誇り高き弱虫の幻想郷生活   作:パラリズム

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御待たせしました

白玉楼で留守番

始まります


第246話

その日、俺は白玉楼に呼び出されていた。妖夢曰く、幽々子が大事な用事で出掛けるらしく、自分1人では心細いから一緒に留守番して欲しいとの事だが…

 

幽々子:この子ったら、そんな理由で人を呼び出すなんて…

 

ラディッツ:何、仕事が休みで暇だったからな。気にするな。

 

幽々子:何かゴメンなさいね。そして有難う。

 

ラディッツ:あぁ。

 

幽々子:それじゃ、行って来るわ。御夕飯までには戻って来るから。

 

妖夢:行ってらっしゃいませ。

 

幽々子は、白玉楼から移動を開始した

 

妖夢:ラディッツさん。本日は、無茶な御願いにも関わらず快く引き受けて下さり、本当に有難うございます。

 

ラディッツ:それは構わんが…お前は一応幽霊でもあるんだろ?にも関わらず、1人で留守番するのが怖いってのはどうなんだ?

 

妖夢:幽霊が怖がりだって良いじゃないですか!それとも、何か問題がありますか?いけませんか?

 

ラディッツ:悪かった、そうムキになるな。

 

妖夢:そう言えば、今日はフランさんは一緒じゃないんですね?

 

ラディッツ:アイツは、今日は大妖精やバカコンビと一緒に遊びに出掛けてる。友達付き合いも大事だからな。

 

妖夢:そうなんですね。

 

ラディッツ:時に妖夢。留守番してる間、俺は何をすれば良いんだ?

 

妖夢:いえ、特には…コレをして欲しいとか言う事は考えてませんでした…

 

ラディッツ:フム…そういや、この前ミスティアの屋台で飲んだ時に自由な時間が欲しいと言ってたな。

 

妖夢:あ、あの時は御酒も入ってたのでついアレコレ言ってしまっただけで…

 

ラディッツ:だとしても、アレが嘘とは思えん。今日はゆっくりしてろ。家事や掃除くらいは俺がしてやるからよ。

 

妖夢:し、しかし御客である貴方にそんな事をさせる訳には…

 

ラディッツ:遠慮等するな。いつも休み無しに頑張ってんだ、偶には息抜きしてもバチは当たらん筈だぜ?

 

妖夢:そ、そうですかね?

 

ラディッツ:あぁ。屋敷の事は俺に任せておけ。

 

妖夢:えっと…では、スミマセンが御願いします。

 

ラディッツ:おう。

 

てな訳で、俺は白玉楼の掃除を始めた。紅魔館程では無いが、此処も中々の広さがあった為、掃除には時間が掛かっちまった

 

ラディッツ:ふぅ…こりゃ掃除のし甲斐があるな。妖夢の奴、いつも此処をたった1人でね…

 

小休止を挟みつつ、まずは屋敷の掃除を終えた。報告がてら、一旦妖夢の元に戻った。当の妖夢は、庭で剣の素振りをしていやがった

 

ラディッツ:掃除は終わったぞ。

 

妖夢:時間が掛かりましたね。

 

ラディッツ:あぁ、流石にな…

 

妖夢:でも、有難うございます。助かりました。

 

ラディッツ:構わんさ。それより、それは修行か?

 

妖夢:えぇ、まぁ…

 

ラディッツ:ったく…ゆっくりしておけっつったろ?

 

妖夢:強くなる為には、毎日の修行は欠かせませんから。

 

ラディッツ:真面目な奴だな。ま、その意見には同感だが…妖夢、台所と食材を使わせて貰うぞ。

 

妖夢:ハイ、どうぞ。場所は分かりますか?

 

ラディッツ:掃除してる時に位置を確認したからな。

 

妖夢:そうですか。私は此処に居ますので、何かありましたら何なりとどうぞ。

 

ラディッツ:あぁ。

 

妖夢に許可を貰い、次に向かったのは台所だ。食糧は山程保管されてる様に見えるが…

 

ラディッツ:俺が言えた事じゃねぇが…幽々子の食欲を考えると、コレだけあっても持って数日分って所なんだろうな…さてと、やるか…

 

修行を頑張る妖夢の為、軽いもんではあるが飯を作ってやり、持って行ってやった

 

ラディッツ:妖夢、少し休憩して飯にしようぜ。口に合うかは分からんがな。

 

妖夢:スミマセン、有難うございます。頂きます。

 

妖夢は、俺が作った飯を残さず完食した

 

妖夢:ふぅ…とても美味でした。御馳走様でした。

 

ラディッツ:おう。

 

