女王領域調査官の四姉妹   作:ぱる@鏡崎琴春夜

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デザートはとっっても苦く仕上げないと(使命感)


消える存在

 世界中の修羅の里出身の者が集まり自らの業を極め、更に修羅と成る祭もメインディッシュまで終わりA、B、C、Dグループのトップが名実共にそうであると認められる式が始まる。

 まぁ、言うなれば表彰式のようなものである。

 

 勿論どのグループも優勝者は本家の四姉妹であり、本家を倒したものは居ない。

 しかしその分、四人の後ろには沢山の屍や怨念があるだろう。

 そしてその存在を知らせるために書状は四人の元へ渡される。

 

 

 

 

「里の同胞たちよ!今日を合わせ四日間、十分に己の業を極め望んだと思う」

 壇上の上では榊が表彰式のようなものに参加した里の人たちに向かい演説を始める。

 その声は来ていた者の全員の耳に届き、脳内に染み入る。

 大声や迫力で無理に叫ぶのではなく、人の脳の奥まで浸透する凛とした声で最小限の大声に声を搾っている。

 その声は聴いていて何故か安心感を得られる不思議な声だった。

 

「その探求の中で命を落とすものもいるが、逆に何かを得ることができた者もいる。その犠牲は無駄な犠牲ではない」

 それが本当ならば四人は自分が何を手に入れることができたのか考えるが、殺戮の方法しか思い付くものは無かった。

 

「そしてその中で最も学び、何かを得ることができた四人を表彰しここに認めたいと思う」

 あぁ呼ばれている、行かなくては。

 

 

 

 

 

 呼ばれて壇上に上がって行く四姉妹の顔は優れてはいない。

 表情はばつの悪そうな顔をしている。

 

 そんな四人の顔を見ながらも事務的に進める榊。

「よく頑張った、それを讃えここに認めよう」

 そうして渡そうとしてくる賞状を見て椿が仕方ないと言うように一歩前に出て受け取る。

 普通はここで礼を言うべき所だがそんな空気を砕く声が聞こえた。

 

「流石は榊様、話が上手い--しかしただそれだけです。貴方は真実が語れていない」

 間の空いた挑発のような拍手に聞き覚えのある声、私たちは急いで振り返る。

 そこにいたのは両腕を義手へと変更したあのインテリ眼鏡だった。

 

「久しいな四姉妹」

 インテリ眼鏡の気分の悪くなるような嫌な声が響く。

 その目には楸が両腕を切断する直前まで宿っていた赤く燃え盛るような野望の火は無く、何もかも捨てた濁りきった目をしていた。

 

「君たちは計画に要らない存在なんだ頼むから死んでくれ」

 そう言ってインテリ眼鏡は精巧に作られた人間の手とそっくりの義手を操り小型の銃を取り出す。

「あぁ、マネルガー先生万歳!」

 そう叫び私たちに小銃を打ち放つ。

 生憎授賞式なので武器は携帯できない、すなわちそれは死を意味していた。

 

 

 パンッと乾いた音を響かせ銃から飛び出す弾丸に避けるすべもなく立ち尽くす四人の前に大きな影が出る。

 

「子供を先に死なせられるかバカ野郎!」

 

 そう言いながら四人に向かって放たれた銃弾をすべて受け止めそれでもまだ膝をつかない榊。

「いいかお前らよく聞け、俺はここで死ぬ工房にお前たちの武器の図面があるそれもって逃げろ」

 血を吐きつつ四人にしか聞こえないような声で伝え、インテリ眼鏡に突っ込む。

 

 当然インテリ眼鏡は命の危機を覚え銃撃を放つ。

 しかし、それを避けず敢えて自分の身に当て自分の娘への流れ弾を作らぬように榊は進む。

「お前もよく聞け、別に俺を殺したあとに里の一番上になってもいい、だがな上手くやらねぇとここはいとも容易く滅びる。よーく覚えておけ」

 はひぃと情けない声(息?)を漏らしながら足を撃って動けないようにしようと銃を構え直すも、榊は銃身を掴み自分の額にあてがう。

 

「さぁ、お前の相手は娘たちじゃねぇ、掛かってこい死に損ない一人も倒せないのか?」

 

 その先は見ることはできなかった。

 しかし、そのあとに会場だった方から銃声が何発か聞こえた。

 私たちの目はもう潤んで前がぼやけていた。

 

 

 

 

 

 工房につけばそこは榊の性格からか整理整頓された場所だった。

 見渡せば製図台の上に幾つかの紙があった。

 

