前回から一週間も空いてしまい申し訳ありません!m(__)m
書けると思ったらなかなかどうして、あまり進まず四苦八苦していました(;´Д`)
それでは本編どうぞ!
~萃香と実技試験~
始まりは中国、軽慶市。ある日テレビで「発光する赤子が生まれた」とニュースで映像とともに紹介されたことがきっかけであった。一時期話題になったものの当時この映像をみていた大半の人間は専門家から一般人まで「よくある悪戯映像」だとして信じるものはおらず、日々の情報に埋もれてそのうち忘れられてしまうだろうと思われていた。
しかし、事はこれだけで終わることはなかった。
これ以降世界各地で"超常"は発見され、人ならざる力を持った人間が少しずつ増えていったのだ。
いつしか"超常"は当たり前の"日常"に変わり、漫画やアニメの中でしかなかった"
そんな時代、個性を持て余し悪用する"
更に自然災害や人災における救助、メディア出演、公共でのパトロールなど様々な分野において活躍を見せるヒーローたちは社会からの絶大な信頼を獲得し、世の子供たちの憧れとなった。
そして現代、私はこの超常社会で中学生になっていた。
春、時季も過ぎて桜の花もすっかり散ってしまった頃
「おはよう、萃香」
「おはよう、友子」
始業ベル10分前に教室に到着すると、隣の席に座っていた友達の
腰までストレートに伸びた黒髪に少しタレ目のおっとりしたかんじの面立ちが印象的で、清楚なお嬢様っぽい雰囲気を漂わせる女の子だ。スタイルも良くて世間的には可愛いという部類に入る。
彼女とは3年生に入ってからの友達で、街で2人組の男にしつこくナンパされているのを助けたことがきっかけで仲良くなった。
「相変わらず立派な角だよねぇ。ちみっこい見た目とは大違い!抱きしめていい?」
「ちみっこい言うな!抱きしめるのもダメ!」
「え~」
頭へと伸ばされた手を拒否するようにパシンとはじき、ちみっこいと言った友子をムッと睨む。
そう、私は転生前の頃とは違い、この世界ではとても背が低いのだ。というかむしろ師匠である鬼の伊吹萃香にそっくりと言ってもいいだろう。まさに生き写しである。
私が生まれた頃から小さな角が生えていたらしく、成長するごとにこれは大きくなっていき小学4年生の頃には角も身長も師匠と瓜二つになっていた。
密と疎を操る能力は生まれてすぐ使えたけど、どうやらこの世界で言う"個性"は特定の個性を除けば3歳頃から能力に目覚めることが常識となっているらしく、私もその年頃になるまで使わないようにしていた。逆にある程度の成長までに目覚めなければ無個性となり普通に生活するうえでまったく問題はないが超人社会においてはイジメの対象となるなどとても不利になるらしい。
私の両親はどちらも無個性だったため、私が個性登録の際に能力を見せた時は「無個性の親から何故このような個性を持つ子供が生まれたのか?」と職員の人たちが揃って首を傾げていたのを覚えている。
5年生になり私の身長が伸びないことを心配していた母に一度病院へ連れていかれたが、結果は原因不明。医者も「体の成長が未発達で終わる子供も少なくありませんので」とフォローするくらいしか出来なかったようだ。
以降、私の身体は成長を止め、男子から"ちび""ロリ"と言われる度に投げ飛ばすということが卒業するまで続いた。
私は鬼じゃないから怪力等の鬼特有の身体能力は受け継ぐことはなかったようで、能力無しで岩を持ち上げたり投げ飛ばしたりは出来なかった。
でも私は師匠の強さに憧れていたこともあって、そっくりになった今の自分が気にいっている。だからちょっと胸が寂しくなったとか全然思ったりしない。"合法ロリ予備軍"とか言われても殴り飛ばすだけだから。
断じてわたしは目の前にいる友子が羨ましいとか思っていない。
それからしばらく談笑しているとホームルームの時間になり、いつもと変わらない授業と平凡な時間が過ぎていき、気付けばもう下校時間になっていた。
「はい、今日の連絡事項はここまで。あなたたち、寄り道はせずにまっすぐ帰りなさいよ?制服でぶらついてたらすぐ学校に連絡が来るわよ。…じゃあ、解散」
