魔法少女リリカルなのは 魔法を使えない高校生   作:キングver.252

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7話 〜晩御飯を作れないやつが3人寄っても何も出てこない〜

高町なのはと、フェイトテスタロッサが虫の息の主人公を見つける少し前。

八神家は、まるで誰もいないかの如く静まり返っていた。

 

「……はやて、帰ってこないな」

 

しかし、当然誰もいないわけではなく。

ヴィータが徐に口を開いた。

時刻は8時になる少し前。

普段なら、もうとっくにはやては帰ってきていて、家族仲良く食卓を囲っていたはずだった。

 

「まさか主の身に何かあったのではなかろうな」

 

「さっきから念話も通じないし、その可能性も無きにしもあらずだけど……心配だわ」

 

「でも、学校にはあの高町なのはとフェイトテスタロッサもいるのだろう。主だって魔導師の前に普通の

学生だ。遊びたい盛りなのではないだろうか」

 

「それだと良いんだが……」

 

再び、静寂が訪れる。

はやてが遊んで来ているのは別に良い。むしろ今まで辛い思いをしていたのだから、存分に遊んで欲しいとまで、ヴォルケンリッターは思っている。

従って、今の問題ははやてが遊んで来ていることではなく。

『はやてが帰ってこなきゃ夕御飯無いけど誰がどうすんの?』問題である。

 

「―――しょうがないわね。こうなったら私が」

 

「おい誰かソイツを物理的に黙らせろ!!」

 

「酷い……」

 

シャマルは論外。シグナムはそう結論づけ、『優し

く』諭してあげた。

 

「―――ならアタシが」

 

「そんな子供体系で料理がつとまると思うな永遠の幼稚園児が!!」

 

「んだとゴラァ!!」

 

遊び半分で、ウキウキした様子で台所に行こうとするヴィータも当然却下。

見た目からして料理が出来るとは思えない。

だとしたら、後残っているのは―――。

 

「ザフィーラ。お前、料理は……?」

 

「目玉焼きなら、焦げたのを作れるが」

 

「犬の餌かバカ野郎!人間の食物を作れるかと聞いた

んだ!!」

 

犬の餌を作れるザフィーラも当然却下。

でもまさか犬の餌なんて言われるとは思いもしなかったザフィーラはちょっとだけ涙目になってしまったのはここだけの話し。シグナムだって飯を食えてないからイライラ気味なのだ。

 

「あとは、リインフォースか。お前料理は作れるのか?」

 

「はやてちゃんのを見てたから何となくは作れるかもしれないですけど、あくまでも何となくですよ?」

 

「おいこらシグナム!?なんでアタシより体系が小さいリインフォースはそんな対応なんだ!?なんでアタシは言う途中で突っ撥ねられたんだ!?」

 

「何となくか……。あのチビより上手く出来るのであ

れば、何とかなるかもしれんが……」

 

「おいこら待てやテメェ!よーしその喧嘩買った表出ろやゴラァ!!」

 

「ヴィータちゃん落ち着いて!シグナムも今気が立っているだけだから!」

 

料理をするに置いて、『何となく』と言う言葉は当てにならない。

例えば、レシピになくても『何となく美味しそうだからこれ入れてみよう』なんて考えて、その結果クソまずくなることはただあることだ。

 

「……仕方が無いな。こうなったらこの私が」

 

「「一番テメェが失敗しやすそうなツラしてんじゃねーか!!」」

 

「よしテメェら全員表出ろ」

 

――――結局誰が作っても変わらないみたいなので、出前を取ることにした八神家一同であった。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

「頭。なんであのガキに俺らの場所教えたんで?」

 

バイクで夜の道路をかっ飛ばしアジトに戻ろうとする時に、はやてを持っていた部下が口を開いた。

 

「別に。あのガキは多分俺らのことを追ってくると思ってな。だったらもう一度真っ向から叩き潰してやろうと思ってな」

 

「へえ。お優しいこって」

 

