ゆっくりしてってね
博麗神社の夏祭りにやって来た私達紅魔館メンバーは、各々好きな場所を回る事になった。私とパチェは、御兄ちゃんと一緒に御祭りを見て回る事にしたよ。出発早々、御祭りに来てたうどんげ、はたてさんと会い、2人とも一緒に行く事になったよ。途中、妹紅さんやアリスの御店を始め、幾つかの御店で御兄ちゃんに奢って貰ったよ。それと、ターレスと椛がたこ焼き屋をやってた事に驚いちゃったよ…出店回りを再開してすぐ、また知り合いの御店を発見したよ。それは…
にとり:オッス、盟友相変わらず女をゾロゾロ引き連れて御機嫌だねぇ
ラディッツ:にとりか。
次に私達が会ったのは、妹紅さん達と同じく御店を出してたにとりだったんだよ
鈴仙:にとりさんも出店してたんですね。
にとり:まぁね。
にとりの御店は、3段の棚に景品が並べてあった。そして。私達の前の台には銃があったの。と言う事は…
はたて:にとりの御店は射的なんだね。
にとり:そうさ良かったら、アンタ達もやってかないか?
ラディッツ:そうだな…
フラン:ん?アレは…
ラディッツ:あん?フラン、どうした?
私の目に止まったのは、棚に並べてある景品の中の1つだった。それは、猿の縫いぐるみだった
フラン:御兄ちゃん!私、あの御人形欲しい!一番上の棚の真ん中にある奴!
ラディッツ:あの猿の縫いぐるみか?
フラン:うん
パチュリー:あんな不細工な縫いぐるみを欲しがるなんて、変わり者ね…
フラン:別に良いじゃん!どうしても欲しいの!御兄ちゃん、御願い!
ラディッツ:まぁ良かろう…にとり、1回頼む。
にとり:毎度あり
御兄ちゃんは、にとりに御金を渡して銃の弾(コルク製)を受け取った
ラディッツ:弾は5発か。どうすりゃ景品を貰えるんだ?
にとり:簡単な話だよ。弾を当てて棚から落としたら成功、その景品をゲット出来るって寸法さ。
ラディッツ:成る程な…よーし…
鈴仙:ラディッツさん!ちょっと待って下さい!
ラディッツ:何だ?
鈴仙:射的で景品を取る為のコツを御教えしましょう
ラディッツ:コツだと?
鈴仙:はい!上手く景品に弾を当てるには、腕を真っ直ぐに伸ばし、身を乗り出す様にして、限界まで目標に銃を近付けて撃つのがコツなんです!
ラディッツ:ほぅ…まぁやって見るとするか。
射的のコツを御兄ちゃんに教えるうどんげの顔は、清々しいくらいのドヤ顔だった。御兄ちゃんは、うどんげに言われた通りに身を乗り出しつつ、腕を真っ直ぐ伸ばして銃を構えた
鈴仙:そうそう!良い感じですよ!
はたて:頑張れラディッツ!
フラン:ファイトー
パチュリー:こんな時くらい、良い所見せなさいよ?
ラディッツ:フン…此処だ!
私達の応援を横目に、御兄ちゃんの撃った弾は縫いぐるみをしっかりと捉えた。だけど、縫いぐるみは落ちる所かビクともしなかった…
はたて:アレ?今、確かに命中したよね?
鈴仙:はい、私にもそう見えました…
にとり:残念当たったとしても、落ちなきゃ景品はあげられないねぇ
フラン:そんなぁ…
パチュリー:・・・
ラディッツ:ちっ…だったら、落ちるまで撃ち込むまでだ!
御兄ちゃんは、矢継ぎ早に3発弾を撃ち出した。弾は全て縫いぐるみに命中したんだけど、それでも縫いぐるみは落ちる気配が無かった。頭を傾げる私達とは裏腹に、にとりは笑顔を浮かべていて…
にとり:またまた残念
ラディッツ:妙だな…
鈴仙:ですね…
パチュリー:まさかとは思うけど…貴方、景品が落ちない様に何か細工してるんじゃないでしょうね?
にとり:言い掛かりは止してくれよ。
尚もニヤニヤし続けるにとりに対し、私達の疑念は更に高まった
パチュリー:怪しい…
はたて:鈴仙!すぐに景品を調べて!
鈴仙:了解!
にとり:待った待った!私は何もしてないって!
はたて:なら、調べられても問題無いでしょ?
にとり:ぐっ…
はたてさんがにとりを取り抑えてる間に、うどんげが景品に何か仕掛けが無いかを調べ始めた…その結果は…
鈴仙:コレは…
フラン:どうしたの?
鈴仙:強力な粘着テープで、景品を棚に固定してあります。弾が当たっても落ちなかった理由はコレですね。
ラディッツ:ほぅ…
パチュリー:どう言う事か、言い訳があるなら聞くわよ?
にとり:ゴ、ゴメンよ!出来心だったんだ!
鈴仙:だとしても、コレはあんまりなのでは?
パチュリー:恐らく、私達以外にも被害者は居る筈よ。
はたて:隙間妖怪に事情を説明すれば、営業停止は確実だね。
にとり:そ、それは勘弁して!
