もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第58話 「激烈!開放された超パワー!」

─五行山─

 

「アンニン殿、そちらは?」

 

「これで最後だ!」

 

アンニンは浮かぶ戦艦の端を掴んで引きずりおろし、そのまま振り回して他の戦艦を巻き込んで破壊すると、それを空の彼方へ投げ飛ばした。

シュネックは群がる戦闘機や兵士の群れを衝撃波で吹き飛ばし、強力な気功波をぶつける。

 

「ぐわあ~~~!!」

 

兵士たちは五行山を追放され、月へ向けて飛ばされていく。

 

「ふう…もう敵は来ないようね」

 

「その通りじゃな…」

 

アンニンとシュネックは五行山を攻める月の客軍と戦っていた。そして今、最後の一団を倒したのだった。疲れた二人はどっと八卦炉の壁に寄りかかる。

 

「シュネックよ…その腕は…」

 

アンニンは、焼けただれて剣が突き刺さったシュネックの左腕を見てそう言った。

 

「安心せい、この程度ならば…」

 

シュネックはそう言うと、なんと傷ついて使えなくなってしまった左腕を自らで千切った。そして少し力むと、新しい左腕を生やして再生させたのだ。

 

「すごいわねぇ、それ」

 

「うむ、やや体力を使うがな。それにしても…彼らはよくやってくれているだろうか」

 

「彼ら…?霊夢はまだ戦って居る筈だが…」

 

「ふっふっふ…さっきわしは感じ取ったのだ、あのカカロットとよく似た荒々しい気が飛んでいくのを…。もしかしたら、カカロットは生きておったのかもしれん。もしそうだとすれば、月の客を完全に敗北させることに望みをかけることができるじゃろう」

 

「カカロット…そうだね、あの子ならきっとやってくれる…」

 

 

 

 

 

─後戸の国─

 

「人間たちには指一本触れさせはしないぞ!」

 

隠岐奈たちは後戸へ侵入してきた月の客兵士たちと戦っていた。だが、だんだんと後退し、とうとう人間が匿われている領域にまで追い詰められてしまっている。隠岐奈たちの後ろの方では、人間たちが心配そうに彼女らの戦いを応援している。

隠岐奈は背後に展開した扉から無数のレーザーを撃ち、兵士たちを的確に射抜いていく。

 

「舞、大丈夫!?」

 

「くっ…」

 

しかし、一緒に戦っていた里乃と舞が敵の攻撃を受け、ダメージを負った。そこにさらに兵士たちが群がり、背中に取り付けていた銀色の棘のような武器を無数に撃った。

 

「む!」

 

だが隠岐奈がその間に割って入り、その身で棘を受けた。何本も胸や腕に突き刺さり、血が流れた。

 

「お師匠様!!」

 

「…はああああああっ!!」

 

隠岐奈はそのまま全身から前方へ向けて衝撃波を放ち、目の前の兵士を一掃する。倒された兵士は後戸の国を追い出され、強制的に月へ向けて送り返されていく。

 

「ふぅ…」

 

全ての月の兵士を倒し終えた隠岐奈たちは息をついてドッと座り込んだ。後ろから人間たちの感謝の声と心配する声がたくさん聞こえる。

 

「これで私たちにできることは全てやった…親玉の討伐はカカロットにまかせよう」

 

「ええ…彼に任せましょう。ところで、お茶でもいかがですか?」

 

「お、いいだろう、この傷ついた体にも効くだろうな」

 

「君たちもどうかな?」

 

隠岐奈はどこからか取り出したティーセットを使い次々とお茶を淹れ、人間たちに配っていく。

そして自分たちも一口飲むと、ふと上を見上げた。

 

「そういえば…お前たちには苦労をかけっぱなしだった。このままカカロットを部下に出来ればお前たちの負担も減るだろうと思っていたが…もうそれすら叶わないだろうな」

 

隠岐奈は少し微笑みながらそう言った。

 