クラス担任の先生が明日以降の予定を皆に伝えてから締めくくる。
「起立、礼、「「「ありがとうございました」」」
「あ、そうだ。伊吹さん、このあと特に予定がないならこのまま職員室に来てくれる?」
部活に行く者、家へ帰る者と生徒が思い思いに教室を出ていく中、友子とこの後どこへ遊びに行こうかと話し合っていた私は先生に呼び止められてしまった。
「えっと」
「あちゃあ、萃香じゃあまた今度ね」
「あ、うん。わかった。じゃあね」
どうやら気を使ってくれたようで、遊びに行くのはまた今度となる。ひらひらと手を振り見送ってから先生へと向き直る。
「ごめんね。そんなに時間はとらせないから」
私たちのやり取りを聞いて一言こちらに謝ってから先生は教卓の書類等を持って「行きましょうか」といって歩いていく。
なんの用だろうかと思い職員室の中までついていくと、先生は自分のデスクの中から1枚の紙を出して私に見えるようにデスクの上に置いた。
「伊吹さん。これを見れば何故あなたを呼び出したかわかるわよね」
スッと目の前に差し出されたもの…それは私が先日出した進路希望調査票だった。
コクンと頷くと先生も合わせるように頷く。
「国立雄英高等学校 ヒーロー科。ここを目指す生徒には一人一人個別で面談をすることにしているの。といっても今までこの学校から合格者が出たことはないんだけどね。今年の希望者も伊吹さんだけよ」
先生はそう言って隣のデスクの椅子を引くとそこへ座るよう促す。
「ここへ行くということは、伊吹さんは将来ヒーローになりたいのよね?」
「はい」
「そう。たしかにあなたの強い個性を活かすための職業を選ぶとするなら、これは当然の選択なのかもしれないわね。ご両親はあなたがヒーローを目指してることは承知しているの?」
先生は指先で用紙の角をちょろちょろと弄りながら心配そうな顔で質問をしてくる。私はコクンと頷いて肯定する。
「とても危険な職業ということで最初は反対されましたけど、今は納得してくれて私がヒーローを目指すことを応援してくれています」
2年生の頃、両親にヒーローになりたいと話したことがあった。それこそ初めは大反対されたことを覚えている。ヒーローという職業柄、凶悪犯罪に対する警察との協力や災害現場での救助など常に大怪我や死が付き纏う。そんな危険な仕事に就かせたくないと思う親の気持ちもあるだろうけど、それに加えて私の親はどちらも無個性でありながらも普通に仕事ができているため、わざわざそんな世界に飛び込まなくてももっと安全な職に就いてくれればいいと思っていたらしい。
それでも雄英に行きたかった私は毎日少しずつ説得して半年をかけてやっと許可をもらった。
そんなことを思い出して笑顔で答えると、先生は「そう」と短く答えてスッと立ち上がった。
「わかったわ。あなたが決めてご両親がそれを了承されてるなら私から口を出すことではないわね」
先生はさっきの紙を引き出しの中にしまうとズイッと顔をこちらに近づける。
「目指すからには一番!立派なヒーローになりなさい!」
「あはは、努力します」
「我が校始まって以来初の雄英合格者!将来が楽しみね」
この中学校からヒーローが生まれる。そう確信でもしているような顔で先生は発破をかけるが、私は少し遠慮気味に答えるだけにした。
季節は流れ。
2月26日、雄英高校入試試験当日。
「う~ん、まだちょっと寒い」
厳しい冬も終わりもうすぐ3月とはいえやはりまだ寒い。両手をこすり合わせて温めながら私は目の前の試験会場である雄英高校を見上げる。
「…でか」
オフィス街に建っていても違和感を感じない立派な建物に加えて、3メートルはあるかという高さの塀に入口は校門というよりもセキュリティーゲート。まさに国立というべきか。警備ひとつとってもとてつもない予算を投資しているようだ。
「どけチビ!」
まじまじと学校を眺めていると後ろから怒鳴り声が響く。
「おめーだよクソが!」
誰が言われているのかわからず身長の低そうな人物をキョロキョロと探していると後ろから影が差してきたので見上げれば、不機嫌な表情に合わせたようなツンツン頭の少年が睨むように私を見下ろしてきていた。