妖夢:失礼ながら、無骨な見た目の割にはとても良い家事スキルを御持ちの様ですね。以前、幽々子様が貴方の事を勧誘していましたが、それも納得です。

 

ラディッツ:生きてく為には色々と必要だったからな。それだけの話だ。

 

妖夢:とても厳しい世界で生きて来たと聞いてます。

 

ラディッツ:まぁな。戦闘力が低い奴は落ちこぼれと判断され、ゴミの様に扱われて来た。逆に高過ぎても駄目だった。弟と同じ日に生まれたガキが、生まれつき戦闘力が高くて危険だと言う理由で親子共々処分されたと言う話を聞いたからな。

 

妖夢:悲しい話ですね。折角生まれて来た命なのに…

 

ラディッツ:そうだな。昔は、それも仕方無い事だと思っていた。だが、今思えばそれは早計だったのかも知れん。ソイツも、生きていれば俺や弟みたくなれた可能性だってあるからな。

 

妖夢:そうですね、同感です。

 

その場に暫く重い雰囲気が流れた…

 

ラディッツ:スマン、今更言ってもどうにもならん事をグダグダと…忘れてくれ。

 

妖夢:構いませんよ。では、私は修行に戻りますので。

 

ラディッツ:待てよ。此処からは俺も付き合おう。

 

妖夢:えっ?

 

ラディッツ:1人で素振りするより、実戦形式で戦う方が効率が良いだろうからな。

 

妖夢:フム、それは確かに…

 

ラディッツ:どうするよ?

 

妖夢:分かりました、御願いします。

 

ラディッツ:良し。とその前に、まずは皿を片付けてからだな。

 

妖夢:あ、私もやりますよ。

 

ラディッツ:そうか、分かった。

 

以下、妖夢視点

 

私とラディッツさんは協力して皿を片付け、共に修行する為に庭へ出た。私は2本の木刀を携えている。対する彼はと言うと…

 

妖夢:ラディッツさん、貴方は武器は使わないんですか?

 

ラディッツ:あぁ、俺に武器は必要ねぇからな。

 

妖夢:貴方の強さは存じています。しかし、丸腰の方に武器を振るうのは少々躊躇いが…

 

ラディッツ:それは、戦士にとっちゃ侮辱でしかねぇ。そして、その甘さは戦場では命取りになるぞ。

 

妖夢:そ、それは…

 

ラディッツ:何処からでも打ち込んで来い。格の違いを見せてやるよ。

 

妖夢:…怪我をして後悔しても知りませんよ!

 

私は、瞬時に彼に近付いて木刀で連続攻撃を放った。しかし、彼は言葉通りにそれら全てを躱し続けている。全く掠りもしていない…

 

妖夢:くっ…まだまだ!

 

私は、彼に一撃叩き込もうと振り被った

 

ラディッツ:遅い!

 

しかし、甘過ぎた私の攻撃は完全に見切られ、彼に片手で弾かれた挙げ句、腹に拳を打ち込まれてしまった

 

妖夢:ぐぅっ…

 

ラディッツ:消えろ!

 

彼は、腹を抑えた私の眼前で手を翳した

 

妖夢:・・・

 

ラディッツ:何てな。俺がお前の敵だったら、お前は今確実に消し飛ばされてたぜ。まぁその前に既に何回も死んでたがな。

 

妖夢:…ですね…皆さんから話に聞いてはいましたが、この世界に来てから其処まで時間が経っていない筈なのに、こんなに強くなっているとは…私では、貴方の修行の相手は務まらない様です。私は、まだまだ未熟者ですね…

 

ラディッツ:それで良いんだ。

 

妖夢:えっ?

 

ラディッツ:俺もお前もまだまだ未熟だ。だが、今が未熟ならまだまだ上を目指せるって事だ。そう思うと、ワクワクして来るだろ?

 

妖夢:そう…ですね…

 

微笑み掛ける彼に対し、私も笑みを返した

 

妖夢:先程の発言、申し訳ありませんでした。もしも嫌で無ければ、もう一度御手合わせを御願いしたいのですが…

 

ラディッツ:良かろう。トコトン付き合ってやるぞ。掛かって来い!

 

妖夢:はい!

 

私とラディッツさんの手合わせは、夕方近くまで続いた。先程と違い、油断も慢心も無く行った手合わせは、とても充実していた

 

妖夢:はぁ…はぁ…はぁ…

 

ラディッツ:コレくらいにしとくか…大丈夫か?

 

妖夢:な、何とか…しかし、本当に全く敵いませんでしたか…

 

ラディッツ:いや、お前も良くやったよ。流石は幽々子が認めた奴だ。先が楽しみだよ。

 

妖夢:・・・

 

ラディッツ:どうかしたか?

