誇り高き弱虫の幻想郷生活   作:パラリズム

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第370話

月の王の目を覚まさせる為、ラディッツが奥の手として出したのは弟カカロット(孫悟空)の大技、元気玉だった。ラディッツがそれを使える様になった経緯は、命蓮寺での修行を終えてから数日後の夜に遡る。その日、悟空に呼び出されたラディッツだったが・・・

 

ラディッツ:カカロット、話ってのは何だ?

 

悟空:ラディッツ。コレから先の戦いの為に、オメェにオラの取って置きの技を教えとこうと思うんだ。

 

ラディッツ:お前の取って置きの技だと?

 

悟空:あぁ、オラがある人から教わった技だ。オラもコレを習得するまでかなりの時間が掛かったんだけどな。

 

ラディッツ:一応聞くが、どんな技だ?

 

悟空:まず、この技は悪の気が無い奴にしか使えねぇんだ。

 

ラディッツ:・・・なら、その時点で俺には無理だろう。

 

悟空:何でだ?

 

ラディッツ:お前も知ってるだろ?俺が元々、どうしようもねぇ悪党だとな。

 

悟空:あぁ、知ってる。けど、それは過去の話だ。今は違う。今のオメェは、この幻想郷の為に戦ってる。仲間だって沢山居るし、皆に心から信頼されてる。強くなってるのだって、ビシビシ感じ取れっぞ。

 

ラディッツ:だとしてもな・・・

 

悟空:オメェならやれる。オラはそう思う。

 

ラディッツ:その根拠は?

 

悟空:んー・・・根拠とか小難しいもんは良く分かんねぇけど、オラはそう思うんだ♪

 

ラディッツ:やれやれ・・・

 

屈託の無い笑顔でそう言い切る弟に対し、ラディッツは溜め息を吐いた

 

ラディッツ:その力を使いこなす事が出来れば、コレから先の戦いでもアイツ等を守り通せるのか?

 

悟空:あぁ、キチンと修行を続ければな。

 

ラディッツは、少し考え込む

 

ラディッツ:・・・どうすればその技を使える?やり方を教えろ、カカロット。

 

悟空:そう来なくちゃな。えっと、まずは・・・

 

回想終了、月の王との戦いに戻る。ラディッツは、空高く飛び上がった

 

ラディッツ:確か、両手を空に向けて上げるんだったな。で、このままの姿勢をキープしつつ、皆から分けて貰った気を溜めていくと・・・

 

フラン:姿勢、そのままなの?

 

ラディッツ:そうだ。だが、コレだと俺は無防備になっちまう。気を溜め終わるまでの間、攻撃されたらそれで終わりだ。

 

はたて:そうならない為に、私達が居るんじゃない?

 

妹紅:そう言うこった。アンタは気を溜める事に集中しろ。

 

鈴仙:私達が貴方を守ります!

 

輝夜:何があっても、中断しちゃ駄目よ?

 

ラディッツ:分かってる。頼んだぞ。

 

ラディッツは気を溜め始め、フラン達は無防備なラディッツを守る為に月の王との戦いを続けている。一方、紅魔館で彼等の戦いをモニター越し(にとり製)に観戦中の幻想郷の面々は・・・

 

小悪魔:ラディッツ様、何をなさってるんでしょうか・・・

 

にとり:両手を上げたままなんて、隙だらけじゃないか。

 

文:まさか、降参の意思表示ですかね?

 

アリス:そんな筈無いわ!

 

パチュリー:きっと、彼には何か考えがあるのよ。一緒に行った面々も諦めて無いみたいだし。

 

悟空:・・・へへ・・・

 

モニターを見ながら口角を上げた悟空。すぐ横に居たターレスは、それを見逃す筈も無く・・・

 

ターレス:カカロット、貴様何か知ってるな?

 

悟空:まぁな。

 

ターレス:教えろ、ラディッツは何をしようとしてるんだ?

 

悟空:それは、外に出たら教えるさ。

 

ターレス:外にだと?

 

悟空:あぁ、そうだ。皆も、オラと一緒に外に出てくれ。

 

パチュリー:何でよ?面倒なんだけど・・・

 

悟空:ラディッツに力を貸す為だ。

 

パチュリー:はぁ?

 

悟空の言葉に首を傾げつつ、その場に居た面々は館の外に出た(門番をしていた美鈴も合流)

 

椛:一体何が始まるんですか?

 

天子:私が知る訳無いでしょ?

 

悟空:それはな・・・

 

???:おーい!悟空よ!聞こえるか?

