百鬼夜行のヒーローアカデミア   作:ソトン9

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どうも、最後の投稿から実に3週間以上も過ぎてしまいました!

お待たせして申し訳ない!

私の最近のトレンドは『ベーコンムシャムシャくん』です

3/1追記

UAが6万を突破致しました!
いつも読んでいただきありがとうございます!
書き始めた当初は、まさかここまで伸びるとは思いませんでしたね~(;^ω^)
感謝感謝です!!(*ゝ`ω・)
これからも「百鬼夜行のヒーローアカデミア」をどうぞご贔屓に!m(__)m


それでは本編




~実戦(本)と実戦(分)~

「――危ない危ない。……そう、生徒といえど優秀な金の卵」

 

 オールマイトを殺すと言ったヴィランが油断している隙に先制攻撃を浴びせた爆豪君と轟君。不意打ちとしては完璧なタイミングだと思った私が個性で舞った砂煙を晴らすと、一切ダメージを負った様子のないヴィランがそこにいた。

 13号先生が二人をすぐに呼び戻そうと声を張るも、ヴィランの方が行動が速く、私たちは瞬く間に黒い靄に包み込まれてしまう。

 

「はああっ!!」

 

 次々とクラスメイトが飲み込まれていくのをなんとか阻止しようと、疎の効果範囲と強さを全開にして靄を散らせるか試みる。ヴィランに近い場所にいた爆豪君と切島君はすでに完全に飲み込まれてしまったけれど、あの二人は強いから何かあっても一緒であればきっと大丈夫。

 今の私の役目は、これ以上被害が広がらないようにすること!

 

「…?」

 

「……なんで!?」

 

 私の全力による個性への干渉は出来たものの、それはほんの少し動きを鈍らせただけで、ほとんど効果を出せていなかった。

 ヴィランが少し頭を傾げたようにも見えたけれど、そのまま何事もなかったように皆を飲み込んでいく。

 そしてそれは私も例外ではなかったようで、靄に捕まるとあっという間に視界が黒く塗りつぶされてしまった。

 

「皆!!!」

 

 周りの音が遠ざかっていく中ではっきり聞こえたのは、靄に飲み込まれてしまった私たちを呼ぶ飯田君の声だった。

 

 

 

 

 

 

「ッ!ここは!?」

 

 靄が途切れて視界がクリアになった瞬間、視界いっぱいに赤々と炎が燃え上がっている景色が飛び込んできた。

 体の表面を舐めまわすような火災と咽返りそうになるほどの熱気に襲われる。

 このままでは蒸し焼きになってしまうと思った私は、即座に個性を発動して周りの温度を二十度ほどにまで下げた。

 これでとりあえずは大丈夫かな。

 常時熱を緩和しつつ改めて周囲を確認すると、単に炎が上がっているだけではないということに気付いた。

 ビルやアパート、車や自販機など、ありとあらゆるものが炎に包まれていて、まさにテレビで見るような火災現場の真っ只中にいるような状況だった。

 この光景を見て、私はすぐに今いる場所の検討がついた。演習場に入って遠目に一度確認しただけだけど間違いない。

 

「火災ゾーン……」

 

「伊吹さん!!」

 

 聞いたことのある声に振り向くと、尾白君がこちらへ駆けつけてくるところだった。

 

「尾白君」

 

「良かった。いきなり黒い靄に包まれたと思ったら、次の瞬間にはこんな所にいて驚いたよ。見渡す限りどこも炎に包まれてしまっているし、僕以外誰もいないからどうしようかと思ってたんだ」

 

 安心した様子で息を吐く尾白君。

 見たところコスチュームの至る所が黒く煤けていて、私を発見するまで動き回っていたことがわかる。喉が焼けてしまうのではと思う程の熱気に包まれているというのに、尾白君が意外と平気そうにしていることに驚かされてしまう。

 

「おい、いたぞ!!予定地点に現れねえと思ったらこんなところに居やがった!」

 

 他にここへ飛ばれた人が居ないか、尾白君とこれからの行動方針を決めようと話し合っていると、ガラの悪そうな者たちが現れて周りを囲まれてしまう。

 

「な、こいつらまさか!」

 

「ヴィラン、だね」

 

