単価四円ほどするらしいパン袋のアレです。
いよいよ最終回です。ここまでご講読して頂いた読者の皆さまには感謝を!
それではバッツPの活躍をお楽しみください!
「いよいよここまで来たんだな...!」
十二月の下旬。街はクリスマスだのなんだのと騒がしい。そんな中大きなドームでライブを行うという事実が、これまでの俺と未来達の頑張りの成果を表している。
そして驚いたのが今回のライブの動員数だ。ネット予約は完売。開演は十三時だけど、十一時の時点で長蛇の列が並んでいる。
「よーっっし!頑張るか!」
------------------------------
「このセットはこっちにお願いします!」
「照明、もっと右!」
「マイクテストお願いしまーす!」
「はい!」
開演準備の段階。みんながリハをやっている間、俺はセットの運搬を手伝いながら資料も目に通す。
そりゃ大変だけど、これくらいの無茶はしないとな!
準備を終わらせ、未来達と最終ミーティングを始める。
「それで、この曲が終わったらまず杏奈のソロからだから...杏奈以外のメンバーは来た場所を戻って退場な」
「...うん。杏奈...頑張る...」
話の内容は主に入退場の方法とセットリストの確認だ。みんな緊張しながらも話に着いてきてくれている。
「...と、流れはこんなもんだな。今までのライブとは違ってみんな出番をとっかえひっかえだから、スタミナ勝負だ!頑張ってくれ!」
「「「「「はい!」」」」」
元気のいい挨拶を返してくれて安心した。あとは開演まで不安なところを潰すだけだな!
------------------------------
開演直前。俺はステージ裏で最後のチェックを行っていた。そんなとき、未来達が集合してきた。
「どう?プロデューサーさん、セクシー?」
「ちょっと肌が見えすぎてて恥ずかしいんですけど...似合ってますか?」
「おぉ!みんな似合ってるな!」
新しい衣装に身を包んだ未来達を見ると改めてアイドルなんだな、と感じる。まるで風の妖精を思わせるような衣装デザインは、乙女ストーム!の名前を上手く表現できていて素晴らしい。
ただ、露出多くてどきどきするけど、そこはグッと堪えた。
「あ、そうだ!折角だし、円陣組もうよ~!」
「いいね翼!みんな、円陣組もー!」
翼の提案から未来の号令で未来達は円陣を組む。肩を組む訳ではなく、手を中央に重ねてやるタイプの方だ。
「プロデューサーさん!」
「えっ」
未来の声でみんなの視線に気づく。未来も、翼も、杏奈も、百合子も、瑞希も俺の方に視線を向けているのがわかる。
「ほぉら、プロデューサーさんも!」
「プロデューサーも、仲間です」
「今まで一緒に来たじゃないですか!これからも一緒です!」
「そうだよプロデューサーさん!ビビッと円陣、やっちゃおうよ!」
「...しょうがないな、全く!」
内心はもうすでに感動で満ちあふれているけど、みんなのライブをしっかり見たいから限界まで我慢する。そしてみんなの円陣に加わり、手を出す。
それに応えるように未来達が順々に手を重ねていく。
「みんな!大切なこと、分かるよな!」
「はい。"真剣に楽しむ"、です」
「杏奈も全力で楽しんじゃうよ!」
「はい!まさに吹き荒れるあらしのように!」
「それじゃ、未来?」
「うん!未来の風はいつだって、私たちに向かって吹く!『乙女ストーム!』、行っくぞー!」
「「「「「「おー!!!!」」」」」」
------------------------------
「みなさーん!こんにちはー!」
「今日はわたしたち乙女ストーム!のライブに来てくれてありがとね~!」
「今日は杏奈達ビビッと頑張るから、応援くださーい!」
「それでは、さっそく行きましょう」
「今回は、私たちの新曲で、乙女ストーム!の代表曲になります!行くよー?せーの!」
「「「「「『Growing Storm!』」」」」」
ライブは未来達の届ける声が風のように。ファンの歓声が嵐のように吹きすさび、ライブ会場を丸々包み込んだ。
------------------------------
それからの一日はあっという間だった。乙女ストーム!の人気は社長の予測通り大爆発。まさにアイドル界に一つの風を巻き起こした。
完璧じゃない少女達だから、これからが探求の始まりだ、なんてな!
でも結局、俺はあのライブを見ることが出来なかった。前を向こうとすると目の前がぼやけるんだもの、仕方ないじゃないか。
「何にやけてるんですかプロデューサー殿?社長がお呼びですよ?」
「ぅえ!?ああ、ごめん律子!行ってくるよ!」
あのライブ以降俺は休みなしだ。たまにはゆっくり遊びたいなぁ...。
「それにしても、社長の呼び出しって何だろ...?」
そう思いながら社長室に入る。
「おお、君ぃ!来てくれたね」
「おう。んで、話ってなんだ?」
「うむ。まずは君に礼を言わなくてはな。この前のライブは見事だったよ?」
「完璧な出来だったしな!」
「それでだ、我々765プロは新たなプロジェクトを発足することにした!」
...ん?待てよ、新たなプロジェクト?それってまさか...!!
「その名も『39プレジェクト』!春日君達乙女ストーム!を皮切れにライブシアターにてこけら落とし公演をするのだが、その担当を」
「俺がやるってことだよな、社長...」
「おお、さすがだね君!では早速これから君と共に歩む、アイドルの卵達を...」
待ってくれ、言おうとして諦めた。これはもう逃げられないよな、だって俺以外のプロデューサーって
「...という訳だ。よろしく頼むよ?敏腕プロデューサー君」
「わかったよ、なんだか片道切符みたいだし、行くとこまで行くか!」
そう意気込んで社長室を出てそのまま屋上にあがる。涼やかな風が身を包む。
「それにしても、未来達含めて39人...大変だなこりゃ」
なんて独り愚痴るが、内心は嬉しかったりする。まだ会ったことのない色んなアイドルと会えるんだ、おもしろそうだ!
「よし!これからも頑張るか!なんてったって、未来の風が呼んでる!」
気を引き締めて未来達の迎えに行くため足を進める。
風は強く俺に向かって吹いている。冬なのにその風は優しい暖かさに満ちている。この風は、まだまだ止みそうにないみたいだ!
いかがでしたでしょうか?
すごい駆け足気味でしたが"乙女ストーム!編"終了です!これまでご愛読ありがとうございました!
...そうです、"乙女ストーム!"はこれまで。これからは"39プロジェクト編"をやろうと思います。
これからもバッツPの活躍をお楽しみください!