妖怪の山の上層部を巻き込んで起きた今回の事件は、どうにか一段落を迎えた。事件関わった天狗の上層部は、未だに混乱している者も居た。中には、変わらず外部の者に嫌悪感を露わにし、正気を失う前と変わらず『自分達の監視下に置くべきだ』と主張する者も居たが、事件解決に協力した萃香、龍の説得により、その考えは改められていくのだった。嫉妬心を正邪の企みに利用されたとは言え、悪事に加担し混乱えお招いた楓はと言うと、流石に御咎め無しと言う訳にはいかず、暫しの間懲役刑を言い渡されてしまう。尤も、楓本人は全く抵抗せずにそれを受け入れ、大人しく刑に服しているのだが・・・その日の夜、場所は人里にある鯨呑亭。事件の解決を祝した飲み会が開催され、ラディッツも其処に呼ばれる事になったのだった。ラディッツが入店した直後、店の看板娘である美宵が笑顔で出迎えた
美宵:いらっしゃいませ♪いつもありがとう御座います♪
ラディッツ:伊吹萃香達は居るか?誘われて来たんだが・・・
美宵:あ、ハイ♪御話は伺ってますよ。どうぞ此方へ♪
美宵に案内され、奥の座敷席へ向かう。其処には、既に酒を飲み始めている萃香、龍と、先の事件で謹慎処分を受けていた文の姿があった
萃香:やっと来たなー♪遅いぞ、小僧♪
ラディッツ:スマン、遅れたか?
龍:いやいや、集合時間には30分も早いよ。萃香様は、もう既にこんな有り様だがな。
萃香:こんなもん、飲んだ内に入らん♪
文:一応、貴方が来るまでは待ってようと止めたんですけどね・・・
萃香:いいや!限界だ!飲むねっ♪
文:と言う訳で、こうなりまして・・・
文は、申し訳無さそうに苦笑いを浮かべている
ラディッツ:構わんさ。それよりも・・・文、お前謹慎処分が解けたんだな。
文:えぇ、御陰様で♪今回は協力も出来ず、重ね重ね申し訳ありませんね・・・
ラディッツ:気にするな。尤も、今回は俺もそんな大した事はしてねぇがな。
文:それでも、有難うございます。
ラディッツ:あぁ。
美宵:御料理持って来ますので、どうぞごゆっくり♪
ラディッツ:あぁ、スマンな。
ラディッツが着席した直後、彼はある事に気付く
ラディッツ:はたての姿が見えんな。来てねぇのか?
萃香:いんや、後で来ると言ってたぞー?
龍:今回は、あの子にも色々思う所があっただろうしな。
ラディッツ:そうか・・・そうだな・・・そう言えば、楓はどうなった?結局あの後、萃香と龍が制圧したと話は聞いてるが・・・
龍:まぁな。
萃香:あの程度、敵にもならん♪文字通り指1本だったさ♪
ラディッツ:流石だな・・・
文:で、その後ですが・・・流石に御咎め無しとはならず、今は牢の中です。一切の抵抗は無かったらしいので、彼女も反省はしているんでしょうけど・・・
ラディッツ:そうか・・・
ラディッツの表情が曇ったのを他の面々が見逃す筈も無く・・・
文:どうかしましたか?
ラディッツ:もしも俺が此処に来なければ・・・アイツらの関係が壊れる事も無かったんじゃねぇか・・・と思ってな・・・
文:・・・
龍:いや、それは違う。あの子・・・木枯楓は、元より嫉妬心の強い性格だった。お前が此処に居ようが居まいが、遅かれ早かれ今回の事件は起きていただろう。
萃香:そうだなぁ・・・
ラディッツ:・・・
はたて:アンタが此処に来てなかったら、私は今頃此処には居ない訳だしねぇ?
一行が声のした方を見ると、いつもと変わらない様子のはたての姿があった
萃香:おぉ、来たか♪
文:思ったよりは早かったですね。
龍:もう用事は終わったのか?
はたて:ハイ、御陰様で。
龍:そうか・・・
萃香:取り敢えず、お前もこっち来て飲め♪
はたて:それじゃ、やりますか♪
萃香:うぉーっしっ♪今日は無礼講って事で良いよな?
龍:それで行きましょう♪
萃香:小僧、お前もしっかり付いて来いよ?
ラディッツ:ま、頑張ってみるとするか。
文:ではでは、事件解決を祝って♪
全員:乾杯っ♪
それから暫く、美味い料理と酒を囲んだ大宴会が続いた。机の上には、空になった皿が山の様に積み上がり、尚も料理は運ばれ続けた。それから1時間程経った後、はたてがラディッツに声を掛けた
はたて:ラディッツ、ちょっと良い?
