幻想の地のホワイトデー(前編)
第266話
ある日の昼下がり、紅魔館内の自室にて…
ラディッツ:さて、そろそろ行くとするか。今日は忙しくなりそうだぜ…
ラディッツは、そう呟いて自室を出た。そう、その日は…
フラン:ホワイトデーの御返し?
ラディッツ:あぁ、そうだ。つっても、大したもんは用意してねぇんだがな。
そう、ホワイトデー…バレンタインにチョコレートを貰った者が、その御返しにプレゼントを贈る日である(説明下手)
フラン:何々?何をくれるの?
ラディッツ:お前にはコレだ。
ラディッツが取り出したのは、真っ白でフワフワした生クリームが上に乗せられたチョコプリンだった
フラン:うわぁ♪チョコプリンだぁ♪
フランは、プリンを見て目を輝かせている
レミリア:あら、美味しそうじゃない。
咲夜:何て綺麗な形…
フラン:コレ、貰って良いんだよね?
ラディッツ:当たり前だ、お前の為に用意したんだからな。
フラン:それじゃ、早速頂きまーす♪
フランは、チョコプリンを一口口に運ぶ
フラン:コ、コレは…
レミリア:ど、どうしたの?
咲夜:まさか、中に何か…
フラン:美味しい♪美味し過ぎる♪
フランは、余りの美味しさに感涙を流している
ラディッツ:大袈裟な…何も泣く事はねぇだろ。
フラン:えー、だって…
レミリア:そ、そんなに美味しいの?
咲夜:スミマセン、私にも一口…
フラン:駄目!コレは私が御兄ちゃんに貰ったんだもん!全部私のだよ!
レミリア:そ、そんなぁ…
咲夜:むぅ…
躙り寄るレミリアと咲夜だが、フランはプリンを守りつつそれらを躱した
ラディッツ:心配するな。喧嘩にならん様、レミリアにも用意してあるぞ。咲夜にもな。
そう言うと、ラディッツはピンク色のプリンと白いプリンを取り出した
レミリア:コレは?
ラディッツ:ピンクの方は苺のプリン、白いのはミルクプリンだ。苺はレミリア、ミルクは咲夜の分だ。良かったら食ってくれ。
咲夜:いつの間にこんなに…
レミリア:まぁ良いじゃない。食べてみましょ。
咲夜:そ、そうですね…では…
レミリアと咲夜も、それぞれ一口ずつ口に運ぶ。その瞬間、余りの美味しさに2人の体に電流が走る
レミリア:おぉーっ!本当に美味しいじゃない!
咲夜:上品で滑らかな甘さ…それでいてしつこ過ぎず…何と言う事でしょう…
レミリア:ラディッツ!このプリンを売ってる御店を教えなさい!
フラン:私も知りたい!
咲夜:わ、私にも是非!
ラディッツ:売り物じゃねぇよ、俺が作ったんだ。
咲夜:えっ?手作り?
フラン:そうなの?
レミリア:マジで?
ラディッツ:マジで。
咲夜:コレは、何処の御店に出しても恥ずかしくない味ですよ。
レミリア:ラディッツ…恐ろしい子…(ベル薔薇風に)
フラン:流石御兄ちゃん♪有難う♪
ラディッツ:気に入ってくれたなら良かったよ。
咲夜:しかしラディッツさん。私は、バレンタインには何もプレゼントしていませんが…
レミリア:あ、私もだわ。
ラディッツ:お前達には、此処に居させて貰ってるだろ。御返しする理由としては、それだけで十分だ。
レミリア:ラディッツ…
ラディッツ:それじゃ、俺は大図書館に行くからな。
フラン:大図書館…あぁ、パチェの所に行くんだよね?
ラディッツ:あぁ、そうだ。一緒に行くか?
フラン:うーん…今日は良いかな?
ラディッツ:そうか、分かった。
ラディッツは、大図書館に向かって移動を開始した
レミリア:珍しいわね。いつもなら、何処に行く時も一緒にくっ付いてくのに…
フラン:私だって、気を利かせる時くらいはあるよ?
咲夜:フフ、成る程…
所変わり、此処は大図書館…
パチュリー:バレンタインの御返し?
ラディッツ:あぁ、そうだ。
パチュリー:そんな暇があるなら、修行や仕事をキチンとしなさいな。
ラディッツ:相変わらず手厳しいな。まぁ取り敢えず、コレを受け取ってくれ。
ラディッツは、綺麗にラッピングされた包みをパチュリーに手渡した。彼女は、無言のままでそれを開けてみた。中に入っていたのは、1冊の本だった
パチュリー:コ、コレは…
小悪魔:本…ですか?一体何の?
パチュリー:ラディッツ!貴方、どうやってコレを?
