因みに一戦ごとしか書かないので椿の戦いが終われば次の日になり、榎の番になります。
〔Aグループ:椿 第一戦〕
「それでは始めてください!」
審判(医師免許持ち)がそう叫んだ瞬間目の前の"敵"は、片手剣を横にして水平に持ち突きを繰り出す。
後で知ったが牙突と言うらしいがそれをなんなくかわす。
しかし、剣を横に薙ぎ私を刃で切ろうとするのでハンターナイフで受け止める。
「乙女の肌に傷をつけるのは紳士的ではありませんわよ?」
「ほざけ、その余裕がいつまで続くかな?」
両者の刃が重なりあえば自然と挑発しあう二人。
散発的に鳴り響く金属と金属がぶつかり合う音。
しかし、ぶつかり合う音の感覚は段々短くなって行く。
「一回戦ってやっぱり動きにくいですわね」
「煩い、死ね」
一回刃がふれ合う度に少しずつ速くなって行く椿。
一つ刃がふれ合う音が響けば、踏み込む力が上がり。
二つ刃がふれ合う音が響けば、剣速が上がり。
三つ刃がふれ合う音が響けば、脳の回転数が多くなる。
一回一回の伸びは怖くはない、しかし塵も積もれば山となることもできるのだ。対戦相手がその事に気づいたのは最早、刃を重ねなければ一方的に殺られると思える状態だった。
『切れば相手は強くなる』しかし『切らなくてはこっちが死んでしまう』、こうして対戦相手はどうあがいたって結果は確定した。
「椿姉様はやはり人外じゃのう」
「それ私たちが言える立場じゃないよね、楸姉さん」
「あれ、椿姉まだやってんの?」
命をとして戦う姉の姿に頑張れの一つもなく人外だと宣う妹たち。
姉妹の仲はこんなものだった。
「もうそろそろ諦めたらどうですの?」
「・・・」
最早煽りに対応する余裕すら無くなってしまった対戦相手に少し手加減をして倒すと決める。
刃と刃をぶつけ合わせる攻防戦から一旦ダックステップで後ろに下がり、腰につけたナイフケースの中にハンターナイフをしまい、素手になる。
相手はその事を不思議がり近寄ろうとはしない。
「素手相手にも敗けを感じるんですの?そうだとしたら本当にお笑い草ね」
「殺す」
相手は愚考した、相手が油断し慢心したため素手になったのだと。
しかし本当のところは違った。
椿は勝負をつけに来ていた。
相手は片手剣を逆手にし横方向に走り出す。
それを視線で追うが首を捻った時には姿が無く、咄嗟に上を向く。
そして目当ての人物はそこにいた。
普通なら後ろでも向くような場面で上を向いてきた椿にぎょっとする対戦相手。
しかしもう落下は始まっており、最早避けることは叶わない。
「お休み」
そう言って落ちて来た相手の手を掴み肘に掌底を打ち込みへし折る。
「グハッ!」
そのまま遠心力をつけて地面に叩き落とす。
相手の意識はそこで終わった。
〔Bグループ:榎 第二戦〕
審判の声が言い終わった途端に素手に移行する榎。
それを相手は慢心だととったのか顔をにやつかせる。
「言っとくが手加減はしてやらん、だから安心してかかってこい」
「生意気な小娘だ」
どこで手に入れたかは分からないが対戦相手の男はマチェットのようなものを装備している。
そして軽装故のスピードか、それとも不思議な力でも持っているのか男は巨体に似合わずすごい早さで移動しはじめる。
右にいると思って振り向けば既に左へと移動している相手に攻撃はせず、わざと隙を作る。
その隙を罠だとは気づくこと無く死角からの降り下ろしをする相手。
しかしその腕は掴まり関節が動く範囲以上の向きに変えられ、己のマチェットが腹に刺さる。
「そ、その動きはCQC・・・」
腹部からだらだらと血を流すもマチェットを引き抜き斬りかかる男。
しかしそれも手首を肘うちされマチェットを取り落とし、腹を蹴りあげられて勢いを殺され地に伏す男。
「そんな、この異世界に、MGSで革命を起こそうとし、た僕の夢はここで終わる、のか?」
「そうらしいな」
止めを刺すためにマチェットを拾い、男の背中の心臓の辺りの上に刺せるようにマチェットを構える。
「僕は、主人公になるべきなのに、どうしてッ!」
最早聞くにも見苦しい悲痛に満ちた声で自らの欲望をわめき散らす男。
「どうしてこうも、僕の、邪魔・・を、する、んだ!」
何となくだがもう少しわめき散らす汚物を生かして見るのも面白そうだと思った榎は相づちをうってやる。
「さぁな」
「異世界転生な・・んて・・主人公・・確定じゃな・・いか」
「そうか?」
「そうさ!」
そう叫んだ後少し血を吐く男。
「なぁ、一つ私の思ったことを聞いてくれ」
この台詞を言ったとき男の目は輝いていた、もしかしたらこの子は自分が主人公だと認めてくれるかもしれないと、もうそろそろで力尽きるであろう脳を回転させて思っていたに違いない。
しかし、現実は非情である。
「あんたは転生者つまり客人だ。そして客人が人の家で起きた親子喧嘩に首突っ込んで無理矢理解決するのはなんか違うんじゃないか?」
「そんな、、、こと、、、ない、、、」
「薄れ行く意識の中悪いが一言言うぞ、こんな殺し合いの大会に出てる時点で手前は主人公になんてなる資格はない。貰えんのは殺人者ってレッテルくらいだろ」
そう言ってマチェットを心臓に当たるまで深く差し込む榎。
男の顔が悲痛に堪えきれない苦しみの表情をして死んでいたのは体の傷だったのかそれとも心の傷だったのかそれはもう誰にもわかることはないだろう。
死んだかどうかは医者が判定するらしいので(医師免許持ち)です。
四姉妹の【法則】ってどんな感じでしょうかね?
一人一人の法則と四人一緒の時の法則とで別々な感じでしょうか?