咄嗟に横に移動して避けると少年はこちらを一瞥してからチッと舌打ちをしてから通り過ぎて行った。
「感じ悪い」
私は少年が見えなくなるまでひとしきりブーブー唸ってから後を追うように会場まで歩いて行った。
『今日は俺のライヴへようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!!』
会場が受験生でいっぱいになるなりボイスヒーロー『プレゼント・マイク』がハイテンションで受験生に声をかけるが、全員緊張や困惑などの理由から反応せず変な沈黙が流れる。しかしこういった場面には慣れているのか再度テンションを上げて実技試験の内容を説明する。ヒーローを目指すならこういったスルースキルも必要なのだろうか。
試験内容を聞き終わった後、受験生はそれぞれ割り当てられた会場にバスで移動するとのことで、乗車して10分もすれば会場に到着していた。
周りを確認すると皆思い思いにストレッチなどで体を温めている。準備は万全にしてきたようで誰もが自前のコスチュームを着て今か今かと試験が始まるのを待っていた。私が今着ているコスチュームは師匠が来ていた服をそのまま真似たもので、何か耐久性があったりとかはない。
周りに倣って私も試験に集中するため左右のピアスに両手の指先で同時に触れて目を閉じる。
「師匠…見ていて下さい」
『ハイ、スタートー!』
それを聞いた瞬間、私は密で体を強化して、衝撃を逃がさないように同じく密で足元の空気を集めて前に蹴り出す。
「うわっ」
「えっ、なに?!」
飛び出した衝撃でズンッと地面が一瞬揺れたようで、他の受験生たちは私がやったと気付かず動揺して動けずにいる。
「スタートダッシュ成功」
後続に誰もついてこないことを確認してもう一度加速する。発動した能力に特に違和感もなく広い道路を高速で駆け抜けていくと、さっそく1P
向こうもこちらを視認したらしく『ぶっ殺す!』とロボットにあるまじき暴言を吐いて迫ってくる。
「疎」
接触した状態でそう呟く、すると1P
何をしたのか簡単に説明すると、各関節の接合部分を能力で薄め脆くすることで機体が自重に耐えられなくなって壊れてしまったというわけだ。
「よし、まず1ポイント!」
最初の
『あと6分2秒~!』
「うおっ、なんだありゃ!」
「独り占めなんてずるい!」
攻撃を避けつつ着実にポイントを稼いでいるとスタートで置いてきた他の受験生たちがこっちに追いついてきていた。このままでは乱戦となりポイントを稼げないと思った私は、彼らに悪いと思いつつ
空振りした2P
すると
『
気合いを入れ巨大な岩のようになった塊を
全て倒したか確認するため着地してからモウモウと立ち込めている土煙を吹き飛ばして視界をクリアにする。
「…ちょっとやりすぎたかも」
目にしたのは着弾したであろう場所に出来上がったクレーターと潰れてグチャグチャ衝撃でバラバラになって残骸となった各ポイント
自分が作り出した現状に若干引きつつ後ろを振り向くと、受験生たちは固まってしまい私と目の前の惨状を交互に見るだけのからくり人形になってしまっていた。空気に耐えきれずえへへと苦笑いを作ると彼らは何を勘違いしたのか、今度は自分がこうなるかもと蜘蛛の子を散らすように私から遠ざかっていった。
「傷つくなぁ………うわわ!」
若干涙目になりつつ諦めて次へ進もうとしたところで、強い地震と轟音が響いてきた。何事かと思って音のするほうへ急ぐと、なんと巨大な機械が建物を押しのけながら移動しているのが見えた。
「「「なんじゃこりゃあ!!」」」
「デカすぎるでしょ!」
受験生全員の総ツッコミが入るなか私は状況を把握するために観察をしていると、どうやらこれが例の四体目、0P
「きゃあああああ」
そういうことならと私も他の
「っ!仕方ない!」
試験中だということを忘れ一気に飛び出し少女と0P
(いいかい嬢ちゃん。今から教えるのはとっておきの技だ。ちょいと制御が難しいが、習得すりゃ相手の度肝を抜くこと間違いなしさ!!)
