え~…お久しぶりです…。1年半ぶり?ですかね?
長らく続きをあげることが出来ず本当に申し訳ありません!
ちょこちょこ書いてはいたんですが(100文字くらい)、どうにも筆が乗らず時間だけが過ぎてしまいました…。
おまけに一人称だか二人称だか三人称だかも忘れて、今話を書き終わってから気付く始末でした(笑)
駄文、乱丁、人称違い等々があるかと思いますが、どうぞ暖かい目でお願いします(;´Д`)
それでは、どうぞ。
USJ中央エリア広場
「……はは、本気ね。もしも今のがそうなら期待外れだ。実力はあるようだけど、そんなんじゃあそこに転がってるゴミヒーローと変わらない。それに…」
萃香の宣戦布告に対して死柄木は呆れたような仕草をすると、さきほど脳無が沈んだ穴の方向を指さす。
萃香が死柄木を警戒しつつそちらに視線を向けると、黒い手が穴の縁を掴んで胴体を持ち上げ脳無が何事もなかったと言わんばかりに変わらぬ姿で出てきた。
「・・・(全然効いてない)」
たった一発だったとはいえ、全力で放った攻撃に堪えた様子を見せない脳無に萃香はさらに警戒心を強め、水辺から見ていた緑谷たちは顔を強張らせて駆けつけた萃香に不安と心配が入り混じった視線を向ける。
「脳無はまだピンピンしてる。多少驚きはしたけど、対オールマイト用に作ったこいつを止めることはそこに転がってるゴミを見てわかる通りプロですら不可能だよ」
脳無にやられピクリともしない相澤を顎で示す死柄木。変わらぬ余裕を感じてか、まるで玩具を自慢する子供のように笑う死柄木のそばで、黒霧は少し後ろに立って口を出す様子はない。
「オールマイトが来るまでにこの場の全員を始末して、絶望を味わわせてから殺してやろうと思っていたけど気が変わった。まずお前に絶望を味わわせることにした。脳無相手にどんなに必死に足掻いても無駄だと、手を尽くしても敵わないと、その心と体に刻み込んでから殺すとしよう!」
瞳に狂気を宿し、今自分が想像した凄惨で目も当てられない結末が待ちきれないのだと、そう言わんばかりに興奮を滲ませる死柄木。
その黒くドロドロとした感情にまわりの空気が重くなる。もしも一般の学生や民間人がこの場にいれば足が震え逃げ出してしまうような殺気に溢れていた。
だが萃香は怯むこと無く言い放つ。
「どうかな?私は強いから。それに、最後に勝つのはヒーローだって相場は決まってるよ」
滲み出る冷や汗を無視してヴィランに好戦的な表情を向ける萃香。
前世の、昔の弱く儚い自分であれば何も出来ず逃げ出していたかもしれない。しかし、死して辿り着いた幻想郷で知り合った人たちや、修行で対峙してきた者たちのプレッシャーはこんなものではなかった。もちろん誰もが本気で殺す気はなかったと知っているものの、濃密な日々の中で少女たちは強く、結局最後まで誰一人倒すことは敵わなかった。
あそこはまさに人外魔境であったと萃香は知っている。
であればそんな人外魔境で過ごした自分はここで立ち止まってはいけない。
「師匠…私に力を貸してください」
自身の能力を象徴する両耳のピアスに触れて意識を戦闘へと集中させる。
「…脳無」
無機質に、ただ名前を呼ばれた怪物は意味を理解したように身構える。
瞬間脳無の姿が消え、元居た場所のコンクリートが爆ぜる。
直後に衝突音が鳴り響き空気が揺れる。
「…」
「…っ」
二メートルを超え全身の異常な筋肉とバネによって振り下ろされた拳に対して、百五十センチにも満たない華奢な体から突き出された拳。圧倒的な力による脳無の一撃を、同じく一撃を持って受け止める萃香。
傍から見ればまず目を疑うような拮抗を続ける両者。
純粋なパワーでは萃香が劣るものの、密で体を強化し、重心を合わせ、疎で衝撃を後方へと逃がすというすべての過程をこなすことで対等な領域へと引き上げていた。
