もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第74話 「300年越しの覚悟」

「お前がピッコロ大魔王だな?」

 

ブラック補佐は拳銃を構えながらそう言った。ピッコロは窓の枠から床に降りると、転がっているレッド総帥の死体をちらりと見た。

 

「いかにもわしはピッコロ大魔王だ。さぁ、ドラゴンボールを渡せ。お前は見たところなかなかの悪のようだ…言うことを聞けば殺さないでおいてやる」

 

「ふ、ふふ…良い提案だな…どうせお前の願いは世界征服だろう?だったら、一緒に世界を征服しようじゃないか」

 

ピッコロは少し黙った後、応えた。

 

「クックック…世界征服など、ドラゴンボールを使わずともいつでも達成できることだ」

 

「なに?ではお前がドラゴンボールを集める理由は…?」

 

「それは若さだ!若返る事が出来れば、より長くこの世界を支配することができるからな!」

 

「…ドイツもコイツも…自分の事ばかりか…!」

 

ブラック補佐はピッコロに対して憎らし気な表情を浮かべるが、そこには若干の笑みも混ざっていた。それは恐怖から来るひきつったものか、それともピッコロに何かを感じたのか…。

 

「待ていブラック!ドラゴンボールを渡してはならんッ!!」

 

その時、部屋の扉が勢いよく開け放たれた。ブラックが振り返ると、そこにいたのは禿げた頭に白髪を残した老人だった。だが老人という割には姿勢もピシリと整っていて、妙な若々しさがあった。

だが息を切らしていて、汗を流している。

 

「あなたは…ドクター・ゲロ!」

 

ドクター・ゲロはレッドリボン軍に所属する天才科学者である。実は軍の創設メンバーの一人であり、数々の兵器を開発することで実質裏から軍を支配していることになる人物だった。

 

「はぁ…はぁ…!忘れたか、我がレッドリボン軍の目的を!そんな奴にみすみす渡してはならん!」

 

「黙れ、邪魔をするなら殺してしまうぞ」

 

ピッコロはゲロに対してそう威嚇した。ゲロは怯むが、すぐに威勢を取り戻す。

 

「ふん、やってみるがいい!私の作った傑作の人造人間たちが相手だ!行けい、人造人間6号!7号!そして9号!!」

 

ゲロがそう叫ぶと、部屋の壁を突き破って三体の人間のような見た目をした何かがやって来た。

一体は若い少年のようで、一体は老婆のような姿をしていて、最後の一体は体格の大きい髪の長い青年のようであった。三体の人造人間はゲロが作り出した究極の兵器である。疲れも痛みも感じず、人間と同じような思考能力を持つ無敵の兵器たちはどんな相手にも負けない。

 

ゴシャ

 

だが…

 

「な、なにっ!」

 

ピッコロは襲い掛かってくる人造人間たちを殴りつけた。そして圧倒的なパワーでバラバラに破壊し、一瞬で人造人間を倒してしまう。

 

「ありえんっ!私の人造人間たちが…!」

 

ゲロは足元に転がって来た人造人間の頭部を見てそう言った。

 

「おい、ブラックとかいったか?」

 

「あ、ああ…」

 

ピッコロは右腕に雷のようなエネルギーを溜めながらそう聞いた。

 

「取引だ…お前が持っているドラゴンボールを全てこのわしに渡せば、世界を支配した時にその半分をお前にくれてやろう。なぁに、わしがドラゴンボールで若返りさえすれば世界征服など造作もない事だ…」

 

ブラックはピッコロの圧倒的パワーをその目で見て感じていた。この大魔王の言うことは間違いない…本当に世界を支配できるほどのパワーを持っている。

 

「…わかった」

 

ブラックはピッコロに四つのドラゴンボールを手渡した。ボールは全てピッコロの大きな左手の中に納まってしまう。

それをみたゲロは思わず驚いた表情を浮かべた。

 

「よし」

 

すると、突然空中へ浮かび上がるピッコロ。天井を破り、ほぼ壊滅状態のレッドリボン軍本拠地の上空へ浮かんだ。…右手に悪の気を蓄えさせながら。

 

「感謝するぞ…これでわしの若返りへの道が進んだ」

 

「え?」

 

 

 

 

「あ、あれは…!」

 

その時、亀仙人たちは突然上空に現れた謎の影を見上げていた。それを見た亀仙人は、確かにそれがあのピッコロ大魔王であると確信する。

 

「あれが…ピッコロ大魔王…!」

 

天津飯がそう声を漏らした。

 

「でも、あの振りかぶってるのって…あれでここをぶち壊すつもりじゃない!?」

 

ブルマがそう叫ぶ。そう言っている間にも、ピッコロは振りかぶる腕を降ろそうと構え始める。

 

「そ、そうみたいですね…」

 

「いかん、逃げるのじゃ!」

 

走り出す亀仙人につられてクリリン達も逃げ出す。

 

 

 

 

 

「『魔光砲』!!」

 

ピッコロは下へ向けて強烈なエネルギー波を放った。それは着弾すると大きな爆発を起こし、ドクター・ゲロやブラック補佐、人造人間の残骸、レッド総帥の死体…そして残っていた兵士たちを粉々に吹き飛ばしてしまう。

