いよいよクライマックスです!
「ここは…どこだ…?」
俺はミラの会社のオフィスでクララに意識を奪われ、次に目を覚ました場所は真っ暗で狭い場所だった。
「体が痛いな…出口はどこだ?」
体を揺するとすぐそこに壁がある。
何か箱のようなものにでも閉じ込められているのだろうか。
体を動かして気がついた。
俺の体からスライムが消えている。
そのかわりに、手にスライムの手錠がはめてある。
「くそっ…箱なら開ければ…!」
拘束されたままの両手と自由に動かない足で天井を力一杯押す。
みしみしと音がして箱が開いた。
そこには。
「この箱の中には私たちの人質であり、救世主であり、子種であり、そして私だけの夫が入っているのよ」
青いスライム。恐らくクララだ。
「あなただけの夫なのに、子種は私たちによこしてくれるわけ?ふふ、こんな数でヤり回したりしたら壊れちゃうわよ?」
薄緑のスライムが言った。
「けれど異種族嫌いで男嫌いのクララが選んだ男ならちょっとは興味が湧くわね…いっそ壊して子種製造人間にして、体内で飼ってあげたらいいんじゃない?」
と、紫色のスライム。
「あははっ、体の中に取り込んで飼ってあげるのもいいけれど、子種を生み出すだけでは彼の顔が見られないじゃない?私は彼の…魔王様の夫でありながら、私に必死で抗う姿が好きなのよ…今日が終われば彼をゆっくりと私色にするの…そうして精神をジャックしてからでも壊してあげるぅ…」
陶酔したような声でクララは言い、次の瞬間。
「おはよう、私のダーリン♪」
箱の隙間を覗き込んできた。
「っ…クララ、なんでこんなこと…」
すると薄緑のスライムも顔を出して言った。
「なんで?愚問ね、私たちの計画と、クララがあなたに惚れたからに決まっているでしょう?」
その見下した顔を睨みつけて言う。
「そんなことでスライム族の権利が獲得できると思ってるのかよ!知らないようなら教えてやる、俺はエメに何かされたら許さないし、エメだって同じだ、どうなるか分かっているのか!」
紫色のスライムの嘲笑が聞こえた。
「ふッ…華族はあと数時間もすれば全員焼き殺される定めなのよ?そんな状況での私たちの提案を断って、なおかつあなたへの愛を貫き通すほどに愛されているのかしら?それはそれで壊しがいがあって楽しいけれど…ね」
クララが言う。
「こら、壊さないって言ってるでしょう?それに…あなたにも見せてあげましょうか、もう儀式の準備は全て終わっているのだからね」
箱が開き、クララに腕を掴まれて立たされる。
外はほぼ日が落ち、パーティ会場と見られる城には光が灯っていた。
「ほら…あそこにも、あそこにも偽装した魔法道具が置いてあるのよぉ、魔力を通せばもうあそこから出られはしないの」
「やらせはしないぞ、俺は絶対にそんなこと認めない」
すると、紫色のスライムは舐めるように俺を見てきた。
「いい加減に諦めなさい?もう始まるのだし」
「…くそっ!」
魔王城
「ウルスラ、今日行われる貴族や華族の集まる立食パーティは断ったので、あとで魔王家についている家から何か不穏なことなんかなかったか聞いておきなさい」
「…エメラル様、さきほどエメラル様のお部屋をお掃除したのですが」
「ぎくっ」
「なんですか?これは」
ウルスラが持っていたのは夫の下着だった。
「無くなったと思っていた下着がなぜエメラル様のお部屋にあるのですか?禁欲すると言っていましたよね?」
「うぐっ…!こ、擦っただけです、きちんとイく前にやめましたからセーフです」
ウルスラは怒るというよりかは呆れた様子で。
「はぁ…それにしてもユーリィ様が遅いですね…今晩帰ってくる予定だというのに…」
「えっ、今のさらっとひどくないですか?無理やり路線変更させましたよね?まあ確かにユーリが恋しいですが…」
「…少しパーティに参加している者に尋ねて来ます」
「ええ、そうしてください」
パーティ会場
「あら、ウルスラさん?今日は魔王様の代わりにいらっしゃったのですか?」
「ええ…魔王様は忙しいそうですので…私が皆様に挨拶をさせていただこうかと…」
「あら、魔王様くらいご立派なスピーチが聞けるのかしら?私も楽しみですわ♪」
「ワイル家も大変そうでしたが、もう大丈夫なのですか?魔王家に対しても中々に大胆な発言を繰り返していらっしゃいますが」
「要らぬ心配ありがとうございます、幸運なことに魔王様からのお裁きは下りませんでしたからね」
貴族たちが楽しく、その裏腹に政治的な駆け引きやブラックジョークが入り乱れているパーティ。
ウルスラとミラも火花を散らしたりもしたが、何とかつかみ合いにはならなかった。
魔王がいれば恐らく火の海になっていたであろうが。
宴もたけなわの頃、ある貴族が異変に気付く。
「…?なにか、魔力を感じるぞ」
「気のせいじゃありません?今晩は喧嘩も起こっておりませんし…」
「扉が開かない…なぜだ?私はもうお暇したいのだが…」
「なにか油でも悪いのでしょうか?まあグラス家のお屋敷ですし…少しばかり古臭いところもありますがね…」
「あら?あなたのお屋敷はこの前燃えてしまったそうですが?」
そして。
「皆さんッ!何者かが庭に火を放ちました!急いで大扉から避難なさってください!落ち着いて!」
「大扉が開きませんけれど?他の出口があるのかしら」
「そ、それが非常口はどういうわけか開きません…!」
ざわざわと動揺が広がる。
火はじりじりと迫っていた。
魔王家に仕えるメイドは一人唇を噛む。
「…エメラル様に伝えなくては」
「やめろっ!今からでも遅くない、やめてくれ!」
暴れるが、クララにのしかかられて動くこともままならなかった。
「くふふ…魔王様がいらっしゃるまではこのまま体に埋め込んでおいてあげる、権利が認められたあとはずっと一緒なんだから、慣れておいてね?」
「…?ウルスラから緊急通信?行ってみますか」
全てはスライム族の思惑通りに進んでいた。
この時までは。
文章力低下してすみません(´・ω・`)。
リハビリしながら頻度上げます。