女王領域調査官の四姉妹   作:ぱる@鏡崎琴春夜

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戦争勃発?


多分世界で一番会いたくないモンスターに会いました

〔エリア1〕

「こんなところに来るのはこりごりですわ」

「まぁそう言うな椿姉、1ヶ月に一回行って地図書くだけで毎月十万貰えるんだぞ」

「あそこがああでここがこうじゃな」

「調査官に就任して三ヶ月たちましたが、修羅種を最近見ませんね」

 

 密林の中にポツポツとある木漏れ日が照らすエリア1

 そんなエリア1の地図を描いたり、見かけたモンスターをメモしたり思い思いに仕事をこなす四人。

 邪魔をする修羅種を一切の情けをかけず切り裂き続けて早いもので数ヶ月、エリア1の修羅種は四人の臭いを覚え四人が来るとすぐさまに逃げるようになった。

 

「そろそろエリア2の方に移りましょうかね」

「エリア1のやつらはあらかたメモったしな」

「まだ地図が書き上がっておらん」

「使えないお姉ちゃんですね」

 

 その会話を聞いた修羅種達はもろ手をあげて喜んだ。

 しかしこの事を聞いて怒った物がいた。

 エリア1の主とも言えるティガレックスだった。

 

 修羅種は進化の仕方が個体によって違う。

 隠密行動に重きを置くナルガクルガもいれば素早さに重きを置くティガレックスもいた。

 エリア1に住む修羅種の中で一番強いティガレックス。

 その進化の方向は自らの能力の強化

 このティガレックスは新たな可能性を捨て、今まで以上の力を手に入れたのだ。

 

 

 

 まず最初にティガレックスの気配に気がついたのは椿だった。

「なにか来ます」

 その次に気付いたのは榎、三番目は柊だった。

「なんじゃ?」

 最後に気付きターゲットにされたのは楸だった。

 

 ティガレックスは右の翼に力を入れ、地面をえぐり飛ばす。

 飛んできた岩は隕石といっても過言ではないスピードで楸に向かう。

 しかし岩は楸に当たる前に柊が投げたハンマーで砕け去る。

 

「案外投げてみるもんだね」

「武器は大事にしないとダメだろ」

「助かったの」

「戦闘態勢!」

 

 四人のいる木漏れ日の場所に素早く入ってくるティガレックス。

 一瞬で距離をとる四人。

 そしてティガレックスは、四人を追うわけでなく大きくそのアギトを開ける。

「グワァァァァァァァッ!!!」

 普段から高級耳栓を着けている四人ですら耳を塞ぐ大音量は周りの地面を揺らすほどであった。

「私達なにか悪いことしました!?」

「してるからこの怒りようなんだろ」

「煩きことじゃ」

「私が何したってんだよチクショー!!」

 四人とティガレックスが完璧に敵対した瞬間だった。

 

 目標を楸のままにして突っ込んでくるティガレックス。

 しかもちゃんと周りも見ながら突進して来るので横から一撃を食らわせようとしても無駄であろう。

 

 突っ込んでくるティガレックスの真正面に立って抜刀の構えを取る楸。

 逸れでもなお突っ込んでくるティガレックス。

 

 そして一人と一匹がそれぞれの間合いに入った瞬間、両者とも己の武器を相手に叩き込む。

「緋天の剣、月影切り!」

「グワァァァァァァァッ!!!」

 上から鋭く尖った爪を降り下ろすティガレックスと下から相手の頭ごと爪を切り落とそうとする楸、しかし両者とも相手の武器に阻まれる。

 

 一旦距離を取る一人と一匹。

 

 もう他の姉妹はお好きにどーぞと言うようにくつろいでいる。

 この姉妹は家族にかける情も持ち合わせていないようだった。

 

 相手の次の手をどう打ち破り倒すかと一旦距離を取ったはいいがにらみ会うだけになる一人と一匹。

 

 他の姉妹はどっちが勝つかに賭けを始めている。

 

 そして先に動いたのは楸の方だった。

 地面を蹴った跡は見えるが姿は見えない、そんなモンスターじみた速さでティガレックスに斬撃を畳み掛ける。

 しかしティガレックスも伊達にエリア1の主的立ち位置にいるわけではなく、応戦するように爪で斬撃を受け止める。

 

 鬼神のような力と速さで大剣の降り下ろしのような重い一撃を刹那の速さで十発以上打ち込む。

 負けじとティガレックスも次々と爪撃を繰り出すが最早焼け石に水であり、少しずつ傷が増えていく。

 

 そして戦いの女神は楸に微笑んだ。

 ティガレックスの爪が折れたのだ。

 苦痛に顔を歪めるティガレックス、しかしそんな隙を見逃すほど楸は間抜けでないし優しくもない。

 一瞬で抜刀術の構えを作った楸は、そのまま全力で刀を抜き放つ。

「これも世の定めさっさと朽ちるがよい・・・」

 今までに切ってきた竜の油が摩擦熱で発火する。

 自らの手に燃え移ることすら気にかけず燃え盛る刃をティガレックスに叩き付ける。

 

 先程の傷口から溢れる血に燃え移り体を包んで行く焔に巻かれ、絶命したティガレックス。

 しかしその顔は清々しい顔であったと回収したギルドの青年は後に語ったという。

 

 

 

 

 

「賭けは私たちの勝ちのようね」

「そりゃあ楸だもんな」

「畜生めぇぇぇ!!!」

「お主らいい度胸じゃのう?」

 

 楸が今日のところはこれで帰ろうと言い出し、BCに向かっていると木の上から声がかけられた。

「流石モンスターなハンターってとこかな?」

 率直に言って奇抜な格好をした少女が面白そうに此方を見下ろしている。

「ハンター憧れの称号に変な接続語を入れるのをやめてもらおうか」

「見ておったなら助けてほしかったのう」

「どうせ最後のとこらへんだけ見ていたのでしょう」

「地図作りの邪魔しないのが本当に不思議だよ」

 四人が思い思いに罵倒したあとに誰が音頭を取ることもなく声を会わせて一つの言葉を紡ぐ。

 

 「「「「星焔竜!」」」」

 

「何でわざわざ助けたり邪魔したりしないといけないのかな?」

 悪戯っ子の笑いと言えば良いのだろうか?取り敢えずそんな顔を浮かべた星焔竜(分体)は宣戦布告ともとれる一言を言う。

 

「貴女達みたいな塵芥共を」

 

 火蓋は切って落とされた。

 さぁ踊ろう、自らの命を掛けた死のワルツを




 この四姉妹は家族にかける情を持ち合わせておりません。
 理由は家柄というべきものです
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