ラディッツ:何だ?
はたて:2人で話したい事があるのよ。
ラディッツ:此処じゃ駄目な事か?
はたて:んー・・・まぁ雰囲気的にね・・・後、休憩も兼ねてって事でさ。少し外に出ない?
ラディッツ:そりゃ構わんが・・・
萃香:おっ?何だ?酔った勢いでエロい事か?
龍:私達に遠慮せず、此処で存分にやると良いぞ♪
文:アハハ・・
酒が入ってハイテンション状態な萃香と龍の、気遣いの欠片も無い不粋な茶化しに、文は苦笑いを浮かべる
はたて:そんなんじゃないから!黙ってろ酔っ払い共!ラディッツ、兎に角こっち来て!
無礼講故、上司にも遠慮無くツッコミを入れた後、はたてはラディッツを連れて一旦店の外へ移動(美宵には許可を得ている)。尚、萃香と龍はニヤニヤしながら見送っていた
はたて:ったく・・・あの2人は・・・
ラディッツ:奴等も、お前が無事で嬉しいんだろ。
はたて:ぶっちゃけた話、龍様や文は兎も角、萃香様は飲めればどんな理由でも良いって人よ。
ラディッツ:あぁ、それは何と無く分かる。
はたては、少し息を整えた後、真っ直ぐにラディッツに向き直る
はたて:今回は、本当に有難う。私が今こうして居られるのは、アンタの御陰よ。
ラディッツ:気にするな。俺は、やりたい事をやっただけだ。
はたて:出た出た♪アンタの決まり文句♪いっつもそれ言ってるって、アリスや鈴仙も言ってたわよ♪
ラディッツ:そうだったか?
はたて:そうよ♪
ラディッツ:っと、そうだ・・・今回の事に気持ちの整理が付いたら、フランや他の連中に元気な顔を見せてやってくれ。アイツ等、お前の事を本当に心配してたからな。
はたて:そうね、そうするわ。
2人の間に、少しの間沈黙が訪れる。そして、はたてがゆっくりと口を開いた
はたて:此処に来る前、ほんのちょっとの時間だけど楓に会って来たのよ。けど、何にも話してくれなかったわ・・・
ラディッツ:そうか・・・もしかしたら、あんな大事になってどう話して良いか分からなかっただけかも知れんな。
はたて:そうかも知れないけど・・・
ラディッツ:今すぐに前の様にとはいかんだろう・・・だがな・・・生きてりゃ、幾らでもやり直せる筈だ。俺もそうだしな。
はたて:アハハ・・・絶賛更生中のアンタが言うと、説得力が違うわね。
ラディッツ:フン・・・
はたて:でも・・・まぁそうね・・・まだ諦めるのは早いか・・・すぐには無理でも、いつか仲直り出来る様に頑張ってみるわ。
ラディッツ:その意気だ。
はたて:ラディッツ、ちょっとそのまま動かないでね。
ラディッツ:あん?何でだ?
はたて:良いから。
その直後、はたてはラディッツに歩み寄り、ゆっくりと抱き締める
ラディッツ:オ、オイ・・・何を・・・
はたて:何って、感謝の気持ちを行動で表しただけだけど?
ラディッツ:だから、俺は大した事は・・・
はたて:やってくれたわよ。今回、アンタの行動で私がどれだけ救われた事か・・・
ラディッツ:・・・
はたて:んー・・・やっぱこんなんじゃ足りないか・・・いっその事、本当に良い事しちゃう?
ラディッツ:お前なぁ・・・
ニッと笑った後、はたては抱擁を解く
はたて:冗談よ冗談♪
ラディッツ:ったく・・・
はたて:でも、心から感謝してるのは本当よ。だから決めたわ。この先何があろうとも、私はアンタの味方であり続ける。アンタが困った時は、何処にだって飛んでって力になる。
ラディッツ:・・・お前、結構良い女だな・・・
はたて:・・・何よ?今更気付いた?
はたては、思わぬ言葉に少し呆気に取られたものの、すぐに満面の笑みを浮かべる
ラディッツ:コレからも宜しく頼む。色々頼りにさせて貰うぞ。
はたて:おう♪そんじゃ、そろそろ店の中に戻りましょ♪飲み直すわよ♪
ラディッツ:へっ、御手柔らかに頼むぜ。
その後、事件解決の打ち上げが夜通し続いたとかどうとか・・・
楓との決着は、最終的に結局萃香達に任せる形となりましたが、一先ずコレで打ち上げも終わり
後はエピローグかな