誇り高き弱虫の幻想郷生活   作:パラリズム

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第345話

翌日の昼前、場所は紅魔館の前。月の軍隊を迎え撃つべく、幻想郷の強者達が集っていた。具体的には、紫、紅魔館の面々、ターレス一味、天狗コンビ、不死身コンビ、霊夢、魔理沙、妖夢、幽々子、アリスである

 

ラディッツ:そろそろか・・・

 

ターレス:いつでも来やがれ・・・

 

レミリア:いやいやいや!ちょっと待って!何で!?何で紅魔館!?他に場所無かったの?

 

紫:色々候補はあったけど、結局戦場は此処になった(by作者)との事よ。

 

レミリア:今から激しい戦いが起きるのに、ふざけんじゃないわよ!以前もちょっとした戦い(小競り合い)でクレーター出来たりしたのよ!巻き添えになって爆発したらどうすんのよ!修繕費もバカにならないのよ!

 

酷い扱いに、カリスマ性など欠片も無く激怒する紅魔館の主であった

 

パチュリー:大丈夫よ、レミィ。館が巻き添えにならない様に、全方位に結界を張ってあるから。

 

レミリア:そ、そうなの?それなら大丈夫ね。

 

パチュリー:えぇ、大丈夫よ。内部からガス爆発とかで破壊されない限りはね。

 

レミリア:・・・咲夜!

 

咲夜:御心配無く。隅々まで確認してあります。

 

レミリア:良くやったわ。今回は、爆発する心配は無さそうね。

 

パチュリー:そうね。

 

ターレス:つーか、集まってるのはコレだけか?ザーボンの野郎や特戦隊の連中はどうした?

 

紫:彼等には、他に重要な仕事を与えたわ。それぞれにね。

 

ターレス:ほぅ・・・

 

そうこう言っている内に、虚空に異空間が出現し、中から月の兵士達が次々と姿を現した。そして、その少し後に黒いフード付きのローブを着て顔を隠している者達が3人、ゆっくりと姿を現した

 

???:コレはコレは・・・御待たせしてしまった様で申し訳無い。

 

レミリア:フッフッフ、構わないさ。遠路遥々、ようこそ我が紅魔館へ。歓迎するぞ、月の者達よ。

 

レミリア、カリスマスイッチオン

 

はたて:スイッチ入ったみたい・・・

 

妹紅:さっきまで騒いでた癖にな。

 

レミリア:まずはゆっくりと紅茶でも如何かな?

 

???:いや、結構だ。

 

レミリア:そうか、それは残念だ。

 

レミリアが少し下がり、紫が少し前に出る

 

紫:一応聞いておくわ。貴方達が此処に来た目的は何?

 

???:幻想郷の賢者、八雲紫か・・・知れた事。我々の目的は、穢れた地上の者達を殲滅し、この地を我々月の民の支配下に置く事。月の王の名の元に。

 

紫:勝手な事を・・・

 

???:我々に対抗する為、戦力を整えた様だが・・・その程度の戦闘力で我々に立ち向かえるとでも?

 

紫:彼等を、戦闘力だけで判断しない方が良いわ。で無いと、痛い目を見るのは貴方達の方よ。

 

???:戯れ言を・・・お前達!幻想郷の者達と、少し遊んで差し上げろ!

 

号令と共に、辺りの玉兎達が次々と走り出す

 

紫:そちらがその気なら・・・皆!軽く遊んでいらっしゃい!

 

紫の号令で、幻想郷側の面々もそれぞれ戦いを開始した。しかし、数多の戦いにより戦闘力を上げていたラディッツ達幻想郷の面々と月の兵達では、勝負にすらなっていなかった。ある者達は椛や妖夢、天子の剣術(峰打ち)により、ある者達は天狗達が起こした風により吹き飛ばされ、ある者達は不死身コンビの「どっちがどれだけ倒したか」と言う小競り合いの巻き添えになって、ある者達は魔女達の魔術により返り討ちにされ、ある者達は咲夜が何処からか持ってきたロードローラーでの進撃に蹴散らされ・・・と、物の数分程度でその数を減らして行った

 

ターレス:何だ何だ、月の兵士ってのはこの程度か?

 

ラディッツ:全くだ。コレじゃ、まるで話にならんな。

 

悟空:もっと強ぇ奴は居ねぇのか?

 

???:強い奴を御所望の様だよ。

 

???:雑兵達じゃ満足させられないか・・・仕方無い、私達が行くとしようか。

 

黒いローブを着ている3人の内、2人がフード付きのローブを脱ぎ捨てた。1人は、青い髪で青い服を着、頭には白い兎の耳が生えた女性。1人は、金髪でオレンジ色のシャツ、黄色と白の縞模様のカボチャパンツ、頭には茶色の帽子を被り、もう1人と同じく兎の耳が生えた女性だった

 

ラディッツ:誰だ貴様等は?

