旧約ほのぼの科学の一方通行   作:呉蘭も良い

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どうも、作者です。
メインがちょっとスランプ気味なので、気休めに書いた作品です。
亀更新で、駄文ですが、よろしくどうぞ。


出会い、コーヒー

真夜中の閑散としている住宅街の中、一人の少年が歩行機を付けて、ゆっくりとした足取りで歩いている。

暗闇という黒が支配する世界で唯一の白。

 

白、白、白、その少年は服装、肌、髪、歩行機に至るまで全てが白く、異様なまでの存在感を放っている。

ただ、その目だけは血の様に赤く輝き、獣のごとき鋭い眼差しは、その少年が一般人とは欠け離れた存在だと主張している。

 

一方通行(アクセラレータ)

学園都市が誇る超能力者(レベル5)が第一位

 

個人にして戦略兵器以上の破壊を可能とする危険人物。

その気になりさえすれば、地球を破壊する事さえ可能とする、学園都市の最高戦力である少年。

 

その少年が気だるげに歩きながらため息を溢した。

 

「……ちっ、漸く静かになりやがった。おちおちコーヒーすら買いに行けやしねェ、あのクソガキ共が。」

 

10月19日

第三次世界大戦の中心で奮闘したこの少年は、極寒の地ロシアにおいて、大切にするべき小さな少女を紛れもなく救った。

その際、自身を殺しに来た見慣れた顔のもう一人の少女をも殺さず生かし、戦争終結の際に学園都市に同行させ保護した。

そして学園都市に戻って来た少年に待っていたのは、今までとは真逆の“日常”と呼ばれるそれだった。

 

少年がこれまで歩んで来た道程は、一般常識とは欠け離れた生活で、決して表だって知られる訳にはいかない血生臭い道程だ。

それ故に、少年は“日常”での生活を享受出来ない。

享受の仕方を知らない。

自身の汚れた手で、どうやってあの光輝く“日常”に接すればいいのか、そもそも自身が“日常”を享受していいのか、少年の心境はそんな罪悪感と困惑で満ちていた。

いっその事、薄暗く血生臭い戦場の方が少年にとっては落ち着ける環境なのかもしれない。

 

(……はっ、今更わかりきっていた事だが、あんな異常な場所の方が落ち着くなんざ、俺の心とやらは随分とぶっ壊れてやがる。)

 

一方通行はそう考えて、自身を鼻で笑いながら自嘲した。

 

(だが俺のやる事は変わらねェ、あのクソガキ共の“日常”とやらを継続して守る事だ。)

 

その為には、自身に心労が溜まろうが知った事ではない。

一方通行はそう格好良い決意をして、ただ何する訳でもなく、コーヒーを買いにコンビニのドアを潜った。

 

そこで少年は“奇跡(if)”に出会う。

 

そう_____

 

この物語は_____

 

一人の少年が幻想を打ち砕く物語ではない

 

一人の少年が悪を為す物語ではない

 

一人の少年が大切な者を守る物語ではない

 

これは_____

 

ただの“日常(ほのぼの)”である

 

 

 

−−−−−

 

 

 

「あっ……」

 

「あン?___っ!?」

 

一方通行がコンビニのドアを潜ると、買い物を終えたであろう客が、一方通行の前に立っていた。

しかし、それだけでは一方通行はこんなにも驚かない。

 

そこに立っていたのは、彼がよく知っている見慣れた顔の初めて会う人物だった。

 

「お前……妹達(シスターズ)だな。『第三次製造計画(サードシーズン)』の奴か?」

 

一方通行は警戒した音色で、目の前の人物にそう問うた。

場合によってはここで戦闘すらあり得ると思い、彼はいつでも能力が使えるようにチョーカーのスイッチを押す準備をして首に手を当てる。

 

しかし、目の前の人物は一方通行の反応とは逆に、少し困った様な顔をしていた。

一方通行からしてみれば、その反応が不自然過ぎて逆に警戒心が上昇する。

何故なら、彼女達は一部を除いてこんな風に困った顔なんかしないのだから。

 

「困りました。……まさかこんな所で出会うはめになるとは。……とりあえず、私はその『第三次製造計画』とやらではありません。」

 

そう目の前の彼女は、一方通行が言った『第三次製造計画』とは無縁の存在であるとアピールした。

しかし、一方通行は納得しない。

何故ならば似ているのだ、ロシアの地にて自身を殺しに来た『第三次製造計画』の少女、番外個体(ミサカワースト)に。

いや目の前の彼女は、どちらかと言えば以前出会った、彼女達のオリジナル、その母親に似ている。

 

よく見てみれば、顔付きこそ彼女達と同じだが、髪は長く腰まであるし、肉体年齢は番外個体よりも上で17~9くらいであろうか?

