もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第85話 「幻想郷に侵蝕する悪の影!」

高速で飛ぶ紅蓮を背後から追いかける霊夢。しかし、なんとか追いつけているといったような感じで、少しでも気を抜けば置いていかれてしまいそうな勢いだった。

 

「まさか…地底へ向かってるのかしら?」

 

そう思った霊夢。そして案の定、紅蓮は地底世界へと続く穴に入り込み、ぐんぐんと下へ向かっていく。

やがて紅蓮と霊夢は広大な地底の都の上へと出るのだった。

 

「ウウウ…」

 

紅蓮は都をざっと見渡すと、突然一か所へ向けて急降下していく。霊夢もそれについていくが、何か都がおかしい事に気付いた。

 

「変ね…なんか騒ぎが起こってる」

 

都の一部が燃えていて、何かやら騒がしい。暴動か何かが起こっているのだろうか。

紅蓮はその暴動の真っただ中に降り立ち、霊夢も紅蓮の後ろに着地した。

 

「…こ、これは…!?」

 

そこで霊夢が見た光景は…謎の三体の怪物が都の妖怪たちを次々と捕獲していく光景だった。

一体はブヨブヨした黄色い巨体を持っていて、妖怪に体当たりすることでその妖怪を伸縮する腹の肉の中に閉じ込める。もう一体は赤い斑点の付いた緑色の肌で、腕から伸びる無数の細い触手で妖怪を絡めとる。最後の一体はピンク色の肌の隆々な男のようで、殴った妖怪を瞬時に氷漬けにしている。

 

 

 

 

 

 

「本当の敵はアイツじゃない…もっと恐ろしいのがいる」

 

スカーレットはそう意味深な言葉を言い放った。

 

「…どういうことですか、詳しく教えてください」

 

それに対し、美鈴はそう聞きこんだ。

 

「…いいだろう。あれは昨日、私が紅魔館を襲撃した時の事だ」

 

「いや何やってるんですか…」

 

「私を追い払うためにレミリア達が応戦してきたが、しばらく戦っていると突然何者かの集団が乱入してきおった。それは三体の化け物共で、瞬く間に館の連中を捕らえてしまった。そして奴らが私に襲い掛かる瞬間…あの気味の悪い巫女がやって来た。巫女は化け物共と戦って退散させ、その間に私は山へ逃げ込んだ」

 

「俺たちが紅魔館で紅蓮と出会った時はその直後だったわけだ」

 

「そして逃げた先の山でも同様に化け物共が私を襲って来た。そこでも紅蓮がやってきて化け物共と戦い退け、その間に私は逃げた」

 

「…んん?ちょっと待ってください、ということは幻想郷各地や紅魔館で起こった紅蓮による殺害の数々は…!本当はその謎の化け物共が妖怪を攫っていたということでしょうか」

 

「ああ…それならすべてに合点がいく!紅蓮は化け物が現れるところにすっ飛んでいって防ぐために戦っていたが…」

 

「毎回惜しいところで奴らを取り逃している…!そして丁度そのタイミングで私たちが現場を目撃!」

 

「紅蓮が犯人だと誤解される…!」

 

「でもなんでその化け物は妖怪を攫っていたんでしょう?」

 

「細かい事は今はいい…はやく霊夢さんにこのことを知らせないと!」

 

 

 

 

 

紅蓮は妖怪を襲う化け物の集団に向けて獣のような咆哮を放ち、赤黒い気を全身に纏う。それに気づいた化け物たちは振り返り、薄気味悪くにやりと笑って紅蓮を見る。

 

「おいおいお前ら、こんな場所で暴れてもらっちゃ困るんだよ!」

 

その時、建物の屋根の上から、星熊勇儀がそう叫びながら飛び降りてきた。そして化け物に飛び蹴りを命中させる。

 

「勇儀、そいつらはヤバいわ!」

 

「え?なんで霊夢がここに?」

 

勇儀は思いもしなかった霊夢の姿を見てそう口にするが、次の瞬間、緑色の怪人の触手が鞭のように叩きつけられた。そして次の瞬間、なんと触手に電気が流れ、勇儀は感電してしまう。

 

「ぐわああああ!!」

 

緑の怪人は気を失って動けなくなった勇儀を肩に担ぐ。

そして、いよいよ紅蓮は怒りながら三体の怪人に向かって攻撃を仕掛けた。しかし、怪人たちは巨体に見合わぬスピードでそれを躱し、逆に紅蓮の顔面を殴る。

 

「ガッ…!」

 

だが紅蓮は何度攻撃を受けようが諦めずに立ち向かっていく。その光景を見た霊夢は、全てを理解した。

 