しかしそれでも徐々に圧され始めることに歯噛みしてしまう。このままでは弾き飛ばされるか押し潰されてしまうため一瞬力を抜いて右サイドへと逃れる萃香。
食い止めるものが消えて脳無の拳はそのまま地面に刺さり轟音を響かせる。
「まったくデタラメね!」
単純な力では敵わない。相手が増強型に特化した個性であればそれは尚更と言えた。しかし萃香の個性も特殊な系統とはいえ、入試試験に登場した中型ロボットを投げ飛ばせるほどには膂力に自信がある。加えて格闘術や体幹の鍛錬などで身体的な不利も出来るだけ排除してきた。それまでの技と力とを込めた重撃。
それがたった一瞬拮抗しただけで跳ね返された。
少なくともこのままの状態では力負けしてしまう。であれば入試の最後に見せたあれを使えばいいのだが。
「くっ!速い!」
巨体が再び萃香に肉薄しラッシュを浴びせてくる。これまでに比べて一発は軽いものの、まるで弾幕のような連撃に萃香は防戦一方となってしまう。
個性を身体強化以外にまわす程の余裕も無ければ、攻撃の軌道を逸らそうにも逆に萃香の防御が弾かれてしまい、距離を取ろうにも俊敏性まで高い脳無を引き離すことが出来ない。
「た、助けなきゃ・・・!」
戦況を見守っていた緑谷は自分と同じ学年で同じクラスの同級生が、たった一人であの怪物と戦っていることに我慢が出来ず、加勢するために一歩を踏み出そうとしていた。今の状況では敗北すれば確実に殺されてしまう。
そんな緑谷を蛙吹が肩を掴んで止める。
「だめよ緑谷ちゃん」
「蛙吹さん!どうして!」
萃香を助けようとしたことを止められ思わず声を荒げてしまう緑谷。助けなければ、と。目で必死に訴える彼に蛙吹は"梅雨ちゃんと呼んで"と言って現状を冷静に説明する。
「緑谷ちゃん、例えここで私たちが伊吹ちゃんに加勢したとしてもきっと足手まといになってしまうわ。それにあそこの二人。今は伊吹ちゃんが黒いヴィランと戦って注意を引いてるから私たちは無事で済んでるけれど、ここで動いたら確実に殺されてしまうわ」
「それはっ…」
そうかもしれない、と緑谷は思った。
死柄木の接近に気付くことが遅れて蛙吹が殺されかけた時は相澤先生の抹消に助けられた。今起こっている戦闘は目で追うことが出来ないほどで、来るとわかっても自分ではどうにも出来ないような攻撃を萃香は全て捌ききっている。
足手まとい。
その現実を前に拳を握りしめ唇を噛む緑谷。
変わっていない。
ヴィランに襲われただヒーローが駆けつけてくれるまでもがくことしか出来なかったあの時の自分。血の滲む努力を経てせっかくオールマイトから個性を授かったというのに、今また戦っている少女の助けになることが出来ない。
「そ、それでも僕は…」
「あぁ!」
激しい衝突音。
緑谷が蛙吹に諭されているなか突如悲鳴を上げる峰田。
思考に陥っていたせいで何か形勢が変化するような事象が起きたのだろうと思い緑谷が振り返る。
少し離れた位置。大雨ゾーンの外壁が陥没して大きく崩れ、その瓦礫の中に倒れ伏す萃香がいた。
「伊吹さん!!」
たった数分の間に何が…。おそらく脳無の攻撃を受けてしまって吹き飛んだことはわかる。それが理性ではわかっているものの、萃香の危機に抑制が効かず感情が先行してしまいそうになる。
「伊吹さん、立って!立たなきゃだめだ!」
ピクリとも動かない萃香に大声で呼びかけ続ける緑谷。蛙吹はそんな緑谷が一人で走りださないように腕を掴んでおり、峰田は腰に両腕を回して必死に緑谷を引き留めていた。
「やめろ緑谷!今行ったって助けるなんて無理だって!逆にこっちが殺される!」
「で、でも!このままじゃあっ!」
「私はっ大丈夫…!」
そんな三人がもみ合っている間に萃香はなんとか立ち上がり態勢を立て直そうとしていた。しかし、頭のどこかを切ったのか額を血が流れ地面へと滴り落ちている。
