コール オブ ジアビス   作:マインドルフ

21 / 25
 遅くなり すみませんでした。


21話

ルーク達の乗った船から少し離れた海中にUボートがいた…

 

 

 通信士 「親衛隊から連絡あり…オラクル兵は全員、乗船しました」

 

 艦長  「分かった…これよりオラクル兵を指定の場所に降ろしたら帰還する」

 

潜望鏡を覗いている乗組員が「今なら魚雷で撃沈できますが…どうしますか?」と訪ねてきた

 

チラッと横目で見て「親衛隊とオラクル兵を無事に連れ帰る事が指令だ…」

 

すると乗組員が慌てた様子で「艦長…あれを見てください」

 

艦長が急いで潜望鏡を覗き込むと死にかけのディストがプカプカと浮かんでいた…「……あの船が離れたら……助けてやれ…」

 

 

 

 

デートリッヒは無線機でUボートの艦長と話していた「分かった……」振り返りリグレットに「この事は知っていたのか?」

 

リグレット 「いいや…ディストが勝手にやった事だ」

 

「騒がしいね、どうしたの?」そこへシンクが音もなく入ってきた

 

デートリッヒは厳しい口調で「丁度いいところに来たなシンク君…私の部下を勝手にディストに渡したそうだが…」

 

シンクは悪びれた風もなく「ああ~その話をしてたの…ディストと早く別れたかったからだよ、それに彼奴を見ると嫌な気分になるしね」

 

デートリッヒは「それだけの理由で勝手な真似を…」と呆れ顔をし「…これだから子供は……」

 

「………何?……」シンクの声が変わった

 

通信士が慌てた様子で入ってくると早口で「ハイル・ヒトラー!デートリッヒ大尉、直ちにグラーフ・ツェッペリンへの出頭命令がでています」

 

デートリッヒ「ん、私に…誰からだ?」

 

 通信士  「レーダー元帥からです」

 

デートリッヒは眉をひそめて「…レーダー元帥……分かったすぐに出頭する」

 

リグレット 「待て、お前が行ったらここに居るお前の部下はどうする?」

 

デートリッヒは少し考え「私が戻るまでここで待機してもらう……それまではカールセン中尉に任せる」と言ってシンクを見た

 

 シンク  「………」

 

デートリッヒ「シンク君…話しの続きはまたにしよう…」と部屋から出て行き

 

シンクは壁にもたれかかったまま「今度会う時までに忘れているといいね…」と後ろ姿に微笑んだ

 

 

 

 

 

マインドルフはカイザーが作った穴に滑り落ちてしまった…幸い下には積み荷の豆の袋が有り大怪我はしなかったが、したたかに腰を打ち付けて気を失った

 

  …マインドルフは夢を見ていた…

 

 

目を開けると空が見えた「…………」

 

  ?   「大丈夫か?」

 

マインドルフ「ケスラー……………ここは?」

 

 ケスラー 「塹壕の中だ…」

 

砲弾が降ってきたので慌てて塹壕に逃げ込もうとした時、泥水に足を取られそのまま後ろ向きに倒れこんでしまったのだ

 

塹壕の上から仲間のドイツ兵が「大丈夫か?」と声をかけてきた

 

 ケスラー 「大丈夫です…行こうぜマインドルフ」

 

 

 

2人は前線から退き後方の村へ戻った…そこはヨーロッパ風の建物が立ち、村の広場には所狭しと軍のテントがたっている…

 

兵士たちが装備を整え騒がしく動き回っていた

 

マインドルフ「何かあったのか?」

 

 ケスラー 「さっき聞いたんだが…突撃命令が出たらしい…それと偵察隊の報告で、フランス軍の第152歩兵連隊が動いているらしいぜ…」

 

マインドルフはため息をつき「…そうなのか…ところで今回の俺達の仕事は何だ?」と聞いた

 

 ケスラー 「丘にあるフランス軍の大砲の破壊だ」

 

マインドルフ「大砲?さっきのヤツか…」

 

ケスラーは意気揚々と「そうだ…俺達二人で大砲を破壊して後方から支援し仲間に知らせる…」

 

マインドルフ「それなら俺たちじゃなくて他の奴でもいいんじゃないのか?」

 

 ケスラー 「それが…ご指名らしい」と答えた

 

マインドルフは黙ってうなずいた…

 

 

 

後日2人は車で丘の近くまで来た…そこから森が見えた

 

 ケスラー 「車はここまでだ…ここからは歩くぞ」

 

荷を下ろし車を隠す

 

マインドルフ「「それで行くのか、重くないのか?」

 