そのときの高笑いしながらお酒をがぶ飲みする師匠を思い出して頬が少し緩む。…いやいや、集中集中。
「まずは疎」
(イメージが大事だ。てめーの身体が風船みたくでっかく膨張していくのを意識しながら少しずつ感覚を拡大させる。霧化はしない。出来れば一気に過程を飛ばせるが今の嬢ちゃんには無理だからな)
私は師匠の助言の通り、少しずつ体を薄く広く伸ばすことに集中して霧化しないように心掛ける。一歩間違えれば私の存在が消えてしまうため細心の注意を払う。
「そして密」
(拡大が止まったらそこが今の嬢ちゃんの限界だ。そして次が大事なんだがね。最後に密で風船の中身を埋めて密度を上げるんだがこのままじゃ簡単に破裂して霧散しちまう。だから自分を強化するように枠を固めるんだ。いいかい?しっかりやらねえと大惨事になるから気をつけな。それが出来たら、あとは全力で密度を上げてこう叫びな)
「標的、ブッころ――」
『ミッシングパワー!!』
広げた感覚を外側から固めてカッと目を見開いて力を注ぎ込むと私の身体が一気に巨大化し、周りの建物とほぼ変わらない大きさへと成長する。巨大化に合わせて重量も増えているため、舗装された地面がビキビキと悲鳴を上げる。
プログラムの想定外なのか0P
反応が人間ぽいと思いつつチャンス!とみた私はグッと右腕に力を入れて、下から抉り込むように0P
雷が落ちたような轟音とともに0P
『終了~!』
タイミングを見計らったように『プレゼント・マイク』の声が会場に取り付けられた拡声器から響く。まだ動き回っていた他のロボットもそれにあわせて機能を停止し、緊張が一気に途切れることで他の受験生たちも座りこんだり壁に背を預けたりと思い思いに休憩をする。
私も能力を解いて元の大きさに戻ると、先ほど腰を抜かしていた少女のもとまで近づいていく。
「大丈夫?」
「…あ、はい」
未だに座り込んだまま呆けていた少女は私が声をかけるとやっと現実に戻ってきた。ただ、まだ腰が抜けていて立てないようで、背負って連れて行こうとすると足を引きずってしまったため、肩車で崩れていない安全な場所まで運んだ。
「しばらくすれば試験官の誰かがきてくれると思うから休んでて」
「うん…あの」
他に負傷した人がいないかその場を去ろうとすると呼び止められたので振り返る。
「助けてくれて、ありがとう」
気持ちが込められた感謝の言葉。それはとても心地よく私の心に響いた。
「どういたしまして!」
その後目立ったケガをしている人も特に見つからず、しばらくして試験官の『プレゼント・マイク』がやってきて怪我人の対処や受験生の誘導などを行って実技試験は終了した。
残るは筆記試験のみ。きっと大丈夫。この日のために勉強をして、模試の結果もA判定をもらっている。いつも通りに臨めば悪い結果には終わらないだろう。
こうしてこの世界で私の初めての実戦(対ロボット)が幕を閉じた。
今回主人公が初めて使ったのは翠鬼「天手力男投げ」でした!それに続いて鬼符「ミッシングパワー」と、いちおう調べてから書いたので効果は間違って、ない、かな(;^ω^)
デビュー戦(入試)ということでスペルカード2つと少し贅沢に(文章がそれに伴っているかはともかく)使わせていただきました!
それでは、ではではm(__)m