パチュリー:都合の良い事言わないの。
フラン:にとり…
にとり:くっ…
ラディッツ:待て、お前ら。
パチュリー:ラディッツ?
御兄ちゃんは、私達に問い詰められて縮こまってるにとりにゆっくりと歩み寄って行った
ラディッツ:にとり、俺はお前を良いダチだと思ってる。色々世話になったし、コレからも長く付き合って行ければ良いとも思ってる。だから、こんな下らん事でその関係を終わらせたくねぇ。
にとり:・・・
ラディッツ:この事は、此処に居る俺達の胸の内に秘めておく。だから、今すぐ全ての細工を取り払え。そして、今からは全うな商売をしろ。
にとり:…分かったよ。
御兄ちゃんの言葉で観念したにとりは、全ての細工を取り払って行った
ラディッツ:お前達も、この件は俺の顔に免じて忘れてやってくれ。
フラン:はーい
はたて:了解。
鈴仙:分かりました。
パチュリー:全く…甘いわね…
にとり:悪かったね。御詫びと言っちゃ何だけど、どれでも好きな景品を持ってってくれ。
ラディッツ:いや、そうはいかん。
にとり:えっ?
ラディッツ:まだ弾が1発残ってる。コイツで最後の勝負をさせてくれ。但し、俺流のやり方でな。
にとり:へいへい、御好きにどうぞ。
そう言うと、御兄ちゃんは指に最後の弾を乗せて真っ直ぐ構えた
パチュリー:もしかして、弾を指で弾いて景品に当てるつもりなの?
ラディッツ:あぁ、そうだ。
鈴仙:外したら御終いですよ。
はたて:落ち着いて!よーく狙って!
フラン:御兄ちゃん、絶対当ててね?
ラディッツ:黙って見てろ…貰った!
御兄ちゃんが指で弾いた弾は、縫いぐるみの体の真ん中にしっかりと命中し、それを棚から落とした
ラディッツ:ま、ざっとこんなもんだな。
フラン:やったー
パチュリー:フーン、やるじゃない。
はたて:流石!
鈴仙:素敵です
にとり:御見事!さぁ、御望みの縫いぐるみだよ。持ってってくれ。
フラン:わーい有難う、御兄ちゃん
ラディッツ:おう。
私は、御兄ちゃんに取って貰った猿の縫いぐるみをギュッと抱き締めた
ラディッツ:世話になったな、にとり。
にとり:いやいや、此方こそ…そうそう、すまないついでに情報をあげよう。
ラディッツ:情報だと?
にとり:あぁ。祭りの締め括りとして、盛大な花火大会があるんだ。だから、最後まで見て行く事を強く御薦めするよ。
鈴仙:花火ですか、良いですねぇ
フラン:御姉様達と一緒に見ようよ
ラディッツ:それが良いだろう。にとり、良い情報をくれたな。感謝するぞ。
にとり:良いって良いって。
すぐ後に、私達はにとりの射的屋から移動を開始した。で、その道中…
鈴仙:そう言えば…フランさんは、どうしてその縫いぐるみを欲しがったんですか?
はたて:あ、それ私もちょっと気になってたんだ。
パチュリー:縫いぐるみなら他にもあったのに、何で猿なんか選んだのよ?
フラン:だって、この猿の顔が御兄ちゃんに似てると思ったから
女性3人:えっ?
ラディッツ:あん?
はたて:プッ…アッハハハハ!成る程、そう来たか!
パチュリー:ブフッ…言われてみれば…確かにちょっと…似てるかも…主に額の辺りとか、目元とか…
鈴仙:ふ、2人共…笑っちゃ失礼ですって…プクク…
私の発言に少しポカンとした後、はたてさんは御腹を抱えて爆笑し、うどんげはそれを止めようとしてるけど笑っちゃってる始末。パチェも、そっぽを向いてるけど必死に笑いを堪えようとしてるのがバレバレだった
ラディッツ:俺、こんな顔をしてる様に見えるのか?
フラン:えっ?似てないかな?
ラディッツ:分からん…
御兄ちゃんは、何とも言えない複雑そうな表情を浮かべていた。少しして、パチェ達3人は落ち着きを取り戻した
はたて:あー、笑った笑った…
鈴仙:えっと…何かスミマセン…
ラディッツ:いや、別に構わんが…
パチュリー:それにしても…フラン、その縫いぐるみがすっかり御気に入りになったみたいね?
フラン:うん私の新しい宝物だよ
パチュリー:そう…なら、前に持ってた縫いぐるみみたいに破壊しちゃわない様に気を付けなきゃいけないわね?
フラン:うん
私は、新しい宝物を破壊しちゃわない様に抱き締めつつ、皆と一緒に御祭り見物に戻ったよ。他には何があるのかなぁ?楽しみだなぁ
ラディッツが指で弾を弾くシーン、元ネタは原作で彼が戦闘力5のオッサンに弾を弾き返したシーンです
確か、撃たれた銃弾を受け止めた後、指で弾いてた筈ですが…