「馬鹿者が、こちらから仕掛けさせてもらうだと?戯言も休み休み言え」
攻撃が全く効いていなかったことに気付いたピッコロだが、ラディッツの言葉を聞いて再び怒りを燃え上がらせた。
ピッコロは頭に血管を浮き出させながら言った。
「だが大したヤツだ…このピッコロさまのプライドをここまで傷つけたのは貴様が初めてだ…。くっくっく…とうとうわたしのフルパワーを見せる時が来たようだな」
「フルパワーだと?」
「フルパワーで戦うとわたしの寿命が縮まるんでな…できれば使いたくはなかったがそうも言っておれんようだ」
ピッコロは姿勢を低くし構える。するとその全身からオーラが噴き出し、その身体に電気のように纏わせた。
少しだけ全身の筋肉が膨れ、周囲に転がっていた石ころがカタカタと音を立てながら浮かび上がる。
「戦闘力が上がっている…!650だと…!?今度は攻撃の一瞬のみではない…継続している…」
「はぁっ!覚悟は良いだろうな?」
ラディッツは構えると、飛びかかって攻撃を仕掛けて来るピッコロを迎え撃った。拳と拳をぶつけあい、強烈な風が吹き荒れる。さらにラディッツは蹴りを繰り出し、ピッコロの腹に命中させるが、ピッコロは苦しそうな顔を見せるもすぐに反撃に出た。
「でやぁっ!!」
腕を振るって衝撃波を放ち、ラディッツに当てる。
「チイッ、面倒臭いな!しかしその程度のパワーアップ、俺様の前では無力に等しいということを…理解させてやる!!」
空へ飛びあがるラディッツ。それを追ってピッコロが迫る。
が、ラディッツは両腕を突き出すと、向かってくるピッコロに向かって一発の巨大なエネルギー波を撃ちこんだ。
「な!?」
あまりの威力の攻撃に圧倒されてしまったピッコロの動きが止まる。そして、彼をエネルギー波が包み込んだ。
彼はそれに押し込まれ、地面に激突し、そのまま地表を滑るようにしてはるか遠くへ吹き飛ばされていき、岩山に激突して止まった。
それを見届けたラディッツは、前へ乱れた髪の毛を後ろへ払う。
「はっはっはっは!この一流のサイヤ人戦士に勝てると思っていたのか!…さて、カカロットを探しに行く前に腹が減ったな…メシでも調達しに行くか」
「むう…ぐぐぐ…チクショウめ…!」
粉々に崩壊した岩山の中からピッコロが起き上がった。全身は傷だらけだが、何とか生きてはいるようだった。
頭の上に乗っかっていた石を握りつぶし、起き上がろうと後ろへ手を突いたその時…。
「なんだこれは?」
手に何かグニャリとしたものが触れ、不思議に思う。強引に掴んで引っ張り上げると、不気味な物体が姿を現した。
茶色とピンクの混じり合ったような色をした直径2メートルほどの球であった。全体に浮き出た筋が走っていて、ドクドクと発光しながら脈打っている。
「…気持ちが悪いな」
ラディッツにやられたことで気が立ちイライラしていたピッコロはそれを空中へ放り投げ、渾身の気功波でもってそれを破壊してしまった。
ピンク色のブヨブヨした破片が周囲に飛び散るが、すぐに黒く変色して塵となって消えた。
「無様だなピッコロよ」
その時、自分の上の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。いや、聞き覚えがあるというレベルではない…自分とうり二つのそっくりな声だった。
「…!貴様は…」
見上げると、そこにいたのはピッコロと似たような姿をした老人であった。深い緑色の肌に、大きな丸の中に「神」と書かれたローブを着て杖を持っている。
「神…!」
そう、ピッコロの前に姿を見せたのは、地球の神であった。
「ふっふっふ…わたしがやられたのを好機と見て殺しに来たか…!だが俺を殺せば貴様も死んでしまうはず…」
「私はお前を殺しに来たのではない。逆だ、お前を救いに来た」
神はそう言うと、傷だらけのピッコロの体に手をかざした。すると神の手から神聖なオーラが放たれ、それを浴びたピッコロの傷が回復していく。
「何を企んでおる…?」
それに驚きながらも、ピッコロは怪訝そうにそう言った。
「このたびはある話を持ち掛けに来た」
「話、だと?」