ケスラーはMG08/15を抱え移動していた「……今はもう慣れたよ…それに連射出来るのはこれしか無いんだ」

 

森の中の急斜面を登って行く…目の前にフランス兵が見えはじめ、二人は見つからないように木の陰に隠れた

 

 

フランス兵 「喉が渇いたな…さっきのコニャックはまだ残ってるか?」

 

フランス兵 「今はまずいだろう…隊長に知られたら…」

 

フランス兵 「大丈夫だ、バレはしないよ」

 

「ちょっとだけにしとけよ」とカバンからコニャックを出そうとかがんだところを…マインドルフが後ろからそっと近づき薬(クロロホルム)で眠らせた

 

ケスラーも残りの1人を眠らせると…2人を木に寄りかからせた

 

マインドルフ「これで少しは時間が稼げるだろう」

 

次に2人は丘の上へ移動していった…そこで見えたのは多数のフランス兵が大砲の用意をしてるところだ…大砲は5門見えた

 

マインドルフ達は茂みに隠れながら双眼鏡で確認する「M1897 75mm野砲…あれが今回の目標か…」

 

 ケスラー 「そうだ…あれを破壊しないと突撃歩兵の邪魔になる……んっ、誰か来るぞ」

 

馬に乗ったフランス兵が慌てた様子で「ドイツ軍が塹壕に向かっている!あそこの塹壕を奪われるわけにはいかない…最低限の兵を残して他はついて来い!」と大声で叫んでいる

 

70人位いた兵士が30人を残してドイツ軍をくい止めに向かって行った

 

それを見ていたケスラー「今なら、楽に片付けられそうだな」と意気込む

 

マインドルフ「待て、このタイミングでここの兵をもっていくのはおかしいだろう…罠かも知れないしもう少し様子を…」

 

「大砲に砲弾を込めろ!」その声でフランス兵が動き出した…

 

マインドルフ「……さっきのは取り消しだ……やろう…」と言って大砲に近づいて行く

 

弾を込めようと兵士たちが動いている「装填完了!」

 

 隊長   「かまえー!……撃…!」マインドルフのGew98が隊長にあたりその勢いで後ろへ倒れていった

 

フランス兵 「!!隊長…」

 

マインドルフは土のうに隠れながら近くにいる敵を撃っていく…

 

いきなりのことでフランス兵2・3人が身動きが取れず倒れていく…それに気づいた仲間がライフルでマインドルフに向けて撃ちまくってきた

 

「今だー!」と言ってマインドルフの方へむかっていくのを見て、ケスラーは土のうの上にMG08/15銃を置き近づいてきた敵を狙い撃ちしていく…敵はあっという間に減っていった

 

それを見ていた残りの兵士達は脇目もふらずに逃げていく

 

 

 ケスラー 「片付いたな…早速く爆薬を仕掛けよう」と辺りを確認し「あれだけ撃ったのに砲弾に当たらなかったのは奇跡だな…まぁこちらとしては、爆発してくれた方が良かったんだが…」

 

マインドルフも頷き「…確かに…」

 

2人は手際よく大砲と砲弾に爆薬をくくり付けていく

 

足元に双眼鏡が落ちていた…ケスラーはそれを拾い覗き込む(ついでだ…ここからフランス軍の塹壕線を見てみるか………!やばいな…あれはホッチキス Mle1914重機関銃だ…)

 

ケスラーのちょっとした表情を読み「どうした?」と尋ねた

 

 ケスラー 「フランス軍の方で動きがある…重機関銃で狙い撃ちするつもりだ……塹壕線にいる味方がこれに気付いているか見てくれ」

 

マインドルフは塹壕にいる仲間の兵を見た「気が付いて無いな…ライフルに銃剣をつけている…今すぐにでも突撃するぞ、あれは…」

 

ケスラーは唇をかみしめ「突撃すれば全滅だ……早く知らせないと…」

 

マインドルフ「無線機は無い…知らせに行くとしても遠すぎる…」そう言いながらM1897 75mm野砲に視線を走らせた「これを使って敵の重機関銃が配置されている所を撃とう」

 

 ケスラー 「お前、フランス軍の大砲撃てるのか?」

 

マインドルフ「あぁ…前にやり方を見た事がある…それに無傷で取ったんだ、使わなければもったいない」以前見た事を思い出しながら素早く操作していく

 

ケスラーも重機関銃の配置場所を確認して「……分かった…俺が目になるから撃て…」

 

マインドルフ「ああ」

 

ケスラーは正確に位置情報を伝えて、腕を大きく振り落としながら『撃てっ!!』と叫んだ

 

