アイドルマスターミリオンバッツ!   作:バッグクロージャー

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こんにちは

実はリンゴの袋を止めるための製品だったアレです。

今回は伊吹翼メインの回。実は翼ってFだそうです。何がとは言いませんが。

最近ミリマスの漫画限定版CD曲である「アイル」を手にいれたくて悶々としてます。


それでは、バッツPの活躍をお楽しみください!


第十話:大ハマリかと思ったぜ

「翼、お前のソロライブが決定したぞ!」

 

 

もうじき冬にかかり、暖房を付け始めた事務所で俺は翼にソロライブの件を話す。

 

 

「本当ですか?やったー!」

 

「ああ、場所は東京のとある文化館だけど、予約チケットは売り切れ寸前だぞ!」

 

 

喜ぶ翼に嬉しい追い討ちをかけるよう、動員数の話を切り出す。

 

場所は東京某所。約500人収容可能な大きめの文化館でライブをするのだが、300枚の先行予約チケットが完売御礼の状態だ。

 

実際、乙女ストームのメンバーで一番人気があったのが翼だった。未来達が数千人に対し、翼はもうじき桁が増えかねない勢いだ。

 

 

「ライブに向けて翼専用の楽曲もあるから、これからレッスンが厳しくなるぞ?頑張ってけ!」

 

「え〜、もっとレッスンしなきゃですか?やだな〜」

 

 

翼の為に用意した曲を、レッスンが厳しくなるという一点で否定してきた。前から翼がレッスンに対して消極的なのは知っていたが、まさかここまでとは思わなかった。

 

 

「ライブを盛り上げるためには、それくらいの努力は必要だ。頑張ってくれ」

 

「...は〜い」

 

 

渋々ではあるが了承してくれた。個人レッスンは基本的に俺が担当しているから、ちゃんとやって欲しいところだな。

 

 

「それじゃ今日はダンスレッスンから始めるからな」

 

「わかりました〜」

 

 

 

☆☆☆------------------------------

 

 

 

「...おかしい」

 

 

レッスン開始からほんの二十分。翼がトイレに行ってから五分経ったが、未だに帰って来ない。

 

嫌な予感がするが、頭を振って思考を中断する。まさか、たったの五分でレッスンをやめるわけないよな。

 

だけど、翼がレッスンから戻ってくる事は無かった。

 

 

 

☆☆☆------------------------------

 

 

 

「翼!どこだ!」

 

「?プロデューサー、翼なら大分前に出かけていきましたよ?」

 

 

事務所にダッシュで戻り、翼を呼ぶ。ソファで本を読んでいた百合子が翼の行方を教えてくれた。

 

やっぱりレッスンサボったんだな、翼...

 

 

「本当か?あいつ、今の時間までレッスンだったはずなんだよ」

 

「...えっ?それじゃあ大分前に来た翼は...」

 

「そうだよ、あいつレッスンを」

 

「まさかあの翼は、幽霊!?」

 

「いや違うよ!レッスンサボったんだ!」

 

 

斜め上の結論に至る百合子にツッコミを入れる。普段から本読んでるせいで思考がフィクションに行きがちだよな。

 

想像力が高いのはいいことだが、今はそんなことを考えてる時間じゃない。翼を呼び出して説教しなきゃ!

 

 

「レッスンサボったんですか?確かに翼ならありえるかも...」

 

「ありえちゃいけないけどな。ともかく、あいつが行きそうな場所を探すしかないか」

 

「あ、それなら私心当たりがあるかもしれません」

 

「本当か!」

 

「はい、私も行きますから、少し待っててください」

 

 

 

☆☆☆------------------------------

 

 

 

「あっいた!翼ー!」

 

「百合子?...ってプロデューサー!?」

 

 

向かった先はゲームセンター。百合子が迷わずUFOキャッチャーのコーナーに行くと、翼がいた。

 

百合子曰く、翼一人で行く場所は大体相場が決まっているらしい。すごいな、名探偵のそれだ。

 

 

「ようやく見つけたぞ、翼。全く、レッスンサボってゲーセンに行くなんてな」

 

「...だって、レッスンつまんないんだもん」

 

「つまらなくてもやるんだ。本番で失敗したらどうするんだ?今までと違ってソロライブの会場はもっと沢山のファンが来るんだぞ?」

 

 

