もしもカカロットが幻想郷に落ちていたら   作:ねっぷう

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第98話 「クラッシャーターレス軍団!」

人間の里。夜の商店街の居酒屋で、一人の男が酒を飲んでいた。男は白いマントを羽織っていて、席の上には大量の料理を食べ終えた後の皿が積み重ねられていた。

 

「アンタの顔、どっかで見たことあるねぇ。確か、武道会に何回も出てる…何て言ったかな…」

 

女将が話している間にも、また一枚と空いた皿を積んでいく。

 

「お客さん、悪いけど今夜の分はこれで最後だよ」

 

女将にそう言われた男は立ち上がり、ゆっくりと歩いて店を出ようとする。

 

「ちょ、ちょっとお客さん!お代は!?」

 

男はそれを聞かずに店を出る。すると、ちょうどそこへ酔っぱらいの集団が通りかかり、その男とぶつかった。

酔っぱらいは男を睨みつけ、近寄ってマントの裾を掴み上げた。

 

「オイ兄ちゃん!どこに目を付けてんだ!?」

 

しかし次の瞬間、男は酔っぱらいの顔面を拳で殴り飛ばした。倒れる酔っぱらいと、その仲間が面食らったように男を見る。男はその仲間をもぶん殴って気絶させると、懐にあった財布の中の金を根こそぎ奪い取る。そしてそれを持って先ほどの店の中に戻ると、女将の目の前の床に金をジャランと落とした。

 

「これで足りるな?」

 

「あ、アンタ一体…?」

 

男は音もなく店を出ると、夜の闇の中に消えていった…。

 

 

 

次の日の朝。博麗神社に泊まったカカロットは娘のシロナと共に地底へ帰る支度をしていた。

 

「んじゃあな。また用があったら来るから」

 

「ええ、待ってるわ」

 

外に出たカカロットはそう言いながら要石を呼び、それに座るようにして飛び乗った。シロナがその膝の上に乗り、霊夢に手を振った。

 

「じゃあね、お母さん」

 

「うん、また来てね」

 

霊夢も手を振り返し、帰っていく二人を見送った。

 

 

「次はいつお母さんのとこに行く?」

 

途中、シロナはカカロットにそう尋ねた。

 

「いつだろうな…年末には行くと思うがな」

 

「そっか…」

 

「…!」

 

その時、カカロットは周囲に不穏な雰囲気を感じた。何か強力な気を持った何者かがカカロットの後をつけている。目で周囲を確認するがそれらしい影は見当たらない。

だが次の瞬間、突然上空から何者かがやってきてカカロットの乗る要石と並走する。他にも数名の連中がやってきて、カカロットを取り囲う。全部で五人、全員誰もが見た事もない鎧のような服を纏っていた。

 

「ハァッ!!」

 

そのうちの小柄な一人が向きを変え、突然カカロットに向けて一発のエネルギー弾を放った。

不意打ちのような攻撃であったが、カカロットはすぐに見切り、要石の上からシロナを抱えたまま飛び跳ねて避ける。

 

「何者だお前らは!」

 

カカロットがそう言い放つと、敵は彼の前に並んで声を立てて笑った。

 

「はははははは!!」

 

「俺たちはクラッシャーターレス軍団ってんだ」

 

そう言ったのは、”レズン”と”ラカセイ”。そっくりで見分けがつかない双子の兄弟である。

 

「カカロット…お前を多少痛めつけてもいいから連れて来いとのターレス様のご命令でっせい…」

 

赤い肌で長い髪を後ろで纏めた鉄壁の巨漢戦士”アモンド”。

 

「ンダ!」

 

赤いヒダのある皮膚の上にハガネのサイボーグパーツが組み込まれた機械戦士、”カカオ”。

 

「逆らうのなら、本当に痛めつけてやるぞ」

 

もみあげを上まで剃り上げたツーブロックスタイルのニヒルな戦士、”ダイーズ”。

五人はそろって青色のスカウターを装着しており、それを見たカカロットは狼狽えた。

 

(スカウター…?こいつら一体何者だ…?)

 

「…と、父ちゃん…!」

 

シロナが心配そうにカカロットの顔を見上げた。

 

「…おい、そこの二人は本当にそっくりだな。今コイツを撃とうとしたのはどっちだ?分かりやすいように印をつけておけよ、そのだだっ広いおでことかに」

 

カカロットは挑発の言葉を投げる。

 

「な、なにをぉ~…!」

 

レズンとラカセイは怒りを露わにした。

 

「落ち着け、見え透いた挑発に乗るな。ヤツの戦闘力は100も行かねぇ雑魚同然。なんでターレス様はこんなのを欲しがってんだ?」

 

「そして何だ、テメェらのヘアースタイルは。赤いデカブツは油っぽいしそっちの色男は果物のヘタみたいだな。お前もだぞそこの機械ヤロウ…水に付けた干し柿みたいだぜ」

 

「なんだとキサマァ…!」

 

「ンダ!!」

 

「もういいでっせい、半殺しでターレス様の前に差し出せばいい!!」

 

さっきの冷静な発言とは打って変わり、突然カカロットの挑発を真に受け怒りのオーラを纏うアモンド達。五人は超スピードで移動することでフッとその場から姿を消した。

 

「お前らには界王拳は使わねぇ」

 

次の瞬間、カカロットは紫色のオーラを纏いシロナを抱えた状態のまま、姿を現して攻撃をしかけてきたアモンドたちを迎え撃った。

ダイーズのパンチを躱して背後に迫っていたアモンドに回し蹴りを繰り出し、その衝撃で吹き飛んだアモンドはカカオに激突する。そしてレズンとラカセイの目前に一瞬で迫り、その顔面を渾身のパワーで殴りつけ叩き落とす。

しかし、吹き飛んだカカオは胸や肩から後方に向けてバーニアロケットを噴射して踏みとどまり、さらに噴射の威力を高めて猛スピードでカカロットへ迫る。

 

「ンダ─ッ!!」

 

「ぐおっ…!」

 

カカオの突進がカカロットに当たり体勢を崩すと、すかさずダイーズが後頭部に肘打ちを食らわす。さらにアモンドが接近し強靭な肉体から放つ強烈な蹴りを浴びせようと襲い掛かる。

カカロットは咄嗟に抱きかかえているシロナを守るように体を回転させ、背中で蹴りを受ける。

 

「コノヤロウ!!」

 

カカロットはもう一度紫色のオーラを纏うと、両足を同時に左右へ開くように蹴りを繰り出し、ダイーズとアモンドの腹にめり込ませる。そしてカカオを殴り、胸部のメタル装甲にひびを入れた。

 

「ぐは!」

 

「つ、強い…でっせい…!」

 

「ダ…!」

 

「どうだ、死にたくなければとっとと失せろ」

 

カカロットがそう言うと、ダイーズたちは口元の血をぬぐいながら怯んだ。

しかし、その時だった。どこからか、冷酷に響く声が聞こえてくる。

 

「お前たちそこまでだ。カカロットよ、コイツがどうなってもいいのか?」

 

「ターレス様…!」

 

「お、お前は…!!」

 

そのターレスと呼ばれた男はカカロットたちの前に降り立った。そしてその手には、気を失っている霊夢が掴まれていた…。

 

 

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