魔法少女リリカルなのは 魔法を使えない高校生   作:キングver.252

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9話 〜されど強者は集う〜

「よし、それじゃあ今回の作戦はこうだ」

 

そう言って、高町士郎は切り出した。

千海の涙も既に止まっており、みんなの顔は真剣であった。

 

「基本的に、コンテナに乗り込むのは俺と千海の2人で行く。恭也、美由希は『カラムーチョ』なる組織に繋がりがある組織を、手当たり次第潰していってくれ」

 

恭也と美由希がカラムーチョ討伐戦に参加しないで、周りを潰していくのには訳がある。

それは援軍を呼ばれた時のためだ。

呼ぶ援軍ももうすでに潰されていればこちらに来ることはできない。

カラムーチョだけでも相当な人数がいるはずだ。それよりさらに援軍を呼ばれたんじゃ、勝てる勝負も勝てなくなる。

 

「なのは、フェイトちゃん、桃子は取り敢えず待機だ。僕らから連絡があったらすぐに警察、または救急車を呼んで欲しい。それからフェイトちゃん、出来ればアルフさんを呼んで欲しいんだが、頼めるかな?」

 

「出来ますけど、何でですか?」

 

「一応念の為に、ね。こっちにも敵が来るかもしれないし、護衛をと思ったんだ」

 

「分かりました」

 

すぐに念話しときます。と、フェイトは作業に取り組んだ。

 

「あっ、そう言えば、さっき他にも呼んじゃったんですけど、事情を説明したらすぐに来るって」

 

と、思ったらフェイトは念話をする前に、そんなことを言った。

 

「きっともう少しで着くんじゃ」

 

―――――ピンポーン、と。

ちょうどいいのかちょうど良くないのか分からないタイミングで、その呼んだ人間は現れた。

 

「僕が出よう」

 

そういって、高町士郎は玄関に向かう。

これでフェイトが呼んだ人間であるならば良いが、そ

うじゃなく、暴走族関連の人間であるのなら、武術の心得のない人間が出るのは危ない。

 

「――――はい。どちら様ですか」

 

きっと、古今東西どこを探しても、侍みたいに木刀を腰に差して応対する人間はそうそう見られないだろう。

 

「八神家の人間です。こちらで主を奪還する作戦をしていると聞いたので、こうして参上致しました」

 

「そうか。それはありがたい。中にはいってくれ」

 

そう言って玄関から入って来たのは、八神家に揃うヴォルケンリッター。

古代ベルカ式の魔法を操り、肉弾戦でさ魔導師の中でもトップを争う奴らである。

もちろん戦力的には、勧誘せざる終えない人物達であった。

 

「…………高町、あの人達は誰なんだ?」

 

そんな中、圧倒的存在感を放つヴォルケンリッターを知らぬ千海は、そう高町なのはに聞いた。

 

「はやてちゃんの家族だよ。皆個性的だけど、いい人達ばっかだよ」

 

確かに個性的だ。と、ヴォルケンリッターを見つめ千海は思う。

そりゃそうだ。ピンクや薄緑、赤や藍色の髪をして、一人なんかは犬耳まで生えてしまっている。

 

完全に、千海が今まで見てきた中でダントツの個性派集団であった。

 

「一番前を歩くピンクの髪の人がシグナムさん。その後ろにいる赤い髪の子がヴィータちゃんで、薄緑色の優しそうなお姉さんがシャマルさんで、あの男の人がザフィーラさんだよ」

 

「…………随分な外人さんと家族なんですね、八神は。あれ?あの子たしか関西人とか言ってたような」

 

「ふぇ!?い、いやいや!が、外国の親戚さんが今は一緒に住んでるだけだよ!……ごめんはやてちゃんっ」

 

なのははそう言って誤魔化した。もちろんはやてに対する謝罪も忘れずに。

 

「貴方が主を助けてくれた少年ですか?」

 

誤魔化すなのはと千海が話していると、そこにヴォルケンリッターの将、シグナムが声をかけてきた。

 

「我らが主を護ってくれてありがとう、千海……と言ったか。八神家を代表して、私が礼を言おう。本当に感謝しています。」

 

「あ、主?もしかして八神のことか?それなら俺は助けてないです……。いや、助けられなかったんです。ですから、頭を下げる必要はないですよ」

 

「いや、それでもだ。結果はどうあれ、君ははやてを護ろうとしてくれた。それだけで、私達にとっては嬉しいことなんだ」

 