レッスンがつまらない、という理由でサボった翼を叱る。実はこれが最初の説教ではなかったりする。

 

翼はどうにも飽きっぽい性分みたいで事あるごとにレッスンをサボる。とはいえ全体練習なんかはちゃんとやる辺り人に迷惑をかけようとは思ってはいないらしい。

 

だが個人レッスンの時はサボる。翼がサボる確率は八割を超えていて、後半になるほどやらなくなる。本人曰く一回踊りを見れば覚えられる、らしい。

 

 

「ま、まぁまぁプロデューサー。翼も反省しているみたいですし、ここは大目に...」

 

「本当に反省してたなら、何回もやらないはずだろ?」

 

「それは、そうですけど」

 

 

諌めようとする百合子を説得し、今回ばかりはこってり説教してやろうと翼を見る。

 

翼はシュンとして落ち込んでいて、さながら雨に濡れた犬を思わせる。

 

 

「...翼、今後勝手にレッスンサボらないって誓えるか?」

 

「...はい」

 

「ならいいや。だったら早く出るぞ?昼ご飯まだ食べてないしな」

 

「えっお昼ですか〜?わたし丁度お腹が空いてきたんですよ」

 

「翼?ちょっとさすがに図々しくない?」

 

「うぅ、百合子まで厳しい...」

 

「当たり前でしょ?プロデューサーに迷惑かけたんだから」

 

 

百合子からの一撃でさすがに答えたのか、翼は昼の間余計な話をしてこなかった。

 

 

 

☆☆☆------------------------------

 

 

 

翼のミニライブまであと五日と迫った今日。俺は普段通り翼のレッスンを見ている。

 

身が入っていないとはいえ、ちゃんとレッスンに来るようになった。それはいいんだが、もうちょっとなんとかならないかな...

 

 

「ねぇ、プロデューサーさん」

 

「なんだ?」

 

 

レッスン途中だった翼が俺に話しかけてきた。どこかわからないところでもあるのか、と思ったが

 

 

「ジャンケンしよ?」

 

 

という突然の提案に呆然としてしまう。なぜジャンケン?

 

 

「いきなりどうしたんだ翼?」

 

「うん。このままやってもレッスンの意味無いですから、ジャンケンで勝負をしましょう」

 

「どういうことだ?ますます意味が分からないんだけど」

 

 

その後の翼の説明で納得がつく。要約するとジャンケンをして翼が勝ったらレッスンを切り上げる、負けたら最後までレッスンをする、とのことだ。

 

そんなことよりレッスンしろ、と思ったけどレッスンに身が入っていないのは見て取れたし翼なりのケジメの付け方なのだろう。

 

後で俺は、その時の俺をぶん殴ってやりたい気分になったけどな。

 

 

「よし分かった、やろう」

 

「ホントですか〜?じゃあ行きますよ!ジャーン」

 

「ケーン...」

 

「「ポン!」」

 

 

俺はチョキを出したが、翼はグー。勝ったのは翼だった。

 

 

「なっ...!」

 

「やった!わたしの勝ちですから、レッスン切り上げますね!」

 

 

そういって早々に更衣室へ向かう翼を止めようかとも思ったが、勝負は勝負。負けた側には何もいう資格もないし、前言撤回するのも大人気ない。

 

次勝って翼をレッスンさせればいいだけだし、そんなに気にすることは無かった。

 

 

「プロデューサーさん!」

 

「なんだ?」

 

「折角だからファミレス行きたいなぁ、ダメぇ?」

 

「いや、それは駄...」

 

 

駄目、と言いかけたところで思考が止まった。何故かというと翼を見てしまったから。

 

翼は甘いボイスと抜群のスタイル、そして甘え上手なところがあるアイドルだ。さてこの声、この顔、この甘え方で上目遣いまで来たらどうする?

