歩きながらさっきの出来事の話をしていた
ジョゼフ「生き別れの兄弟とか?」
ガイ「いやそれはない、ファブレ家の子供はルークだけだ」
ジョゼフ「隠し子?」
ガイ 「まさか…それもない」
マインドルフ「あるいは夫妻どちらかが浮気をしてできた子供とか?」
ルークはマインドルフに詰め寄り「おい!父親も母親もそんなことをするような人じゃねーよ!次言ったらぶっ飛ばすぞ!」と物凄い剣幕だ
マインドルフは後ずさり「…………すまない、私は君の父上と母上の人柄を知らなかった…」
ルークはマインドルフを睨みながら機嫌悪く離れて行った
はぁーっと短く息を吐き「嫌われてしまったなぁ…」とルークの方を見た。ティアはマインドルフの方を向き「あんな言い方をされたら、誰だって嫌な気持ちになるわ…」と小さく溜息をついた
ロバートはあらぬ方向を見ながら顔を叩いた(危ねぇ、俺ももう少しで言いそうになった…)
ジェイドはそれを見逃さず「おや、その顔はもしや…中佐と同じ事を思ったんじゃ~」
ロバートはドキドキしながら「そ、そんな事ねぇし…」(なんで分かったんだ…)と平静を装った
ケセドニアまではまだ遠く、物資の面からも近くの村に泊まることにした
ジェイドが「ここからだとケセドニアまでは砂漠を越えるしかありません、ここの酒場で水を手に入れてから行きましょう」と提案するが、ルークはまだ機嫌が悪く
「面倒くさいなぁ、俺は先に宿に行ってるから後は頼むぜ」と、さっさと自分だけ宿に向かって行ってしまった
ジョゼフは気を利かせ「ティアとアニスも先に宿で休んだらどうだ?水は俺達が用意しておくから…」
アニスはすぐに反応して「じゃ〜お言葉に甘えてそうしま~す」と言ってルークの後に続いた
ティアは動かず「私は大丈夫だから、あなた達と行くわ」とジョゼフ達を見た
ジョゼフは宿がある方を見ていて「いや…ルークの様子が気になる、見といてくれ…」
ティアもそれは気になっていたらしく「…そうね…」と、今度は素直に宿に向かった
ジェイドはチラッとマインドルフを見て「ちょっと中佐と用事があるので先に行って下さい」と言い2人は森の方へ歩いて行く
ジョゼフはそれを見送りながら(2人で何を…)
ロバートとクルーガーに食料調達を任せ、ジョゼフとガイ、カールの3人が酒場へ行く事になった
ガイは酒場の人にボトルを渡し、水を入れてもらっている間周りに目を配っている
カールはテーブルの横に立ち「姫様帰りましたかね?」ジョゼフは席について「中佐の言う通り帰ったんじゃないのか…オラクルの狙いは俺たちだ、姫じゃない」と話しながらも周りに注意を払っていた
横からガイが「2人とも、ナタリアの性格を分かってないなぁ…ナタリアの場合先回りして待ち伏せしている可能性があるぜ」
ジョゼフ「まるで忍者だな…」
「嘘だろ!」テーブルに座っている三人組の話が聞こえてきた
「本当だよ、森の川辺に生えている薬草を採ってたらナタリア姫を見かけたんだよ」
「でもよ、何であの森に姫様がいるんだよ、あそこには盗賊のアジトがあるって話だぜ…」
「まさかナタリア姫様みずから盗賊のアジトに乗り込んだ…とか?」
ジョゼフ「ちょっといいか?」
「なんだ、あんたら?」
ジョゼフ「その森での話を俺達にも聞かせてくれないか…」
数時間前、ナタリアは森の中を歩いていた
辺りを見回しながら「私を気絶させるなんて…でもそれは私の身を思ってやった事だと分かってますわ…でも、私を置いていったことは後悔しますわよ」
道を進んでいると川沿いに出た「ここで休憩ですわ…近くに魔物もいなさそうですし」と座りこんでいると…後ろの方から物音がした
