練習に練習を重ね、遂に迎えた劇当日。会場となった寺子屋の広間は、前回以上に多くの観劇客で埋め尽くされていた。劇を楽しみにしている里の子供達やその保護者達、劇の出資元である紅魔館の面々を始め、幻想郷の有力者達が顔を揃えていた。舞台裏では、脚本家のアリス、劇の役者達、裏方のラディッツらが集合し、最後の打ち合わせをしていた・・・
雷鼓:来てる来てる♪満員御礼って奴だね♪
弁々:コレがライブじゃないのが、ちょっと残念だけどね。
八橋:でも、この劇はライブと同じくらい大事な事だよね。
アリス:その通り。失敗は出来ないわよ。
小傘:・・・
小傘の表情は、緊張で強張っている
ザーボン:小傘さん、大丈夫ですか?
小傘:だ、大丈夫です!ただ、ちょっと緊張しちゃって・・・
こころ:小傘はこの劇の主役、白雪姫なんだ。ドッシリと構えるべきだ。
ラディッツ:そうだな。ガキ共の前で絶対に失敗は出来んぞ。
小傘:うぅ、却って緊張するから止めてよ・・・台詞飛んだり、噛んじゃったりしたら・・・あわわ、どうしよう・・・
ザーボン:御安心を。もしもの時は、我々がフォローしますよ。
はたて:そうそう。子供達の笑顔の為に頑張ろ♪ほら、肩の力抜いて♪
小傘は、はたてに軽く肩を揉まれつつ、周りに居る皆の顔を見渡す
小傘:子供達の為に・・・そうだね・・・わちき、頑張る!
アリス:さて・・・本番1分前よ。皆、準備は良い?
ザーボン:えぇ、いつでも。
雷鼓:準備万端♪イケるよ♪
他のメンバーも、各々頷く。
アリス:それじゃ、行きましょう。くれぐれも台本通りにね。
そんなこんなで、演劇の幕が上がった。まずは、語り部を任されたはたてがゆっくりと物語を語り出した(因みに、子供達に配慮し、本来劇中に出て来る残虐な描写は極力省いている物とする)
はたて:昔々ある御城の一室に、自分の美貌に絶対の自信を持つ1人の女性が居ました。彼女は、いつもの様に自らが所有する魔法の鏡に語り掛けます。
最初に舞台に姿を見せたのは、白雪姫に色々嫌がらせをする母親を演じるパチュリーと、その彼女が語り掛ける魔法の鏡を演じる小悪魔だった
パチュリー:鏡よ鏡、この世界で一番美しい者は誰かしら?
小悪魔:それは貴方様でございます。
パチュリー:そうよ。私は、この世界の誰よりも美しい。
自らの美貌にうっとりした表情を浮かべる(と言う演技)パチュリー。それを舞台裏で次の舞台セットや小道具を準備しつつ見ていた他の面々は・・・
ラディッツ:ノリノリだな、パチュリーの奴。
フラン:そう言えば、パチェが図書館で台詞や立ち回りを自主練してたの見たよ私。
ザーボン:ほぅ・・・
妹紅:意外とああ言う性悪なキャラ、ハマり役だったりしてな?
小傘:ちょっと酷いかも、それ・・・
雷鼓:コラコラ、本人に聞こえるわよ。
アリス:まぁ兎に角、最初は良い調子よ。
はたて:それから数年が経ったある日の事・・・その日も、その女性はいつもの様に魔法の鏡に語り掛けます。
パチュリー:鏡よ鏡。この世界で一番美しい者は誰かしら?
小悪魔:それは、近くの森に住む貴方様の娘、白雪姫様でございます。
パチュリー:何ですって!?おのれ、白雪姫め・・・そうだわ、あの子には罰を与えなくてはね・・・フフフ・・・
パチュリーは、闇笑いを浮かべつつ舞台裏へと移動。次いで小悪魔も舞台裏へ。舞台は暗転し、パチュリーは次の衣装に早着替え中。ラディッツやフランは、次の舞台セットをセッティング中である・・・
小悪魔:パチュリー様。見るからに最低最悪な性根の母親の演技、とっても御上手でしたね♪
パチュリー:う、煩いわね小悪魔!て言うか、気が散るから今話し掛けないで頂戴!
小悪魔:あ、スミマセン!
ブツブツ言いつつ、着替えを続けるパチュリーであった
弁々:さぁ小傘、いよいよ出番よ♪
八橋:頑張ってね♪
こころ:私達が付いてるぞ。
小傘:よ、よーし!
白雪姫の衣装を来た小傘が、緊張した様子でゆっくりと舞台裏から移動した。それと同時に、パチュリーの着替えが完了しスタンバイし、小人の役である面々も各々スタンバイするのだった
はたて:所変わり、此処はその御城の近くにある森の中・・・其処にある小さな家に、白雪姫と言う可愛らしい1人の少女が住んでいました。心優しい彼女は、いつも森に住む動物や沢山の小人達と一緒に囲まれて暮らしていました。その日、小人達は全員出掛けており、白雪姫は1人で家事をして過ごしていました。
小傘:コレが終わったら、次は御掃除と御洗濯・・・その後は、森の動物達に御飯をあげないと・・・
はたて:忙しそうに仕事をしている白雪姫。と、其処へ家のドアを叩く音が聞こえて来ました。
小傘:ハーイ、どちら様ですか?
