カラーバリエーションが意外と豊富なパン袋のアレです。
今回はミニライブ回です。アイドルもの特有の直前トラブルが少ないけど大丈夫かな?と思う次第ですが。
それではバッツPの活躍をお楽しみください!
ミニライブ当日。今回『乙女ストーム!』は765プロオールスター(先輩アイドルの天海春香達のこと)の前座という事で参加させてもらえる。
単独ライブとは行かなかったが、初舞台で大物アイドルと共演なんだからそれだけでも儲けもんだ。
「まずはオールスターのメンバーとミーティングがあるから、先に控え室で待機だ」
「「「「「はい!」」」」」
未来達は緊張が隠せない様子。初ライブだし先輩アイドルとの共演だしで仕方ないと思う。
未来達を控え室へ送り出し、俺はセットリストの確認作業を代理プロデューサーである秋月律子に手伝ってもらう。
「それで未来達には上手側から出てもらって、出番が終わったら上手側へ戻って下さい。下手じゃないですよ?」
「分かった。それでオールスターの出番が終わったらMCか?」
「はい。春香に合図させるので、それに従って出てきて下さい。MCの内容は今ごろ控え室で決めてると思いますので。」
律子に色々指示をもらう。ライブのセッティングも初めてだし、手伝ってくれるのはかなりありがたい。
さっきの話し合いを何度か繰り返し、具体的な流れを把握する。動員数が1000人とかなり多いこの劇場でファンが少しでもできればいいと思っている。
「プロデューサー殿?なにやら意気込んでいるようですが、確認作業がまだありますよ?」
「えぇ!?まだあんのかよ...」
「当たり前です!今のはさわりの部分なんです、これからもーっと細かい作業の確認をするんですから!」
プロデューサーってのは、俺が思っていたものよりもっと地味な仕事だった。
親父...世界を救った暁の戦士は今、こんな事務作業をしてるんだぜ...?
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流れの確認と比べて何倍もある事務作業から解放され、水を飲んで休憩を入れる。
そこに未来達がやってきた。
「プロデューサーさん!」
「お、未来達か。俺に用か?何か分からないこととかあったか?」
「違いますよ〜、ただプロデューサーさんにわたし達の衣装を見て欲しかったんですよ!」
「おお、確かにこれは...」
みんな似合ってるなぁ、どうやらシアターアイドルの共通衣装になる予定である『プロローグルージュ』を着ている。
「みんな凄い似合ってるよ!ちゃんとアイドルなんだな...」
いかん、子を送り出す親の気持ちとでも言うのだろうか。涙が溢れてきそうになる...!母さん、俺は奥さんも出来てないのに一足先に親の気分だよ...!
「プ、プロデューサー!?泣いてる...?」
「どこか気分でも悪くなったんですか...?」
「多分、違うと思うよ...」
「おまえ達、俺の知らないうちにすっかりアイドルっぽくなっちまって...!」
「でへへ、そうですかねぇ?」
涙を拭って改めてみんなを見つめる。初々しさを残しながらも、みんなこれまでの練習を100%発揮したいという想いが伝わってくる。
ごめん親父、プロデューサーって最高の仕事だわ...!
「お前達の出番までもう時間が無い!今日の流れをもう一度確認するぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
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場所は変わって舞台裏。ステージに繋がる正面左手、つまり上手側の方でみんなを待機させる。
不思議と未来達の表情が晴れやかになってる。さっきの俺の号泣で緊張しっぱなしじゃいられないってなったのだろうか。
出番まであと三十秒。俺が未来達に声をかける前に別の人物からの声で足を止めた。
「みんな、初ライブ頑張ってね?」
「あ!天海先輩!」
声の正体は天海春香だった。春香は自分の出番の最終確認があったにも関わらず未来達の様子を見に来たらしい。
「最初のライブだから緊張するかもって思ってけど、みんなすごいね。私なんか最初のライブは緊張しっぱなしだったのに」
「ひとえにプロデューサーのお陰です。一緒に歩んできてくれたからこそ、今こうやって私たちがいるんだと思います」
「そうです!だからライブで緊張なんてあんまりしてません!だって...」
そういって未来がみんなにアイコンタクトを送る。そして俺の方を向かって
「「「「「"真剣に楽しむ"!ですよね、プロデューサー(さん)!」」」」」
「...ああ!良いか、"真剣に楽しむ"んだ!!」
「「「「「はい!行ってきます!」」」」」
赤く輝く五つの星を、俺は見た気がする。
いや、気がするんじゃない、見たんだ!