 

 

重機関銃が吹っ飛っとび、命中したことが分かった

 

突然の爆音に状況が呑み込めず騒ぎ出した「な、何だ!機関銃が!?」

 

各々が「バカな!?あそこの丘は味方が押さえているはず!」「敵が攻めてきた!」「暴発したぞ!」とパニック状態になっていった…

 

 

ドイツ兵もそれを双眼鏡で見ていた…「敵の塹壕で爆発が……火薬でも暴発したのか?」

 

 ドイツ兵  「隊長これは絶好の機会です…今突撃すれば勝てます!」

 

ドイツ兵隊長 「よし!、この気を逃すな!全部隊突撃ーー!!」

 

『ウォーーーーー!!!』という声とともにドイツ軍が次々に突撃していった

 

フランス兵隊長は「は、は、早く他の機関銃を立て直せ!」と近くにいる兵たちに指示を出すが爆風で使い物にならなくなっていた

 

フランス兵  「ダメです!動きません!」

 

フランス隊長は周りを見回し「クソッ!各自装備しているライフルで反撃しろ!」とげきを飛ばす

 

フランス兵たちも徐々に落ち着きを取り戻し…戦闘が始まった

 

 

 

丘の上ではケスラーが双眼鏡を覗き込んでいる「命中だ…」

 

マインドルフもそれを確認して「急いで退くぞ!敵が来る」

 

作戦とは違う遅れた大砲の音と銃声を聞いて近くにいたフランス兵が丘に集まって来た…

 

そこにはいるはずのないドイツ兵が居た…フランス兵は ”あっっ…” という顔をして次に「敵だー!」と撃ってきた

 

ケスラーは撃ちながら逃げるも、銃が弾詰まりを起こしてしまった!「こんな時に…」銃を捨て急いで走った!

 

マインドルフ「飛べっ!」

 

2人は急斜面を滑り落ちる…その間にも上からフランス兵が撃ってくる…下まで降りていき素早く木の陰に隠れたがフランス兵の銃撃がやむことはなかった

 

フランス兵の1人が導火線に気付きたどると砲弾が見えた…

 

息を切らせながら「起爆スイッチは?」とケスラーが聞いた

 

マインドルフは頷き…起爆スイッチのハンドルを思いっ切り回す……カチッと音がして丘の上で爆破音が響いた!

 

2人の上に小石や土が降って来た…

 

ケスラーは訝しげに「何故すぐに爆破させなかった?」とマインドルフを睨んだ

 

マインドルフ 「…被害は大きい方がいいだろう…それに後を付けられたら面倒だし…」

 

 

 

2人は隠してあった車で無事基地に帰還できた

 

ドイツ隊長  「良くやってくれた!今回あの大砲を破壊してくれたお陰で我々の被害は少なくできた」

 

マインドルフ 「……」

 

 ケスラー  「作戦は上手くいったようですね」

 

ドイツ隊長  「ああ…それなんだが、敵の塹壕で爆発があってな…そのお陰で敵の重機関銃の弾をくらわずに済んだ」

 

ケスラーはマインドルフをチラッと見て「その事なんですが…あれは…」と言いかけた時ノックする音がした

 

全員が扉の方を向いた「これは、ファルケンハイン大将」

 

ファルケンハイン「今回はご苦労だったな」グレーのコートを羽織った年配の男だ

 

エーリッヒ・フォン・ファルケンハインは西部戦線の司令官の1人である

 

ファルケンハイン「知っていると思うがこの西部戦線はパリを占領する重要な拠点だ、失うわけにはいかない……今回君らがやった事はドイツ帝国の勝利に繋がるだろう……」

 

マインドルフ  「……」

 

ファルケンハイン「何か言うことはあるか?」

 

 ケスラー   「最善を尽くします。」緊張しているのが分かった

 

マインドルフ  「ここでの戦いも2年になります…しかしながらいっこうに進んでいません…もう少し工作員を増やしてほしいのですが…」

 

ファルケンハインはまじまじと顔を見て「考えておこう…しかし期待はするな…私は戻る、君らは次の戦いに備えて休みたまえ…」と出て行った

 

ケスラーはため息交じりに「また明日からにらみ合いが続きそうだな…」と呟いた

 

 

 

2人は外に出て歩きながら

 

マインドルフ 「まさか、ファルケンハイン大将に会うとはな」

 

ケスラーは真面目な顔で「ああ……何故俺達が大砲で撃った事を言わなかった?」と聞いた

 

マインドルフはサラッと「必要がないからだ」と答えた

 