はたて:ドアを開けた白雪姫の前には、黒いローブに身を包んだ1人の女性が居ました。
パチュリー:こんにちは。私は、しがない旅の物売りでございます。早速だけど娘さん、新鮮で美味しいリンゴはいかがかな?
はたて:そう言って、物売りの女性はリンゴを1つ取り出し、白雪姫の前に差し出しました。
小傘:まぁ、美味しそうなリンゴ。御幾らかしら?
パチュリー:あぁ、御代は結構ですよ。差し上げますとも。
小傘:本当に?有難うございます、親切な物売りの方♪
小傘は、キラキラした笑顔を見せる
パチュリー:・・・で、では私はコレで失礼を。
パチュリーは、少し足早に舞台裏へ移動した後、ガックリと項垂れる(因みに、劇の流れが止まってると言う事に関してはツッコまない方向で)
ラディッツ:どうしたパチュリー?
大妖精:もしかして、体調でも悪くなっちゃいました?
パチュリー:ち、違うの・・・そうじゃないんだけど・・・何だか心が痛い!
パチュリーは、少し涙目になっている
ラディッツ:心ってお前・・・
妹紅:いきなりどうした?
パチュリー:分からない・・・分からないけど・・・あの子(小傘)のキラキラした笑顔を見たら、何だか胸がギュッと締め付けられる感じがして・・・
ラディッツ:どう言う事だ・・・?
小悪魔:あ、私分かっちゃったかもです。
フラン:と言うと?
小悪魔:パチュリー様は、今でこそ頗る健康体になられましたが、本来病弱な体質を持っておられました。性格も、どちらかと言えば1人で居る事を好む、陰気で根暗でコミュ症でジメッとしてる、典型的なインドア派の方でした。で、今回の劇のでも主人公の白雪姫に対して色々嫌がらせをする性根の腐った役回りですよね?純粋で健気でキラキラしてて、人に好かれるタイプの小傘さんとは、そもそも人間性からして正反対な訳ですよ。だから、その差に思わず圧倒されてしまったのでは無いかと。
そう語った小悪魔が周りを見渡すと、殆どの女性陣が顔を引き攣らせていた
小悪魔:アレ?どうかしました?
鈴仙:いや・・・その・・・何と言うか・・・
大妖精:多分もう遅いですけど・・・
アリス:随分バッサリ言ったなぁって思って・・・
雷鼓:謝った方が良いかなぁ・・・なーんて・・・
他の女性陣も、それに同調する様に頷いた
小悪魔:何を・・・って、ハッ!?
ハッとしつつ後ろを振り向いた小悪魔の視線の先には、黒いオーラを放ちつつ、鬼の形相で自分を睨むパチュリーの姿があった
パチュリー:小悪魔、アンタ主人に向かって随分ボロクソ言ってくれるじゃないの?
小悪魔:あ・・・えーっと・・・コレは・・・その・・・
パチュリー:この演劇が終わったら、覚えておきなさいね。
小悪魔:ひいぃぃぃぃっ!?
小悪魔への御仕置が確定的になったのは兎も角として(←オイコラ)、演劇は続く
はたて:白雪姫は、早速物売りの女性から貰ったリンゴを食べてみる事にしました。
小傘:それでは、頂きます♪
はたて:リンゴを一口食べた瞬間、白雪姫は突然凄まじい眠気に襲われました。
小傘:うぅ・・・何だか・・・急に・・・眠く・・・
はたて:白雪姫は、その場に倒れ込み、そのまま深い深い眠りに就いてしまいました。
そのまま舞台暗転。と、其処へ語り部であるはたてからアナウンスが入る
はたて:えー・・・会場の皆様に御知らせします。只今より、舞台装置の設置等で時間を要する為、暫し休憩と致します。外に売店等もございますので、どうぞ御利用下さいね。
その頃、舞台裏では・・・
アリス:さぁ、休憩の後は小人達、そして王子様の出番よ。頑張って。
ザーボン:御任せを。
雷鼓:よっしゃ!行くとしますか!
鈴仙:張り切って行きましょう!
弁々&八橋&こころ:おぉーっ!
大妖精:つ、遂に来てしまったんですね・・・
妹紅:待ちくたびれたぞ。
ラディッツ:フラン、俺達も次の舞台装置の準備をするぞ。急げよ。
フラン:合点だよ、御兄ちゃん!
休憩の間に、舞台装着や大道具の設置が行われている。次回に続く・・・
ドキドキの意味はもうすぐ分かります
そして・・・ボロクソ言ってゴメンパチュリー(笑)