ナタリアは魔物かも知れないと思い素早く草むらに隠れ様子を伺うと、現れたのは魔物ではなく右手にバケツを持った灰色の服を着た男の人で、川から水を汲み始めた
ナタリア(あの灰色の服は…………マインドルフですわ!こんなところにいたんですね…ということは、他の皆さんも近くにいるはず)
ナタリアはホッとして草むらから出ると男の背中を押し「マインドルフ、あなたこんなところに……」
男はびっくりして振り向く……それはマインドルフではなかった「誰だ?」と男が立ち上がる
ナタリアも驚き急いで逃げた「待て!」と男が追いかけて来る
茂みをかき分けながら逃げていると、前方から同じ灰色の服を着た男が…手にはGew43が握られている
ナタリアの後方から「その女を捕まえろ!」という声が聞こえ前方の男は「動くな!その弓を捨てろ!」と叫びながらGew43をナタリアに向けた
後ろを振り向くと先の男が追いついて来ていた…
前と後ろを挟まれてしまったナタリアが左の方に走り出した時 もう1人男が出て来てナタリア姫を地面に押さえ付けた!「暴れるな!」と大声で言い「お前ら2人とも見ていないで、手伝え!」と……ナタリアはあっという間に連行されてしまった
森の奥に砦が建っていた…辺りにはオートバイとトラックがそれぞれ2台、キューベルワーゲン1台が止まっていた
砦の中では2人の男が話しあっている
バトラーは椅子に座り「それでは…待ち伏せに行かせた8名の分隊とは連絡が取られないのか中尉?」
カールセンは机を挟んで立っていた「はい、バチカルの地下に入るまでは連絡出来たのですが…それ以後出来ないのです…」
バトラー 「逆にやられた…それとも道に迷ったのか…アーミー達は目的地に向かっている、8名の分隊は全滅だろう…」
カールセン「もし、そうだとしたら死体は回収しますか?」
バトラー 「そうだな、まだバチカルを包囲しているオラクル兵に回収させよう」
ノックの音が聞こえて「ハイルヒトラー!少しよろしいでしょうか上級大佐殿」
バトラーは書類に目を通し「何かあったのか?」
SSドイツ兵「はっ!先ほど水を汲みに行っていた際に女性に会いまして…」
バトラー 「女性?なぜこんな所に…向こうから接近してきたのか?」
SSドイツ兵「はい、後ろから「マインドルフ」と声をかけられて」
バトラーはSSドイツ兵を見た「マインドルフ?…その女性は今どこにいる?」
SSドイツ兵「曹長が審問をしております」
部屋では女が椅子に座り…その斜め前に男が立っていた
SS 曹長はナタリアをじっと見て「…名前を教えてもらえませんか?」目つきは悪いが口調は丁寧だ
ナタリアは黙って前を向いたままだ
SS 曹長が「黙っていては終わらんぞ…」と警棒らしき物を見せた時、バトラーとカールセンが入ってきた
バトラーが曹長の手元に目をやると、曹長は慌てて手に持っていた警棒を隠した…が遅かった「私が審問する、君は出て行ってくれないか」と言われてSS 曹長はばつが悪そうに敬礼をして部屋から出て行った
バトラーはナタリアの前に座ると「初めましてお嬢さん、いきなり連れて来て申し訳ありませんでしたね…」と話しかけたがナタリアは相変わらず黙って前を向いたままだ
「部下が手荒な真似などしませんでしたか?…私はバトラーと申します…貴方は?」
ナタリア「………」
バトラー「私が言うのもなんだが…怖がらないで欲しい…答えて欲しいのは二つだけです、森の中で何をしていたのですか?」
ナタリアはやっと口を開いた「……狩りを…していましたのよ…」
バトラー「狩り…ですか、何の動物を?」
ナタリア「……」
