今作で出てくるキャメロットはFate時空よりもまろやかなただの似ている国です。モルガンも陥れるとかそういうのじゃないです。アーサーはプロトです。
書きたいことを書き殴ってます。修正入るかもです。
そして最後に、大変お待たせしました。
アメストリス国の隣に位置する小さな王国、キャメロット。
その王国の王、アーサー・ペンドラゴンはまさに理想の王だった。
大人びた価値観と正義感を持ち、悪を糺し善良を尊しとするヒーロー。彼はすべての国民に受け入れられ、愛し続けられた。
しかし人の命は限りあるもの。
アーサー王の命も無限に続くものではなかった。つまるところ、病に倒れたのだ。
国民の誰もが彼を心配した。
そこにある少女が「自分こそが王の正統なる後継者である」と名乗りを上げたのだ。
彼女の名はモードレッド。
錬金術師モルガンが薬で眠らせたアーサーからくすねた彼の精子を自らの子宮に植え付けることで産まれた。
もちろん、王国の民に受け入れられなかった。
王国の民は彼に子供がいるなど知らなかった。そんなぽっと出の少女を信じろという方が無茶である。
しかし、彼女は諦めなかった。アーサー王を尊敬し、彼が父であることを誇りに持つ彼女は努力した。
自分が女であることを呪った。どうして俺は男じゃないのだろうか、と。
呪ったところで認められるはずもない。
モードレッドはまず剣術を磨いた。剣術指南場を転々とし、道場破りのごとく乗り込んではそこで学んだ術を己の肉体へと落とし込んでいった。
王の血を受け継いでいるからなのだろうか、モードレッドはみるみるうちにその腕を上げていった。
そして一年も経たないうちに王国一の剣士となった。
次に、無駄に長かった金髪を切ると、邪魔にならない程度に残し一つにまとめた。
言葉遣いも女性を感じさせるものから苛烈極まる喋り方へと切り替えた。
国のために働いた。畑を耕し、作物を育て、作物を刈り取り、炊き出しに積極的に参加した。
錬金術師モルガンから錬金術を学び、それを王国の民のために使った。橋を直し、家を作り、子供のおもちゃを直した。
当初は気に入られていなかったモードレッドだったが、だんだんと人々に受け入れられていった。
それこそ道を歩けば挨拶され、感謝され、お礼として野菜を両手に抱えるほどに。
ある日、モードレッドの元に一人の騎士が訪れ、書状を渡した。
そこには、アーサー王が彼女の噂を聞きつけ、会って見たい。ぜひ城に来てくれと言った内容が記されていた。
「君がモードレッドか」
「白馬の王子様」を実体化したような、金髪の凛々しい美青年。 そして騎士道精神を体現したかのようなかの騎士の影は見るまでもなかった。
体は細くなり、痩せこけてしまったその体。元気を振り絞って作った笑みを見たモードレッドは心を痛めた。
そしてアーサー王は何処からか聞きつけたのか、モードレッドのここ最近の活躍を孫に自慢する祖父ように
今思えば、実際にそうなのか。擦り合わせをしたかったのだろう。
ふとモードレッドは不安になった。
モルガンから己の出生を聞いた。それは決して許される行為ではないはず。不安どころではない、嫌われてしまうのではないかと恐れた。
そんなモードレッドの表情から彼女の心情を察したのだろうか。アーサー王は朗らかに笑うとモードレッドに言った。
「モルガンのことなら大丈夫だ。実はね、君を身篭った時に謝罪に来られてね。勿論驚いたさ。でもね、モルガンのお腹に触れて、君の音を聞いた時、如何してかわからないが受け入れてしまった自分がいたんだ。もしかしたら、いつのまにか世話に来てくれるモルガンを好きになっていたのかもしれない」
そこまで言い切ると窓の外に目を向けた。
「だから大丈夫。このことは僕の臣下には伝えてある。まだ不安だからなんとも言えないけど、君が本当の王になったら、その時はこの国を頼むよ」
「もしもの時は僕の自慢の臣下が切って力になってくれるさ」そう言って彼は笑った。
涙を流していた。
止めたかった。
こんな面を見せたくなかった。
まるで女のようではないか。
だから、涙よ止まってくれ。
止まれって言ってんだ。
このままじゃ
「し、死ぬなよ……死ぬなよ!俺が王になって、民を導く姿を見てくれよ!」
言葉の濁流が感情とともせきを切って溢れ出した。
「お、おれは…………貴方に、グスッ…うぅぅぅ…………」
気がついたら彼の胸に顔を埋めていた。涙で彼の服を汚すことも構わずに泣き続けた。アーサーは黙ってモードレッドの髪を優しく撫で続けた。
二週間後、アーサー王が亡くなった。
全ての民草は彼の死を嘆き、悲しんだ。
「今度は俺が、この国を」