「お前ももちろん覚えておるだろう…300年前、私とお前はふたつに分離し、片や神となりもう片や大魔王となった。だからどちらか一方が死ねば両方とも死んでしまう。そして私は地球の神だ…後継者のいない今、お前と共に私が死んでしまっては色々とまずいからな」
「ふん、それで何が言いたいのだ」
「あの宇宙からやって来た邪悪な者はとてつもなく強い…もはや私やお前などでは到底太刀打ちできるものではない。かといって、私も奴を見過ごすことができない。そこで、どうにかしてお前に奴を退治してもらいたいのだ」
「…見ていたならわかるだろう、わたしでもこのざまだ…例え片割れのキサマでもどうにかできるとは思えん」
神は少し黙ってから言った。
「だが一つだけ手段がある」
「なんだと…?」
「ふっふっふ、どう頑張っても力の及ばぬ者を沈黙させることのできる奇跡の封印術…『魔封波』だ」
それを聞いたピッコロは目を丸くして驚く。
「ま、ままま魔封波だとっ!!?」
「そうだ。お前が魔封波を覚え、ヤツを封印してしまうのだ。私も習得したはいいものの、今や世界の悪であるお前とそっくりな者が現れたとなっては混乱を招いてしまうからな…だからお前にやってもらうにはないと思った」
「…馬鹿者が!誰がそんなことをするか…」
「いいのか?このままではいずれお前の事など誰もが忘れ、人々の恐怖の対象はあの宇宙人に向けられるようになる。そうなってはお前も面白くないのではないか?」
「…くっ…ならばいいだろう…このオレさまに魔封波を教えるがいい」
その言葉を聞いた神は、ピッコロに見えないようにしてこっそりとほくそ笑んだ。
「よし、ならば私が魔封波を教えてやろう」
「ハーッハッハッハッハ!!」
ラディッツはカカロットを探しながら行く先々を荒らして周り、強力な戦闘力反応が現れるかどうか試していた。
そしてニッポンに辿りつき、目につく街に向かってエネルギー弾を放ち、大きな爆発を起こして人々を虐殺して回っていた。
ピッコロ以上に恐ろしい破壊者の出現を前に、人々はかつてない恐怖を感じながら逃げ惑っていた。
「脆い、脆すぎるぞ地球人!少しは骨のあるやつはいないのか?」
燃える街並みを見下ろしながらそう呟いた瞬間、ラディッツの顔面目がけて紫色のオーラを纏った道路標識が飛んできた。ぶつかる寸前でそれに気づいたラディッツは顔を逸らして避ける。
「む…!」
「こ、コラ!誰だか知らないけど好き勝手しないでちょうだい!」
目の前に現れたのは、茶髪で眼鏡をかけた女性だった。白いマントを夕闇の中にはためかせ、白いオーラを放っている。
「…戦闘力80か…ザコはザコだが、普通の連中よりははるかにやるようだな」
「ザコですって…!?これでも私は初代秘封倶楽部会長の宇佐見董子よ!…ってうわ!!」
突然目にもとまらないスピードで接近し蹴りを繰り出すラディッツ。董子は間一髪それを避け、次の攻撃に出ようと超能力を発動させる。ラディッツの破壊攻撃で崩れた建物の残骸を浮かび上がらせ、つぶてのように投げ飛ばす。
「ふん、稚拙な技だ」
ラディッツは向かい来るつぶてを全て殴って破壊しながら弾き飛ばした。驚く董子に再び接近し、その腹に強烈な蹴りを浴びせた。
「うぐ…ッ!!」
「この程度でダウンか?まだほんの少しの力も出していないぞ」
その時だった。どこかから飛んできた黄色い光線のようなエネルギー波がラディッツの背後を狙っていた。ラディッツは空中で逆さに身をひるがえしてかわし、後ろを振り返った。
そこには、あのピッコロ大魔王がこちらに人差し指を向けていた。指からは煙が上がり、額には筋が浮き出ている。
「さっきのヤツか…せっかく命拾いしたのに、もう一度確実に殺されに来たようだな」
「ふん、今から自分がどうなるのかも知らずに…」
「なに?」
「見せてやろう、このピッコロ大魔王さまの魔封波をな!!」
ドクター・ゲロは死んで人造人間が誕生する未来は無くなり、魔人ブウが封じられた球も消滅した…残るヤツはあのお方だけ…
それとそう言えばですが、この作品にて武泰斗編を書いてた頃に武泰斗が山にこもって魔封波を習得した期間を2か月としてましたが、アニメを見返してみたら数年といってましたね…あそこのあたりはこのアニオリシーンを参考にしたのにこれはひどい。でもこれは二次創作やねん…だからこれでいいねん