ま、あらすじ見ての通りですけどね。
ヤンデレ魔王と勝負!
魔王城
勇者こと俺が率いるパーティ四人は、後を追ってくる魔物から逃げていた。しかし、腰抜けと言われたくはない。
なぜなら、俺たちは魔王の間まで駆け抜けるつもりだからだ。
「勇者!あとどれくらいなの!?もう足止まりそう!」
パーティ内では一番若く、前線には出ない、女魔法使い「ネミル」が音を上げる。
「もうすぐだ!勇者の剣の煌めきが強くなってる!」
この剣は魔王の元まで導いてくれる。頼もしい装備だ。
「しかし…勇者殿、たとえ魔王の間に着いたとして、挟み撃ちではござらぬか」
一番の年長者の剣士「ヘイジ」が言う。
「いいや、策はある、だろ?ハルカ」
ぜえはあと息を吐いて走る隣の賢者少女「ハルカ」に尋ねる。
「はあ、はあ、はい、時の結界ならば魔物も人も、介入できないはずです」
その先に、大きな重厚感のある扉がひとつ。
「よし、見えたぞ!あそこだ!」
俺たちはその中に飛び込んだ。
魔王の間
ハルカは扉に手を当て、時の結界を張っている。それを俺とヘイジで挟んで守る。ネミルは魔法の杖をじっと玉座に向けている。
「なぁ…玉座には誰もいないぞ…」
「静かに…確かに感じるでしょう、闇の気配を…」
「しかし、どこにいるのか分からないほど強烈な力に溢れているこの部屋で、勇者殿、どうするつもりでござるか」
「剣の僅かな煌めきの差でも分かるはずだから、方向を確かめる…」
剣を左から右へ。ゆっくりと、ゆっくりと降る。
ちょうど剣がネミルの方を向いた時、剣が光った。
「ネミル!そっちにいるぞ!」
と、ネミルが下がるより前に、青い電撃のようなものがネミルの杖を弾く。
慌てて身をかがめたネミルの体が、弾け飛んだ。
「ネミル…ッ!」
走り出そうとする俺を、ヘイジが止める。
「勇者殿…行ってはダメでござる…」
「トラップってことか…?」
「…」
こうしている間にも、ネミルの体に青い電撃がバチバチ音立てて這い回っている。
「勇者様!結界貼り終えました…!?」
ハルカが振り向く。しかし、俺の方を向いたまま、恐怖で動けないようだ。
「おい、どうした…?」
「ハルカ殿!危ないでござる!」
ヘイジがハルカと俺の間に割って入った。
その次の瞬間。
「ぐッ…!?」
ヘイジが吹き飛ばされ、壁に激突する。
そのままずるりと地面に落ちた。
「へ、ヘイジさん…!」
「くそ!魔王!貴様卑怯だぞ!」
ヘイジの立っていた空間を剣で薙ぐ。しかし、虚しく空を切る音が響くだけだ。
「…勇者、様、離脱魔法を使いましょう」
「…!ヘイジとネミルを見捨てろっていうのか!?」
「勇者様が亡くなれば、二人を助ける可能性もッ!?」
ハルカが宙に浮く。そして、薄ぼんやりと、その後ろに真っ黒な影が見える。
魔王だ。
ハルカは魔王に首を絞められ、苦しそうにもがいている。
「ハルカ!」
駆け寄ろうとする俺に、魔王の影が口を開く。
「勇者様、動かないでくださいね?そこからあなたが動けば、この女は絞め殺しますので」
「…!」
俺は咄嗟に武器を捨てる。
それにしても、意外なのは魔王の声が女っぽいと言うことだ。
ハルカが乱暴に地面に降ろされ、影が像を結ぶ。
「勇者様…」
恍惚とした表情を浮かべた魔王は、俺(15)よりも少し年上程度に見えるにも関わらず、サキュバスのような妖艶さを持つ女だった。
「私の元に来るなら、仲間たちを解放しましょう、けれど歯向かうのなら…分かりますよね?」
にっこりと笑顔を浮かべた魔王は、少しずつ歩み寄ってくる。
「…わかった、だから、仲間だけは…」
「ふふ、素直なのは好きですが…嫉妬、しちゃいますね」
魔王が振り向き、手を天にかざして何かを詠唱する。
その魔術の早さは、ハルカの詠唱の比ではなかった。
仮に戦っても勝てはしない。恐怖が心の中にじわじわと広がってきている。
「さて、勇者様」
「…処刑か?」
「二人きりで、あとで話しましょうね」
魔王は俺に、軽くウインクした。
それを見た瞬間、俺の意識は暗闇に落ちた。
いきなりバトル(と言えるのかな?)!
魔王と勇者のいちゃらぶをお楽しみに!