「宗司も、めんどくさい仕事任せて悪かったな」

 

「いえいえ。…………ところで頭。その女、どうしていきなりとっ捕まえようと思ったんで?まさか本当に惚れてるわけじゃないでしょうに」

 

それは宗司にとって、最大の疑問であった。

今までこんな積極的に行動したことが無かったのに、こうしていきなり大胆な作戦に出たのだ。疑問に思わない方が無理な話だ。

 

「奇跡の起こし方を、知りたかったのよ」

 

「奇跡?」

 

果たしてその答えは、頓珍漢な内容だった。

 

「ここだけの話しだ。俺はお前に絶対の信頼を置いているから言うが、俺の妹は、もう命が残り少ないんだ。後何ヶ月生きれるかすら分からねえ」

 

「へぇ。そんな大事な話し、本当に俺にしていいんで?」

 

「あぁ。そろそろ俺も、誰かに話したいと思ってたところだからな。……そんで、なんで俺が暴走族の頭になったか、分かるか?」

 

そう聞かれ、宗司は分からないと首を振る。

実際、宗司達には何の知らせもなく突然頭が変わったのだ。

 

「妹のためさ。鴉の旦那に言われたんだ。『今の頭の代わりにお前が族の頭になって馬鹿やってくれたら、妹の病気を直してやる』ってな。そんで胡散臭いながらもなってやったら、本当に妹の手術が決まっちまったんだ」

 

「そんで?」

 

「そっからは、容態が悪くなる度に手術をしてくれた。ただ、手術しても妹の様子は一向に良くなる兆しが見えねえ。最近じゃあ目さえ見えなくなってきてる程だ。だから俺ァ気付いたんだよ。このまま苦しませるくらいなら、いっそ幸せに逝っちまった方がいいんじゃねえか、ってな」

 

バイクの走る時の騒音だけが響きわたり、一瞬の静寂が響いた。

 

「それと、あの八神はやてと何か関係はあるんで?」

 

「俺ァ七年前に、確かに奇跡を見た。遠目からだが確かに見た。この嬢ちゃんが銀髪の姉ちゃんに声をかけた瞬間に、その姉ちゃんは幸せそうなツラして消えてったんだ」

 

「――――は?」

 

とてもじゃないが、信じられる話しではなかった。

銀髪の姉ちゃんというだけでも相当なレアキャラなのに、言うに事欠いて『消えてった』だと?

 

「俺をおちょくってるんで?」

 

「いやぁ。真面目も真面目、大真面目さ。だからこうして、この八神はやてを連れ出してるんだろうが」

 

「でも、じゃあ妹さんは本当に諦めるって言うんですか?まだ助かるかもしれないってえのに」

 

「……助かるかも、なんて考えちまったら何にも出来ねえさ。もう妹は限界なんだ。世の中にはな、死んじまった方が楽なこともある。苦しんで苦しんで、それで幸せを掴めるようなやつなんざ稀だよ。『生きてればきっといいことある』なんて綺麗事じゃあ、生きてねえんだ」

 

金堂悠雅は空を見上げ、そう告げる。

 

「だったらよぉ。せめて最後ぐらいは苦しみなんか消してよ、楽に死なせてやりてえじゃねえか。最後ぐらいは笑わせてやりてえじゃねえか。そのために、藁にも縋る思いで八神はやてを連れ出してきたんだ」

 

「へぇ。やっぱアンタ、暴走族には向いてねえや。優しすぎるぜ。……正直すぎるのもあるけどな」

 

「ん?最後聞き取れなかったんだが、もう一回言ってくれないか」

 

「いやァ、気にするほどのことでもねえんで大丈夫っす。――――あ、頭。俺この後用事思い出したんだった。ちょっくら行ってきていいですかい?」

 

「あぁ。別に大丈夫だ」

 

「そんじゃあ、ちょっくら失礼しますわ」

 

アジトは後少しでつく。そんな時に、宗司は曲がって行ってしまった。

――――夜はまだ、長く続くようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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