第431話
この事件の始まりは、人里にある鍛冶屋唐笠にとある依頼が舞い込んだ所から始まった
小傘:突然話があるからって言われたけど・・・わちきに御願いしたい事って、一体何なの?
???:うん・・・実は・・・
突如登場し、小傘に頼み事をしている1人の女性・・・赤いショートヘアーの髪の毛を持ち、黒い生地に赤いチェック柄の上着の上に白いジャケットを羽織り、ピンクのネクタイを付け、白いラップスカートを穿いた彼女の名前は、堀川雷鼓。小傘と同じく、元々は人間に使われていた道具(和太鼓)に魂が宿った付喪神である
雷鼓:最近、付喪神達の間で不穏な力と動きを感じててさ。しかも、その子達に宿ってる力が、何だか邪悪な気がして・・・憎悪とか怨念とか、そっち系の禍々しい力みたいな・・・
小傘:邪悪な力?
雷鼓:そう・・・小傘も知ってると思うけど、私達付喪神は無闇矢鱈に暴れる事はしない・・・そう言う感情を出し、事を起こそうとする時は、大体誰かに恨みのある時なんだよ。
小傘:・・・
邪悪な力と聞いて、小傘はかつて自分が天邪鬼の鬼人正邪に唆され、邪悪な力を植え付けられて人里で暴れた時の事を思い返していた
雷鼓:どうかした?
小傘:うーん・・・思い当たる事があってね・・・
雷鼓:そうなの?
小傘:うん・・・
小傘の脳裏には、悪い顔をした天邪鬼がハッキリと映し出されている
小傘:それで?わちきに一体どうしろと?
雷鼓:単刀直入に言わせて貰うわ。もし万が一、付喪神達が何の罪も無いこの世界の人間達を傷付ける様な事があれば、私達付喪神は居場所を失う事になる。だから私は、同じ付喪神としてこの事を放っておけない。そんな最悪の事態を、何としてでも防ぎたい。付喪神達が事を起こす前に沈静化する為に、少しでも協力者が必要なんだ。だから・・・
小傘:わちきにも、その解決に協力して欲しい・・・そう言う事だね?
雷鼓:そう。里の人間達と仲の良い小傘なら、分かってくれるでしょ?
小傘:付喪神の皆だけじゃなく、里の皆を守る為にもなるんだもんね・・・分かった。わちきで良ければ、協力するよ。
頼み込む雷鼓に対し、小傘は笑顔でそう答えた
雷鼓:有難う小傘♪アンタなら、きっと分かってくれるって思ってたわ♪
小傘:因みに、他に誰か協力者は居るの?
雷鼓:あ、いや・・・それがその・・・
バツが悪そうに俯く雷鼓
小傘:わちき以外誰も居ないと・・・
雷鼓:さっきも言ったけど、私達以外の付喪神達は何か様子がおかしいっぽいんだって。
小傘:あー・・・
雷鼓:出来る事なら、他にも力貸してくれる人が居ると助かるんだけど・・・私達みたいな力の弱い付喪神に無条件で協力してくれるとか、そんな都合の良い人なんか居る訳が・・・
小傘:んー・・・じゃあ、頼みに行ってみる?
雷鼓:へっ?誰か心当たりでもあるの?
小傘:うん。あの人は、今日は確か・・・
所変わり、幻想郷の最東端にある博麗神社。小傘が言うあの人は此処に居た。と言うのも・・・
ザーボン:霊夢さん、屋根の修繕はコレで完了しました。
霊夢:悪いわね、こんな仕事の為に休みの日に呼び出しちゃって。
ザーボン:いえいえ、御安い御用です。
説明しよう。数日続いた豪雨の際、博麗神社の屋根に何ヵ所か雨漏りが見付かった。雨が止むのを待ち、境内の掃除をする事にした霊夢だったが、屋根の修理が面倒になった彼女は、その日偶々修行が休みで手が空いていたザーボンを呼び出し、掃除している間に屋根の修繕を頼んだのだった
霊夢:掃除も屋根の修繕も終わった事だし・・・御礼って程でも無いけど、一緒に御茶でもどう?御茶請けは、煎餅くらいしか無いけど・・・
ザーボン:では、御言葉に甘えて頂きます。
霊夢:ハイハイ、ちょっと待ってなさいな。
そんなこんなで、現在境内の景色を眺めつつ、2人並んで御茶を飲みながら休憩中
ザーボン:ふぅ・・・
霊夢:どう?幻想郷での生活、少しは慣れた?
