もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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【“FuriousGod” vs “Saiyans”】
第97話 「新たな幕開けと不吉の予感!」


月の客との戦いから8年、ドクターウィローとの戦いから5年の歳月が経過していた。特にこの5年間は大した異変もなく、のどかで平和な日々が続いていた。

ちょうど、その時期は秋で、久々に晴天が続いていたので博麗神社の巫女である博麗霊夢は洗濯物を庭の物干し竿にかけていた。

 

「~♪~♪」

 

いくらか大人びた雰囲気に変わっていて、機嫌よく鼻歌を歌っている。

 

「おーい、霊夢~!」

 

とその時、空から箒に跨った何者かが霊夢の名を呼びながら降りてきた。あのなびく金髪に黒い三角帽と黒い服、白いエプロンは霧雨魔理沙だ。彼女も霊夢と同様に大人に成長していた。

 

「魔理沙!久しぶりね~」

 

「ああ、研究が一段落付いたから久々に遊びに来たんだ」

 

魔理沙はかけていたゴーグルを額にあげて外し、箒から降りる。

 

「ちょうどよかったわ、今日はカカロットが来るのよ。今お茶を持ってくるから」

 

「へぇ、カカロットが。アイツとももう何年も会ってないなぁ」

 

もう八年も前になる月の客との戦い以降、さらに自分の魔法の力を高めようと研究に明け暮れる魔理沙は霊夢たちとの交流も少なくなり、自宅にこもりがちだった。その成果あって、確かに以前より魔力は強くなっているようだ。

 

「お、あれじゃないか?」

 

魔理沙がおかってに向かっていった霊夢にそう声をかけた。

空には要石に乗る男のシルエットが浮かんでいて、あの左右に逆立ったツンツン頭はカカロットに間違いない。

 

「よう、魔理沙か?」

 

近付いてきたカカロットはそう言いながら降りた。黒と白の模様の着物を羽織り、顎にうっすらと髭を生やしてパイプを吹かしている。

 

「随分と変わったなぁ~」

 

魔理沙がそう言った。霊夢も魔理沙も雰囲気が以前と変わっていたが、カカロットはもっと変わっていると言っていいだろう。かなり落ち着いた感じでどちらかといえば、人間よりは妖怪に近いような雰囲気と感覚を覚える。

 

「地底じゃこういうヒゲとタバコが流行りなんだ。俺だってそれくらいしたっていいだろう?」

 

「カカロットは地底で暮らしてんのか」

 

「ああ、勇儀の家で娘と一緒に住まわせてもらってる」

 

「え?む、娘だって…?」

 

「ん?知らなかったっけか?ほら…隠れてないで出て来い」

 

カカロットがそう言うと、彼の後ろに隠れていた黒髪の幼い少女がひょっこりと顔を出した。顔つきはどことなくカカロットに似ているような気がして、あと一人分の面影を感じるがそれは誰だったか…。そしてそのお尻からは茶色い尻尾がチョロチョロと見え隠れしている。

 

「お、驚いたな…」

 

「名前を言ってやれ」

 

「シロナ…」

 

シロナと名乗ったカカロットの娘。カカロットの後ろから出てきて頭を下げた。

魔理沙は近寄り、目線を合わせた。

 

「私は魔理沙っていうんだ。よろしくな」

 

「うん、よろしく…」

 

「それにしても一体誰との子なんだ?」

 

「あ、カカロットにシロナ!よく来たわね~!」

 

「お母さん!」

 

「は?」

 

そのやり取りを見た魔理沙は思わずそう呟いた。シロナは霊夢に駆け寄り、その手を握る。霊夢もシロナの頭を笑顔で撫でる。

 

「まさかその子って…霊夢とカカロットの子か!?」

 

「そうだけど?魔理沙は知らなかったっけ?ほら、尻尾だってちゃんとついてるわ」

 

「いつの間に…きっと私がこもってた時期か…。じゃあ二人は結婚してるって事か?」

 