ラディッツ:情報収集をしてる時に、ある奴から最近パチュリーが里にある貸本屋に出入りしてると聞いてな。其処の娘に、お前は店に来ると必ずその本を読んでいたと聞いたんだ。で、再三交渉してそれを売って貰ったって訳だ。給金の数ヵ月分が一気に吹っ飛んじまったがな。
小悪魔:そ、そんなに高価な本なんですか?内容は何なんですか?
ラディッツ:さぁな。俺は本は読まねぇから内容までは知らんが…
小悪魔:えー…
パチュリー:小説よ…
ラディッツ:ん?
小悪魔:小説…ですか?魔導書とかでは無くてですか?
パチュリー:そう…外の世界のミステリーと言う物に分類される小説、その初版本…外の世界ではかなり前に絶版になり、もう手に入らない本よ。
小悪魔:その本が、長い年月を経て外の世界からこの幻想郷に流れ着き、それがあの貸本屋に行き…
パチュリー:そして今、私の元に…と言う事になるのね。
パチュリーは、その本をゆっくりと抱き締める
ラディッツ:その様子だと、気に入って貰えた様だな。
パチュリー:そうね、貴方にしては上出来だと思うわよ。
ラディッツ:そりゃどうも。
パチュリー:その鋭さを、是非他の所にも活かして貰いたい所なんだけど…
ラディッツ:何の話だ?
パチュリー:やれやれ…まぁ良いわ。今日の所は、素直に御礼を言っておくわ。最高のプレゼントを有難う、ラディッツ。本当に嬉しいわ。
パチュリーは、頬を赤らめながらラディッツに微笑みかけた
ラディッツ:お前が素直だと妙な感じだな。
小悪魔:明日は雨ですかねぇ…
ラディッツ:そりゃ困ったな…
パチュリー:アンタ達…
ラディッツ:冗談だ。明日と言わず、今此処で血の雨を降らされちゃ堪らんからな。
小悪魔:あ、それはもっと嫌ですね。
パチュリー:全く…用が無くなったなら、早く出て行きなさい。読書に集中したいから。
ラディッツ:あぁ、そうしよう。まだまだ行くべき場所があるからな。邪魔したな。
小悪魔:いえいえ、御気を付けて。
ラディッツ:あぁ。
2人に挨拶を済ませ、ラディッツは大図書館を後にした
パチュリー:本当にもう…バカなんだから…
小悪魔:フフ…
本に目を通しつつ嬉しそうにそう呟くパチュリーに対し、ニヤニヤが止まらない小悪魔であった。所変わり、紅魔館の門前にて…
美鈴:えっ?ホワイトデーの御返しですか?
ラディッツ:そうだ。
美鈴:えーっと…申し訳無い事ですけど、私はバレンタインには貴方に何も差し上げていないと記憶してるんですが…
ラディッツ:あぁ、貰ってねぇな。だが、コレは感謝の気持ちだ。
美鈴:感謝ですか?
ラディッツ:そうだ。お前には、いつも修行に付き合って貰ってるからな。その礼だ。
美鈴:そんな、御礼だなんて…私は貴方との修行を心から楽しんでいますし、コレ以上は何も…
ラディッツ:まぁそう言わずに受け取ってくれ。
申し訳無さそうに頭を掻く美鈴に対し、ラディッツが取り出したのは…
美鈴:コレは、サンドイッチ…もしかして手作りですか?
ラディッツ:あぁ、そうだ。
美鈴:助かります!実は、丁度小腹が空いていて!早速頂いても?
ラディッツ:勿論だ、その為に持って来たんだからよ。
美鈴:それでは…
美鈴は、サンドイッチを一口頬張った。その瞬間、彼女の口の中で複数の味が弾けた
美鈴:何コレ!?美味っ!?
ラディッツ:そりゃ良かった。
美鈴:中に入ってるのは、ブルーベリージャムと…ピーナッツバターですか?
ラディッツ:当たりだ。イケるだろ?
美鈴:ハイ!意外な組み合わせですが、御互いの味が殺し合う事無く絶妙に絡み合って…コレなら、何個でも食べられそうです♪
美鈴は、次々とサンドイッチを食べて行き、あっと言う間に全て平らげてしまった
美鈴:ふぅ、とても美味でした♪御馳走様でした♪
ラディッツ:御粗末さん。コレからも共に修行し、一緒に強くなろうぜ。
美鈴:勿論です♪此方こそ、コレからも宜しく御願いしますね♪
ラディッツ:おう!
ラディッツと美鈴は、互いの拳を重ね合う
ラディッツ:それじゃ、俺は出掛けて来る。夕飯までには戻れると思うが、遅くなる様なら連絡するからよ。
美鈴:分かりました!行ってらっしゃい!
敬礼しつつ見送る美鈴を背に、ラディッツは紅魔館を出発した。次に彼が向かったのは…
遅過ぎだろ!もう6月だよ!
と言うツッコミが飛んで来そうですが、御付き合い頂ければ幸いです(笑)