特に胸回りが母親似で、脅威的な胸囲をしている。

 

「……じゃあてめェは何だ?検体番号でも言ってみろ。」

 

「私に検体番号は存在しません。……強いて言うなら0号、仮称プロトミサカとでも言うべき存在です。」

 

「プロト、ミサカだと?」

 

一方通行は眉間に皺を寄せて、怪訝そうにそう問い返す。

 

「はい。一方通行、貴方が私を知らないのは無理もありません。本来なら出会う予定なぞ無かったのですが、知られてしまったからには仕方ありません。私の事を知りたいなら説明しましょう。」

 

「……詳しく説明しろ。」

 

「了解しました。……その前にいい加減、コンビニのドアから退きましょう。他のお客様に迷惑です。」

 

一方通行はファミレスに移動する事を決定した。

 

 

 

−−−−−

 

 

 

「……それで、プロトってのはどういう意味だ?」

 

「あっ、すみません、BLTサンドをお願いします。ドリンクバー2つも付けて下さい。……はい、ありがとうございます。一方通行、貴方は何を飲みますか? 私が飲み物を取って来ますよ。」

 

「説明するンじゃねェのかよ! コーヒー!」

 

彼女は妹達らしく、マイペースにファミレスで注文をし、一方通行の希望を聞いて、そそくさとドリンクバーに飲み物を取りに行った。

 

おかしい、シリアスな流れではないのか、これではいつもの“日常”となんら変わらんぞ、と一方通行は更に心労が増す予感をしながら、彼女が帰って来るのを待っていた。

 

「お待たせしました。コーヒーはブラックでよろしかったですか? 一応スティックシュガーとミルクを持ってきましたが。」

 

「……いらねェ。」

 

「おや? この年齢にしては珍しい方ですね。ある有名な青春のラブコメを間違える小説では、[人生は苦いから、コーヒーくらいは甘くていい]という名言を残しているのですが。」

 

「はァ? 何だそれ? 砂糖やミルクで甘くしちまったら、コーヒーの良さが台無しだろうが。」

 

「……うわぁ、コーヒーマニアの方でしたか。まさかブラック飲める俺カッケー、とか思ってませんよね?」

 

「ぶち殺してやろうか?」

 

額に青筋を出しながらイライラする一方通行をよそに、この話題を楽しんでいる彼女は、店員が注文したサンドイッチを持って来た後も、食事をしながらコーヒーの話題を一方通行と楽しんだ。

 

「貴方が大のコーヒー好きというのは理解しましたが、だからこそ解せないのですが、何故わざわざコンビニに缶コーヒーを買いに来たのですか? そこまで好きなら自身で淹れたりしそうなものですが?」

 

「めンどくせェ。それに缶コーヒーはあのチープさが悪くねェ。」

 

「えぇ? バリスタ並みの知識があって、豆の違いを理解する舌があるのに、自身で淹れずに缶コーヒーのチープさを求めるとは、理解に苦しみます。」

 

「はンっ! こればかりは解る奴にしか解らねェよ。それに缶コーヒーは大量にストックが出来て楽なンだよ。」

 

「それ絶対楽したいだけですよね? 家にコーヒーメーカーで淹れたコーヒーと、缶コーヒーがあったら、どっち飲みますか?」

 

「……コーヒーメーカー。」

 

「……ただの面倒臭がり屋じゃないですか。」

 

「うるせェよ。コーヒーはもういいから、いい加減てめェの話しやがれ。」

 

意味不明の敗北感を味あわされた一方通行は、逃げるように話題を反らした。

 

「わかりました。では多少長くなるかも知れませんが、お付き合い下さい。」

 

こうして、彼女の話が始まる。




☆「シリアスなんか別の世界線に任せて、私はこの日常を観測しようじゃないか!」
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