ザーボン:えぇ。来たばかりの頃は何も分からず、あまりの環境の変化に不安も感じていましたが・・・住めば都とは良く言ったものです。今は、毎日がとても楽しいですよ。
霊夢:そう、それは何よりね。
小傘:あ、居た居た♪おーい♪
他愛無い世間話でのんびりしている2人の元に、雷鼓を引き連れた小傘が姿を現した
ザーボン:おや、小傘さん。
霊夢:ん?後ろに居るのって・・・
小傘:こんにちはザーボンさん♪後霊夢さんも。
ザーボン:こんにちは。
霊夢:私はついでみたいな言い方を・・・て言うか、妖怪のアンタがこの神社に何の用よ?
小傘:あ、用があるのは貴方じゃ無くて・・・その前に、まずは紹介しておきたい人が居るので、まずは其処から・・・雷鼓ちゃん、こっちへ。
雷鼓:あ、うん。
小傘に言われ、雷鼓は前へ歩み出る
小傘:霊夢さんは知ってるでしょうけど・・・ザーボンさん。此方、わちきと同じ付喪神の堀川雷鼓ちゃんです。
雷鼓:初めまして。和太鼓の付喪神、堀川雷鼓。どうぞ宜しく。
小傘に紹介された雷鼓は、笑顔で軽く頭を下げる
小傘:雷鼓ちゃん。此方、外来人のザーボンさん。縁あって、今は色々と手伝いしてくれてる人なの。
ザーボン:御紹介に預かりました、ザーボンと申します。どうぞ宜しく。
ザーボンは、手を自分の胸に軽く当て、紳士的な御辞儀をする
雷鼓:おぉ、何て紳士的な・・・
霊夢:ちょっと?私の質問についての答えがまだなんだけど?
小傘:いや、だから貴方に用は・・・あ、でも一応聞いて貰った方が良いかも・・・?
霊夢:聞いて貰うって、一体何をよ?
小傘:雷鼓ちゃん、もう一度さっきの説明を御願い出来る?
雷鼓:あ、了解よ。えっと・・・実は・・・
雷鼓は、さっき同じ説明をザーボンと霊夢にも話して聞かせた
ザーボン:付喪神達に邪悪な力か・・・
霊夢:巫女の勘が言ってる・・・また面倒事になるわねコレは・・・十中八九、あの天邪鬼が絡んでるわよね?
小傘:わちきもそう思うけど・・・わちきも雷鼓ちゃんも、同じ付喪神の仲間達が悪事を起こそうとしてるのを放っておけないんです。ザーボンさん、どうか力を貸して貰えませんか?
小傘は、深々と頭を下げた。それに倣い、雷鼓も頭を下げるのだった
ザーボン:面倒事と言うのは明らかだが・・・他ならぬ小傘さんの御願いとあらば、断る理由はありません。私の力、喜んで御貸ししましょう。
ザーボンは、小傘に笑顔を見せつつそう答えた
小傘:有難う♪
互いに笑顔を見せ合う2人を見て、雷鼓は驚きの表情を見せる
雷鼓:へぇ・・・仲良いんだ、あの2人・・・
霊夢:そうみたいね。それはそうと・・・この話、私も手伝わせて貰うわよ。
雷鼓:へっ?良いの?
小傘:さっき、面倒事になるってボヤいてたのに・・・
霊夢:そりゃ、出来る事なら面倒事なんか御免被るわよ。でもね、そんな話を聞いて黙ってるのは博麗の巫女の矜持に反するのよ。
雷鼓:へぇ・・・意外・・・
霊夢:言っとくけど、アンタ達の為じゃ無いから。奴等を放っといたら、人間達に危害を加える恐れがある。それだけは断固阻止。それと・・・此処で知らんぷりしてアンタ達に万が一の事があったら、まーたあのおピンク仙人に糞長い説教食らう事になりかねないし・・・それに比べたら、今回の事件の方が数倍マシだと思った。それだけよ。
ザーボン:感謝します、霊夢さん。
小傘:有難う♪
霊夢:フン・・・ほら、行くならさっさと行くわよ。目的地は何処?
雷鼓:あ、えっと・・・じゃあ、目的地まで案内するから付いて来て。
と言う訳で、ザーボン、小傘、霊夢、雷鼓は目的地を目指して博麗神社から飛び立った。それと全くの同時刻、何処かのおピンク仙人が大きなくしゃみをしたのは別の話・・・
最初は霊夢の代わりに華扇さんを入れようかとも考えましたが、今回師匠は御休みって事で
一応、今作の霊夢とザーボン、小傘は同じ師の元で修行した兄弟弟子って事になるんですかね(霊夢はほんの僅かな間だけど)