 こちらを嘲笑うかのように嫌らしい表情を浮かべて近づいてくるヴィラン達。数はおよそ三十ほどで、炎を纏ったようなヴィランや岩で上半身を覆ったヴィランなど、暑さに耐性を備えている者たちが大半を占めているのがわかる。

 このヴィランたちもおそらく広場に現れた奴らと同様、あの黒い靄の男によってここまでワープで運ばれてきたのだろう。

 

 "散らして嬲り殺す"

 

 "予定地点"

 

「なるほどね」

 

「伊吹さん?」

 

「尾白君。彼らの目的はおそらく、靄の男によって分散して飛ばされた私たちを、数に物を言わせて蹂躙することだと思います。ここが施設内の一角にある火災ゾーンだとすれば、私たちと同じように他の皆もそれぞれの災害ゾーンにワープさせられて多数のヴィランと対峙してるかも」

 

 いつ攻撃されてもいいようにヴィランから視線を逸らさず警戒をしつつ今思いついた推測を尾白君に話すと、彼の方から息を呑むような気配が伝わってくる。

 

「そんな……」

 

「だから、さっさと目の前のヴィランたちを片付けて援軍に向かいましょう」

 

「え?」

 

「おいおい!初めてヴィランと対面してぶるっちまったか?!かの有名な雄英の学生ってもやっぱガキはガキか。まぁ、この人数差じゃ仕方ねぇし、せめて苦しまねぇようn?」

 

 私の言葉に傍らで呆ける尾白君と、数の有利からか饒舌に恐怖を煽ろうとしてくるヴィラン。

 私は個性全開で踏み込んで一気に最前列のヴィランに肉薄すると、視界から一人消えたことに呆けた表情をする相手の鳩尾に思い切り拳を叩き込む。

 

「ぅがっ!!」

 

 拳がめり込むと同時にうめき声を上げたヴィランは、苦し気な顔でこっちに視線を下ろすと驚愕に目を見開いて膝から崩れ落ちた。周りのヴィラン達は仲間が倒れた音でようやくこちらに気付いたようで、蹲って動かない者とそばに立つ私を交互に見て明らかに動揺した様子でざわめきだす。

 

「いつの間に?!」

 

「て、てめぇ!やろうってのか!」

 

「くそ、舐めたマネしてくれるじゃねえか!」

 

 味方の一人がやられたことに口々に声を荒げるヴィラン達は、それでも戦闘態勢をとるだけで攻めてこようとしない。

 どうやら誰も私の動きを捉えられなかったようで、自分はやられまいと警戒の目が私に突き刺さる。

 

「どうしました?まだヒーローにもなっていないガキにぶるっちゃいました?」

 

「んだとコラァ!!」

 

 相手を煽るようにさっき私たちに言った言葉をそのまま返して不敵な笑みを浮かべると、案の定挑発に乗ったヴィランたちはうって変わって全員が同時にかかった来た。遠距離主体なのか途中で立ち止まって腕や体から生えた触手を構える者もいるけど、この範囲ならいける!

 私は元いたところまでジャンプして尾白君の横に並び彼にこの場を動かないように指示をする。

 私と目を合わせながら尾白君が静かに首肯してくれたところで、地面目掛けて拳を打ち付ける。

 

「縛符『砂鎖縛留(ささばくりゅう)』!!」

 

 纏わせた個性を流し込むと鼓動を刻むように地面が波打つ。波は波紋のように全方位へ広がっていくと迫りくるヴィランへと向かっていく。警戒を全開にしていたヴィランたちは近づく地面の波に驚いて次々とジャンプをして飛び越えていく。最後に一番外側にいたヴィランに避けられた波は、数メートル進むと静かに地面へと消えていった。

 それを見ていたヴィランはこちらに向き直り嘲笑うかのように顔を歪める。

 

「ケッ。生意気な口をきいた割には随分としょっぺえ技だ。躓かせて擦り傷でも負わせようとしたってか?」

 

 そんなヴィランの人をバカにした余裕の態度に頬が緩むのが我慢出来ず思わず顔を地面へ向ける。その私を見て技が失敗して落ち込んでいると思ったのか、徐々に笑い声広がっていくのがわかる。

 

 サラサラ……

 

「い、伊吹さん」

 

 俯いたまま動かない私へと尾白君から心配そうに声を掛けられる。

 

 ズズ…ズズズ……

 

 誰も気づいていない。私以外の全員が今のが不発だったと思っている。

 

「…え?!」

 

