もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第72話 「ドラゴンボール争奪戦開幕」

「まったく天津飯め!決勝戦まで勝ち抜いておいて土壇場で負けるなど…しかもあの亀の弟子ごときに…!」

 

鶴仙人は荷物をまとめながらイライラとそう言った。横では餃子が申し訳なさそうに俯いている。

ここは予選試合などが行われていた部屋だが、もうすでにその時の武舞台などは片づけられていて何もない。

 

「お前は論外だ!予選試合であのブルマとかいう娘に負けおったな!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「まぁよい、帰るぞ。お前は帰ったらみっちり桃白白に鍛えてもらうからな」

 

「あれ、まだいらっしゃったのですか?」

 

とその時、審判の男がやって来た。

 

「うるさいわい、これから帰るところだ!」

 

鶴仙人がそう怒鳴った瞬間、いつの間にか部屋に入り込んでいた不気味な影が目に入った。嫌な記憶を思い出させるような外見を視界の端に捉えた鶴仙人はそちらに顔を向けるが、すでにその場に影は無かった。

 

「な…!」

 

わずかな邪気を察知し、別の方向に振り向く。その目で見た光景は、餃子が頭を肘で強打され、音もたてず声も出せない程の一瞬で仕留められる光景だった。

その不気味な影は緑色の姿をしていて、翼と全身を覆う鱗が特徴的だ。そして鶴仙人は、この者が忘れもしないピッコロ大魔王の手下だった魔族にそっくりな事を思い出した。それも当然、こいつはピッコロ大魔王が生み出した魔族の戦士・タンバリンだからだ。

 

「…おのれ、『どどん波』!!」

 

白目を向いて倒れている餃子を見た鶴仙人は、とっさにどどん波を放った。

しかし、タンバリンはそれを見切ったようにかわし、一瞬で鶴仙人との距離を詰めた。そして目にもとまらぬスピードで一撃を繰り出し、鶴仙人の腹を腕で貫いた。

 

「が、がは…ぎゃああああああ!!」

 

「あ、あわ…た、大変だ、誰か!」

 

審判が助けを求めようと走り出した。しかしタンバリンはそれを見逃さず、審判の頭を蹴りつけた。

審判は倒れ込み、気を失った。

 

「フッ、他愛のない奴らだったぜ」

 

タンバリンは「魔」の字が書かれた紙をその場に捨てると、倒れた審判の傍らに散らばっている過去10年ほどの天下一武道会参加者の名簿をかき集めた。そして、鶴仙人の持っていた荷物を探り、中からオレンジ色で中に赤い星マークが埋め込まれた球を取り出すと、それを不思議そうに見つめる。

 

「まさかこれがドラゴンボールとやらか?もらっておくか」

 

そしてそれを持つと翼を広げ、再びどこかへ飛び去っていった。

 

 

 

 

「敵は変な球も持って行ったと言ったな?」

 

亀仙人は夜の空を見上げながら審判にそう尋ねた。

 

「ええ、確かオレンジ色の半透明な野球ボールくらいの大きさの球です」

 

「それはドラゴンボールじゃ…まさか鶴仙人が一個持っておったとは」

 

「ドラゴンボール…私が持っているのは2個…敵が持っていったのが1個…そしてレッドリボン軍が持っているボールが4個…」

 

「ええ、ドラゴンレーダーの表示の一つが武道会場にあるのは鶴仙人が持っていたからなんですね」

 

ブルマとクリリンがそう言った。

何が何だか分からない天津飯は、彼らからドラゴンボールが何たるかを教えられた。

 

「…すごいな、そんな道具がこの世に存在するとは…」

 

「ボールを奪って行ったということは…ピッコロも何か叶えたい願いがあるというわけね」

 

「うむ、あれだけ強大であったヤツが叶えたい願いとは一体何なのじゃろうか」

 

「何かは分かりませんが、ピッコロがボールを集めるのを阻止しないと。できればピッコロとレッドリボン軍が互いにつぶし合ってくれればいいんだけど…」

 

「ああ…じゃがもしピッコロがレッドリボンの4個のボールを奪ったとしたら、もうわしたちが奪い返すのは難しくなるじゃろう。ここはひとまずレッドリボン軍に勝負を挑むしかあるまい…」

 

「レッドリボン軍…」

 

ブルマは顔をしかめ、歯をかみしめながらそう憎々し気に呟いた。亀仙人はそのブルマの顔を見ると、彼女がここまでレッドリボン軍に反応を示す理由を思い出した。

 

「あの世界最悪の軍隊はお前との因縁がある…以前はコテンパンにやられてしまったが、今のお前さんやクリリン、そしてわしや天津飯がいれば勝てるかもしれん。…ピッコロにもだ」

