「ちょっとぉぉぉぉ!?あなたいったいなにを召喚してんのよっ!?」
取り乱した所長に肩を掴まれて前後に揺さぶられる僕、うん、気持ちは大いにわかる
「あなたあの聖晶石作るのどんだけ大変か分かってるの!?あんたみたいなど素人じゃ一生かかっても作れない代物なのよっ!?」
あれ所長が作ったんですか?やっぱり1流魔術師は凄いですね……ほんと、なんで召喚出来ないんでしょうか?
「それになんなのアルターエゴって!そんなクラス聞いたこともないわよっ!!」
前回クラスは7つに分かれていると言ったな、すまん、ありゃ嘘だった
何事にも例外はある、基本の7クラスに加えてエクストラクラスというものがある…といっても、カルデアで確認されてたのは裁定者のルーラーと復讐者のアヴェンジャー、それと、さっき判明したキリエライトさんの盾兵シールダー…どのみちアルターエゴなんて聞いたこともないのだが
「あとなんでロボット!?今エリザベートって言ったわよね!ひょっとしてエリザベートバートリー!?なに?実は血の伯爵夫人はロボットでしたってこと!?」
その疑問はごもっともだがそれを僕にぶつけないで欲しい、そろそろ首が痛い
人類の歴史には解釈の違いだとか改ざんだとか隠されていた真実だとかで違うことも多々あるそうだが、さすがに中世でロボットが美貌を求めて血を浴びていたなんて無茶苦茶にも程がある
「しょ、所長、その辺で…ほ、ほら!見た目がロボットっぽいだけで実は違うかも知れませんし!」
「そ、そうよね…いくらなんでも歴史上の人物がロボットでしたなんて…」
見かねた藤丸君が止めてくれた、ありがたい…
所長は落ち着こうとしてるのか深呼吸してる
…いたた…首が取れるかと思った…と首をさすっていると
「首が取れる?こうですか?」
メカエリチャンが首を外して見せた
「…………やっぱりロボットじゃないのよぉぉぉぉ!!」
首がぁっ!?
…と、僕の首を犠牲に多少の冷静さを取り戻した所長はメカエリチャンに説明を求めて…
説明しよう!メカエリチャンとは!エリザベートバートリーの居城、チェイテ城の上にピラミッドが突き刺さり、さらにその上に姫路城が乗っかって姫路城の主がチェイテ城にあった守護神像を通販で送られてきたパーツで魔改造した結果生まれた!チェイテの新しい主である!!
………とりあえず、再び僕の首は犠牲になった
「敵影捕捉…排除します」
そう言ってスケルトンの群れを蹴散らしていくメカエリチャン
右で殴って1体砕け、左で殴って2体砕け、大きな尻尾で薙ぎ払ってさらに数体打ち砕く
「す…すごいです…」
「あの嬢ちゃんもやるなぁ」
キリエライトさんとクーフーリンさんもその姿に感嘆の声を漏らす
僕の首を犠牲に所長も落ち着いた…まぁ、まだブツブツと呟いてるが、むりやり現状を飲み込んだ
これ以上の戦力強化は望めないということでこの戦力で闇堕ちしたアーサー王の元へ向かうことになった
スケルトンとの戦闘はメカエリチャンがどの程度戦えるのかの確認だ
本人曰く本来のエネルギー源のエリザ粒子を魔力に置き換えているので魔力の消耗が激しく、兵装の類は気軽には使えないと言っていた…エリザ粒子が何なのかとかはもはや誰も聞かなかった
確かにこうやって素手(といっても鉄だが)で戦ってるだけなのに僕の中から魔力が目減りしていくのが感じられる…まぁ素手でも充分に強いけど
スケルトンの剣とか矢とかが当たっても全部弾き返してたし、さすが鉄の処女(物理)
………
「なによっ!シャドウサーヴァントなんて大したことないのねっ!このまま一気に特異点解決するのよっ!」
と元気が有り余ってる所長、まぁ、攻撃がメカエリチャン、防御にキリエライトさん、支援にクーフーリンさんと、役割分担がちゃんとしている事もありあっさりとシャドウサーヴァント達を倒し、今はシャドウアサシンを倒してきたところ…でも所長、僕は割と体力がしんどいです…
「戦ってもいないお前が威張ることではありませんよ、オルガマリーアニムスフィア」
「まぁそう言ってやるな…だが…残ってるのはアーチャーとセイバーだ」
冷たい目(まぁロボだが)でそう言うメカエリチャンと目を鋭くするクーフーリンさん
「その…セイバーはアーサー王だとして、アーチャーはどなたなんでしょう?」
「…真名はわからんが、双剣を主武装とした多芸な奴だ」
キリエライトさんの問いにそう答えるクーフーリンさん、…なんで弓兵の主武装が双剣?