「過去の巫女、博麗紅蓮…アンタはずっとコイツらと戦っていたのね…」

 

昨日、霊夢たちが疑問に思った「賢者が死んだことで封印が緩んで紅蓮が復活したとするならば、ガーリックが死んだ段階で復活していてもおかしくないのではないか」という点。おそらく、紅蓮はその時目覚めかけたに違いない。だが自分は過去の人間であり罪人である自覚があったから復活はしなかった。月の客との戦いの時も…。

しかしこうしてようやくそれ以上の危機に触発されて動き出し、ボロボロの肉体で今まで闘い続けてきていたのだ。

 

「アアアッ!!」

 

ピンク色の怪人は紅蓮を蹴り、建物へ向けて吹っ飛ばす。残骸に埋もれる紅蓮だがすぐに飛び出し、負けじと殴りかかろうとする。

が、ピンク色の怪人は拳を前に突き出すと、そこから冷たい吹雪を放出した。それを胸に受けた紅蓮の胴体に氷が張り、やがて全身が分厚く氷漬けにされて身動きが取れなくなってしまう。

 

「ギ…オ…!」

 

だが辛うじて頭部と腕は無事だったので、それを果敢に動かして氷を破壊しようと奮闘する。しかし、目の前に迫っていた黄色のブヨブヨ怪人の体当たりを受け、氷を砕かれると同時に衝撃により空中に打ち上げられる。

さらに緑の怪人の放つ電気触手を巻かれて高圧の電撃を喰らう。痛めつけられた紅蓮は雑に投げ捨てられ、起き上がろうとするもダメージの影響で体の自由が利かないようだ。

今までも紅蓮はこの三体と戦ってきていたが、その時は何度も軽くあしらわれ逃げられてしまっていた。だが今回は、邪魔ものである紅蓮を確実に殺すつもりのようだ。

 

「やめなさい!!」

 

がその時、飛び出してきた霊夢は怪人たちの顔面に至近距離からの気功波を浴びせる。三体は怯み、じりじりと後ろへ下がった。

 

「アンタもはやく立って戦いなさい!それでも歴代最強の巫女なの?」

 

紅蓮はプルプルと震えながらも立ち上がり、霊夢と一緒になって怪人たちを睨みつけた。

 

「ガアアッ!!」

 

そして二人は同時に怪人たちに攻撃を仕掛け、ピンク色の怪人の胸を蹴りつけた。突然の反撃に驚く怪人たちは動きが乱れ、次々と霊夢と紅蓮の攻撃を喰らい続けていく。

霊夢は緑の怪人が振り回す電気触手を避け、その顔面に膝蹴りをめり込ませる。紅蓮は黄色い怪人のするどい爪の付いた腕を掴み、地面に叩きつける。

二人が追撃を放とうとした瞬間、その動きが止まった。何故ならば、邪悪な男の声が強大な気と共に聞こえてきたからだ。

 

「ミソカッツン、エビフリャー、キシーメ!いい加減にしろ、いつまで遊んでおる」

 

次の瞬間、紅蓮と霊夢の足元からマグマの様に赤い気の柱が吹き出し、ふたりを包み込んだ。

 

「うわあああああ!!」

 

まともに攻撃を浴びた二人はその場へ倒れ込んでしまう。

 

「このボロボロな巫女はどうでもいいが、博麗霊夢!お前の体が欲しい、お前の体だけはどうしてもワシにとって必要なのだ」

 

霊夢が途切れかけた意識の中、見たものは…。

黒いドレスのような服に、肩くらいにまで切りそろえられた、金と紫のグラデーションがかかったような色彩の髪。そう、髪の長さや声、目つきこそ全く違えど、その姿と風貌は確かに…あの聖白蓮とそっくりであったのだ。

 

「グ…ガアアア!!」

 

紅蓮は立ち上がり、雄叫びを上げる。

三体の怪物たちは捕らえた鬼や妖怪たちを所持すると、その聖そっくりな何者かに付き従うように周囲に並んだ。

 

「うるさいケダモノだ。ワシはお前のような腐りかけた肉体に用はない」

 

聖は右腕に小さなエネルギー弾を生成すると、超高速で紅蓮に向かって投げつけた。それは紅蓮に直撃すると、その小ささからは考えられない程大きな気の爆発が巻き起こる。

 

「ふっふっふ…これでワシの夢が叶う…馬鹿な人類に復讐してやるのだ!」

 

いつの間にか気絶した霊夢を小脇に抱えていた聖はそう高らかに叫ぶと、燃える旧都を後にして飛び去っていくのだった…。

 

 

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