 ケスラー  「勲章もいらない、階級も断る…そんな兵士はお前だけだぞマインドルフ……ん?」

 

マインドルフ 「どうした?」

 

服が赤くにじんでいるのを見つけ「何だ……撃たれたのか!」

 

マインドルフが服をめくり確かめると、脇腹から出血していた「大したことはない…ただのかすり傷だ………」

 

 ケスラー 「そんなに血が出ているのに大丈夫なわけないだろ!近くに野戦病院があるからそこで見てもらえ!」

 

 

 

 

 医者   「ここに横になってください」

 

 ケスラー 「どうですか?」

 

 医者   「…もう少しずれていたら危険でした…取りあえず傷口を縫っておきましょう」

 

マインドルフ「針は嫌いだ……」

 

 ケスラー 「俺もだ…」話していると、ふいに肩を叩かれ振り向き驚いた「………何で…お前がここに?ベルリンにいるんじゃなかったか?」

 

肩を叩いたのは……博士だった「2人共元気にしてるかなぁと思って見に来たんだよ」ニコッとしてマインドルフを見る「いやぁ、マインドルフ久しぶり…」

 

    

 

次に目が覚めるとうす暗い倉庫の中だった…博士が現れマインドルフの顔についている豆をつまんだ

 

マインドルフ 「気持ち悪いからやめてもらえないか…」

 

博士はニコッと「あぁ~ごめん・ごめん、顔に付いていたから取ってあげようかなって…もう綺麗になったよ」

 

マインドルフは辺りを見まわした…

 

  博士   「大丈夫だよここには誰もいないよ、全員撤退したからね」

 

マインドルフ 「………博士……どうしてここにいる?」

 

博士はマインドルフの顔を覗き込み静かな声で「もっと他に聞きたい事があるんじゃないの?」と促す

 

マインドルフは神妙な顔で「………親衛隊はここで……この世界で何をしている?グラーフ・ツェッペリン はどうなっている?」

 

  博士   「グラーフ・ツェッペリンは無事だよ…あそこが今のところ私たちの『家』だからね」

 

マインドルフ 「それじゃ親衛隊の指揮をしているのは…まさかレーダー元帥か?」

 

博士は上を向き「あ〜ん…教えたいんだけど、それを教えたら後が面白くないんだよね〜 そ・れ・に・私は今を楽しむ人間だからね、マインドルフ君も『今を楽しまなきゃいけないよ』ね」

 

マインドルフ 「これ以上話しても無駄だな…」博士の性格をよく知っている

 

遠くから足音がし「マインドルフ!無事か?」と声が聞こえてきた

 

慌てた様子もなく博士が「おっっ仲間か……いや君には仲間と呼べる者はいなかったね~」と余裕を見せた

 

マインドルフはルガーを博士の眉間にあて「さっさと消えろ」と無表情で返す

 

博士はニコニコしながら「じゃ~また会おうね…」と言って奥へ消えて行った…

 

すぐに扉の開閉音がすると足音が近づいてきて「怪我はありませんか?中佐」とティアの声がした

 

マインドルフ 「…大丈夫だ…」

 

ルークはマインドルフをまじまじとみて「あんな高いところから落ちてよく怪我しなかったな」と感心していた

 

マインドルフ 「積み荷があって助かった…」

 

 ジェイド  「話し声が聞こえたようですが…誰かと一緒でしたか?」

 

ティアは辺りを見まわし「ここには誰もいないようですが…」

 

マインドルフは立ち上がりながら「……まさか、私だけですよ」

 

ジェイドは口元に手を当てて「おかしいですね…確かに声が聞こえたのですが…」と用心深くあたりを見まわした

 

ルークはそわそわと「マインドルフが無事なのが分かったんだから早くヴァン先生の所へ行こうぜ!」と急かす

 

ティアが「もう少し心配したらどう」ときつい口調で言うと「フンッ」と言い返して出ていった

 

みんなが倉庫から出ていく中マインドルフは扉の所で立ち止まり後ろを振り返った(久しぶりに昔の夢を見たな……)

 

 




 ケスラーが持っていた MG08/15・・・第一次世界大戦中 MG08の軽量化型で戦場での利便性を大幅に向上させた
 大砲 M1897 75mm野砲・・・これ以前は実質的な連射速度は1分当たり2発が限界だったが➞1分当たり15発まで上昇
 マインドルフが持っていた Gew98・・・ドイツ帝国で制式採用されたボルトアクション方式の小銃(1898-1935年)
 ホッチキスMle1914重機関銃・・・フランス軍の標準的な重機関銃(ガス圧作動方式)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。