…爆発が収まると、今まで本拠地の建物があった場所には大きなクレーターとその残骸が遺されるだけとなった。

レッドリボン軍はピッコロ大魔王の手によって壊滅した。

 

「ふっふっふ…これでわしのドラゴンボールは五つか…」

 

ピッコロは口の中から、あらかじめ飲み込んでいたタンバリンが持ってきたドラゴンボールを吐き出した。ブラック補佐から奪った四つのボールと並べ、その輝きを確かめる。

そうしていると、上空からピラフの飛行船がおりてきた。いつの間にか帰還していたタンバリンとピアノがピッコロを出迎える。

 

「お疲れ様です大魔王さま」

 

「うむ」

 

「大魔王さま、大変で御座います!」

 

ピッコロが中に入るなり、ピラフがやや焦った様子でそう言った。

 

「何だ騒々しい…」

 

「このレーダーをご覧ください!」

 

「…これは」

 

地球儀型のドラゴンレーダーには、自分がいるこの場所のすぐ近くに二つのドラゴンボール反応があった。つまり、ボールを持った何者かが既にこの場所にいたという事!

 

「ちょうど大魔王様が降りていってすぐにこの場所に近づいてきました」

 

「そうか…では奪いに行くか。タンバリン、ついてこい」

 

「はっ」

 

 

 

 

 

「げほっげほっ…」

 

「ピッコロの奴…なんちゅうことを…!」

 

亀仙人たちは崩れた建物の残骸の中から這い上がった。少し怪我をしているが、命に別状はないだろう。これも、いち早くピッコロが攻撃しようとしていることに気付きできるだけ離れようとした結果だ。

 

「…この気配は…!」

 

その時、亀仙人は周りに充満する不吉な気を感じ取る。

亀仙人が瓦礫の山から顔を出して反対側を見ると、そこには手下のタンバリンと共にこちらにゆっくりと歩み寄ってくるピッコロ大魔王の姿があった。だが、まだこちらには気付いていない様子。

 

「ピッコロが来ておる…ドラゴンボールがここにあると感づいておるな」

 

「ピッコロが…ということは、ここで俺たちが出てやつを倒す…全員でかかれば倒せると言うことですね」

 

「それだったら早く行きましょうよ!まだこっちに私たちがいることに気付いてないんだったら、不意を突けばいいわ」

 

「…残念だがそうはいかんのじゃ」

 

その時、亀仙人は突然振り返り、ブルマの顎目がけて突きを繰り出した。それをまともに受けたブルマはよろよろと倒れ込み、気を失った。

 

「武天老師さま、な…何を…!」

 

「お主らもここで見ていろ。わしが一人で行って来る。なぁに、心配することはない…わしは不老不死の水を飲んでおるからの」

 

「じょうだんじゃないッ!」

 

しかし、それを聞いた天津飯とクリリンは激怒した。

 

「おれはそれじゃあ何をしにきたのかわからないじゃないですか!」

 

「そうだ!俺はピッコロに師匠も仲間も殺された…戦う理由はある!」

 

反論する二人だが、亀仙人がどこかに忍ばせていたスプレーを顔に吹きかけられた。二人はすぐに倒れ込み、眠り込んでしまった。

 

「すまんが眠っててくれ…不老不死の水などありゃせん。もうピッコロを倒せるのはお主ら三人しかいない…だが今のままでは無理、何年も修行を積んで、いずれ奴を倒してくれ…」

 

亀仙人はそう言い残すと、その場を後にする。

 

 

 

 

 

「む」

 

「大魔王さま、誰か出てきましたよ」

 

タンバリンは瓦礫の山の向こうから亀仙人が出てきたのを発見する。両者ともに足を止め、互いに向かい合った。

しばらく硬直が続いたが、それを亀仙人が破った。

 

「ピッコロ大魔王!ドラゴンボールはここじゃ!」

 

「…!ほう、わしだということを知っておったか。だがピッコロ大魔王と分かっていて戦いを挑んでくるとは賢いと言えんな」

 

亀仙人はそんな言葉などおかまいなしといった様子で、ポケットから二つのドラゴンボールを取り出し、自分の背後に落とした。

 

「わしを倒す事が出来たら遠慮なく持ってくがいい」

 

「はーっはっは!面白いジジイだ!タンバリンは下がっていろ、わしが直々に相手をしてやる。お望み通りな…」

 

タンバリンは後ろへ下がり、ピッコロは少し前へ進み出た。

 

「身の程知らずめ…だがわしのことは噂や昔話でしか知らんだろうから無理もないか」

 

「貴様と会うのはこれが初めてではない」

 

「ふん!でたらめを言いおって」

 

「でたらめなどではありゃせん。その昔、わしは師匠と共に貴様と戦った」

 

「なんだと?」

 

その時、ピッコロの表情が少し変わった。

 

「師匠の名を教えてやろうか…『武泰斗』さまじゃっ!!」

 

「な…!!なに!?」

 

 

 

 

「まだ眠らんぞ…!」

 

「ああ、武天老師さまを一人で戦わせるもんか…!」

 

クリリンと天津飯は意識が朦朧としているものの目を覚まし、何とか起き上がろうとしていた。

 

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