一部、華扇の台詞の所の名前が“彼女”になっていたので訂正しました
翌日、再び人里にやって来たザーボンと華扇。しかし、里の人間達が集まって何やら話し合っていて…
ザーボン:人間達が集まっていますね。
華扇:何かあったのでしょうか…行って話を聞いてみましょう。
ザーボン:はっ…
2人は、集まった人間達に近付いて行った
華扇:スミマセン。何かあったのですか?
住人A:鍛冶屋の小傘ちゃんが、行方不明になっちまったんだ。
ザーボン:何と…
華扇:それは本当なのですか?
住人A:あ、あぁ…アンタ達は?
ザーボン:我々は…
華扇:彼女の友人です。今日は、彼女と此処で会う約束をしていたんです。
住人A:そうなのか…
華扇:あの…失礼ながら、貴方達は彼女とどの様な関係で?
住人A:俺達皆、あの子に…小傘ちゃんに助けて貰った奴ばっかりなんだ。程度の大小こそあれどな。
住人B:俺は、以前両親にプレゼントするアクセサリーをあの子に作って貰った事があるんだ。
住人C:私は、祖母の形見の鏡が割れてしまった時、彼女に直して貰ったのよ。
住人D:儂は、腰を痛めて動けなくなっちまった時、通り掛かったあの嬢ちゃんに助けて貰ったんじゃ。
華扇:あの子、人間達の為に色々な事をしていたのね…
ザーボン:・・・
その時、更に数人の人間達が前に出て来た。それは、昨日彼等に助けて貰った者達やその関係者であった
華扇:貴方達は…
住人E:昨日は、溺れていた私の息子を助けて頂いたそうで…
住人F:昨日は、崩れた商品の片付けだけじゃなく、陳列作業や店内の掃除まで手伝って貰っちまって…有難うな。
住人G:居なくなった私のペットを見付け出してくれて、本当に有難うね。
華扇:いえ、私達は当然の事をしたまでですから。
ザーボン:それもコレも、全て小傘さんが率先して行っていましたね。
華扇:えぇ…
住人A:小傘ちゃん…一体、何処に行っちまったんだ…
住人B:面倒事を押し付けてばかりの俺達の事を嫌いになって、出て行っちまったとかかな…
華扇:それはどうでしょう…
ザーボン:華扇様。とりあえず、彼女の鍛冶屋に向かってみましょう。もしかしたら、彼女が戻って来ているかも知れません。
華扇:そうですね…里の皆さん。彼女の捜索は、我々に御任せ下さい。必ず、彼女を見付け出して御覧に入れましょう。
住人A:分かった、宜しく頼むよ。
華扇:さぁ、行きますよ。
ザーボン:はっ!
人間達と別れ、小傘の家である“鍛冶屋・唐傘”へとやって来たザーボンと華扇。しかし、入口の戸にはしっかりと鍵が掛けられたままであった
華扇:鍵が掛かっていると言う事は、此処には戻って来ていない…つまり…
ザーボン:我々と別れた後から此処に戻るまでの間に、何等かの事件に巻き込まれてしまった…
華扇:えぇ、そう考えて良いでしょう…
ザーボン:華扇様…先程から、胸騒ぎがするのですが…
華扇:私もです。出来れば、杞憂であって欲しい所ですが…
住人A:うわあぁぁっ!
その直後、人間達が集まっていた方から数発の爆発音と悲鳴が聞こえて来た
ザーボン:悲鳴と爆発音…まさか…しかし、この禍々しい力の反応は…
華扇:嫌な予感と言うのは、どうして当たってしまう物なのでしょうね…
ザーボン:華扇様!
華扇:言われずとも!急ぎますよ!ザーボン!
ザーボン:はっ!
2人は、爆発音と悲鳴が聞こえた方へと素早く移動した。其処には、怯えて逃げ惑う住人達と、両目を赤く怪しく光らせ、全身から邪気を放ちながら彼等に襲い掛かる小傘の姿があった
ザーボン:くっ…やはりか…
華扇:小傘…
小傘:・・・
住人A:小傘ちゃん…なのか?一体、何がどうなってるんだ…
華扇:何をしているの!早く逃げなさい!
住人A:あ、あぁ!
混乱している住人を逃がした後、2人は小傘と対峙した
作者:小傘は、この小説を始めた時から出そうと決めていたキャラ。やっと出せて本当に嬉しい。
小悪魔:この小説の小傘さんは、茨歌仙以上にデキる女みたいですね。
作者:里の皆の為に尽力してるから、皆からも愛されてる設定だよ。但し、驚かす能力は効いてないけども…
小悪魔:因みに、彼女が妖怪であると言う事は里の皆さんは?
作者:知らない設定にしてあるよ。うどんげだって、妖怪である事を隠して薬を売りに来てるみたいだし、里で暮らしてる妖怪は皆妖怪である事を隠してるらしいし。
小悪魔:フム…しかし、このままでは里に居られなくなるのでは?
作者:さて、どうなるかな…