アイドルっていう輝く星を!
「「「「「聞いてください!『THE IDOLM@STER』!!」」」」」
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『乙女ストーム!』の出番は終了し、未来達が上手側へ戻ってくる。
俺は、バッチリとこの目に未来達の姿を焼き付けていた。初公演は大成功だ!
「楽しかったー!お客さんもみんなわーっ!って感じだったよね!」
「そうそう!わたしもつい熱が入っちゃったな〜」
「うん、なんだかペンライトがまるで夜を照らすホタルみたいで...!」
「はい。七尾さんの言う通り、ペンライトがとても綺麗だったと、思います」
「イェーイ!プロデューサー、見てた!?」
「ああ!みんな頑張ったな!ちゃんと見てたぞ!」
ONモードからまだ切り替え終わってない、ハイテンションな杏奈はすこし気にかかるが、そんなことは些細なことだ。
みんな初ライブだと言うのに大きなミスもなく披露できた!
でも、欲を言えばもっと見たかったな。未来達が輝くところを。
「楽しい時間って、なんであっという間なんだろうな...」
誰にも聞こえないように、でも誰かに届くようにボソッと呟く。
「みんなお疲れ様!初めてのライブはどうだったかな?」
「天海先輩!はい!とっても楽しかったです!」
「そっか、それは良かった。なら、今度は私たちが頑張る番だね!」
そう言ってきた春香の背中には、765プロオールスターの面々が揃っていた。
プロデューサーの俺から感じるものは、安心感だった。彼女たちなら絶対にライブで最高の盛り上がりを見ることができる、そう感じるオーラが出ていた。
「それじゃ、いくよー?765プロー!」
「ファイトー!!」と円陣を作り、掛け声をかける。そしてステージに上がり、曲が始まった。
その瞬間、
「「「「「「「ワーッ!!!!!」」」」」」」
あの時の声援と熱気を、俺は忘れることは出来ないだろう。
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「はい、それではよろしくお願いします!」
馴れなかった敬語も、今では自然に出せる様になったこの頃。
乙女ストーム!の知名度はあのライブ以降うなぎ登りで上がっていった。
ユニットで音楽番組に出演した他、個人でもオファーが来るほどだ。
「人気になったのは嬉しいけど、これはこれで寂しいな」
「そうですねぇ、ただですらウチは人がいなくて物寂しいのに」
たった二人でポツンとデスクワークをしている俺と小鳥は、毎日のように慣れない寂しさを感じている。
(ま、でも...)
ホワイトボードに書かれているスケジュールを確認して、穴の空いてる日を見て安心する。
その日は全員オフをとって慰安旅行へ出かける予定だ。この日だけはなんとか確保出来た。
「ちょっと外で体伸ばすかなーっと」
「行ってらっしゃい、プロデューサーさん」
事務所の外へ出て屋上に向かい、そこで体を伸ばす。こんな時でも外はいい天気だ。
今のところ未来達の具体的なスケジュールを話すと、未来と翼は雑誌モデルの撮影。杏奈と百合子は新作ゲームの生放送にゲスト出演。瑞希はラジオ番組。
我ながらだいぶ仕事を持ってきた。これも未来達の頑張りのお陰だな。俺ももっと仕事を持って来てやらないとな!
そう意気込む俺に風が背中を押す。やさしくも力強く押してくる風をどこか、俺は気に入らなかった。
いかがでしたでしょうか?
自分自身、書いていて心が熱くなるのを感じられたので、その感覚が読者に伝われば嬉しいです。
まだ描写し足りない部分もあるから、もっと話の構成を練らねば...!
ご感想、誤字脱字報告等いただけると幸いです!