 

悟空が言葉を言い終わる前に、悟空の名前を呼ぶ声が辺りに響き渡った。突然の事で驚く他の面々だったが、その声の主は、悟空が良く知る人物だった

 

悟空:この声・・・もしかして、界王様か?

 

界王:おぉ、いかにも儂は界王じゃ。

 

声の主は、元の世界で悟空に修行を付けた北の界王だった

 

界王:久し振りじゃな、悟空よ。突然行方知れずになった御主を心配しておったが、まさか幻想郷に居るとは思わなかったわい。

 

悟空:界王様、此処の事を知ってるんか?

 

界王:御主、儂を誰だと思っとるんじゃ?コレでも神なんじゃぞ?

 

悟空:そういやそうだった。そんなに偉く見えねぇから忘れてたぞ♪

 

界王:・・・言い難い事をハッキリ言いおってからに・・・まぁ良いわい。御主が無礼なのはいつもの事じゃし、今更何も言うまいて・・・

 

悟空:それで?何か用か?

 

界王:実はな、今日は儂の元に珍しい客が来ておってな。

 

悟空:客?

 

紫:私よ、皆。

 

ターレス:この声・・・

 

こいし:隙間のオバさん?

 

紫:黙らっしゃい!誰がオバさんよ!

 

界王:ぬわーっ!耳元で大声出さんでくれ!

 

紫:あ、失礼しました!

 

次に聞こえた声は、幻想郷の賢者で隙間妖怪の八雲紫だった

 

ターレス:何で隙間妖怪が界王とやらと一緒に居るんだ・・・

 

界王:実は、紫とは旧知の仲でな。

 

紫:直接御会いするのは、本当に久し振りだけどね。

 

ターレス:ほぅ・・・

 

パチュリー:何だって良いわ。それより、一体何の用?

 

咲夜:私達にのんびり話している暇は無い筈よ。

 

界王:そうじゃな。世間話は此処までにして、そろそろ本題に移るか。

 

紫:そうですね。

 

界王:月へ向かった悟空の兄・・・奴がコレから使おうとしておるのは、元気玉と言う技じゃ。

 

アリス:元気玉?

 

美鈴:それは、一体どの様な技なんですか?

 

界王:元気玉とは、儂が其処に居る悟空に伝授した技でな。簡単に言えば、生きとし生ける者達からエネルギーを集め、それを放つ大技じゃ。だが、アレを習得する為には、純粋で澄んだ心が必要でな。儂が習得を夢見、しかし出来なかった技じゃ。

 

ターレス:神ですら習得出来なかった程の技を、あの弱虫ラディッツが使える訳がねぇだろ。俺が言うのも変な話だが、アイツはどうしようもねぇ悪党だった奴だぞ。

 

天子:見事なブーメラン発言ね・・・

 

界王:確かに、昔の奴では到底無理な話じゃ。あの男の過去の事は知っておる。奴が犯した罪は、とても償いきれる物では無い。

 

紫:だけど、今は違う。それは、貴方達皆が分かってるんじゃない?

 

アリス:それは・・・

 

界王:今の奴なら大丈夫。そう思ったからこそ、あの男に元気玉の事を話し、それを教えたんじゃろ?悟空よ?

 

悟空:あぁ。つっても、あんまり時間が無くて、まだ完全には伝えきれてねぇんだけどな。

 

界王:当たり前じゃ。アレは、本来そんな簡単に教えられる技じゃ無いからな。

 

紫:界王様、技の説明がまだ・・・

 

界王:分かっとるわい。んん・・・元気玉は、たった1人の力ではまず使えん。真の力を引き出すには、心から信頼し合える仲間の力が必要不可欠なのじゃ。

 

小悪魔:心から信頼し合える・・・

 

こいし:仲間の力・・・

 

界王:そうじゃ。

 

紫:貴方達には、彼の力になってあげて欲しいのよ。強大な敵を打ち倒す為にね。

 

一同は、次々と顔を見合せ、そして・・・

 

パチュリー:あの鈍感男には、何度も助けられて来た・・・私達が彼の力になれるなら、何だってやるわ。

 

アリス:今度は、私達が彼を助ける番よね。

 

にとり:どうすれば良い?

 

界王:力を貸したい相手の事を思い浮かべながら、空に向けて手を高々と上げるんじゃ。さすれば、その力は奴に届く。例えどんなに遠くに居たとしてもな。

 

悟空:こうやるんだ!

 

悟空は、右手を空に向けて高々と上げた

 

紫:さぁ、皆も彼に習って手を上げて!月で戦う戦士達を、皆で応援するのよ!