「あったわ!」

「見つけたか!?」

「じゃったら荷物まとめて逃げるのじゃ!」

「お義父さん・・・」

 

 

 

 

 それから走り続け近くの村に着き宿を借りる。

 それから自らの武器の図面を見ている幾つかの紙の一番下の紙は榊の遺書だった。

 先回りなものだと驚いたが逃げ切れた今のうちに読んでしまう。

 

『これは今朝見た夢の為に書き残す』

 その言葉から始まり合計五枚の内容だった。

 一枚目は夢の概要とこれからのこと

 二枚目は椿へ向けて

 三枚目は榎に向けて

 四枚目は楸へ向けて

 五枚目は柊に向けて

 一枚一枚達筆に書かれた娘への気持ちは四人を涙ぐませる

 

 

 今朝、夢枕に先代が降りられた。

 内容は俺が死ぬ夢。

 先代の目はそれが今日なのだと語っていた。

 

 これを読んでいるのが娘たちなら嬉しい。

 お前たちは生きろ。

 絶対に立ち止まってはいけない。

 止まればお前たちは修羅と成る。

 絶対に止まるな、進んで行け。

 

 椿

 お前は俺の才能をついで統率力があるし、決断力や責任感も十分だ。

 大剣を使うなら味方を護れる前衛もいいが一歩引いて戦況を判断し手助けする遊撃がお前には向いていると思う。

 

 そしてお前に謝らなければいけないな・・・すまなかった。

 お前に愛情を注ぎきることはできなかった。

 しかし、母さんや榎、楸、柊と何人もお前に愛をもって接してくれたものがいるはずだ。

 『無いものよりも持っているものを数えろ』

 

「お父様には十分に愛を注いで貰ったですのに・・・」

 

 榎

 お前には並外れた身体能力がある。

 これだけで十分な資産だが、お前の本当の資産は姉が支えられることだ。

 何かを椿が悩んだら一緒になって考えろ。

 そして決まったらそれについていけ。

 

 お前にも愛を注ぎきることはできなかったが技術は注ぎきれた。

 だがお前は姉妹の中で一番修羅になりやすくなってしまった。

 その事をとてもすまなかったと思っている。

 『本当に危ないのは安全だと思った瞬間だ気を付けろ』

 

「俺がそそっかしいとでも言うのかよ親父ぃ・・・」

 

 楸

 お前と柊を本家に娘として迎え入れたときからお前たちを養女だと思ったことは一度もない。

 俺の才能を遺伝子じゃなく模倣子としてでも継いだお前は立派な俺の娘だ。

 

 太刀に使った素材からはお前を認めるかのような感じがする。

 これから先その太刀はお前を幾度と無く助けるだろう。

 その太刀筋をもっと早く正確にしていくことでお前の進化は止まることはない。

 『匹夫の勇、一人に敵するものなりと言うものだ』

 

「そんなに儂を死にたがりだとでも思っておったのか・・・」

 

 柊

 お前はハンマー使いとしては異色のハンマーを渡した。

 あんなハンマーはこの世界においては存在しないと自負しよう。

 しかしお前の戦い方を見て安心できた。 

 お前は正しくこいつを使いこなし、自分の技術をあげることができるとな。

 

 そしてお前も楸と同じで遺伝子ではなく模倣子ではあるが俺の才能は継いでいる。

 次はそれをどう伸ばすかだ。

 『高飛の鳥も美食に死す、心の中でメモっとけ』

 

「欲張りすぎるなってどう言うことですか・・・」

 

 

 

 四人は決めた、もう帰りはしないと。

 そして父の遺言を守り、進み続けることを。

 

 帰ろう、ドンドルマに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから一ヶ月後修羅の里は消滅する。

 噂によれば神の逆鱗に触ってしまったのだと。

 

 修羅の里の者は大半が死んだが生き残ったものは散り散りになり世界中に広まったらしい。

 そしてその散った中にはインテリ眼鏡を筆頭に四姉妹を殺そうと言うものも出てきた。

 

 しかし、その動乱の中、インテリ眼鏡は危険思想犯として特殊なギルドナイトの部隊に消されたとか・・・




榊さんの声は1/Fゆらぎと言うものですね。
詳しくはめんどくさいのでご自分で調べてください。

そしてこの頃時系列的に同時進行でマネルガーは最終決戦一歩手前という感じです。
まぁ、インテリ眼鏡が修羅の里掌握した頃に決着ついてしまったんですけどね(笑)
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