25人の少女と、1人のサポーター   作:皐月 遊

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10話 「Poppin'Partyの皆さんは元気いっぱい」

「はぁ〜あ…学校めんどくさ…」

 

そう呟きながら、1人で通学路を歩く。

 

俺は現在、花咲川学園に通っている。

そして、蘭達は羽丘学園。

 

俺はボッチ。

後は分かるな?

 

そう。 学校で話す人がいないのである。

勿論、知り合いが居ないわけではない。

2年には紗夜さんと白金さんが居るしな。

だがその2人は2年。 勿論授業中の接点はないのだ。

 

学校に着き、いつも通りに席に座る。

…友達作らなきゃなぁ…

 

「…君、この前ライブハウスに居たよね」

 

突然、話しかけられた。

顔を上げると、黒髪ストレートの美少女がいた。

確か…クラスメイトの花園たえさんだったか…?

 

「へっ…? 俺…?」

 

「やっぱり君だ。 香澄ー、この人だよー」

 

なんだか勝手に話が進んでいく…

黒髪の女の子が呼ぶと、右からものすごい勢いで猫みたいな髪型の女の子…戸山香澄が迫ってきた。

その女の子は、勢いのまま俺の肩を掴むと…

 

「あの! ギター弾いてください!!」

 

と大声で言ってきた。

 

……な、なんなん…?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「私、戸山香澄! それでこっちが…」

 

「花園たえだよ」

 

「えっと…神崎 優…です」

 

目の前の女子2人が自己紹介したので、俺も自己紹介をする。

 

「それで! 前にライブハウスに居ましたよね!? ギター弾いてましたよね!?」

 

前っていつだ…? ライブハウスには頻繁に行ってるけど…

 

「私、見たんです! あなたが1人でギター弾いてるの! すっごく上手で…!」

 

…あ。 思い出した。

1人でギターとなるとアレか。 蘭達が遅刻して俺だけ先にライブハウスに着いた時の事か。

 

それ以外に1人でギター弾いてた事無いもんな。

…アレを見られてたのか…

 

「ありがと…それ俺だね」

 

「ですよねですよね! それで、どうしてもまたあなたのギターを見たいんです!」

 

「…いいけどさ、俺今ギター持ってないよ?」

 

そう言うと、戸山さんは「ちょっと待ってて!」と言うと、自分のロッカーに猛ダッシュで向かう。

そして、ギターケースを持ってきた。

 

「ギターならあります!」

 

「…ナンデ…?」

 

「私と香澄はね、バンドをやってるの。

Poppin'Partyっていうバンドだよ」

 

Poppin'Party…? 確か、来月にライブするバンドの中に居たな…

俺の周りにバンドウーマンしか居ないのか…!?

 

「なるほど…いいよ。 んじゃ放課後でいいかな? あと、敬語じゃなくていいよ。 戸山さん」

 

「ホントー!? ありがとう! 私の事は香澄でいいよ! それじゃあまたね! ユウくん!」

 

「またね、ユウ」

 

そう言うと、香澄とたえは席に戻っていった。

…嵐のような人達だったなぁ…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後。 待ち合わせの時間がやってきた。

 

「ユウくん居るー!?」

 

香澄がものすごい勢いでやってきた。

俺は小さく手を振ると、俺の手を掴んで猛ダッシュしだした。

 

「ちょ…香澄! 走らなくてもいいだろ…!」

 

「だって早く聞きたいんだもん!」

 

香澄に連れられて中庭に行くと、そこには香澄以外に4人の女の子がいた。

1人はたえだ。

 

「じゃじゃーん! お昼に皆に言ったギターの人だよ!」

 

「どうも。 ギターの人です」

 

「…? ユウはギターなの? 人っぽいのに」

 

いや…今のボケだから…とたえにツッコミを入れようとしたら…

 

「いや! 今のはどう考えてもボケだろ!?」

 

と金髪ツインテールの子が素晴らしいツッコミを見せた。

俺は、それに対して自然と拍手をしていた。

 

「な、なんで拍手してんだよ!?」

 

「いや…素晴らしいツッコミだなぁと…師匠と呼んでも…」

 

「うぜええええぇ!!!」

 

金髪の子が叫んだ。

すると、金髪の子の横にいたポニーテールの女の子が…

 

「有咲…有咲! 素が出てるよ?」

 

と小声で言うが、その小声は俺に聞こえていた。

…素ってなんだ…? ってえぇ!?

 

「沙綾…!? なんで沙綾がここに!?」

 

すると、沙綾は舌をペロっと出し…

 

「内緒にしてた方が面白そうだったから」

 

と言った。

そして、金髪の子はハッとし顔になり

 

「ごきげんよう。 いいお天気ですねぇ」

 

突然お嬢様口調になった。

 

…なるほど…? この人は初対面の人にはこういう態度を取るのか。

…でも…

 

「残念ながら、手遅れです」

 

俺が言うと、金髪の子は真っ赤になる。

 

「ははは…あ。 改めて自己紹介するね、あたし、山吹沙綾」

 

そして次に、ずっとチョココロネを食べている女の子が口を開く。

 

「牛込りみです。 えっと…チョココロネが好きです。 りみって呼んでください」

 

でしょうね。 チョココロネが好きなんでしょうね。

沙綾にりみだな。 覚えた。

 

