誇り高き弱虫の幻想郷生活   作:パラリズム

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第435話

小傘、霊夢と一旦分かれ、無縁塚を探索しつつ最奥部を目指すザーボンと雷鼓の前に現れたのは、闇の力で正気を失った2人の女性だった。極力無傷で2人を元に戻そうと、ザーボンは華扇から教わった浄化の力を拳に纏わせ、それにより2人の闇の力を浄化する事に成功した。2人が目を覚ますまで待った後、只今事情説明中・・・

 

雷鼓:とまぁそう言う訳で、2人は正気を失った状態で此処に居たって訳。

 

弁々:私達が・・・

 

八橋:正気を・・・

 

雷鼓:弁々、八橋。正気を失う前、一体何があったの?

 

弁々:実は・・・

 

弁々の口から、簡単に事の顛末が語られた。彼女曰く、2人の前に姿を現したある2人組から「力の弱い物が悲しまなくても済む、優しい世界を作る夢の為、力を貸して欲しい」と言う話を持ち掛けられたとの事だった。最初こそ不信に思い、その者達を無視しようとした彼女達だったが、最終的にはその者達の巧みな話術にまんまと乗せられ、「その夢を叶える為の力だ」と闇の力を植え付けられ、その後は言いなりとして動いていたと話した

 

雷鼓:優しい世界を作る・・・ねぇ・・・

 

弁々:急にそんな話、おかしいとは思ったんだけど・・・

 

八橋:まんまと言いくるめられた自分達が恥ずかしい・・・

 

弁々と八橋は、騙されてしまった事に気付いて項垂れている

 

ザーボン:2人組と言っていましたが、何者なんでしょうか・・・

 

雷鼓:んー・・・まぁ犯人だろうと思われる連中の顔は、何と無く想像出来るんだけどね。

 

ザーボン:と言うと?

 

雷鼓:多分だけど、ザーボンもよーく知ってる奴だと思うわよ。そう言う感じに弱い妖怪に近付いて、甘言で騙して手駒にする質の悪い奴・・・

 

ザーボンは、かつて小傘が闇の力で正気を失って人里で暴れた時の事を思い出した。そして、その時に彼女を利用し、彼女と里の人間達の仲を怖そうと暗躍した者が居た事も・・・

 

ザーボン:まさか、その犯人は・・・

 

雷鼓:恐らく、今貴方が思い浮かべてる奴でほぼ間違い無いと思うわ。で、多分もう1人は・・・

 

弁々:それはそうと、雷鼓姐さん。

 

雷鼓:ん?どうかした?

 

弁々:そちらの殿方は、一体どちら様なの?

 

八橋:幻想郷では見掛けない人ですけど・・・

 

雷鼓:あぁ、彼は・・・

 

ザーボン:改めまして・・・私は、ザーボンと申します。以前は、この世界で言う外の世界に居たのですが、紆余曲折の末、今はこの幻想郷で生活をさせて頂いている者です。

 

ザーボンは、紳士的な御辞儀をしつつ自己紹介をした

 

八橋:あ、やっぱり外来人の人だったんですね。

 

弁々:では、私達も自己紹介を・・・私の名前は、九十九弁々と言います。そして、こっちは妹の・・・

 

八橋:九十九八橋でーす♪初めまして、外来人の御兄さん♪

 

弁々は清楚に、八橋は元気良く自己紹介をする

 

ザーボン:失礼な事を御聞きして申し訳ありませんが・・・名字が同じ九十九姓と言う事は、弁々さんと八橋さんは姉妹なんですか?

 

弁々:あ、実はそう言う訳じゃなくてですね・・・

 

ザーボン:と言うと?

