ついに、サイヤ人が襲来する運命の日はちゃくちゃくと迫っていき…とうとうサイヤ人はエイジ762年11月3日、地球に到着したのだった!
ドォン…
2つの宇宙ポッドが街中に着陸した。そこは丁度道路のど真ん中で、車や標識、アスファルトを吹き飛ばしながら大きなクレーターを形作る。
その中心で、人々がざわめきながら様子を見る中、ポッドの扉が開いた。
「なんだ…人が出てきたぞ!」
サイヤ人は尻尾が生えている以外は地球の人間とさほど外見的な違いはない。
二人のサイヤ人…ナッパとベジータは周りの町並みと景色をぐるりと見渡すと、にやりと笑った。
「地球か…まあまあの星じゃないか」
「へっへっへ…ピーピーうるさいヒヨコ共にあいさつしてやろうかな」
大柄でスキンヘッドの方、ナッパは右手の人差し指と中指を上に向け、クイッと上げながら気を込めた。その瞬間、彼を中心にとてつもない気の爆発が巻き起こった。
その衝撃は周囲の人々は愚か、街を完全に巻き込んで破壊し、なんと宇宙から見てもハッキリと規模がわかるほどの巨大なドーム状の爆発が発生していたのだ。
それが治まると、辺りにはついさっき彼らが乗ってきた無傷の宇宙ポッドだけが残されており、あとは見渡す限り削られた茶色い大地しか残っていなかった。
「来たな…」
天界の端で瞑想を行っていたピッコロは、サイヤ人の強大な気の来訪と恐ろしい威力の爆発を感じ取った。
「なによ、サイヤ人は何をしたの!?」
同じく、ブルマも天界からその衝撃を感じ、圧倒的な威力に驚きを隠せない。
神様も、規格外なパワーを前に不安を抱いていた。
「…ふふん、いよいよ私の修行の成果を見せる時が来たようね…」
だがブルマはすぐに気合を取り戻し、自信満々な様子でそう言った。そしてグッと踏み込んで全身に白いオーラを纏い、天界から下界へ降りようとする。
「待つのだブルマ!お前ではまだあのサイヤ人には…!!」
咄嗟に降りてきた神様がそう止めようとするが、ブルマは目の前で飛び去っていった。
「わははははっ!ちょっとあいさつが丁寧になりすぎちまったかな!!」
「もうこれぐらいにしとくんだなナッパ…あまりハデにやらかすとこの星が後で高値で売れなくなる」
「ああそうか!すっかり忘れちまってたぜ」
「とりあえず一番戦闘力の高い奴を探すんだ。そいつがラディッツを倒した奴だ」
小柄な方のベジータは装着したスカウターのボタンを押した。ナッパも同じようにスカウターを作動させると、ふたりのスカウターにはそれほど遠くない場所に一つのやや大きな戦闘力反応が記された。しかもそれはどうやらこちらへ向かってきているようだ。
「だいたい戦闘力1000ぐらいのやつがこっちに向かってきている…きっとこいつがそうだな」
「よーしナッパ…遊びに行ってやろうぜ!」
ふたりはそう言うと、こちらに向かっている反応目指して飛び立っていくのだった。
「はっはっは、この地球って星は重力が少なくってすいすい動けらあ!」
「…ふん」
ピッコロは腕を組みながら下界を見下ろしていた。サイヤ人の力量がどれほどのものか、計ろうとしているのだ。
だが、そんな彼の元へ神とポポがやって来た。
「そんなことをせんでもわかっているだろう。サイヤ人は私が思っていた以上に強力だ…この1年でお前とブルマは以前とは比べ物にならんほど強くなった…だがそれでも、及ばない」
神様はピッコロにそう言った。
「やけにハッキリと言ってくれるじゃないか。だがそれが事実だろう…?どうせ及ばないとしても、わたしは…戦うつもりだ」
そう言ったピッコロの目を見て、神様はフフッと笑った。
「何がおかしい?こんな状況で」