それでも頭を下げるシグナムに、千海は頭を掻いてしまう。元々、感謝されることは本当に何もやっていないのだ。だから、そんな反応をされてもどう返せば良いのかが分からなくなる。

 

「それじゃあ、話しの続きをしようか。まず、そちらで武術、剣術等に心得のあるものはいますか?」

 

高町士郎はそう仕切る。このままじゃいつまで経っても進めないと踏んだのだろう。話しの路線を戻してきた。

 

「魔法を使えないのなら、私とザフィーラが役に立てると思います」

 

「……魔法?おい高町。魔法ってなんだ?あいつらは一体どこの次元で話しを進めているんだ?」

 

「えっ!?だ、だだ、誰も魔法なんて言ってないよ!?聞き間違えたんじゃないかな!?」

 

いやお前、それどもり過ぎだから。

心の中でそうつっこみ、――――同時に千海は気付いた。

 

(なるほど。八神が隠してた秘密は、こういうことだったのか)

 

謎の外人家族。謎の魔法。そりゃあ誰にも言えないわな。

 

「っつーことは何だ。もしかして八神も魔法とやらが使えるのか?」

 

ドッキィィィッ!?!?

高町なのはは、思わずそんな反応をしてしまう。

 

「そ、そそそ、そんなことな、ななないよ!?」

 

「お前それ本当に隠しきれてると思ってやってる!?完全にお前のせいで全てバレてるよ!?」

 

思わずそうつっこんでしまった俺は悪くないと思う。

 

「なのは……もうそこまで言っちゃってたらごまかせないよ」

 

フェイトがそういう。その言葉で、確信した。

 

「まあ、今回の作戦では魔法を原則として使えないことにするから、どうかな、シグナムさんかザフィーラさんのどっちかに僕と千海と来て欲しいんだけど」

 

そう言って、今度こそ士郎は話しの路線を戻した。

 

「私が共に同行しよう。主はこの手で救い出す。それに、ザフィーラはどちらかと言うと守る戦いに向いている。ここでフェイトたちを護らせていた方が良い」

 

「分かった。ならば俺はここで皆を守る盾となる」

 

ザフィーラはそう頷く。

どうでも良いけどあの耳、本物なのかな?なんて考えしまう千海は、きっと『魔法』という存在を知れてちょっと嬉しいのであろう。まだ見ぬ神秘、それは男子の心をくすぐるには十分すぎた。

 

「――――なら決まったね。よし。それじゃあ、行こうか」

 

作戦を決行するために、アジトに乗り込む者、その周辺を潰すもの二班は、すっくと立ち上がる。

 

「八神はやて奪還作戦、絶対に成功させるぞ」

 

おちゃらけた雰囲気などあるはずもない。ボディーガードとして名を馳せてきた時代の高町士郎が、その表面に顔を出してきていた。

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

「――――金堂悠雅は、妹のことをついに諦めました」

 

薄暗い部屋で、一人の男はそう告げる。

 

「……そうか。まだ有効利用出来ると思っとったんじゃがな。そろそろ潮時か」

 

「金堂悠雅は、『八神はやて』という少女を捕らえ、楽に死なせる方法を模索しているようです。如何いたしますか?」

 

フォッフォッフォ。と、妙齢の男性は嗤う。

 

「八神はやて、と?今そう言ったか?これは何と運がいいことか!まさか次に消してほしいやつを引っ捉えてくれているとはのぅ!―――よし、この私が出向いてやろう。おい誰か!金堂悠雅の元へ私を案内しろ!!」

 

そう呼び掛ければ、たちまちに人が現れる。

ただ、そうやって現れた人間は、男が見る限り、一人として『生気を宿した眼をしていない』。

 

「フォッフォッ。『地球人』は何と扱いやすいことかのぅ。おい!お主もこれからのことをその目で見たければ後を追ってくるが良い!!」

 

「はい!後に向かわせてもらいます!」

 

そう言うと、妙齢の男性は満足したのか、高級車に乗って目的地へと向かった。

 

明けない夜はない、と良く人は言う。

だが、明けないと錯覚してしまう程『長い夜』等、いくらでも訪れる。

今日は正しくその日だ、と。妙齢の男性と会話していた男は思う。

 

――――裏切りは俺の専売特許だ。悪く思うなよ。

 

そう言い残し、その男も次の瞬間には姿を消していた。

 

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