そして、沙綾は隣の金髪の子の肩を叩く。

 

「ほら、有咲。 自己紹介」

 

「…市ヶ谷有咲。 市ヶ谷さんでいいぞ」

 

「分かったよ有咲」

 

「市ヶ谷さんって言ってるだろぉ!?」

 

有咲が怒る。隣で沙綾が苦笑いしながら有沙を宥める。

なんか有沙はイジってて楽しいな。

 

よし、もう少しイジってみるか。

 

「…分かったよ。 んじゃ、香澄、たえ、沙綾、りみ、市ヶ谷さん。

よろしくな」

 

皆名前呼びのなか、有咲だけ苗字呼びにしてみた。

案の定、有咲はぐぬぬ…という顔をしている。

 

「どうしたの市ヶ谷さん? そんな睨んで…」

 

「…沙でいい…」

 

「え? なんて?」

 

「有咲でいいって言ったんだよ!!」

 

有咲が顔を真っ赤にして言う。

…おぉ…これは…蘭とは別のタイプのツンデレ…!!!

 

「…さて、有咲イジリは一旦やめて、ギターを弾けばいいのか?」

 

香澄が頷きながらギターを渡してくる。

 

……なんだこのギター。 形が他のとは違うな…

まぁ…ギターはギターだから大丈夫か。

 

「言っとくけど俺、ギター始めたの一か月前だから、あんま期待すんなよ?」

 

そう言って俺は、有名バンドの曲のギターソロを弾いた。

勿論、ノーミスだった。

 

演奏が終わると、香澄が高速で拍手をする。

 

「凄い凄い…! ユウくん凄い!!」

 

「ホントに上手だね」

 

香澄とたえが言ってくる。

ギターを褒められるのは素直に嬉しいなぁ。

 

「プロみたいだねぇ」

 

「…カッコいい…」

 

沙綾とりみが言う。

いや…褒めすぎだろ。 嬉しいけど。

 

ふと有咲を見ると、有咲の顔は少し赤くなっていた。

そして

 

「…すげぇ…」

 

と小声で言った。

 

「さて、ギターは弾いたけど、他には何かあるか?」

 

「えっとね! 出来れば、今度私達の演奏を聞いてほしい!」

 

香澄がそう言ってくる。

 

ふむ…一体俺は何個バンドの演奏を聞けば良いのだろうか。

 

「お、おい香澄! いくらなんでも初対面でそれは迷惑だろ…!」

 

「いや、別にいいぞ? 演奏聞くの好きだしな」

 

いろんなバンドの演奏を聞けば聞くほど勉強になるしな。

 

それからは、Poppin'Partyの皆とLINEを交換し、次のバンドの練習を見る事を約束して別れた。

 

さて、今日はAftergrowの練習があったよな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「って事があったんだよ」

 

「あっそ」

 

「ほー。 ユウくんモテモテですなぁ」

 

ライブハウスで俺は、蘭達にPoppin'Partyの事を話していた。

驚いた事に、蘭達とPoppin'Partyは仲が良いらしい。

世間は狭いんだなぁ…

 

「それで? ポピパのサポーターもやるつもりなの?」

 

蘭が言ってくる。

 

「まだ頼まれてないから分からないけど、頼まれればやるかな?

別に嫌じゃないしな」

 

「…ふーん…」

 

何故か蘭の機嫌が悪くなってしまった。

よし、こう言う事はひまりに聞いてみよう。

 

俺は、ひまりの元へ行って小声で話す。

 

「ひまり。 蘭の機嫌が悪いんだけど、何か知らないか?

こういうのひまり得意だろ?」

 

「えぇ…!? し、知らないかなぁ…!」

 

「嘘がバレバレだぞひまり。 お前に嘘は向いてない」

 

「うぅ…とにかく知らないの! 自分で考えて!」

 

ひまりに突き放されてしまった。

 

「…モカ。 何か知らないか?」

 

「モカちゃんはパンを食べているのでー、他を当たって下さいー」

 

モカもダメだった。

 

んじゃつぎは…

 

「つぐ!」

 

「は、はい!」

 

「蘭がなんで機嫌が悪くなったのか知らないか?」

 

つぐに小声で言うと、つぐは無言で首を振る。

 

「つぐもダメか…クソっ! お手上げだ…!」

 

「おいっ! アタシには聞かないのか!?」

 

巴が抗議の声を上げる。

 

「……んじゃ、なんで蘭が機嫌悪いか知ってるか?」

 

「ん? 知らね」

 

ほらああああ!! やっぱり! 分かりきってたもの!!

 

チラッと蘭を見ると、蘭もこちらを見ていたので、目が合ってしまった。

すると、蘭はゆっくりと近づいてきた。

 

「…ねぇユウ」

 

蘭が不安そうな声で言う。

 

「な、なんだ…?」

 

「…ユウはずっとアタシ達と一緒だよね…?」

 

「…んん?」

 

「Roseria専属になったり、ポピパ専属になったりしないよね…?」

 

専属…というのは、サポーターという意味か?

なんだ? 蘭はそんな事を気にしてたのか?

 

「馬鹿だなぁ。 俺はどこの専属にもならないよ。

…まぁ、1番居心地がいいのはココだけどな」

 

すると、蘭の顔が明るくなった。

 

「…なら…いいよ」

 

蘭は、明るい笑顔でそう言った。

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