 最初に異変に気付いたのは私と同じ場所に立っている尾白君。

 

「な、なんだこりゃ?!」

 

 次に気付いたのはヴィランの一人。その動揺が感じ取れる声に他のヴィラン達の笑い声が止み、戸惑いや驚愕の声が次々とあがる。

 

「砂ぁ?!」

 

「砂なんていったいどこから?!」

 

「ぬ、抜けねぇ!!」

 

「体がぁ、沈むぅ!」

 

「なんだよこの硬さ!砂じゃねえのか!」

 

 四方からあがる阿鼻叫喚の声の最中ゆっくりと立ち上がって周囲を見渡すと、ヴィラン達は一人残らず砂漠化した地面に肩あたりまで飲み込まれていた。

 未だに往生際が悪くもがき続ける者が多いものの誰一人として抜け出せる気配はないけれど。

 

 縛符『砂鎖縛留(ささばくりゅう)

 

 指定した範囲の地面を砂漠化させて流砂のごとく相手を飲み込む技。砂漠化といっても、ただ砂と砂利とセメントを分離させて相手を引きずり込み、再度混ぜ込んで固めるという単純だけど手間のかかるものである。

 

 こっちの世界に来てから編み出した技だけど上手くいって良かった。幻想郷で早苗に読ませてもらった漫画が良い刺激になったかな。

 

「す、すごいね」

 

 オリジナルの技が見事に決まって嬉しくなっていると、尾白君が感心したように声をかけてくる。

 

「うん、上手くいって良かった。…さてと」

 

 しばらくもがき続けていたヴィラン達はもはや抜け出せないと判断したようで、ほとんどが諦めた様子で大人しくなると視線が私の方へと集中し始める。

 頃合いかと思って両掌を打ち合わせると、残りのヴィラン達も大人しくなりこちらへと苦々しい顔を向けてくる。

 

 「さて質問です。オールマイトを殺すための手段というのを教えてください」

 

 そう言って私が友好的な笑顔を浮かべると拷問でも受けると思ったのか、ヴィラン達が絶望の表情で息を呑みごくりと喉を揺らした。

 

 失礼な!何もしないよ!

 

 

 

 

 

 分身萃香サイド

 

 

 本体と別れて階段の手摺りを滑り降りると、相澤先生の戦闘が近くで見ることが出来た。

 先生は普段首にマフラーのように巻いている特殊繊維の捕縛武器と個性の"抹消"を駆使して、次々とヴィラン達を戦闘不能状態にしていく。肉体レベルは一般人とさほど変わらないはずなのに、不断の努力と実戦で裏打ちされた技術が襲い来るヴィランをものともしてない。

 様子見もそこそこに、相澤先生に気を取られてこっちに背を向けているヴィランの一人に近づいて、背後から金的をお見舞いする。

 がら空きの急所に私の強化状態の不意打ちを食らったヴィランは、股間を手で押さえ言葉にならない呻き声をあげながら地に沈む。

 何人かのヴィランにも同じように急所へと攻撃を加えてから相澤先生の元へと到着すると、先生は一度だけ私の方を見てすぐに目線をヴィランに戻した。

 

「伊吹、俺はすぐに避難して応援を呼べと言ったはずだがな」

 

 プロとして、雄英の教師としての判断を私が無視したと思ったのか、相澤先生は声に滲む怒気を隠すことなく言った。

 

「安心してください。今先生のそばにいる私は個性で分けた分身。本体はちゃんと13号先生やクラスの皆と一緒なので心配されなくとも大丈夫です。出来るだけ邪魔にならないようにしますから共に戦わせてください」

 

「だめだ。これはプロとしての命令だ」

 

 共闘を提案したところあっさりと却下されてしまった。取り付く島もないとはこのことなのかな。いや、ちょっと違うかな…。

 今はそれは置いておいて、そう言われてはいそうですかと素直に従うつもりはない。

 我先にと攻撃を仕掛けてくるヴィランを一人一人捌きつつ、再度の説得を試みてみる。

 

「お言葉ですが相澤先生。先生の個性である抹消は確かに強力な個性だと思います。でもいくら武器を装備したり、体を鍛えたり、相手の個性を消せるといっても、先生自身の身体は一般人と作りは変わらないはずです。だとすれば、長時間の戦闘行動は不利です」

 