 

妖夢:あ、いえ…ある人の事を思い出してしまって…

 

ラディッツ:ある人?

 

妖夢:私の剣術の師であり、祖父でもある人…名を魂魄妖忌と言います。

 

ラディッツ:ほぅ…ソイツは今何処に居るんだ?

 

妖夢:分かりません…

 

ラディッツ:何?

 

妖夢:ある日突然、私に全て任せて姿を消してしまい…それ以来行方不明なままで今に至ります。

 

ラディッツ:…スマン…

 

妖夢:いえ、良いんですよ。祖父も貴方と同じく、とても強い人でした。そして厳しい人でした。度々手合わせをして頂きましたが、勝てた事は一度もありませんでした。

 

ラディッツ:そんな奴がね…もしまだ生きてるなら、是非戦ってみたいもんだな…

 

妖夢:貴方なら、きっとあの人とも良い勝負になるでしょうね。

 

ラディッツ:・・・

 

それから少しして幽々子様が御戻りになり、ラディッツさんが此処(白玉楼)から発つ時間となった

 

妖夢:本日は、本当に有難うございました。この御礼は必ず致しますので。

 

ラディッツ:気にするな。俺はダチの頼みを聞いただけに過ぎん。

 

妖夢:ダチ…

 

ラディッツ:どうかしたか?

 

妖夢:あ、いえ…

 

幽々子:ラディッツ君、ちょっと…

 

幽々子様がラディッツさんを呼び出し、2人は少し移動した

 

ラディッツ:何だ?俺、何かマズい事でも言ったか?

 

幽々子:そうじゃなくて…貴方は、妖夢の事を本当に友達だと思ってくれてるのかしら?

 

ラディッツ:何でそんな事を…

 

幽々子:良いから答えて。

 

ラディッツ:聞くまでもねぇだろ。付き合った時間こそ短いが、大事なダチだと思ってるぞ。

 

幽々子:そう…

 

ラディッツ:妖夢だけじゃなく、アンタの事もそう思ってるぞ。

 

幽々子:あら、有難う。そう思ってくれる人に出会えて、本当に嬉しいわ。コレからも、仲良くして行けたら良いわね。

 

ラディッツ:そうだな。で、話はそれだけか?

 

幽々子:えぇ、それだけよ。

 

ラディッツ:そうか…

 

ラディッツさんと幽々子様が私の所へ戻って来た

 

妖夢:もう御話は宜しいのですか?

 

幽々子:えぇ。さぁ、ラディッツ君。急いで帰りなさい。此処は冥界…本来なら、生きてる貴方が長居して良い場所じゃ無いからね。

 

ラディッツ:呼び出しといてそれを言うか…まぁ良いが…

 

妖夢:念の為、冥界の入口まで御供します。

 

ラディッツ:助かる。それじゃ、またな。

 

幽々子:えぇ、気を付けてね。

 

その後、私はラディッツさんを冥界の入口まで御連れし、其処で彼と別れて白玉楼へと帰った…

 

 

所変わり、とある異空間…其処では、敵達が集まり何か話をしていた…

 

???:ナッパ、ガーリックJr、ウィロー、スラッグ…今まで我々が送り込んだ連中は、不死身であるガーリックJr以外の全員が幻想郷に住む戦士達の手で地獄に送り返された。

 

???:口程にも無い奴等ばっかりだったわね。クローンの培養だけじゃなく、そろそろ新しい駒を用意しなくちゃ。

 

???:心配御無用、次なる手は考えてある。それに、強力な駒も手に入れたからな。

 

???:強力な駒?

 

???:そうだ…以前、何処かで剣術の師をしていたと言う男だ。この度、我々の新たな駒の1つとして引き入れる事に成功した。

 

???:へぇ…

 

???:あの男同様、奴にも精々役立って貰うとしよう…ククク…

 

???:悪い顔してるわね。

 

???:それはそうと、奴等はどうしている?

 

???:あの騒がしい連中なら、向こうに送り込む手筈は万端よ。奴等の願いを叶える事を条件にね。

 

???:願い?

 

???:そう…何でも、行方不明になった大事な人を探したいとかどうとか…

 

???:その願いを叶えてやるつもりか?

 

???:まさか…奴等は只の捨て駒よ。餌をチラ付かせて利用して、要らなくなったら捨てる。奴等の価値はそれだけよ。

 

???:ククク…そうだな…

 

???:フフフ…

 

黒い闇の中で、新たな悪の芽は静かに芽吹いていた…

 




次に幻想郷に送り込まれた“奴等”とは…そして新たに闇の戦士となった者とは…
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