「結婚?してないわよ、カカロットは幻想郷じゃ扱いは妖怪よ。ましてや博麗の巫女と妖怪が結婚できる訳ないでしょ」

 

「ははは…そ、そうか…」

 

「実は今日は里の寺子屋に行こうと思ってたんだ。シロナもそろそろ学校に行かせたいんだが、地底にはそう言う場所が無いんで、入れさせてもらえないか相談しにな」

 

「いいんじゃない?それと、ついでに永琳たちが会いたがってたから行ってきてあげたら?史奈ちゃんとも仲良いんでしょ?」

 

「そうするか」

 

 

 

里にある寺子屋へとやって来たカカロットとシロナ。寺子屋が休みである日を調べてやってきたので、他の子どもたちは居らず、経営者である上白沢慧音だけがいた。

 

「なるほど…その子を寺子屋に?」

 

彼女は半分妖怪でありながら人間の里で暮らし、人間の味方をしている。また非常に頭がよく、子供たちの為に寺子屋を開いているのだ。

 

「ああ、俺とこの子の扱いは世間的には妖怪だ…お前の寺子屋が人間用なのはわかってる」

 

カカロットは稗田家が執筆し公開している「幻想郷縁起」にもサイヤ人という名の妖怪の種族として記され、扱われている。つまりその娘であり、身体的特徴やその力もカカロットのものを継いでいて人間とはやや異なるシロナは人間の子供が集う寺子屋には入れないだろうとカカロットは思っていた。

 

「そうですが…実は、近年里では自営業をしている家庭のお子さんは寺子屋に来れず、商売に必要のない分野の知識や教養がほとんどないという問題があったのです。そこで私は通信教育というものを始めることにしたんです」

 

「通信教育?」

 

「つまり教材や問題集やなんかを希望するご家庭に配布し、子供は寺子屋にこなくとも空いた時間にそれらをこなして期限内に提出すればよいのです。つまり…それならばカカロットさんの娘さんも受けることができますよ」

 

「そうか!いやぁ有り難い」

 

「…それよりも、カカロットさんは満月の夜に大猿に変化すると聞きました。では本物の月の存在しない今の幻想郷での生活は苦しいですよね!?私ももう七年も変身できていません…これではストレスを発散できない!!」

 

「そ、そうなんですか…」

 

 

 

 

その後、カカロットはシロナと共に迷いの竹林の中にある永遠亭へと足を運んだ。

 

「よう」

 

「ああいらっしゃいカカロット、待ってたわ」

 

出迎えたのは八意永琳であった。その後ろには蓬莱山輝夜と、見慣れぬ女の子がいた。年齢はシロナよりも上で、輝夜と同じように黒髪を伸ばしている。

 

「シロナちゃん、待ってたよ」

 

「ふみなお姉ちゃん!」

 

そう、この女の子の名は”蓬莱山史奈(ほうらいさんふみな)”。月夜見王との戦いで自らの命を燃やした藤原妹紅が、今度は普通の人間としてまっとうな人生を送れるようにと閻魔である四季映姫の計らいによって、生前の姿も記憶も能力も全て失って転生した赤ん坊として竹から生まれ成長した姿である。輝夜が小さな赤ん坊からここまで育て、カカロットは既にその事を知っているが、決して史奈にはかつての師である妹紅の事について口にしないようにしている。

シロナと史奈はカカロットが永遠亭を訪ねるたびに会って遊んでおり、かなり仲がいいようだ。

 

「お茶でも飲んでいって。いろいろ話が聞きたいわ」

 

「ああ…」

 

 

 

…──この日までは、幻想郷はのどかで平和な秋の季節であった。しかし、次なる悪夢の壁が刻一刻と幻想郷に迫りつつあることを、まだ誰も知らなかった…。

 

「見つけたぜ」

 

「アイツがターレス様のいうサイヤ人でっせい」

 

「ンダ」




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