「ホントですよ…次からはもう少し労ってくれると助かるんですがねぇ…」

 

「ほほほ…次からはそうしようか…」

 

人間たちがお茶を飲み終わり、気付いたころには…既に隠岐奈と里乃、舞の姿はそこには無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くたばりやがれ!!」

 

激しい叫び声と共に、どこからかパンチが放たれた。それは明嵐の顔面に鋭く突き刺さり、壁に激突するまで吹き飛ばした。

霊夢はぼやけた視界の中に、確かに見た。

灰色の道着に、黒いアンダーシャツ、ツンツンに逆立った黒髪…しゅるんと動く猿のような獣の尻尾。

 

「カカロット!」

 

そこにいたのは、正しくあのカカロットだった。

 

「カカロット…でも、この間と雰囲気が少し違う…?」

 

永琳が息も絶え絶えにそう言った。それは霊夢も、朦朧とする意識の中で思った。見た目こそ依然とさほど変わらないが、爆発的に増大した溢れんばかりの気は周囲を熱気のように包み込んでいた。

 

「ほう、この娘の仲間だった小僧か!おい明嵐、いつまで伸びている…先にこの命知らずの馬鹿者を始末しろ」

 

月夜見王が腕を組みながら顎でそう示す。明嵐は起き上がると、首をポキポキと鳴らす。

 

「いいでしょう…今のは油断していたけれど、姉さんから聞けばコイツの戦闘力はたかが1000程度…私の敵ではないよね」

 

「キサマ、月夜見王か?なんか見た目がえらい変わってねぇか?」

 

カカロットがそう指摘した。確かに、前に見た時よりも雰囲気が若くなっているような気がする。

 

「ドラゴンボールで若返ったのだ!これがどういうことだかわかるか?お前が全く歯が立たなかった親衛隊よりも強かったこのわしがさらに強くなったという事だ。だが安心しろ、お前はこのわしの恐ろしさを知ることなく明嵐に倒されるのだ」

 

「何だと?ドラゴンボールで…。まぁいい…だったら俺からも忠告しておいてやる。明嵐は今の俺には勝てねぇ、次はお前の番だからせいぜい震えて待ってるんだな」

 

「ほう…?」

 

「私が君に勝てないだって?ならば教えてあげよう、武道会の決勝戦ではまだ全然本気じゃなかったんだよ。そして今からもだ…君は私の本気を見ることができないまま沈むのさ」

 

割り込んできた明嵐にそう言われたカカロットはにやりと不敵に笑い、彼女に向き直る。

明嵐は構え、じりじりと距離を詰める。が、カカロットは少しも動かない。

 

「ちぇりゃあああ!!」

 

素早く飛びかかる明嵐。一瞬のうちに20発以上もの拳の連打を放ち、カカロットへそれを叩きつけた。

 

「…!?」

 

しかし、攻撃を打ち終えた直後、既にその場所にカカロットは居なかった。まさかと思い後ろを見ると、そこにはカカロットがこちらへ背を向けて立っているではないか。

 

「どういうことなんだ…?」

 

困惑する明嵐。

 

「何をしておる明嵐、早くしろ」

 

月夜見王にそう命令されると、明嵐は再びカカロットへ攻撃を仕掛けた。

しかし、カカロットは突然振り返ると、明嵐の足元に自分の足を引っ掛けた。明嵐はバランスを崩し、前のめりに転んでしまう。

 

「うぐ…」

 

「ど、どういうこと?何をしたの?」

 

様子を見ていた霊夢がそう呟いた。

 

「ふっ、マヌケが…」

 

カカロットはそう挑発するように言った。それを聞いた明嵐は起き上がると、わなわなと怒りに肩を震わせた。額に血管を浮き上がらせ、もう一度殴りかかる。

さらにそれを見切ると…カカロットは一撃、明嵐の顔面に蹴りを叩きこんだ。

 

「ぶは…!」

 

「どうした?お前の実力はその程度だったのか?」

 