 

清蘭:自己紹介しておこうか。私は清蘭。で、此方は・・・

 

鈴瑚:鈴瑚ってんだ。どうぞ宜しく、外来人の御兄さん達。

 

ラディッツ:何故俺が外来人だと?

 

清蘭:そりゃ分かるさ。ある奴からの情報提供でね。色々あったらしいじゃないか。

 

ラディッツ:誰からそれを?

 

清蘭:気になるよねぇ・・・フフフ・・・

 

鈴瑚:ホラ、アンタも来なよ。

 

???:・・・分かった。

 

清蘭、鈴瑚の少し後ろから、最後の1人が歩み出た

 

鈴瑚:この子が、さっきの情報の提供者さ。

 

清蘭:何でも、親しい間柄だったらしいじゃないか。

 

ラディッツ:親しいだと?

 

清蘭:ホラ、見せてやりなよ。アンタの顔をさ。

 

???:・・・

 

黒いローブを脱ぎ捨て、素顔を晒した最後の人。その正体は、ラディッツ達と親しい友人として付き合って来た、薄紫の長髪に赤い眼を持った地上の妖怪兎だった

 

はたて:う、嘘・・・

 

アリス:鈴仙!

 

フラン:うどんげ!いきなり居なくなったから心配したよ!

 

鈴仙:・・・

 

ラディッツ:どうしてそんな格好してるかは分からんが、無事で良かった。永琳も心配してたぞ。今から一緒に・・・

 

鈴仙に手を差し伸べたラディッツだったが、鈴仙がその手を取る事は無かった

 

ラディッツ:どうした?

 

鈴仙:ハッキリ言います。私は、もう貴方達の仲間じゃありません。

 

ラディッツ:ど、どう言う事だ?

 

鈴仙:言葉のままです。私は、貴方達に御別れを言いに来ました。

 

妖夢:御別れ?

 

椛:いきなり何故?

 

鈴仙:私は、月の兵士としての生活に戻る事になりました。なので、もう地上に居る貴方達と会う事が無くなるからです。

 

輝夜:何ですって?

 

幽々子:突然ね・・・

 

鈴仙:止めないで下さいね。コレは、逃げ出した私にとって、もう一度やり直すチャンスなんです。

 

ラディッツ:いきなりそんな話を聞いて、納得すると思うのか?冗談言ってないで戻って来い!

 

鈴仙の手を強引に引いたラディッツだったが、鈴仙はその手を振り払った。そして、間髪入れずに指先から弾を撃ち出し、ラディッツの右足を撃ち抜いた

 

ラディッツ:ぐぅっ!

 

足に激痛が走り、その場で膝を付いた

 

パチュリー:ラディッツ!

 

アリス:大丈夫?

 

ラディッツ:あ、あぁ・・・

 

ラディッツを守る様に、仲間達が前に出る

 

フラン:うどんげ、どうして・・・

 

鈴仙:次は真ん中を撃ち抜きます。

 

フラン:・・・

 

その直後、清蘭の通信機に通信が入る

 

清蘭:撤収命令だ。退くよ。

 

鈴瑚:えっ?もう?私ら、まだ戦って無いのに?

 

清蘭:それでもだ。戦いは次の楽しみに取っておこう。

 

鈴瑚:むう、命令なら仕方無いか・・・総員撤退!今日は此処までだよ!

 

再び何処からか異空間が出現し、動ける玉兎達は動けない者達を担ぐなり背負うなりしてその中に入って行く

 

清蘭:さ、私達も行こうか。

 

鈴瑚:だね。ホラ、行くよ鈴仙。

 

鈴仙:えぇ。

 

清蘭と鈴瑚も、異空間の中に入って行く。そして、鈴仙も後を追って移動を開始した

 

ラディッツ:ま、待て!話はまだ・・・

 

鈴仙:いいえ、話は終わりました。私は、私の夢の為に月で頑張ります。貴方達は、私の事は忘れてどうか幸せになって下さい。此処に居ない人達や師匠にも、どうか宜しく御伝え下さい。さようなら。

 

笑顔を見せた後、鈴仙は異空間へと入って行き、すぐ後に異空間は消滅した

 

ラディッツ:クソッ・・・

 

ラディッツは、悔しそうに地面を殴り付けた

 

フラン:御兄ちゃん・・・

 

こいし:足の怪我を治療しないと。

 

妹紅:永琳達に鈴仙の事も伝える必要がある。永遠亭に行こう。

 

魔理沙:そうだな。

 

霊夢:てか、私達今回出番コレだけ?

 

妖夢:まぁまぁ・・・

 

幽々子:紫婆ちゃん、御願いね。

 

紫:まだ言うか!てか、アンタも大概でしょ!

 

ターレス:さっさとしろ。

 

紫:くっ・・・

 

舌打ちしつつ、隙間を開いた紫。そして、ラディッツの足の治療と永琳達への報告の為、永遠亭へと移動した


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