 今はこうしてヴィランの攻撃を捌けていても、ずっと走り回っていれば必ず体力の限界が来る。

 

「でも私の個性なら先生を補助しながらの戦闘が出来ますし、なによりも個性による分身の私はたとえやられても霧散して消えるだけ。負ったダメージが本体にかえったりといったリスクは一切ありません。だからお願いします。一緒に戦わせてください!」

 

「……お前の本体に影響はないんだな?」

 

「ありません!」

 

「…いいだろう」

 

 相澤先生はほんの少しの間考える様子を見せた後、私の言葉を再度確認してからようやく許可を出してくれた。

 

「「!」」

 

 そうして喜んだのもつかの間で、相澤先生が目を離した隙を狙ったのか、黒い靄を纏った男がいつの間にか移動してクラスメイト達がいる出入り口の方へと現れたのが本体から伝わって来た。

 

「くそっ、一瞬の瞬きの隙に一番厄介そうな奴を…」

 

 ヴィランを一人取り逃がしたことに苦い表情を浮かべる相澤先生。それに続いて本体から伝わってくる情報に私も思わず表情を歪める。

 

 

 "ヴィラン連合"

 

 

 "オールマイトの殺害"

 

 

 …そして  

 

「そんな?!」

 

「どうした伊吹!」

 

「……靄の男が現れたところ爆豪君と切島君が先制攻撃を浴びせたんですけど、効果は無し。さらに、そのヴィランが展開した黒い靄に捕まり、大半の生徒がどこかへ飛ばされました!」

 

「…ちっ!」

 

 私がもたらした情報に舌打ちをする相澤先生。あのヴィランの個性がワープであること。私の本体が飛ばされたのは火災ゾーンで他には尾白君しかいないこと。そこに大量のヴィランが現れたことを伝えると、先生はどんどんと不機嫌な表情を濃くさせていく。

 

「……伊吹、本体は火災ゾーンにいると言ったな」

 

 上半身が筋骨隆々なヴィランと両手を合わせて握り潰していると、質問をされたので頷いて返す。

 

「なら他の生徒等もお前と同じで他の災害ゾーンに飛ばされた可能性が高い。もちろん待ち伏せのヴィランもな。おそらくお前等を分散させて各個に嬲り殺すつもりなんだろう。であればこいつらにいつまでも構ってはいられん。全員さっさと片付けるぞ」

 

「はい!」

 

 そう言って捕縛武器で捕らえたヴィランを頭から地面に叩きつけて昏倒させる相澤先生。私もそれに続いて小柄なヴィランの足を払い、バランスを崩したところに頭を横から掴んで地面へと叩きつける。

 殺してはいない。地面に若干罅が入りヴィランが白目をむいているものの、衝撃はちゃんと調節して意識を奪う程度にしっかりとどめている…つもり。

 

 

 

 このままいけば、そう時間もかからずに広場のヴィランは制圧できそうだ。

 

 そんなことを考えているとふと視界に水難ゾーンからこっちを観察する緑谷君達が写った。

 どうやらあっちはなんとか乗り切ったようで良かった。

 私も負けられない。そんなことを思っていると、私の前に異形と言うよりも異様と言うべきヴィランが立ちはだかる。

 

 

 黒々とした身体。

 

 異常なほどに発達した筋肉。

 

 焦点の定まっていない目。

 

 そして、むき出しの状態で晒されている脳みそ。

 

 

 明らかに普通ではないその姿に自分が分身だということも忘れ思わず一歩後ずさってしまう。

 でもここで引くわけにはいかない。そんなことをすれば相澤先生の負担が一気に増加してしまう。

 それに、このヴィランは危険だと、さっきから私の勘や本能がそう訴えかけてきている。

 

 

 私は怯みそうになる戦意を奮い立たせ一気にトップスピードで駆け出し、異様なるヴィランへと躍りかかる。

 

 このヴィランこそ、奴らが宣言したオールマイト殺害を成すための手札だということも知らずに。

 

 

 

 




遂に初の実戦を迎えた萃香ちゃん。

書いてる途中で「あれ?この技名、某人気漫画の砂漠の人じゃね?」って思ったんですが、まあ多少効果は違うしいいかなと思ってそのまま使いました!

久しぶりの投稿で文章が荒れているかもしれませんが、まぁそれも素人2次創作の御愛嬌ということで!



それではまた次回に

ではでは
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