「くっ…うふふ、ナメてもらうなよ…だったら私の本気を見せてやろう!」

 

明嵐は体に力を込め、一気に体内の気を解き放った。あたりにビリビリとその強靭なオーラを充満させ、立っていた床がクレーター状にややへこんだ。

拳を握りしめ、カカロットを睨みつける。

 

「あれはいつ頃だったか…当時私が好きだった男を姉さんが殺した…だから私は怒り、その時初めて眠れる力を解き放ったのだ。それまで私は無意識にパワーを押さえ込んでいたようでね…それ以来、私は月夜見王に次ぐ絶対的な戦闘力を手に入れると同時に、それをコントロールする術を身に付けたんだ」

 

明嵐は構える。

 

「うふふふ…さぁ、始めようか!」

 

次の瞬間、明嵐が消えた。一瞬にしてカカロットと距離を詰め、その背後に移動したのだ。

 

バキッ

 

…しかし、背後に現れその背中に気の刃による一撃を加えようとした明嵐の顔面に、カカロットの裏拳がヒットする。カカロットは後ろを振り向くことも一歩も動くことなく、的確に攻撃を当てたのだ。

 

「うぐ!」

 

後ろへ飛んで距離を置き、態勢を立て直そうとする明嵐。しかし、今度はカカロットが一瞬にしてその背後へ移動した。

それに気付いた明嵐は驚きに目を見開き、恐る恐る後ろを振り返り、カカロットの顔を見た。

 

「ノロマ…」

 

その言葉に完全に怒った明嵐は右腕の気の刃で斬りかかる。

 

「ちぇりゃあ!」

 

それを受け止めると、カカロットは明嵐の腹にパンチを叩きこんだ。深く鳩尾にめり込み、明嵐は言葉にならない声を出して苦しむ。

 

「うげぇ…っ!」

 

そしてその脳天へ両手を合わせた拳をぶつける。しかし明嵐も負けじとすぐに態勢を立て直し、両腕に作った刃でカカロットへ猛攻を仕掛けた。

 

「おそいぜ」

 

繰り出される猛攻をかいくぐる。だがその時、明嵐は両腕の刃を振るってそれを射出した。

 

「む…!?」

 

その刃は4つに分裂し三日月のような形状になり、カカロットの両手足を拘束した。カカロットが力を込めても、なかなか外せそうにない。

 

「これで君は動けない!もらった!」

 

勝ち目を見出した明嵐がカカロットへ向かう。

…しかし、カカロットの背後から伸びた尻尾が明嵐の腕に巻き付いた。

 

「なに…し、尻尾!?そんな…!」

 

それを振り回して明嵐を投げ飛ばし、床へ叩きつける。明嵐は床に激突するとバウンドし、そのまま倒れ込んだ。起き上がろうと上体を起こすが、すでに拘束の三日月を破壊していたカカロットは胸を踏みつけて起きられないように固定する。

 

「どんな自分より弱い相手対してでも、ナメて手加減されるってのは最高の侮辱なんだぜ?今もそうだ、最初からテメェがマジだったら、結果は変わってたかもな」

 

それを聞いた明嵐は悲壮感漂う顔を浮かべる。明嵐が弱い相手に実力を調節して戦うのは、いわば自分は月の民でありなおかつその中でも強大な戦闘力を誇っているからという慢心から来るものだろう。

 

「じゃあな」

 

そしてかざした両腕の掌から強烈な気功波を放った。明嵐を押し込んで床を貫通し、この戦艦の外まで飛んでいく。その圧倒的な威力を前に明嵐は粉々に消滅し、光の筋となって通路の奥へ消えていった。

 

「…キサマ…」

 

月夜見王はカカロットを睨みつけながら彼の前に降り立つ。

今、ついに幻想郷…いや、地球の命運をかけた究極の戦いが幕を開けようとしていた…!!

 

 

 

 




いよいよ最終決戦です。

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