「別に不思議でも無いでしょう、人前に出なかった引きこもりと言うだけでアサシンになった姫もいますし」
警戒のために前を歩いているメカエリチャンが言う、というかそんな英霊もいるのか…
「それに私も元はバーサー…っ!?マスター!」
こちらを振り向いて何かを言いかけ、焦った様子でこちらに腕を飛ばす
勢いよく飛んで来たそれは所長の髪を数本散らしてすぐ後ろにいた何かに当たった
「きゃっ!?なっ!なにっ!?」
「アサシンっ!?まだ消えてなかったんですかっ!?」
振り向くとシャドウアサシンがロケットパンチで弾き飛ばされていた、死にかけの状態で追ってきてすぐ後ろまで忍び寄っていたのだろう
突然の事で怯える所長と動けなくなる僕と藤丸君、驚きながらもシャドウアサシンと僕達の間に立つキリエライトさん
シャドウアサシンは殴り飛ばされると今度こそ霧散して消えた
ガションガションと足音を鳴らして戻ってくるメカエリチャン、腕はすでに戻っている…てかロケットパンチもできるのか…
「何をしているのですかマシュキリエライト、お前の役割はマスター達を守ることでしょう、そのお前が敵の接近に気付かないとは…それでも守る者ですか?」
「ごっ…ごめんなさい…」
「いえ、お前はまだサーヴァントになったばかり……まだ間違いにも気づけますし、これからいくらでもやり直せます…問題は」
メカエリチャンがクーフーリンさんへ右拳を突き出しながら問いただす
「お前です、アルスターの大英雄クーフーリン、瀕死のアサシンの気配遮断程度お前なら見破れたはず…どういうつもりですか?」
「なぁに、ほんとにヤバかったら燃やすつもりだったさ」
「だとしてもマスターを危険に晒すようなマネは看過できません」
「……わかってねぇなぁ」
そう言うと軽く後ろに飛んで距離を取る
「所長さんよ、特異点解決を…アーサー王を甘く見てるんじゃねぇか?」
「そっ、そんなことはっ!」
「まぁいいさ、確かにここまでは楽勝だった…でもそれは空っぽの影が相手だったからだ、これから戦うのは紛れもない本物のアーサー王……兄ちゃん達よ、エクスカリバーくらいは知ってるだろ?」
「……名前ぐらいは、強い剣なんだろ?」
藤丸君がそう答える、出てくる大抵のゲームで最強の剣だねと僕も頷く
「そう、強い剣だ、元々強い剣だったが、もはやそういう概念になってる…紛れも無く最強の剣だ…それを振るうアーサー王が弱いわけが無いだろう?」
英霊を形作るものは人々の信仰や想い
最強の剣の担い手は最強の剣士にほかならない
「悔しいが俺の宝具でもエクスカリバーは防げない…そっちの嬢ちゃんでも無理だろう?」
「……」
メカエリチャンが言い返さないところを見ると図星のようだ…まぁ、これでエクスカリバーも防げます!って言われてもますます意味不明になるけど
「唯一防げる可能性があるのは防御に特価した英霊の宝具解放しかない…つまり、嬢ちゃんが宝具解放出来なきゃ勝てないってこった」
キリエライトさんは宝具が使えないことを悩んでいた
つまり…このままじゃアーサー王には勝てない…?
「…我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める社─」
クーフーリンさんが詠唱をはじめ…って!?
「キャスター!?なにをっ!?」
「悪ぃな兄ちゃん、サーヴァントとマスターは一心同体…てめぇのサーヴァントが防げなかったら終わりだ、この程度も防げなきゃどのみちセイバーには勝てねぇ…ここで死んどけ」
「っ!!先輩っ!!」
キリエライトさんが僕等を守ろうと盾を構える
「焼き尽くせ木々の巨人…灼き尽くす炎の檻!」
巨大な炎の巨人が現れて…
「マスター!!」
浮遊感、見れば僕だけは翼を広げてスラスターを吹かせるメカエリチャンに抱えられて…って!?他の3人はっ!?
「今の推力で安全地帯に運べるのは一人だけです…あいつを信じましょう」
炎の巨人が襲いかかるのが見えた
……
…まぁ、結果だけいえばキリエライトさんが無事に宝具解放して無事だったのだが
「なんであなただけ逃げるのっ!藤丸君とキリエライトさんは宝具解放の試練だから分かるけどなんで私までこんな怖い目に合わなきゃいけないのよっ!そもそもあなたのサーヴァントは〜!」
また首が痛くなりました