 

「そうですよ!ピッコロにもレッドリボン軍にもドラゴンボールをそろえさせるわけにはいかない、どちらにせよこの二大勢力を倒すしかないんです!」

 

「レッドリボンにピッコロ大魔王か…いいだろう、俺も戦う!」

 

亀仙人、ブルマ、クリリン、天津飯の四人は新たなる戦いへの決意を固めるのだった。

 

 

 

 

 

一方、場所はピラフ一味の飛行船基地に戻る。

そこでは帰還したタンバリンが、奪ったドラゴンボールをピッコロに見せていた。

 

「なるほど、それがドラゴンボールか」

 

「はい、確かにこの者たちの言った通りの場所にありました」

 

「ね、ね!言った通りでしょう!」

 

ピラフ一味はドラゴンボールの放つわずかな磁気を察知しその場所をしめすドラゴンレーダーなる装置を持っていた。ある程度正確な場所も求められるレーダーは世界で二つ存在し、一つはピラフ一味が、もう一つはブルマが自作した物だ。

先ほどブルマたちが話していたレッドリボン軍もレーダーを有しているが性能はすこぶる悪く、なかなかそろえることができないでいた。

 

「これを7つ集める事が出来れば、わしの願いが叶う訳だな」

 

「そうでございますな、大魔王様」

 

ピッコロの横に仕えている小柄なプテラノドンのような頭をした魔族、ピアノはそう言った。

 

「ところで、大魔王様はいったいどんな願いを叶えるおつもりで…?」

 

ピラフがそう尋ねた。

 

「それはもちろん永遠の若さだ!わしが若返って最高のパワーを取り戻す事が出来たら、永遠に世界を支配下におけるのだ」

 

ピッコロは若さをドラゴンボールに求めていた。魔封波で封印されていた約300年間の間、ピッコロは電子ジャーの中で年を取り続けていた。それにより衰えたパワーでは仮に世界を支配できたとしても長い間王に君臨できないと考えたからだ。

 

「そうでございましたか!若返れば世界が征服できるのですね?」

 

「ふん、世界征服如き今でも十分可能だ…だがわしは一刻も早く若さが欲しいのだ」

 

「あの~、それでですね…頼みというかお願いなんですが…もし世界を支配した暁には、この我々に世界の半分を譲っていただけないでしょうか?」

 

それを聞いたピッコロは黙り、じっとピラフたちを見つめた。

 

「なんでしたら3分の1でも…いえ、4分の1でも構いません!」

 

「…そうだな、考えておこう」

 

「そうですよねっ!前向きにお願いします!」

 

「武道家か…」

 

ピッコロは思い立ったようにそう呟くと、自分のそばに置かれたかつて自分が封じ込まれていた電子ジャーを見た。

 

「このわしを訳の分からん術でこんなもんに封じ込めおって…」

 

そして目から念力を送り込み、電子ジャーを爆発させて粉々に破壊した。ジャーが置かれていた場所には黒いすすの跡だけが残っていた。

 

「力を持った武道家全員に死の世界を見せてくれるわ!おいタンバリン、お前が持ってきたリストに書かれた武道家を皆殺しにするのだ、よいな!」

 

「はっ!」

 

「そしてお前たちは次のドラゴンボールの場所を教えろ」

 

「次は…少し遠いですが、ここに4つものボールが集まってます!ここなどいかがでしょう?」

 

 

 

 

「そうか、ピッコロが参加者の名簿を持って行ったわけがわかったぞ!奴は武道家と魔封波を怖れておる…だから名簿を…」

 

そう考えた亀仙人の読みは実に正しい。

ただし、誤算があるとすれば…

 

 

 

 

「でもピラフ様、ここって確か…」

 

「ん?ここがどうかしたか?」

 

「確か、この場所はレッドリボン軍の本拠地だったような…」

 

「な、なにっ、レッドリボン軍!?」

 

ピラフは、目指している場所がレッドリボン軍の本拠地だと聞いて驚いた。あの世界最悪の軍隊と称されるほどの力を持つ軍隊…世界連合の警察でさえも手におえず、今まで野放しにされてきた連中だ。

 

「なんだその、レッド…何とか軍とは?」

 

会話を聞いていたピッコロがそう尋ねた。

 

「レッドリボン軍と言って、とんでもない強さの軍隊です!まさか、ドラゴンボールを4つもっているのがレッドリボンだったなんて…」

 

「ふぁっふぁっふぁ…面白い!その世界最悪の軍隊とやらを、このピッコロ大魔王様が潰してやろうではないか!」

 

 

今、亀仙人たち、ピッコロ大魔王、そしてレッドリボン軍によるドラゴンボール争奪戦が始まろうとしていた…!

 

 

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