ラディッツ達の良き仲間である姫海棠はたて。彼女は、自分が出している新聞『花菓子念報』を、いつの日か売上1位の人気新聞にすると言う大きな夢の為に日々頑張っていた。そんなある日、上層部からの呼び出しを受けた彼女は、天狗の最高権力者達が集う部屋を訪れていた。其処には、同じく召集により先に来ていた射命丸文、木枯楓の姿もあった
楓:あ、来た来た♪
文:遅いですよ、はたて。
はたて:文、楓も・・・アンタ達も呼ばれてたのね。
楓:まぁね。
はたて:っと・・・御待たせ致しました。姫海棠はたて、只今参りました。
文:それで、我々にどの様な御要件でしょうか?
大天狗A:今宵お前達を呼び付けたのは、お前達にとても重要な役割を命じる為である。
大天狗B:この命は、我々天狗属を統率されておられる偉大な天魔様直々の命である。故に、何よりも優先すべき命であると心得よ。
はたて:天魔様の・・・
『天魔様の命を私達が?』と少々引っ掛かる所はあれど、すぐに名誉な事だと思い直して背筋を伸ばした
文:心得ました!
楓:それで、その命とは?
大天狗A:お前達の仲間の・・・かつて我々の山での事件を解決に導いた、件の外来人についてだ。
はたて:外来人・・・それは、ラディッツの事でしょうか?
大天狗A:そう・・・単刀直入に言おう・・・この度、我々と天魔様の再三の相談により、その者を我々の保護下に置く事が決定した。
はたて:・・・は?
『ラディッツを天狗の保護下に』・・・予想外の言葉に、はたては我が耳を疑った
はたて:今・・・何と?
大天狗B:聞こえなかったか?あの外来人を、我々天狗の保護下に置くと言ったのだ。
はたて:いや、あの・・・何故その様な話に?
大天狗A:お前がその理由を知る必要は無い。お前には、あの外来人を我々の元に連行する為に動いて貰う。
文:連行・・・ですか・・・
はたて:何なんですか!その、まるで犯罪者みたいな言い方!
文:ちょっ・・・
楓:・・・
はたての思わぬ反抗的な言葉に、文は驚きを見せるが、楓は冷静に無言を貫いている
大天狗B:拒否する事は許されぬ。先にも言ったが、コレは天魔様と我々・・・天狗上層部の総意である。
はたて:・・・
大天狗:返事が聞こえぬが・・・それは了承と見て良いのだな?
葛藤の末、はたては言葉を絞り出した
はたて:・・・御断りします。
文:なっ・・・
大天狗A:・・・何?
はたて:・・・
思いもしないはたての言葉に、辺りの緊張感が一気に上がる
大天狗B:『断る』と・・・そう聞こえた気がしたが・・・我等の聞き間違いか?
文:あ・・・いや・・・その・・・そうです!きっと聞き間違いで・・・
はたて:聞き間違いじゃありません!私は確かに、断ると言いました!
文:・・・あぁ・・・
楓:・・・
尚も反抗を示すはたての様子に、文は思わず顔を覆う。そのすぐ横で密かに笑みを浮かべる楓には気付く事も無く・・・
はたて:何が『保護』・・・聞こえは良いけど、それって、我々天狗の監視下に置くって事でしょう!
大天狗A:そうだ。それがどうした?それが、天魔様の下した決断・・・それに従うのが、我等の掟・・・
大天狗B:天魔様の御意思は我等の意思・・・逆らう事は許されぬ・・・
大天狗A:そう・・・それが我等の使命・・・
その後も、大天狗達は口々に『掟』、『使命』だと繰り返し呟く。まるで、壊れた機械の様に・・・
はたて:・・・私は、アイツとはコレからも良い友達で・・・仲間であり続けたい。例え誰を敵に回そうと・・・私は、その命令には従えません!
大天狗A:我等に・・・天魔様に逆らうと言うのか?
はたて:・・・そうです。
大天狗A:許さぬ!天魔様の命は絶対!
大天狗B:掟は絶対!従わぬは極刑!
尚もそう繰り返す大天狗達
文:大天狗・・・様?
文は、大天狗達の様子に困惑した
楓:畏まりました、大天狗様♪彼を連行する手段は如何様(いかよう)に?
大天狗A:手段は・・・任せる。
大天狗B:あらゆる手段を以て・・・かの外来人を我等の下に!
楓:御意。
はたて:ちょっと楓!本気で言ってるの?
はたては、大天狗達に従う素振りを見せた楓に掴み掛かる
楓:天魔様や大天狗様の御命令とあらば、私達はそれに従うだけ。そうして、私達は今まで生きてきた。そうでしょ?
はたて:そ、それは・・・そうだけど・・・
楓:私達にとっては、他種族の者なんて無価値・・・外来人なんて論外・・・そんな奴が、私達の監視下に置いて貰えるってだけで、感謝して貰わなきゃ。
楓の目には、ドス黒い闇が宿っていた
はたて:か・・・えで・・・?
楓:大天狗様方。この者(はたて)は、貴方様方・・・ひいては天魔様へ反乱の意思があると見えます。如何致しましょうか?
文:なっ・・・!?
大天狗A:天魔様の御意思に逆らうは・・・悪・・・
大天狗B:反乱分子は・・・根絶やしにせねば・・・
文:ちょっ・・・えっ!?
大天狗A:其奴を地下牢へ放り込んでおけ!処罰は追って執り行う!
はたて:待っ・・・処罰って・・・
大天狗達の指示により、何処からか拘束部隊が登場し、はたてはあっさりと拘束されてしまう
はたて:くっ!?は、離し・・・
文:はたて!
抵抗虚しく、はたては拘束されたままその場から連れ出されてしまった
楓:さてと・・・大天狗様方。私達は、任務遂行の準備がありますので、コレにて失礼致します♪さ、行きましょうか。
文:・・・失礼・・・します・・・
文と楓は大天狗達の元から足早に退散する。その少し後・・・
楓:さーて!御偉方様方からの重要な仕事♪忙しくなりますねー♪
笑顔でそう言い張り切る楓に、文はイラッとしつつ問い掛ける
文:ちょっと貴方!親友のはたてがあんな事になって、何とも思わないんですか!?それに、大天狗様や貴方の様子・・・アレを見て何も不思議に思わないんですか?
楓:別に?天狗が排他的なのはいつもの事ですし・・・でも、良かったー♪
文:良かっ・・・た・・・?
楓:だってそうでしょ?目障りな連中を、一気に消せる機会がやって来たんだから♪
楓は、邪悪な笑みを浮かべつつそう言い放った後、その場から姿を消した
文:・・・貴方・・・一体・・・
ラディッツを天狗の監視下に置くと言う任務を言い渡されるも、はたては任務より仲間としての情を選択し、トントン拍子にはたてが反乱分子として捕らえられてしまう
楓と大天狗連中には、既に闇側の息が掛かっていて・・・
特に楓は、もう真っ黒ですが(笑)
何故そうなったかは、後々・・・