた。オレも最終的には貴様のようになりたいと密かに目標を持った。
だが看破してみれば…なんともまあ…くくっ。オレでさえできることができんとは…けひひっ」
「黙れェェェェェ!!」
ジレンの怒号が響く。同時に彼の体から噴き上がったマグマのようなオーラが、ハーツの重量操作の術を打ち消した。
そして、クウラを殴り飛ばし、ケフラを蹴り上げる。
「もう無駄話をする時間など与えん!ここで…貴様ら全員葬ってやる!!」
その瞬間、ジレンの気がさらに巨大に膨れ上がった。解き放たれた莫大なオーラが武舞台全体…いや、この無の界そのものに吹き荒ぶ。
約1分30秒後。
力の大会特設武舞台は
消滅していた。
いよいよジレンが全力を出しました。