人里に買い出しにやって来たザーボンと華扇は、其処で財布泥棒と遭遇した。しかし、犯人はザーボンの手により難無く捕らえられ、すぐに役人に引き渡された。その財布の持ち主は、人里で鍛冶屋を営んでいる唐傘御化けの多々良小傘であった。現在、ザーボンと華扇は彼女と共に甘味処へとやって来ていた。其処で、ザーボンが幻想入りした経緯や事情を説明していた
小傘:成る程…彼は外来人である事や、色々大変だったと言う事は何となく理解しました。
華扇:付け加えると、今はこの私の元で修行をしつつ、共に暮らしているんですよ。
小傘:ほぇー…
華扇:彼が来てくれた御蔭で、色々と助かっていますよ
ザーボン:いえ、まだまだですよ。此方の世界…いえ、この人里の何処に何があるかすらも分からない状況なので…
小傘:それじゃ、この後わちきが人里を案内してあげますよ。
ザーボン:此方としては有難い御話なのですが…御迷惑なのでは?
小傘:先に迷惑を掛けたのはわちきの方ですからそれに、困った時は御互い様と言いますし
華扇:折角の御誘いです。案内を兼ねて、3人で人里巡りでもしましょうか。
ザーボン:助かります。では、宜しく御願いします。
小傘:分かりました
それから暫く後、甘味処を出た3人は、人里の色々な所を巡って行った。しかし、3人はその道中で度々トラブルに見舞われる事になった。川で溺れてる子供を救出したり、店先の商品が崩れ落ち、それを元に戻す手伝いをしたり、迷子のペット探しを頼まれたり…3人は、その全てを解決して回ったのだった。そうこうしている内に、すっかり夕方になってしまっていた
小傘:うーん…こうもあちこちでトラブルに巻き込まれるなんて…今日は厄日だったのかなぁ…
ザーボン:まぁこんな日もありますよ。
小傘:でも、少しでも人間達の役に立てたなら、それで良いかな
華扇:…貴方、本当に変わってるわね。妖怪でありながら、里の人間達の役に立つ事を喜ぶなんて…
小傘:わちきは、こんなわちきを受け入れてくれたこの里や、此処に住んでる人間達が大好き…だから、少しでも皆の役に立ちたい…
ザーボン:・・・
小傘:なーんて…本当、わちきは妖怪失格ですよね…
華扇:そうでしょうか?
小傘:えっ?
華扇:妖怪にだって、心はあるんです。人間が大好きで、人の為に尽力したいと思う妖怪が居たって良いと思います。
ザーボン:私もそう思います。貴方の生き方、嫌いではありませんよ。
小傘:そう…ですかね…
褒められ慣れていないせいか、照れ笑いを浮かべる小傘であった
華扇:今日はもう日が暮れますし、この辺りで解散にしましょうか。
ザーボン:はい。
小傘:でも、色々あったせいで、里の隅々までは案内しきれませんでしたね…
ザーボン:もし小傘さんさえ宜しければ、明日も案内をして頂けませんか?
小傘:勿論良いですよ
ザーボン:有難うございます。
小傘:それじゃ、失礼しますねザーボンさんに仙人様、また明日
ザーボン:はい、また。
華扇:御気を付けて
小傘:はい
小傘は、2人に手を振りながら移動を開始した
華扇:さぁ、我々も帰りますよ。
ザーボン:はっ!
小傘を見送った後、2人も移動を開始した。それから暫くして…
小傘:人助けもしたし、今日は気持ち良く眠れそう
正邪:何が人助けだ…下らねぇ…
小傘:えっ?
突然声を掛けられ、足を止めてキョロキョロと辺りを見渡す小傘。そんな彼女の前に、鬼人正邪が姿を現した
小傘:あ、貴方は指名手配中の…
正邪:鬼人正邪だ、宜しくな。
小傘:な、何の用?
正邪:何、ちょいとお前に話があってな。
小傘:…生憎、わちきは貴方と話す事なんか無いよ。
正邪:まぁ待てよ…
正邪を無視し、足早にその場から立ち去ろうとした小傘だったが、正邪に道を塞がれてしまった
正邪:お前、人間共が大好きなんだってな?
小傘:…そうだけど?
正邪:本当にそうか?
小傘:えっ?
正邪:調べは付いてるぞ。お前、人間に捨てられて妖怪になったらしいじゃねぇか?
小傘:…それが何か?
正邪:口では大好きだとか言っても、本当は人間共を恨んでるんじゃねぇのか?
小傘:そ、そんな事…
正邪:自分を捨てた人間共に、復讐したいと思った事くらいあるだろ?
小傘:それは…
正邪:人間共だけじゃねぇ…ちょっと力が強いってだけで、私達みたいな力の弱い妖怪を虐げる連中…ソイツ等に復讐したいとは思わねぇか?
小傘:・・・
正邪:正直に言って良いんだぜ?私はお前の味方だ…
小傘:わちきは…
正邪:お前の中に眠る負の心、解き放ってやるよ…
正邪は、動揺する小傘の体に邪気の塊を撃ち込んだ。小傘の両目は赤く光り、全身から邪気が溢れ出した
正邪:どうせ暴れるなら、人間共が多い昼間が良いか…ククク…明日が楽しみだぜ…
正邪は、闇の力に飲まれた小傘を連れてその場から移動した
小悪魔:今度は小傘さんが凶暴化を…
作者:力の弱い彼女だけど、正邪の力があれば…と言う感じにしたい。
小悪魔:只でさえゴリ押しが過ぎる駄作なのに…ちゃんと表現出来るんですか?
作者:分からん。
小悪魔:おい…