「いや…お前も変わったなと思ってな。あの粗暴で傍若無人、問答無用の悪であった貴様がいまやそんな思考をし、勝てない勝負と分かっていて挑もうとする不屈の精神を手に入れたとは」
「ばかものが、わたしは再び世界の支配者として君臨するために強くなったのだ…サイヤ人を倒すというのはその過程のひとつに過ぎん。だが及ばぬというのならばそれまで…そう思っただけだ」
「…だが諦めるには早いぞピッコロよ」
「なんだと?」
「勝てないとわかっている戦いに挑むのならば、今すぐ勝てるようになって挑めばよい…違うか?」
「お前、何をするつもりだ?」
次の瞬間、神の口から飛び出した言葉は、ピッコロ大魔王を大きく震撼させた。
「ピッコロよ、私と融合するのだ。そしてもう一度、ひとりの戦士として蘇るのだ」
「なっ!なんだと!!?」
驚愕したピッコロは目を丸くし口をいっぱいに開く。
「融合だと?そんなことができるのか?いや、そもそもそれはお前の策略で、融合と言いながらこのオレの体と意識を乗っ取るつもりだろ?」
「そんなことは考えていない。お前は私と融合してもしなくとも、いずれはこの星の人間を守り導く戦士となってくれるはずだ」
それを聞いたピッコロは汗をかきながらも少しだけ笑い、その声を大きくしていく。
「ふふ…ははは…わはははははは!!うつけ者めが、オレさまは悪のピッコロ大魔王さまだぞ!悪い事ばかり考え悪い事ばかりする、お前が言った通り問答無用で傍若無人、さらに残虐非道の悪魔だ!善から最も遠く離れた存在だ!!誰もオレを正すことはできない!!」
「いや、お前は正しくなれる。何故ならお前は、”何が悪なのか”をちゃんと理解しているからだ」
「…な!」
「本当の邪悪とは、無自覚な悪だ。自分が悪であるという認識が無いから、自分が間違っているという考えに至る余地が全くない…一番厄介なタイプだ。だがお前は違う…何が悪い事であるかを考え、実行している。あとはその悪の行いを辞めればいいだけの話なのだ。簡単だろう?」
「くっ…!本当に、本当に融合とやらを行えばサイヤ人に勝てる力が身につき、オレへの変な影響はないんだな!?」
「ああその通りだ…私は、お前にただ超パワーを与えるだけのきっかけにすぎん。肉体も人格もお前がベースで、それは変わらない」
「か、神さま…!」
会話を聞いていたミスター・ポポが心配そうに声をかける。
だが、神様は振り返って微笑んだ。見てみると、ポポの目には涙が溜まっている。
「ポポよ…今まで世話になった。今の地球に必要なのは神ではない…ただの強者なのだ。さぁピッコロよ、基本となるお前が私の体に触れるのだ」
ピッコロは神様の胸に手を当てた。
「…はッ!!!」
神様はそう叫ぶと、全身から黄色いオーラを放出した。そのオーラは触れた腕を伝ってピッコロに流れていき、その全てが流れ込んでくる。やがて二人はまぶしい光に包まれ、何も見えなくなる。
光が収まると、そこには全身にオーラを纏ったピッコロ大魔王だけが立っていた。
「か、神様…本当にピッコロと合体したか?」
ピッコロは両手を握ったり開いたり、軽く素振りをしたりして力を確かめている。
「くっくっくっく…わーっはっはっはっは!!素晴らしいパワーだ!前に若返った時よりも、ずっとずっと素晴らしいパワー感に満ちているぞッ!!大魔神ピッコロさまの誕生だ!!!」
高笑いを轟かせるピッコロ。いま、かつて分離した神と大魔王が再び一つとなった。大魔神ピッコロ…大魔王をベースに神と融合したピッコロは、史上最強の絶対的なパワーを身に付けていた。
「さ、さようなら神様…どうか死なないで」
「…ミスター・ポポよ。行ってくる」
そう言い残すと、ピッコロはサイヤ人との戦いの場へ向かうのだった…!!
実はこのピッコロ編は「ドラゴンボールマルチバース」という作品を見て思いつきました。