脳無の攻撃や壁や床に激突したダメージはなんとか個性で逃がしているものの、それは致命傷を避けるレベルでしかなく確実に萃香の身体に蓄積されている。
「いいから…緑谷君達は絶対にそこを動かないでね」
「…っ!」
そう言いおいて再び脳無と激しい攻防を再開する萃香。
脳無の弾幕のようなパンチのラッシュを全て拳の側面を殴ることで軌道を逸らし、両手を組んだ振り下ろしのハンマーは股下に飛び込むことで回避。その背後から渾身の一撃を放とうとするも…。
「ぐっ!」
舞い上がった土煙から脳無の裏拳が振り回され、それを上体を仰け反らせることでなんとかやり過ごす。
しかし安心する間もなく今度は振り向き様の右ストレートが迫る。
「んぅあ゛!」
攻撃が当たる直前、脳無の拳を左拳で外側から殴ることでなんとか逸らし、その回転の勢いで脳無の右側面に回り込む。若干無理をしたせいか腕が悲鳴をあげるが動かないことはない。
逸らした攻撃が後ろで地面に着弾し再度爆散した音が響くものの、今気にしている余裕は萃香には無い。
「(ほんのちょっとで良い!とにかく時間がほしい…)」
個性で埋めたとしても脳無のパワーであれば簡単に脱出されてしまうし、横へ飛ばしたとしても腕や足を地面に引っ掛けられて簡単に止められてしまう。となれば…。
「(上に打ち上げる!)…超高密度燐火術!」
個性を発動させ地面を叩きつける萃香。広場一帯が震えるような地響きが始まった次の瞬間、脳無の足元から赤熱した溶岩弾が噴き出しそのまま上へと持ち上げて行った。
「当たった!」
いかに改人脳無といえども何もない空中に投げ出されれば落ちてくるまで何も出来ないはず、そう読んだ萃香はすぐさま次の技の準備に入る。
今の萃香では密で集められる身体強化にも限度があり、幻想郷の萃香レベルと呼ぶにはほど遠い。
しかし、今でダメならさらに多くを集められるように容量を増やせばいいだけである。
「ミッシングパワー!!!」
発動と同時にボンッと空気が爆発したような音と白煙が広がる。
緑谷たちは突然の強風に両腕で顔を庇い、何が起こったのかと再び目を向ける。
「い、いったい何が?」
少しずつ霧散しているものの煙は未だ晴れておらず、先ほど萃香が打ち上げた脳無が落下を始めていた。
「おい、伊吹のやつどうなっちまったんだ?」
「この土煙だと何もわからないわね」
声を張ってなにかを言っていたのはわかったが、萃香の放った溶岩の音と規模に目を奪われてよく聞き取ることが出来なかった緑谷たち。
唯一視界に捉えられる脳無があと少しで地面に着地しようかという瞬間。
煙の中から巨大な腕が現れ、脳無へと伸びてそのまま空中で掴みあげてしまう。
「え!?」「はぁ!?」「!?」
緑谷たちは突然のことに動揺し思わず驚きの声をあげてしまう。
一方で
「…は?」「これは…!」
目の前の事態に呆けた声を出す死柄木と、何が起こったのか見極めようとする黒霧。
そんな現状の把握に時間を要する外野を他所に、脳無は自身を掴む手から抜け出そうと力を込めるものの、なかなか抜け出すことが出来ない。
そうして脱出に苦戦している内に徐々に視界が晴れていき、巨大な腕から先が見えてくる。
そこには先ほどと同じく血と汚れに塗れながらも、真紅の双眸に力強い気迫を漲らせた萃香の姿があった。
「っさぁ、第2ラウンドよっ!」
というわけで次話がいつになるのか…。
読者目線としてはエタられると悲しいという思いは私もわかっていたはずなんですが、完結まで書くことがこんなにも難しいとは想像出来ていませんでした。
どれだけかかるかわかりませんが、なんとか頑張りたいと思います。
それではまた…。
(ニュイ・ソシエールの配信観に行かなきゃ…)