バトラー「…しかし、か弱い女性が一人で森の中を歩くのは危険ですし…しばらく私達と一緒の方がいいでしょう」
ナタリア「あら、わけも分からない人達と一緒に居る方がよっぽど危険ですわ」
バトラー「ははは、確かにそうですね…もう一つの質問なのですが、あなたは「マインドルフ」と声をかけたそうですが…我々と同じ服を着た人を知っているのですか?」
ナタリア「いいえ、知りません…それと私がマインドルフと声を掛けたのは知人によく似ていたからですわ」
バトラー「そうですか……ところでこれは個人的にですが…今晩食事でもいかがでしょうか?」
ナタリア「えっ?私と…食事ですか?」
バトラー「そうです、こんなに美しい女性と食事が出来るなんて嬉しい事です、それにお互いの事も少しはわかるでしょう」
カールセンは眉をひそめバトラーを見た「上級大佐殿?」
バトラーはわざとらしく「あーすまない、つい…話はここまでにしときましょう…続きはまた明日にでも…」
ナタリアは戸惑いながら「ちょっと待って下さい、私はただ狩りをしていただけなのですよ…それなのにいきなり連れてこられて尋問までされて明日ですって、ふざけるのもいい加減にしてほしいですわ!」
カールセンが「貴様その口の利き方は何だ!」と身を乗り出してきたので、バトラーは手を挙げカールセンを制止し「明日尋問が終わったら解放することを約束します…しかし正直に話をしてくれたらですが…」と言って立ち上がり2人はナタリアを残し出ていった
元の部屋に戻りバトラーが椅子に座り、カールセンが横に立つと「彼女をどうしますか上級大佐殿?もしアーミーの仲間だったら…我々を見られた以上…開放するのは危険です、食事をする際に青酸を混ぜましょうか?死体は燃やすか埋めるかして…」
バトラーは目をつぶったまま「それは、ちょっとやり過ぎじゃないかね?」
カールセン「自分はなるべく彼女が苦しまずにと思いまして…では上級大佐殿はあの女性をどうなさるつもりですか?」
バトラー 「ひとまず地下の部屋に入れておこう…後の事は考えておく…」
カールセン「分かりました…それでは…私は後かたずけが残っているのでそちらに向かいます、ハイルヒトラー!」とナチ敬礼をし部屋から出て行った
バトラー 「…カールセン中尉…確か彼はアインザッツグルッペンに居たな…いや、それよりも裏切り者がマインドルフだったとはなぁ…」
SSドイツ兵2人がナタリアを地下の部屋に連れて行った
ナタリアは考えていた(ルーク達を見つける筈がこんな事になるなんて…それにしてもあの服装は、バチカルの地下で倒れていた人達と同じ…襟章には雷のようなマーク…だとしたら彼らはマインドルフと同じ世界から来た…マズいですわね…)
この時ナタリアは自分が最悪な状況に置かれている事に気が付いた
カールセンが手袋をはめ砦の後ろ側に出ると9名ほどの盗賊が穴を掘っていてその周りに13名位の親衛隊が見張っていた
盗賊の1人が穴を掘りながら「何だこいつら…いきなり攻めてきやがって…ボスも殺されちまったし」側にいたもう1人が「あんな武器見た事ねぇ…俺らも、もう少しで危なかったぜ」
カールセンは穴を眺め「大体は掘れたか?」親衛隊から「はい」と返事が来た時、SS曹長がちょうど来た
カールセンがあらかじめ用意していたMP40をSS曹長に渡し自分も手に取ると2人は黙って穴に向かい躊躇することなく打ち込んだ…辺りが静かになりカールセンはSS曹長に「あとはいつも通りにやれ」と言って立ち去った
SS曹長はホルスターからルガーP08を手に取ると穴の中に横たわる死体の頭に向かってさらに1発づつ打ち込んでいった
その頃ジョゼフ達はナタリアが捕まった事を村人の話から知らされどうするか話し合っていた