 

かわいさの魔法剣二刀流乱れ打ちもいいところだ、構える引きつけるなんて比じゃない。

 

 

「...わかったよ」

 

「ホントですか?やったぁ!」

 

 

結局俺はこの甘えに耐えられず、翼の要求を呑むことに。

 

仕方ないじゃないか、ドキドキしたもん。

 

 

 

☆☆☆------------------------------

 

 

 

時は大分端折ってライブ当日だ。なんと翼は残り五日間一回もレッスンをしていない。俺が一回たりともジャンケンに勝てなかったからだ。

 

前に翼の特技を聞いた時、ジャンケンと言ってたがあれは本当だったみたいだな。

 

 

「プロデューサーさん、準備出来ました!」

 

「ああ、翼。...大丈夫か?あれから一回もレッスンしてないが」

 

「えへへ、大丈夫ですよ〜。プロデューサーさんは心配性なんですね」

 

 

いや、どんなプロデューサーだって前日まで録に練習せず当日を迎えたら心配するだろ。

 

そんな俺をよそに翼はメイクの崩れや衣装のズレを確認してる。

 

 

「伊吹さん、本番三十秒前です!」

 

「あ、はーい!」

 

「... 」

 

 

とうとう本番だ。俺の思考は不安とこの先の始末の予測でネガティブになってる。我ながららしくないけど、これも社会人ってのになってからの影響だ。

 

 

「プロデューサーさん!」

 

「...」

 

「もう!プロデューサーさんってば!」

 

「ふあっ!?す、すまん翼!どうした?」

 

「えへへ、ジャンケンしましょ?」

 

 

翼は全く緊張していないのか俺にジャンケンしようと言ってきた。こんなときに暢気(のんき)だな、と思ったが、気晴らしにやることにした。

 

 

「ジャーン」

 

「ケーン」

 

「ポンっ!」

 

 

翼が出したのがチョキに対し俺はグー。五日前から始めたジャンケン、ライブ当日で俺は初めて翼に勝ったのだ。

 

 

「あっ負けちゃいました」

 

「か、勝った...?」

 

「ふふ、わたしに勝ったから、プロデューサーさんはきっといい事が起こると思いますよ〜?じゃ、行ってきまーす!」

 

「え?あ、ああ...」

 

 

思考がおぼつかないまま翼は行ってしまった。いい事が起こるのなら、せめて俺を安心させてくれよな...

 

 

翼のミニライブは、大歓声の元終了を迎えた。

 

 

 

☆☆☆------------------------------

 

 

 

「ん〜、美味しい!」

 

「全く、この前のライブは負のスパイラルに大ハマリかと思ったぜ...あんま心配させんなよ」

 

「いいじゃないですか。それに、御褒美だーってここに連れてきたのはプロデューサーさんですよ?」

 

 

ライブ後日、俺は翼へのご褒美としてスイーツアイランドというスイーツ食べ放題の店に来ている。翼はユニットの皆と行きたがったが、あいにくここひと月ほど一緒の機会が無かった。

 

 

「プロデューサーさんは食べないんですかぁ?」

 

「俺はいいよ。そこまで甘いの好きじゃないし」

 

「そんなこと言わないで下さいよ、美味しいのに」

 

 

俺は遠慮したが翼がイマイチ腑に落ちないらしく、頬杖つきながらひと口頬張る。

 

するとなにか閃いたのか、次の一つを刺すと

 

 

「はい、プロデューサーさん!あーん」

 

「えっ」

 

 

俺にそのスイーツを向けてきた。よく雑誌とかのグラビアでみる、あーん、とかいうやつだ。

 

 

「折角甘いもの食べに来たのにもったいないですよぉ?ほら、あーん... 」

 

「ぐ...」

 

 

まて翼、俺はこんな甘々なやり取りは慣れてないし、いくら変装したとはいえこんなことしてスキャンダルとかなったらどうするんだよ...

 

俺は目の前の甘い誘惑と後先の不安とを天秤にかけている。翼と絡むといつもこんな感じだ。

 

こんなときは...

 

 

「お、俺には無理だぁっ!」

 

「え!?あ、待ってくださいプロデューサー!」

 

 

逃げるが勝ちってな!一目散に店を出て外の空気を浴びに行く。

 

翼はいつも俺を色々な意味でどきどきさせてくる、参ったな。

 

 

外の風は俺に差し込む冷気になって吹く。そういやそろそろ冬になるんだっけか。




いかがでしたでしょうか?


今回はプロットを大きく変えてお送りしました。本来は翼と一緒にモテる秘訣を見出す回にしようかと思いましたがあまりにもアイドルの仕事してないので今回のプロットに変えました。

個人的に乙女ストームの中でも一番プロットに困ったキャラです。他の面子がキャラ濃すぎて翼のキャラが埋もれてる感じがしますね。


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