 

悟空に習い、霊夢や魔理沙、妖夢(台詞は無いけど居ると考えて頂きたい)、小悪魔や咲夜、にとり、文、天子が次々に空に向けて手を上げた

 

パチュリー:さっさと戻って来なさいよ。貴方には、私が書いた小説を読んで貰わなきゃいけないんだから。

 

アリス:こんな事で貴方の力になれるなら、幾らでもやるわ!

 

こいし:それーっ♪持ってけ持ってけーっ♪

 

椛:私の力も、是非使って下さい!

 

美鈴:限界まで持ってけ泥棒!

 

パチュリー、アリス、こいし、椛、美鈴も次々に空に向けて手を上げた

 

ターレス:宇宙船の事に加えて、もう1つ貸しだぜ。さっさと帰って来やがれよ、弱虫ラディッツ。

 

フッと笑った後、ターレスも彼等と同じ様に手を上げた。その後、紫の更なる協力要請により、地底や命蓮寺、守矢神社の面々達も元気玉の完成に協力した

 

悟空:ラディッツ、今のオメェならやれる筈だ・・・見せてくれ、皆で作った力を!爆発させろ!力を!

 

舞台は月に戻る。幻想郷の仲間達の力が集まり、気弾がドンドン大きくなっていく

 

ラディッツ:皆の温かな気を感じる・・・コレが元気玉か・・・

 

月の王:ガアァァァァッ!

 

元気玉に気付き、ラディッツに攻撃しようとした月の王だったが、フランや妹紅達に阻止されて不発に終わる

 

フラン:やらせないよ!

 

妹紅:大人しくしてろ!

 

依姫:くっ・・・あの技、一体いつまで時間が掛かるんだ?

 

豊姫:耐えるのよ!依姫!

 

依姫:分かっています!

 

月の王の攻撃はいっそう激しくなり、足止めしている面々の体力にも限界が来ようとしていた

 

レミリア:ラディッツ、まだなの?

 

はたて:体力が・・・もう・・・

 

さとり:ラディッツさん、皆限界が近いです。そろそろ・・・

 

ラディッツ:クソ、後少し足りん気がする・・・一体何が・・・

 

フラン:なら、私達の力も使ってよ。

 

ラディッツ:何?

 

フラン:行くよ!御兄ちゃん!

 

まずはフランが空に手を上げ、ラディッツに力を送った

 

妹紅:・・・そうだな。生憎、王との戦いで体力使って、そんなに残っちゃいないが・・・残り全部くれてやるよ!

 

輝夜:コレ以上欲しいだなんて、欲張りな人ね・・・良いわ!この月の姫の力もあげる!

 

鈴仙:王様の事、貴方に託します!

 

はたて:ったく・・・帰ったら何か奢ってよね?

 

フランに続き、妹紅、輝夜、鈴仙、はたても残る力の全てを送った

 

ラディッツ:・・・コレでもまだ駄目か・・・

 

レミリア:此処まで来て弱音吐かない!私の力も御馳走するわ!

 

更にレミリア、幽々子、白蓮、さとり、綿月姉妹の力も送られ、遂に元気玉は完成を迎えた

 

ラディッツ:来たぞ!待たせたな月の王!コイツで目を・・・覚ましやがれ!

 

ラディッツは、仲間達全員の力を集めた超特大サイズの元気玉を月の王目掛けて投げ付けた。月の王は、それを受け止めるも、ズルズルと下がりはじめた

 

月の王:グオォォォォッ・・・

 

ラディッツ:心配するな、命までは奪いはせん。但し、暫くは動けんだろうがな。ハアァァァァッ!

 

ラディッツは、自身も最大まで気を高め、元気玉を月の王の方へと押し込んだ。闇の力で蝕まれ、幻想少女達との戦いで疲弊していた月の王は、その気弾の威力に力負けし、そのままそれに飲み込まれた。気弾が爆発を起こし、消えた所に怪物の姿は無く、傷だらけで完全に気を失ってはいるものの、人間の姿に戻った月の王の体があった。構えを解き、地上に降り立ったラディッツに駆け寄り、共に勝利を喜ぶ幻想郷の面々。そんな彼等を尻目に、月の王の元に歩み寄った綿月姉妹は・・・

 

豊姫:まさか、こんな結果になるなんてね・・・

 

依姫:地上の者達に対する評価、改める必要があるのかも知れませんね。

 

豊姫:そうね・・・でもまずは、王の救護が最優先よ。更に、ボロボロになった宮殿の修復、戦いで負傷した玉兎達の治療・・・やるべき事が山積みよ。

 

依姫:分かっています。

 

そう言いつつ、綿月姉妹は溜め息を吐いたのだった・・・




戦いは終わりましたが、月での物語はもうちょっと続きます

突然登場した界王様は、紫さんと共に界王星に居る設定です
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