ロバート「姫様は帰ったんじゃなかったのかよ」
ガイ 「まさかナタリアがここまで付いて来るなんて思わなかったんだ」
ティア「本当にナタリア姫なの?」
アニス「そうそう人違いってこともあるし」
ジョゼフ「村人の話によると身なりからしてナタリアに間違いなさそうだが」
ルークが騒ぎを聞いて「うるせーなあ…何事だよ」と2階から下りてきた。ティアは「お気楽ね」と横目でチラッと見て言った
ルークはむっとして「なんだよ!いきなり」それをガイがなだめるように「ナタリアがここまでついて来たようなんだ…」と答えた
ルークは一気に目が覚め「はぁ~ナタリアが…それで今どこに居るんだよ?」
ジョゼフが今までの事を話し「…大佐と中佐が戻るまで待て」と言ったが、ルークは落ち着かない様子で「待っていられるかよ!いつ帰ってくるか分からないくせに!」と大声で叫んだ
険悪な雰囲気になりかけた時にジェイドとマインドルフが入ってきて「おや、何ですか大きな声が外まで聞こえてましたよ」
ルークは「こんな時にお前ら!どこ行ってたんだよ!」と2人をにらんだ
マインドルフ「ちょっと森で散歩をね…」
ルークはイライラしながら「はぁ~おっさん2人で?気持ち悪いなぁ…」と嫌味を言うと、ジェイドは見た目はにこやかに「ははは、褒め言葉として聞いておきましょう、それより何かあったのですか?」
ジョゼフはさっきルークに話したことを2人にも話した
ジェイドはルークを見て「…なるほど、ナタリア姫か…で貴方はどうしたいのですか?」
ルークは悩んでいた…だがゆっくりと考えている時間は無い…
マインドルフ「2人の命も大切だが、アクゼリュスの人々を助けたほうがいいんじゃないのか?1万の人命が奪われてしまう前に…」
アニス「中佐、ルーク様に対してひどいこと言ってません?」
マインドルフ「そういう、アニスはどうだい?イオンか姫か…アクゼリュスか?」
アニスはルークに視線を向けたがすぐに下を向き「私…イオン様を助けに行きたいです……」
クルーガーも小さな声で「俺も…イオンかなぁ…(´・ω・`)」
アニスはクルーガーを真っ直ぐ見ながら「あんたはには聞いてないんだけど…」と強い口調で言い切った
ルークは黙って聞いていたが「俺はナタリアを助けに行くぞ!」とスッと立ち上がった
それを聞いてジェイドはすかさず「それでは、まずはナタリア姫を助けに行く者、イオン様を助ける者とここは二手に分かれて行きましょう」
ジョゼフ「それで行こう」
ジェイド「そうと決まれば早めに助けに行かなければ…アクゼリュスもあるのですから…」
アニス 「私はイオン様を!」
クルーガー「俺も!イオンを助けに行く!」
ジェイド 「まぁ、あの2人はイオン救出組として…」
ティア 「私はナタリア姫の方に行くわ、もしかしたら怪我をしているかも知れないし…」
ジョゼフ 「俺もナタリア姫の方へ…なるべく早くナタリア姫を見つけ出してすぐに後を追う、それと手間をかけて悪いが、クルーガーがバカな事をしないか見張っておいてくれカール」
カール 「分かりました、軍曹も気をつけてください」
ジョゼフ 「ロバートは俺と一緒に来い」
ロバート 「了解」
マインドルフ「私はナタリア姫を助けに行くよ…私の責任でもあるからな」
ジェイド 「それでは皆さん合流地点はケセドニアの港で」
ジョゼフが「早々にお前の婚約者を助けに行くか」とルークの背中をたたくと、ルークは照れくさそうに「バ、バカ!別にそんなんで助けに行くんじゃねーよ、昔からの友達として助けるんだよ…」と背中を向けた
各々準備を済ませると二手に分かれ救出に向かって行った