 

雷鼓:私もなんだけど、弁々も八橋も、小傘と同じ付喪神なの。と言っても、私は和太鼓で、弁々は琵琶、八橋は琴の付喪神で、小傘とは全くの別物なんだけど。

 

弁々:種類こそ違うけれど、私と八橋は付喪神として生まれてからの境遇とか持ってる能力とかが全く同じなんです。

 

八橋:だから、血の繋がりこそありませんけど、私達は姉妹みたいな物って事なんです。

 

ザーボン:成る程・・・

 

ザーボンの脳裏には、血の繋がりこそ無いが実の兄妹の様に仲が良い紅魔館の主の妹とサイヤ人の兄弟(こっちはしっかり血縁関係あり)の姿が浮かんだ

 

弁々:あの・・・どうかしましたか?

 

ザーボン:いや、失礼。何でもありませんよ。

 

弁々:それよりも・・・

 

弁々は、ザーボンの周りを回りつつ、興味深そうに観察し始める

 

ザーボン:何か?

 

弁々:いえいえ♪改めて見ると、凄くイケメンだなと♪

 

ザーボン:それはどうも。

 

それから少しの間、九十九姉妹による質問攻めが始まった

 

弁々:好きな食べ物は何ですか?

 

八橋:音楽とか御好きですか?

 

弁々:休日の過ごし方は?

 

八橋:好きな女性のタイプは?

 

ザーボン:あ、えーっと・・・

 

唐突の質問攻めがほに、普段は冷静なザーボンも困惑の表情を隠せずにいた

 

雷鼓:2人共、彼困ってるわよ。

 

弁々:あ、ゴメンなさい!

 

八橋:失礼しました!

 

ザーボン:いえいえ、構いませんよ。少し呆気に取られはしましたが・・・

 

雷鼓:まぁそれはさておき・・・弁々、八橋。アンタ達2人も、私達の異変解決に協力を御願いしたいんだけど。

 

弁々:異変解決?

 

雷鼓:そ。と言うのも・・・

 

雷鼓は、弁々と八橋に今回の異変解決に乗り出すまでの事・・・道具達の不穏な動きを察知し、人間達に害を及ぼす前に阻止するべく行動を開始した事、その為にザーボンや小傘、霊夢も力を貸してくれている事等を説明して聞かせた

 

八橋:小傘は兎も角、博麗の巫女まで動いてるなんて・・・

 

弁々:ま、まさかそんな事態に・・・

 

雷鼓:幸い、まだ人間達に被害は及んで無いけどね。で、私達は、今からこの無縁塚の奥に居ると思われる今回の異変の黒幕・・・アンタ達を甘言で騙して利用した奴等を懲らしめに行く所なんだけど・・・このままやられっ放しじゃ、アンタ達も腹の虫が収まらないんじゃない?

 

八橋:それは確かに・・・

 

弁々:だけど、私達は戦う力が弱い付喪神だし・・・私達だけじゃ・・・

 

雷鼓:其処は大丈夫♪何たって、私達には心強い味方が居るんだから♪ね?

 

雷鼓は、そう言いつつザーボンに目配せする

 

ザーボン:いざと言う時は、私が皆さんを御守りします。どうか御安心を。

 

弁々:まぁそう言う事なら・・・

 

八橋:分かりました♪私達に出来る事があれば、何でも言って下さいね♪

 

雷鼓:助かるわ♪

 

ザーボン:では、先に進むとしましょう。向こうの道に進んだ2人の事も気掛かりですし。

 

雷鼓:だね。

 

弁々:よし、それじゃ・・・

 

八橋:レッツゴー♪

 

弁々と八橋を仲間に加えたザーボンと雷鼓は、合流地点を目指して歩みを進める・・・




次回からは小傘と霊夢の方に変わりますが、勿論彼女達の前にも立ち塞がる者は居ます

ヒント:小傘、雷鼓、弁々、八橋は付喪神。他に付喪神と言えば・・・

そして、脳裏に浮かんだ紅魔館の三兄妹(ラディッツ、フラン、悟空)・・・アレ?

???:誰か後1人、忘れちゃいませんか?

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